【試合レビュー】オルカ鴨川FCは終盤被弾で痛恨ドロー 齊藤桃花のリーグ初得点も岡山湯郷Belleと勝点1を分け合う|2026プレナスなでしこリーグ1部 第5節

試合レビュー

前節で日体大SMG横浜に4-0で快勝したオルカ鴨川FCは、第5節で岡山湯郷Belleとホームで対戦した。試合はオルカが前線からの守備と中盤の強度で主導権を握り、77分に齊藤桃花のリーグ初ゴールで先制する。しかし、後半アディショナルタイムに追いつかれ、勝利は目前ですり抜けた。内容では上回りながらも勝ち切れなかった悔しい一戦をレビューします。

注目ポイント

  • オルカ鴨川FCは、前節の日体大SMG横浜戦に続くホーム連勝で上位を維持できるか
  • 岡山湯郷Belleは、暫定4位から暫定3位のオルカ鴨川FCを捉え、順位を押し上げられるか

試合情報

オルカ鴨川FC岡山湯郷Belle
11
77分 齊藤 桃花90+2分 中野 琴音
会場ワタレイスタジアム(鴨川市陸上競技場)(千葉県)
観客数597人

スターティングラインナップ・登録メンバー

オルカ鴨川FC

ルーキーの#29 中西茉里奈がなでしこリーグ初先発。前節に負傷交代した#20 上田麻莉はメンバー外となった。

PosNo.氏名交代
GK1米澤 萌香
DF23安東 美那
DF4松尾 菜月
DF3月東 優季乃
DF29中西 茉里奈
MF7並木 千夏 (Cap.)56▼
MF5浅野 綾花
MF25齊藤 桃花
MF14蔵田 あかり
FW22北村 ほのか78▼
FW19太田 凪砂
控え
GK26力丸 里保
DF2吉田 紫穂
DF17越路 萌永
MF13浅坂 真桜
MF28田中 陽世里
MF24江藤 里桜奈56▲
FW27今田 紗良78▲
監督: 石田 学

岡山湯郷Belle

PosNo.氏名交代
GK34三田 一紗代 (Cap.)
DF20岸波 優妃
DF18村上 夏奈瀬60▼
DF14塩谷 瑠南
DF10中野 琴音
MF7山下 沙耶香79▼
MF17新谷 楓華
MF30松崎 こころ65▼
MF24岸波 美采
FW23国吉 花吏埜79▼
FW21寺尾 星奈60▼
控え
GK1福元 美穂
DF2森 宙舞65▲
MF3梶山 朋恵79▲
MF19沖田 有由60▲
MF25香椎 彩香60▲
MF28雪山 琴未79▲
監督: 和多田 充寿

試合展開

立ち上がりから前半 オルカが前線からの連動した守備で主導権

ビルドアップを志向する湯郷に対し、オルカは#19太田凪砂と#22北村ほのかの2トップに加え、サイドの#14蔵田あかり、#7並木千夏、さらに中盤の#5浅野綾花、#25齊藤桃花が連動して前線から圧力をかけた。狙いは明確で、湯郷が得意とするビルドアップで自由に組み立てさせず、高い位置でボールを奪ってそのままチャンスにつなげることにあった。

前節の日体大SMG横浜戦でも、オルカはビルドアップ型の相手に対して同様のアプローチを見せていた。この試合でもその再現を狙った形だ。爆発的なスピードで一気に追い込むタイプの前線ではないものの、連動性と立ち位置の整理によって、湯郷に「持てるが進めない」感覚を与えていたように見えた。

中盤と最終ラインの構成も、オルカの方が整理されていた。#4松尾菜月と#3月東優季乃を軸とした最終ラインは安定しており、相手に前向きでプレーさせる場面を極力つくらない。とりわけ松尾は対人対応・ハイボールの競り合いとカバーリングに加え、ロングフィードでも存在感を示し、守備から攻撃への切り替えの起点になっていた。

また、前線では#19太田凪砂の存在感が際立った。最前線にとどまるのではなく、中盤まで下りてボールを引き出し、守備でもプレスバックを繰り返す。上下動の多さとフィジカルを活かし、攻守両面で前線の基準点となっていた。湯郷はこの太田の動きを最後まで捕まえきれず、オルカに中盤で優位を作られる要因となった。

一方で、湯郷も全く組み立てられなかったわけではない。オルカの前線守備は強度一辺倒ではなく、一定の時間は最終ラインからボールを動かすことができていた。ただし、その先で中盤を経由して前進する局面では制約が多く、思うようにテンポを上げられなかった。ビルドアップが窮屈になる中、湯郷はロングボールも交えたが、この日はオルカ守備陣を大きく慌てさせるには至らなかった。

前半はオルカが主導権を握る時間が長かったものの、ゴールは生まれず0-0で折り返す。湯郷は前半終了間際の#23国吉花吏埜の鋭いミドルなど、限られた場面でゴールを脅かしたが、全体としてはオルカ優勢の45分だった。

後半序盤 押し込みながらも先制点が遠い展開

後半に入っても、試合の流れそのものは大きく変わらなかった。オルカが高い位置から圧力をかけ、湯郷の前進を制限しながら主導権を握る展開が続く。

ただ、51分にはオルカにヒヤリとする場面もあった。バックパスを奪われた湯郷がショートカウンターを発動し、ゴール前で混戦に持ち込む。ここでは#3月東優季乃が、#1米澤萌香でも届かない位置のボールに身体を張って対応し、失点を防いだ。押している時間帯のワンプレーだっただけに、この守備は非常に大きかった。

この試合を通して相手の脅威となり続けたのは、#19太田凪砂、#14蔵田あかり、#25齊藤桃花の3人だった。
太田はルーキーながら開幕から先発を続け、フィジカルと運動量で前線を支えるだけでなく、足元の技術でも貢献。
蔵田はスピードとドリブル突破で左サイドを何度もえぐり、湯郷の守備陣に継続的な負荷をかけた。
そして齊藤は、ボランチとしての働きが非常に印象的だった。もともとは一列前のイメージが強い選手だが、この日は相手の嫌なタイミングでボールに出ていき、配球し、さらにはゴール前にも顔を出すなど、攻守両面で存在感を発揮していた。

オルカの石田監督は、押し込みながらも得点が生まれない状況を受けて、#7並木千夏に代えて#24江藤里桜奈を投入。スピードと推進力を持つ選手を入れ、前線の活性化を図った。

77分 狙い通りの高い位置での奪取からオルカ齊藤桃花が先制ゴール

そして77分、ついに試合が動く。
#19太田凪砂のインターセプトから、#14蔵田あかりが一気に運び、中央へ折り返す。そこでフリーになった齊藤が冷静に左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。齊藤桃花にとっては、なでしこリーグ初ゴール。試合内容に見合った、オルカ待望の先制点だった。
湯郷の低い位置からのビルドアップに対し、オルカが高い位置で圧力をかける。オルカがこの試合を通じて狙い続けていた、高い位置で奪って一気に仕留める形が、そのまま得点につながった。

さらにオルカは、途中出場の#27今田紗良のポストプレーから#19太田凪砂が抜け出してシュートを放つなど、追加点の気配も漂わせた。流れだけを見れば、このまま押し切っても不思議ではない展開だった。

終盤 湯郷の反撃と、土壇場の失点

しかし、ここから湯郷が反撃に出る。ラインを押し上げ、中盤で丁寧につなぐよりも、前線へ早くボールを届ける形を増やしていった。オルカはそれに対応する中で、徐々に自陣に押し下げられていく。

オルカとしては、1点を守り切るために耐える時間帯だった。だが、後半アディショナルタイムに入った90+2分、湯郷が同点に追いつく。シュートが相手に当たってコースが変わり、#1米澤萌香の手足が届かない位置へ飛んだ。米澤は本来のシュートコースを見切って反応していたが、この場面はノーチャンス。湯郷としては幸運、オルカとしては不運な形で同点ゴールとなり、試合は1-1で終了した。

試合はこのまま1-1で終了。内容では優位に進めながら、最後に勝ち点2を取りこぼす結果となった。

オルカ鴨川FC 内容面では上回るも、仕留め切れなかった痛恨のドロー

オルカ鴨川FCは、試合の大半で主導権を握った。前線からの連動した守備で湯郷のビルドアップを制限し、自分たちの守備から攻撃への流れもスムーズだった。
だからこそ、終盤に追いつかれたこの引き分けは痛い。内容を踏まえれば、複数得点で試合を決めていても不思議ではなかっただけに、勝ち点2を逃した悔しさの残るゲームだった。

もっとも、チームの上積みは随所に感じられた。
太田凪砂と北村ほのかの高さと強さのある前線、蔵田あかりと江藤里桜奈の推進力、並木千夏と浅野綾花のテクニックと運動量のある中盤、そして松尾菜月と月東優季乃を中心とした最終ライン。昨季と比べても、チームとしての厚みは増している印象だ。
初先発の中西茉里奈もフル出場し、スピードと対人対応で高いポテンシャルを示した。

課題を挙げるなら、やはり決定力と攻撃の仕上げだろう。良い形で押し込んだ時間帯に2点目、3点目を奪えていれば、結果は大きく違っていたはずだ。

岡山湯郷Belle 苦しみながらも勝ち点1を持ち帰った粘り

岡山湯郷Belleは、低い位置からのビルドアップと中盤での組み立てを、オルカの前からの守備に封じられる時間が長かった。自分たちのリズムでボールを動かす展開には持ち込みにくく、攻撃は単発になりがちだった。

守備面でも、オルカの前線に対して簡単ではない対応を強いられた。結果として、やや際どい止め方や苦しい対応が増え、常にリスクを抱えた試合運びになった印象がある。
それでも、終盤に割り切って前へボールを入れ続け、土壇場で追いついた勝負強さは評価できる。苦しい内容の中でも勝ち点1を拾ったことは、今後につながる可能性がある。

この試合が示したもの

この試合では、ビルドアップを志向するチームが、前から強く制限されたときにどう打開するかというテーマも浮かび上がった。
湯郷は自分たちの良さを出し切れず、オルカの狙いの中でプレーさせられる時間が長かった。一方で、これは湯郷だけの問題ではなく、今季のなでしこリーグ1部では、ビルドアップ型のチームが相手の研究と強度の高い守備に苦しむ場面が少なくない。こうした傾向は、リーグ全体のひとつの見どころにもなっている。

自分たちのスタイルを磨くことは重要だが、それを出させてもらえない展開でどう戦うかという「別解」もまた必要になる。その意味でも、この試合は勝敗以上に示唆の多い90分だった。

順位表

第5節を終えて、オルカ鴨川は3位、岡山湯郷Belleは4位となっている。

順位チーム名勝点試合数得点失点得失点
1静岡SSUボニータ13541021120
2ヴィアマテラス宮崎1153201055
3オルカ鴨川FC85221844
4岡山湯郷Belle85221660
5ニッパツ横浜FCシーガルズ7521289-1
6日体大SMG横浜75212716-9
7朝日インテック・ラブリッジ名古屋65131871
8伊賀FCくノ一三重65131550
9ASハリマアルビオン5512245-1
10愛媛FCレディース55122712-5
11スフィーダ世田谷FC451131012-2
12VONDS市原FCレディース05005214-12

次節、オルカ鴨川FCはアウェーで首位で破壊力抜群の静岡SSUボニータに挑む。岡山湯郷Belleは再びアウェーでASハリマアルビオンと対戦する。いずれも上位争い、あるいは浮上を占う上で重要な一戦だ。

オルカは、この試合で見せた前からの守備と主導権を握る戦いを継続しつつ、決定機を確実に仕留めたい。湯郷は、自分たちのスタイルを発揮できない時間帯に備えた別の選択肢を整理できるかがポイントになりそうだ。

リソース

フルマッチLIVE配信(Youtube)

第5節全試合ハイライト動画

Coming soon…

公式記録

日程・結果
タイトルとURLをコピーしました