開幕から2節連続の引き分けで堅守が光るも得点が欲しい伊賀FCくノ一三重と、2連勝15得点と攻撃力が爆発して現在首位の静岡SSUボニータとの一戦。
試合は堅い守りと鋭い攻撃がぶつかり合う、見ごたえのある90分となった。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第3節全試合ハイライト動画
公式記録

注目ポイント
- 昨季2位でリーグ屈指の堅守を誇った伊賀FCくノ一三重を相手に、開幕2連勝中の静岡SSUボニータが3連勝を狙う
- 開幕から2試合連続ドローの伊賀が、抜群の攻撃力を持つ静岡を相手に今季初勝利を目指す
試合情報
| 伊賀FCくノ一三重 | 静岡SSUボニータ |
|---|---|
| 0 | 0 |
| 会場 | 上野運動公園競技場(三重県) |
| 観客数 | 401人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
伊賀FCくノ一三重
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 16 | 小野 未織 | |
| DF | 5 | 常田 菜那 | |
| DF | 3 | 秦 美結 | |
| DF | 26 | 清 悠香 | |
| MF | 14 | 増田 玲那 | |
| MF | 6 | 常田 麻友 (Cap.) | |
| MF | 7 | 渡邊 凜 | |
| MF | 8 | 島野 美央 | 84▼ |
| MF | 24 | 唐沢 芽依 | 62▼ |
| FW | 11 | 児野 楓香 | HT▼ |
| FW | 10 | 平田 ひなの | 75▼ |
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
| GK | 21 | 合田 朱里 | |
| DF | 13 | 髙山 菜々香 | |
| DF | 17 | 松久保 葵子 | |
| MF | 9 | 桂 亜依 | HT▲ |
| MF | 15 | 竹島 加奈子 | 62▲ |
| MF | 23 | 米澤 心花 | 84▲ |
| FW | 22 | 松田 吏真 | 75▲ |
| 監督: 永井 良明 | |||
静岡SSUボニータ
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 21 | 田谷 春海 | |
| DF | 3 | 彦坂 桃花 | |
| DF | 4 | 青葉 結衣 | |
| DF | 5 | 服部 花音 | |
| DF | 17 | 櫻田 彩乃 | 58▼ |
| DF | 22 | 上西 可奈子 | |
| MF | 7 | 高島 絢音 | |
| MF | 8 | 三輪 玲奈 | |
| MF | 9 | 中島 咲友菜 | |
| MF | 15 | 岸野 早奈 | HT▼ |
| FW | 10 | 横山 久美 (Cap.) | |
| GK | 1 | 水口 茉優 | |
| DF | 2 | 白井 未来 | |
| MF | 6 | 万力 安純 | HT▲ |
| MF | 11 | 大曽根 由乃 | 58▲ |
| MF | 14 | 渡邉 琉那 | |
| MF | 19 | 曽我 来未 | |
| MF | 23 | 山本 香月 | |
| 監督: 本田 美登里 | |||
試合展開
立ち上がりは伊賀の強度が静岡を苦しめる
昨季上位陣との対戦は今季初となる静岡にとって、伊賀は開幕2試合までとは性質の異なる相手だった。序盤はその伊賀が鋭い出足のプレスとカウンターで主導権を握る。前半10分頃までは、伊賀の前線と中盤の圧力が静岡に自由を与えず、特に#11児野楓香のプレスバックは印象的だった。
静岡が押し返すも、伊賀の速い切り替えが脅威に
その後は、伊賀の強度に慣れてきた静岡が中盤でのプレスを徐々に機能させ、ボール保持の時間を伸ばしていく。#10横山久美は単独突破から積極的にフィニッシュへ持ち込み、存在感を放った。もっとも、伊賀も静岡の前線守備を警戒し、スローインやゴールキックの再開を速めながら、低い位置の選手が細かく立ち位置を変えてパスコースを確保。そこからシンプルに前へ運び、#7渡邊凜や#14増田玲那がサイドを押し上げ、#10平田ひなのが背後を狙う形を見せた。
20分を過ぎると、伊賀は縦パスをより強く意識して流れを引き戻す。静岡は横山の個人技を起点に攻め込むものの、最後の精度を欠き、枠内に持ち込めない。
前半終盤は互いに決定機、スコアは動かず
31分、静岡は#9中島咲友菜がハーフウェーライン付近でボールを奪い、そのままドリブルで一気に前進。決定機になりかけた場面で#10横山へ預けたが、伊賀の守備陣が素早く帰陣し、横山のシュートはブロックされた。こぼれ球を拾った伊賀は、今度は#10平田ひなのが一気に持ち上がり、最後は#11児野のクロスで終える。攻守の切り替えの速さがよく表れた場面だった。映像を見る限りでは、静岡#9中島自身が打つ選択肢もあったように見えた。
35分には静岡が中盤で激しく奪ってサイドバックも攻撃参加。最後は#7高島絢音がやや角度のない位置からシュートを放つが、枠を捉えられない。
38分、伊賀はカウンターから得たCKで好機を迎える。ゴール前のこぼれ球に児野楓香が踵で合わせたが、静岡GK#21田谷春海がしっかりと反応し、先制点を許さなかった。
42分には静岡がカウンターから#8三輪玲奈が頭で合わせるも、シュートはGK正面。
伊賀は#5常田菜那が静岡FWへの縦パスに対して積極的にチャレンジし、攻撃のスイッチを入れさせない。前半終了間際にも#10横山が3人を相手にしながらシュートを放つが、これもGK正面だった。
前半を通して感じたのは、静岡が自陣で守る時間の長さである。それだけ伊賀のカウンターは鋭く、守備も整理されていた。開幕からの2試合で一方的な展開を見せてきた静岡が、ここまで相手の強度にさらされたこと自体が、この試合の興味深さだった。
後半も拮抗、伊賀のカウンターと静岡の圧力が続く
後半も一進一退の攻防が続く。静岡がコーナーキックから圧力を強めれば、耐えた伊賀はゴールキックから一気に前進し、波状攻撃を仕掛ける。再三の縦パスを#14増田玲那がフリックし、#24唐沢芽依が抜け出した場面では、静岡の#3彦坂桃花が粘り強く追走してシュートコースを消した。#24唐沢はクロスを選び、最後は#7渡邊凜が左足で合わせたが、シュートは上へ外れた。
静岡の連続決定機を伊賀守備陣がしのぐ
70分、静岡は大きな決定機を迎える。左サイドで#5服部花音が相手をかわして前進し、#10横山へ預ける。横山は間髪入れずにペナルティエリア内へスルーパスを通し、走り込んだ#11大曽根由乃がワンタッチで合わせたが、シュートはGK正面に飛んだ。
79分にも静岡。カウンターから素早く前進し、オーバーラップでペナルティエリア内に入った#22上西可奈子へ横山がスルーパス。上西の狙い澄ましたシュートに対し、伊賀GK#16小野未織がビッグセーブで応えた。
終盤のゴール取り消しと猛攻、最後まで均衡破れず
そして83分、静岡にゴールが生まれたかに見えた。伊賀GK小野のトラップが乱れたところへ横山が猛然とプレスをかけ、蹴り出したボールが横山に当たってそのままゴールイン。しかし判定はノーゴール。映像だけでは理由を断定しづらいが、静岡側が強く抗議する場面もあった。
終盤、静岡は最後の猛攻を仕掛け、縦に速く伊賀ゴールへ迫る。それでも伊賀はゴール前で身体を張って耐える。最終盤には伊賀もサイドをえぐって反撃に出たが、最後のシュートまではつながらなかった。
“最強の矛”と“堅牢な盾”の対決は、0-0のスコアレスドローで幕を閉じた。公式記録でも、静岡14本、伊賀4本というシュート数が、この試合の構図をよく示している。
総括
やはり印象に残ったのは、強力な攻撃力を持つ静岡を相手に、伊賀がそれを大きく崩されずに受け止めながら、鋭いカウンターで何度も応戦したことだ。
伊賀は低い位置で無理にボールを保持せず、中盤と前線がよく走る。かつ最終ラインと前線が連動し続けることでコンパクトな陣形を保ち、攻守の切り替えも非常に速かった。攻守における選手間の距離感が整理されているからこそ、静岡の前線に対しても簡単には背後を使わせなかったのだろう。
また、低い位置でのポゼッションにこだわらない一方で、中盤から前線では狭い局面でのパス交換もできる。そこから縦パスを狙う意識も明確で、低い位置ではリスクを抑え、中盤以降で勝負するというチームとしての整理がうかがえた。
単純な走力や運動量だけを見ても、伊賀はリーグ屈指の強度を備えているように映る。筆者は開幕節のオルカ鴨川FC戦を現地観戦しているが、その時と比べても選手間の距離感や守備強度はさらに高まっている印象を受けた。
一方の静岡は、今季初の引き分けかつ無得点に終わった。伊賀のサイド攻撃と中盤の厚いプレスにより、三輪玲奈と中島咲友菜が守備対応に追われ、開幕2試合のような攻撃面での存在感を出し切れなかった。それでも、やはり際立っていたのは横山久美である。テクニック、フィジカル、判断、そして推進力。どれを取ってもリーグ屈指であり、静岡の決定機の多くに横山が関わっていた。相手にとっては対策しても抑え切るのが難しい、極めて危険な存在だとあらためて感じさせられた。
伊賀FCくノ一三重 公式マッチレポート

静岡SSUボニータ 公式マッチレポート(X)
順位表
第3節を終えて、静岡SSUボニータは開幕節から首位をキープ。一方で伊賀FCくノ一三重は開幕3節すべて引き分けで9位となった。
| 順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡SSUボニータ | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 15 | 1 | 14 |
| 2 | ヴィアマテラス宮崎 | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 6 | 2 | 4 |
| 3 | 岡山湯郷Belle | 6 | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 5 | 0 |
| 4 | ASハリマアルビオン | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 2 | 1 |
| 5 | スフィーダ世田谷FC | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 7 | 0 |
| 6 | オルカ鴨川FC | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 0 |
| 7 | 愛媛FCレディース | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 8 | -1 |
| 8 | 日体大SMG横浜 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 11 | -8 |
| 9 | 伊賀FCくノ一三重 | 3 | 3 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| 10 | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 3 | 3 | 1 | 0 | 2 | 4 | 6 | -2 |
| 11 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 5 | 6 | -1 |
| 12 | VONDS市原FCレディース | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 1 | 8 | -7 |
伊賀FCくノ一三重はヴィアマテラス宮崎とのアウェー戦、静岡SSUボニータはホームでASハリマアルビオンと対戦する。次節も、伊賀の堅守速攻と静岡の攻撃力がどのように表れるか注目したい。
