開幕節で静岡SSUボニータに6失点で敗れたものの、第2節のASハリマアルビオン戦を1-1で終え、持ち直しの兆しを見せていたスフィーダ世田谷FC。対する岡山湯郷Belleは、開幕2連勝かつ無失点と好調を維持してこの一戦に臨んだ。
結果は、スフィーダ世田谷FCが岡山湯郷Belleに5-0で快勝。世田谷がハイプレスと縦に速い攻撃で湯郷の持ち味を封じ、ホームで今季初勝利を挙げた。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第3節全試合ハイライト動画
公式記録

注目ポイント
- スフィーダ世田谷FCは、開幕節の大量失点から立て直しを進める中で今季初勝利をつかめるか
- 岡山湯郷Belleは、得意のビルドアップを武器に開幕3連勝を達成できるか
試合情報
| スフィーダ世田谷FC | 岡山湯郷Belle |
|---|---|
| 5 | 0 |
| 26分 堀江 美月 46分 荒川 結乃花 66分 内田 美鈴 69分 堀江 美月 75分 内田 美鈴 |
| 会場 | 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場(東京都) |
| 観客数 | 1,010人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
世田谷、湯郷ともに、ここまで得点を重ねていた内田美鈴、国吉花吏埜が今節も先発した。
スフィーダ世田谷FC
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 大塚 美緒 | |
| DF | 2 | 根本 彩夏 | 87▼ |
| DF | 6 | 黒川 愛奈 | |
| DF | 7 | 渡邊 那奈 | |
| DF | 15 | 篠原 沙耶 | |
| MF | 13 | 内田 美鈴 | 79▼ |
| MF | 10 | 田口 茉亜紗 | 79▼ |
| MF | 3 | 柏原 美羽 (Cap.) | |
| FW | 8 | 加藤 沙彩 | HT▼ |
| FW | 9 | 堀江 美月 | |
| FW | 16 | 北川 心子 | 79▼ |
| 控え | |||
| GK | 21 | 石川 愛紘 | |
| DF | 4 | 小泉 柚紀 | |
| DF | 5 | 宇内 彩来 | 87▲ |
| DF | 23 | 荒川 結乃花 | HT▲ |
| MF | 18 | 佐藤 李那 | 79▲ |
| MF | 20 | 石浦 和歌 | 79▲ |
| FW | 11 | 粟田 桃子 | 79▲ |
| 監督: 濱田 堯 | |||
岡山湯郷Belle
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 34 | 三田 一紗代 (Cap.) | |
| DF | 19 | 沖田 有由 | 64▼ |
| DF | 4 | 今野 瞳 | 82▼ |
| DF | 14 | 塩谷 瑠南 | |
| DF | 10 | 中野 琴音 | |
| MF | 7 | 山下 沙耶香 | |
| MF | 2 | 森 宙舞 | |
| MF | 17 | 新谷 楓華 | |
| MF | 30 | 松崎 こころ | HT▼ |
| FW | 23 | 国吉 花吏埜 | HT▼ |
| FW | 21 | 寺尾 星奈 | 64▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 福元 美穂 | |
| DF | 20 | 岸波 優妃 | 64▲ |
| DF | 29 | 藤本 日菜 | 82▲ |
| MF | 3 | 梶山 朋恵 | 64▲ |
| MF | 15 | 山本 早織 | HT▲ |
| MF | 25 | 香椎 彩香 | HT▲ |
| 監督: 和多田 充寿 | |||
試合展開
序盤は拮抗も、次第に世田谷が主導権
立ち上がりは互いに主導権を探る展開だった。世田谷は後方からのロングボールでサイドや前線の背後を狙い、湯郷はショートパスを主体にボールを動かす。世田谷も今季からビルドアップに取り組んでいる印象はあるが、この日はそれ以上にシンプルな縦パスと前進の速さが際立っていた。
時間の経過とともに、世田谷が試合の主導権を握る。エースの#13内田美鈴、#9堀江美月だけでなく、#8加藤沙彩も右サイドから積極的に仕掛け、クロスやシュートで存在感を見せた。特に堀江の高さは効果的で、湯郷のゴールキックへの対応や、自陣からの前進時の起点として大きな役割を果たしていた。
湯郷のビルドアップを世田谷の圧力が制限
15分ごろから、湯郷はGKを含めた低い位置からのビルドアップを狙うが、ここに世田谷のプレスが鋭く刺さる。おそらく湯郷としては、序盤に押し込まれた流れを自分たちの形で引き戻したかったのだろう。しかし、GKからの配球を受ける選手の立ち位置や動き直しが少なく、世田谷にとって狙いどころがはっきりしていたように見えた。
26分、試合の均衡が破れる。湯郷のビルドアップ局面で、DFがパスコースを探る間に#9堀江美月がプレッシャーをかけてボールを奪取。GKの位置を確認し、そのまま右足で冷静に蹴りこんだ。これで世田谷が1-0と先制した。
その後も世田谷は縦に速い攻撃を続け、湯郷は自陣での対応に追われる。湯郷は#23国吉花吏埜、#21寺尾星奈も守備に戻って奮闘したが、その分だけ前線が空洞化し、奪ってからの攻撃につなげにくかった。
前半終盤の決定機を逃した湯郷、後半開始早々に世田谷の追加点
前半終盤、守勢が続いていた湯郷にもチャンスが訪れる。45分、コーナーキックから♯23国吉花吏埜がヘディングで合わせたが、惜しくもゴール右へ外れた。結果的に、これが前半の中で最も惜しい場面のひとつだった。
後半開始時、湯郷は前線を2枚替えし、システムも4-4-2から3-5-2へ変更。中盤の枚数を増やし、自分たちのペースを取り戻そうとした。対する世田谷も#8加藤沙彩に代えて#23荒川結乃花を投入し、前線の推進力を維持する選択をする。
すると46分、その荒川がいきなり結果を残す。左サイドでの崩しから#15篠原沙耶のクロスに荒川がヘディングで合わせ、2-0。サイドでの連携から生まれた見事な追加点だった。今季初出場の荒川が、起用に応える今季初ゴールを決めた。
追いつきたい湯郷は出鼻をくじかれてしまう形となった。
世田谷が得意の形を押し出し、一気に突き放す
2点差となって以降も、世田谷の優位は揺るがなかった。奪えば速く前へ出る。押し込まれた湯郷は、サイドや中盤から前線を追い越す動きが減り、FW陣へのサポートも乏しくなる。結果として、ビルドアップ志向は見せつつも、前進の質と厚みを欠く時間が続いた。
66分には#13内田美鈴が3試合連続ゴールを記録。湯郷のゴールキックを#6黒川愛奈が競り返し、そのこぼれをゴールから遠い位置で内田が左足で振り抜いて3-0とした。
これは内田が巧かった。湯郷の中盤とDFが寄せに来る前に素早く振りぬいた。
69分には、世田谷がさらに追加点。コーナーキックをファーサイドにいた#9堀江美月が頭で合わせて4-0。堀江はこの日2点目。見事なヘディングシュートだった。
1点を返したい湯郷は前がかりになり、最終ラインも高く保つようになる。
その結果生まれた背後のスペースを、世田谷が鋭く突いた。#16北川心子が持ち上がって前進し、最後は#9堀江美月がヘディングシュート。GKはこれを抑えきれず、こぼれ球を#13内田美鈴がスライディングで押し込んで5-0。内田はこの日2点目となった。
北川の推進力、堀江の高さ、内田の反応速度が凝縮されたゴールだった。
なおも攻める世田谷。自陣のゴールキックからダイレクトプレーで前進すると、前線に飛び出した#13内田美鈴が外に開き、#16北川心子が粘ってクロスを送る。そこに#9堀江美月が頭で合わせたが、シュートは惜しくもゴール左へ外れた。
堀江には湯郷のDFがしっかり対応していたものの、それでも競り勝ってフィニッシュまで持ち込むあたりに、堀江の高さと強さが表れていた。世田谷が試合終盤に入っても、内田、北川、堀江を軸に鋭い攻撃を繰り出していたことが分かる場面だった。
終盤も世田谷は運動量と強度を落とさず、79分には3枚替えで試合を締めにいく。一方の湯郷も最後まで1点を狙い、コーナーキックから中野琴音がヘディングでクロスバーを叩く場面を作ったが、得点は奪えない。
最終的に、世田谷が5-0で完勝した。シュート数は世田谷18本、湯郷3本で、スコアだけでなく内容面でも世田谷が上回った試合だった。世田谷はホームで今季初勝利を飾った。
総括
この試合は、相手の強みを消しながら、自分たちの勝ち筋を明確に押し出したスフィーダ世田谷FCと、最後まで自分たちの志向するビルドアップに活路を見いだそうとした岡山湯郷Belleの対比が際立った一戦だった。
世田谷は、開幕節の大敗を受けて現実的な戦い方へ舵を切ったように映る。ビルドアップへの取り組みを完全に捨てたわけではないが、この日はそれ以上に、前線への素早い配球、ハイプレス、切り替えの速さといった、相手に嫌がられる要素を前面に出した。その整理がはっきりしており、開幕節からの立て直しとしては非常に説得力のある内容だった。
一方の湯郷は、開幕2試合で機能していたビルドアップが、この日は世田谷の圧力の前に思うように形にならなかった。もちろん、スタイルを継続して磨くこと自体は重要である。ただ、この試合に限って言えば、相手の圧力を受けた際の逃がし方や、よりシンプルに前進する選択肢がもう少しあってもよかったように見える。
ビルドアップを軸とするチームにとって、相手のプレス強度が高い試合でどう振る舞うかは今後も大きなテーマになるだろう。その意味でも、この一戦は世田谷の修正力と湯郷の課題の両方が見えた、示唆の多い90分だった。
同じ第3節では、昨季王者の朝日インテック・ラブリッジ名古屋が愛媛FCレディースのプレスと縦に速い攻撃に苦しみ、4-5で敗れる試合もあった。
もちろん数試合だけで一般化はできないが、直近の結果を見る限り、ビルドアップを軸にするチームが組織的に強いプレッシャーを受けた際に、試合を難しくするケースは少なくないように映る。今後は、自分たちのスタイルを継続しながらも、相手や展開に応じた別の戦い方を備えられるかが問われていくだろう。
スフィーダ世田谷FC 公式マッチレポート(Instagram)
岡山湯郷Belle 公式マッチレポート
順位表
第3節を終えて、スフィーダ世田谷FCは5位、岡山湯郷Belleは3位となっている。
| 順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡SSUボニータ | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 15 | 1 | 14 |
| 2 | ヴィアマテラス宮崎 | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 6 | 2 | 4 |
| 3 | 岡山湯郷Belle | 6 | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 5 | 0 |
| 4 | ASハリマアルビオン | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 2 | 1 |
| 5 | スフィーダ世田谷FC | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 7 | 0 |
| 6 | オルカ鴨川FC | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 0 |
| 7 | 愛媛FCレディース | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 8 | -1 |
| 8 | 日体大SMG横浜 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 11 | -8 |
| 9 | 伊賀FCくノ一三重 | 3 | 3 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| 10 | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 3 | 3 | 1 | 0 | 2 | 4 | 6 | -2 |
| 11 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 5 | 6 | -1 |
| 12 | VONDS市原FCレディース | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 1 | 8 | -7 |
次節、スフィーダ世田谷FCはアウェーでニッパツ横浜FCシーガルズと対戦。岡山湯郷Belleはホームで愛媛FCレディースを迎える。
世田谷には、この試合で見せた整理された戦い方を継続し、連勝につなげられるかを期待したい。湯郷は、自分たちの志向を保ちながらも、相手に応じた戦い方の幅をどう持たせるか。その修正力が次節の注目点になりそうだ。

