【試合レビュー】愛媛FCレディースが待望のホーム初勝利 川崎和奏の初ゴールとセットプレーでニッパツを下す|2026プレナスなでしこリーグ1部 第10節

試合レビュー

第9節終了時点で9位、ここまでホームゲームで勝利がなかった愛媛FCレディースが、2連勝中のニッパツ横浜FCシーガルズをスカイフィールド富郷に迎えた一戦。

試合は序盤から球際の強度が高く、両チームが前向きな姿勢を見せる展開となった。そのなかで愛媛は、前線からのハードワークとセットプレーの工夫を得点につなげる。13分に川崎和奏のゴールで先制すると、36分にはオウンゴールで追加点。後半に松尾由帆のゴールで1点差に迫られたが、87分に田上歩実が試合を決定づける3点目を奪い、3-1で勝利した。

愛媛にとっては、今季待望のホーム初勝利。上位をうかがうニッパツを相手に、強度で引かず、最後まで走り切った価値ある一勝となった。

この記事の要点

  • 愛媛は前線からの守備と中盤の球際でニッパツに押し負けず、試合の主導権を簡単には渡さなかった
  • 川崎和奏の先制点、セットプレーからの追加点、田上歩実の終盤弾と、愛媛は少ない好機を確実に得点へつなげた
  • ニッパツは室井胡心不在の影響もあり、前線の裏抜けとスピードを生かす攻撃の再現性に課題を残した

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第10節

愛媛FCレディースニッパツ横浜FCシーガルズ
31
13分 川崎 和奏
36分 オウンゴール
87分 田上 歩実
55分 松尾 由帆
会場スカイフィールド富郷
観客数332人

愛媛FCレディース

PosNo.氏名交代
GK21小松 里弥
DF16野口 珠里90+1▼
DF5西村 紀音 (Cap.)
DF24前田 花依
DF13丸山 ちさと90+1▼
MF19黒岩 沙羽
MF15榎谷 岬
MF32平塚 万貴
MF6兵頭 來良59▼
FW20川崎 和奏90+1▼
FW8深澤 里沙74▼
控え
GK33山内 れな
DF2松村 菜美90+1▲
DF25足立 寧々90+1▲
MF11小島 和希子
MF30田上 歩実74▲
FW18髙尾 真莉奈90+1▲
FW26桜井 由衣香59▲
監督: 長谷川 歩

ニッパツ横浜FCシーガルズ

ここまでチームトップの5得点を挙げていた室井胡心がメンバー外となった。2試合連続ゴール中だった得点源を欠いたことは、試合全体の攻撃構造にも少なからず影響した。

PosNo.氏名交代
GK21大久保 つくし
DF31俣野 佑果
DF17新井 純奈
DF4中居 未来 (Cap.)
DF25松尾 由帆90+1▼
MF11岡 百々花
MF5吉田 凪沙
MF14田村 かのん67▼
MF7浦島 里紗
FW22加田 菜67▼
FW32内田 光77▼
控え
GK1田中 翠
DF2本多 実夏子
DF15渋谷 巴菜77▲
MF9矢野 梨紗90+1▲
MF18松本 莉緒67▲
MF20村岡 由梨
MF27神立 美百合67▲
監督: 山本 絵美

試合展開

愛媛が球際で引かず、川崎和奏の初ゴールで先制

立ち上がりは、ホームの愛媛がピッチを広く使いながらボールを動かし、ニッパツは中盤と最終ラインの強度を生かして跳ね返す展開となった。ニッパツは奪ってから素早く前へ出る狙いを持っていたが、愛媛も球際で簡単には引かない。

13分、愛媛がその姿勢を得点につなげる。中盤の高い位置で激しいフィジカルコンタクトからボールを奪うと、ルーズボールを#20川崎和奏が拾って前進。#8深澤里沙がシュートに持ち込むと、ニッパツ守備陣がブロックしたこぼれ球を川崎が押し込んだ。

川崎にとっては、なでしこリーグ初ゴール。この一撃が、愛媛にとって大きな先制点となった。

ニッパツが反撃も、愛媛は受け身にならず追加点

先制を許したニッパツは、攻撃のギアを上げる。遠目からでも積極的にシュートを狙い、愛媛を押し込む時間を作った。

ただ、この日の愛媛は守勢に回るだけではなかった。ラインを必要以上に下げず、前線と中盤が連動して相手に圧力をかけ続ける。両チームのシュートがクロスバーを叩く場面もあり、試合は一進一退の様相を強めていった。

そのなかで、次の得点も愛媛に生まれる。36分、変化をつけたセットプレーから#19黒岩沙羽が低いクロスを入れると、#8深澤里沙がゴール前へ飛び込む。ニッパツはGKが片手で弾いたボールを、DFがクリアしようとしたが、処理が乱れてオウンゴールとなった。

愛媛は流れのなかだけでなく、セットプレーでも相手の守備を動かし、追加点を奪った。

松尾由帆の一撃でニッパツが反撃

2点を追うニッパツは、前半終盤から左サイドバックの#25松尾由帆が積極的に高い位置を取るようになる。サイドから攻撃に厚みを作り、愛媛の守備ラインを押し下げようとした。

前半は愛媛が2-0で折り返したが、後半に入ってもニッパツは前への姿勢を弱めない。両サイドバックがリスクを負って攻撃参加し、愛媛ゴールに迫る時間を増やしていく。

55分、その姿勢が実る。愛媛が辛抱強くはじき返していたこぼれ球を松尾が拾うと、1人をかわして右足でシュート。これが決まり、ニッパツが1点差に迫った。

前半から攻撃参加で存在感を示していた松尾の得点により、試合は再び分からない展開となった。

終盤、田上歩実が勝利を決定づける

1点差となった後は、ニッパツが同点、さらには逆転を狙って前へ出る。愛媛はその圧力を受け止めながら、カウンターとセットプレーで追加点を狙った。

流れとしてはニッパツに勢いがあったが、愛媛は最後の局面で粘り強く対応する。前線の選手も中盤まで戻り、ボランチと最終ラインが身体を張って守ることで、ニッパツに決定的な形を連続して作らせなかった。

そして87分、愛媛が再びセットプレーから試合を動かす。変化をつけたコーナーキックからゴール前に圧力をかけると、最後は途中出場の#30田上歩実が押し込んで3点目。ニッパツを再び2点差に突き放した。

試合はそのまま3-1で終了。愛媛がホームで待望の今季初勝利を挙げた。

総括

目まぐるしく流れが変わる、見応えのある一戦だった。

ニッパツは中盤の強度やサイドバックの攻撃参加で押し込む時間を作ったが、愛媛はその圧力に屈しなかった。前線からの守備、中盤の球際、最終ラインとGKの粘りが連動し、上位を狙う相手に対して堂々と渡り合った。

特に大きかったのは、愛媛が「守って耐える」だけの試合にしなかったことだ。先制点は高い位置でのボール奪取から生まれ、追加点と3点目はセットプレーの工夫から生まれた。相手よりシュート数が少なくても、勝負どころで得点につなげる集中力があった。

愛媛にとっては、前節のヴィアマテラス宮崎戦で見せたハードワークが、この試合で結果として実を結んだ形だ。内容面でも、結果面でも、今後につながる勝利だった。

愛媛FCレディース

愛媛は、チーム全体のハードワークが際立った。

前線では川崎和奏と深澤里沙が攻守に存在感を示した。川崎は先制点だけでなく、スピードとキープ力を生かして相手守備に圧力をかけ続けた。深澤もピッチの至る所で身体を張り、得点場面につながる動きで相手守備を動かした。

中盤では平塚万貴の働きが大きかった。ニッパツの強度に対して引かずに戦い、ボールを奪った後は前線やサイドへ展開。愛媛が押し込まれるだけの展開にならなかった要因のひとつだった。

守備面では、丸山ちさとが自陣左サイドで落ち着いた対応を見せた。ポジショニングと読みでニッパツの攻撃を遅らせ、後半の苦しい時間帯には攻撃参加でもチームを押し上げた。

さらに、途中出場の田上歩実が終盤に結果を出したことも大きい。チームとしてセットプレーから2点を奪えた点は、今後の武器としても好材料だ。

この試合の愛媛は、強度の高い相手に対して真正面から戦い、セットプレーで変化をつけ、勝負どころを逃さなかった。ホーム初勝利にふさわしい内容だった。

ニッパツ横浜FCシーガルズ

ニッパツは、室井胡心不在の影響を感じる試合となった。

今季のニッパツは、中盤の強度を土台に、前後のワンツーや連動した動きで相手守備を揺さぶり、背後へ抜け出す形を得点パターンのひとつとしてきた。そのなかで、スピードと得点力を持つ室井の存在は大きかった。

この試合では、その背後を取る迫力がやや薄れた印象がある。松尾由帆の攻撃参加や中盤の押し上げ、後方からのパワーを使った攻撃はあったものの、愛媛の守備を継続的に崩し切るところまでは届かなかった。

それでも、中盤の強度やサイドバックの積極性は健在だった。後半に1点を返してからの勢いもあり、チームとしてのベースが崩れたわけではない。

一方で、主力の得点源を欠いたときに、どのように異なる攻撃パターンでゴールに迫るか。この敗戦は、その課題を浮き彫りにした試合でもあった。

順位表

第10節の全試合終了待ち

次節に向けて

次節、愛媛FCレディースは、スフィーダ世田谷FCとのアウェー戦に臨む。今節のように前線からハードワークを続け、セットプレーを含めた勝負どころで得点を奪えるか。ホーム初勝利の勢いを、中位浮上への流れにつなげたい。

ニッパツ横浜FCシーガルズは、ホームにASハリマアルビオンを迎える。連勝は止まったが、チームの強度や攻撃参加の姿勢は失われていない。得点源不在時の攻撃パターンという課題をどう修正するかが、次節のポイントになる。

リソース

フルマッチLIVE配信

第10節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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