千葉県鴨川市を本拠地とするオルカ鴨川FCは、なでしこリーグ1部に所属する女子サッカークラブです。

豊富な運動量と高いインテンシティを土台に、粘り強い守備で試合を作るのがこのチームの大きな特徴です。派手に押し込むだけではなく、全体をコンパクトに保ちながら相手の良さを消し、少ない失点で勝負を成立させてきました。
本ページでは、オルカ鴨川FCのチームとしての特徴、注目選手、そして関連する試合レビュー記事をまとめて紹介します。
チームの特徴
粘り強い守備
WEリーグ発足に伴って現行のなでしこリーグ体制へ移行した2021シーズン以降、オルカ鴨川FCは順位の波こそありながら、守備面では安定した数字を残してきました。特に2023シーズンはリーグ優勝を果たし、失点数でもリーグ最少を記録。2025シーズンも順位は9位でしたが、失点数はリーグ上位水準にあり、守備の強さは引き続きチームの土台になっています。
| シーズン | 最終順位 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 得点順位 | 全チーム平均得点 | 全チーム中央値 | 失点 | 失点順位 | 全チーム平均失点 | 全チーム中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 9位 | 5 | 7 | 10 | 17 | 12位 | 30.1 | 26.5 | 26 | 4位 | 30.1 | 28.0 |
| 2022 | 5位 | 11 | 3 | 8 | 26 | 6位 | 27.7 | 25.0 | 20 | 3位 | 27.7 | 25.5 |
| 2023 | 1位 | 12 | 8 | 2 | 38 | 4位 | 32.0 | 33.5 | 18 | 1位 | 32.0 | 31.5 |
| 2024 | 8位 | 7 | 9 | 6 | 24 | 9位 | 30.1 | 31.5 | 24 | 3位 | 30.9 | 26.5 |
| 2025 | 9位 | 5 | 10 | 7 | 15 | 11位 | 28.2 | 28.0 | 21 | 2位タイ | 28.2 | 28.0 |
※順位、得点順位、失点順位はなでしこリーグ1部内での位置づけ。
※「全チーム平均」「全チーム中央値」は、その年のリーグ全体の得点・失点分布を把握するための参考値です。
この表からも分かる通り、オルカ鴨川FCは2021、2022、2023、2024、2025シーズンのいずれも、失点数がリーグ平均を下回る水準で推移しています。特に2025シーズンは得点数が伸び悩んだ一方で、失点数はリーグ2位タイと、守備の安定感が際立っていました。
課題は得点力
一方で、長年の課題として挙げられるのが得点力です。2023シーズンはリーグ優勝を果たし、得点数もリーグ4位と上位でしたが、それ以外のシーズンでは得点数が伸び悩む傾向が見られます。特に2025シーズンは15得点にとどまり、リーグでも下位の数字でした。守備の安定によって引き分けに持ち込める試合は少なくないものの、勝ち切るためにはもう一段階の得点力向上が求められます。
失点を抑えられるからこそ大崩れはしませんが、勝点3を積み重ねるには、やはりゴールが必要です。オルカ鴨川FCをより上位へ押し上げる鍵は、堅守を維持しながら、いかに前線の迫力と決定力を上積みできるかにあります。
注目選手
ここからは、筆者が注目する選手をポジション別に紹介します。魅力的な選手が多く選定は難しいところですが、今回は各ポジションから1人ずつ取り上げます。
GK
2025シーズンに在籍していたGKが全員退団し、顔ぶれが大きく変わったポジションです。守備の強さを武器とするオルカ鴨川FCにとって、最後尾を支えるGKの存在は極めて重要です。
米澤 萌香 (MOEKA YONEZAWA)
個人的に最も注目しているGKが米澤萌香選手です。
日テレ・メニーナ・セリアス、日ノ本学園高校、帝京平成大学を経て、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースでWEリーグも経験。2019年にはユニバーシアード日本女子代表の一員として準優勝を経験しており、実力と経験を兼ね備えた守護神候補です。その後はFCふじざくら山梨でもプレーし、2026シーズンからオルカ鴨川FCに加入しました。
プレースタイルの特徴は、落ち着いた判断と安定感のあるセービングにあります。派手さで目立つタイプというより、ミスの少なさと冷静な対応で最終ラインに安心感をもたらすGKです。相手FWとの1対1でも慌てず対応でき、前線への配球でもリズムを作れます。
2026シーズンは開幕戦の伊賀FCくノ一三重戦、第2節の愛媛FCレディース戦に先発出場。いずれも1対1をブロックする見せ場があり無失点に貢献しており、新体制のオルカにおいて早くも存在感を示しています。新たな守護神としてチームを支えられるか、引き続き注目したいところです

DF(センターバック)
松尾 菜月 (NATSUKI MATSUO)
安定した守備と得点力の両面を備える、最終ラインの主力DFです。
千葉県立幕張総合高校からオルカ鴨川BUを経てトップチームへつながった、生え抜き色の濃い選手です。2022年以降継続してトップチームに在籍し、2025シーズンもリーグ戦で出場を重ねました。皇后杯では2試合連続ゴールを記録しており、守備者でありながら得点でも違いを生み出せるのが魅力です。
プレースタイルの特徴は、対人守備の安定感と状況判断の良さにあります。無理に飛び込むのではなく、ポジショニングと対応で相手の選択肢を制限し、最終ライン全体のバランスを整えることができる選手です。加えて、セットプレーやゴール前の混戦で得点に絡める点も大きな強みです。
2026シーズンも開幕戦からセンターバックとして先発出場し、第2節終了時点でチームは2試合連続無失点。守備の軸としての重要性は今季も変わりません。

DF(サイドバック)
越路 萌永 (MOE KOSHIJI)
左利きという希少性を生かし、最終ラインの選択肢を広げられるDFです。
常盤平FC、INAC千葉CRAVO FC、帝京長岡高校、帝京平成大学を経て、2025シーズンにオルカ鴨川FCへ加入しました。2025シーズンはリーグ戦、皇后杯の両方で出場機会を得ており、トーナメントの舞台でも経験を積んでいます。
プレースタイルの特徴は、精度の高い左足のキックと、攻守両面でのスピードを生かしたハードワークです。ビルドアップの出口になれるだけでなく、サイドで上下動を繰り返しながらチームの幅を作ることができます。
2025シーズンは絶対的な主力定着には至らなかったものの、与えられた出場機会の中で着実に経験を積みました。2026シーズンは開幕から先発出場を続けており、得点力向上を目指すチームにとって、後方から配給できる左足と推進力は大きな武器になりそうです。

MF(守備的)
浅野 綾花 (AYAKA ASANO)
中盤のバランスを整え、試合を安定させられる守備的MFです。
帝京平成大学から加入し、オルカ鴨川FCで経験を積む中で存在感を高めてきました。2025シーズンは継続して出場機会を得ており、皇后杯でも中盤の主力として起用されています。
プレースタイルの特徴は、攻守のつなぎ役として中盤のバランスを保てる点にあります。危険なスペースを埋める守備の感覚に優れ、必要な場面ではしっかり相手に身体を当ててボールを回収できる選手です。ボール保持時にも無理をせず、味方を動かしながら試合の流れを整えられるため、チーム全体の安定感につながります。
2026シーズンも開幕戦から先発出場し、第2節でもスタメンに名を連ねました。オルカの中盤を支える存在として、今季も重要な役割を担う選手です。

MF(攻撃的)
上田 麻莉 (ASARI UEDA)
神村学園高等部から2025年に加入したサイドアタッカーです。育成年代から評価の高かった選手で、高校選手権では主力として全国準優勝に貢献しました。運動量とスピードを生かした突破が持ち味で、左右のサイドや前線でも違いを作れるのが魅力です。2025シーズン中断期間企画の「ファン・サポーターが選ぶベストイレブン」にも選出されており、ルーキーイヤーから存在感を放ちました。
2026シーズンも開幕から先発出場を続け、第2節の愛媛FCレディース戦では見事な先制ゴールを記録。自身にとってもチームにとっても今季初得点となる一撃で、勝利に大きく貢献しました。局面を一人で動かせる推進力は、今後さらに磨かれていきそうです。

FW
得点力向上が課題のチームにおいて、FW陣の出来はシーズン全体を左右します。アルマ・デービス選手の破壊力はもちろん大きな魅力ですが、ここではあえて別の選手を取り上げます。
北村 ほのか (HONOKA KITAMURA)
2025年にオルカ鴨川FCへ加入した長身FWです。高校時代には愛知県高校リーグ1部得点王を獲得し、大学でも実績を積んできました。173cmのサイズと左足を生かし、前線でゴールに絡めるのが魅力の選手です。
強みは、ゴール前で結果を出せる力にあります。一方で、単純な中央のストライカーというより、左足を使って前線と中盤の間でプレーに関わりながら、最終局面でフィニッシュに入っていけるタイプです。高さを生かした存在感だけでなく、前向きにプレーへ絡む推進力も備えています。
2025シーズンは開幕から先発機会を得ており、チームからの期待の大きさがうかがえました。その後は負傷もあり苦しい時期を過ごしましたが、2026シーズンは第1節、第2節で途中出場。前線からの積極的なプレスと推進力を見せており、コンディションが整えば攻撃陣の重要なピースになり得る存在です。

堅守を土台に一歩ずつ前へ進むオルカ鴨川FCが、2026シーズンにどのような戦いを見せるのか、これからも注目していきます。