2025プレナスなでしこリーグ1部第19節、オルカ鴨川FCは鴨川市陸上競技場に静岡SSUボニータを迎えた。
静岡は優勝の可能性こそ消えていたものの、リーグ屈指の得点力を誇る強豪。特に#9土屋佑津季選手、#10横山久美選手を軸とした前線の破壊力は、オルカにとって大きな脅威となる相手だった。
一方のオルカは、ホームでの連勝を狙う一戦。前節からチームに上積みを感じさせるなか、どこまで静岡の攻撃を抑え、勝ち点3につなげられるかが注目された。
試合は、後半66分に#11河野有希選手が待望の今季初ゴールを決め、オルカが先制。その後は静岡の猛攻をチーム全体でしのぎ切り、1-0で勝利した。現地観戦した試合を、オルカ鴨川FC目線で振り返ります。
要約
オルカ鴨川FCはホームの鴨川市陸上競技場で、強豪・静岡SSUボニータと対戦した。
前半はオルカが高い強度で試合に入り、#10アルマ・デービス選手、#11河野有希選手を中心にゴールへ迫る展開を作った。静岡も#9土屋佑津季選手、#10横山久美選手の2トップを軸に鋭いカウンターを見せたが、オルカ守備陣が集中して対応し、前半は0-0で折り返した。
後半に入ると静岡が前への圧力を強めたが、オルカは58分に#23安東美那選手、#13浅坂真桜選手を投入。さらに#11河野有希選手を前線に移したことで、スピードを生かす形が生まれる。
66分、相手のミスを逃さなかった#23安東美那選手が浮き球のパスを送り、抜け出した#11河野有希選手が冷静に右足で決めて先制。河野選手にとって待望の今季初ゴールとなった。
その後は静岡がセットプレーやロングスローを交えて猛攻を仕掛けたが、GK#1田谷春海選手を中心にオルカ守備陣が最後まで集中。1点を守り切ったオルカが、ホームゲーム2連勝を飾った。
注目ポイント
- 百武監督の采配が的中
- 後半途中から#11河野有希選手を前線に移し、スピードを生かす形に修正した采配が先制点につながった。交代出場の#23安東美那選手がアシストに絡んだ点も含め、ベンチワークが勝敗を分ける大きな要素となった。
- 松本はな選手の存在感
- #18松本はな選手は、中盤での空中戦と球際で大きな存在感を発揮した。静岡の強力な前線に簡単にボールを入れさせず、入ったとしても素早く潰す対応が目立った。オルカが試合を壊さずに戦えた要因の一つだった。
- 終盤の守備強度とチーム全体の運動量
- 終盤は静岡に押し込まれる時間が長くなったが、オルカは最後まで走り切った。コーナーキック、ロングスロー、ゴール前の混戦に対して、選手全員が身体を張って対応。泥臭くも集中力の高い守備で、1点を守り切った。
試合情報
| 対戦カード | 2025プレナスなでしこリーグ1部 第19節 オルカ鴨川FC 1-0 静岡SSUボニータ |
| 得点者 | 66分 河野有希(オルカ鴨川FC) |
| 会場 | 鴨川市陸上競技場(オルカ鴨川FCホームスタジアム) |
| 観客数 | 677名 |



フォーメーション・スターティングラインナップ
オルカ鴨川FC

オルカは前節からの変更点として、#17越路萌永選手が左サイドバックでスタメン復帰。#21屋富祖千怜選手がベンチ入りした。
#9齊藤彩花選手と#10アルマ・デービス選手が2トップを形成。前節は右サイドハーフでの起用だった齊藤選手は、今節では前線に入り、得点への関与が期待された。
また、#18松本はな選手が中盤に入り、静岡の強力な前線に対してどこまで空中戦と球際で優位に立てるかも重要なポイントだった。
#27今田紗良がメンバー登録外となった。
静岡SSUボニータ

静岡SSUボニータは、リーグ屈指の攻撃力を持つチーム。#9土屋佑津季選手と#10横山久美選手の2トップは非常に強力で、前を向いた時の迫力はなでしこリーグ1部でもトップクラスだ。
前回対戦時も土屋選手に得点を許しており、オルカとしてはこの2トップに自由を与えないことが大きなテーマとなった。
試合展開


前半:オルカが強度高く入り、河野有希とアルマ・デービスが攻撃を牽引
試合は立ち上がりからオルカが積極的に入った。
前線からのプレス、セカンドボールへの反応、球際の強度が高く、静岡に簡単には前進させない。自陣での中途半端なプレーを狙われ、カウンターを受ける場面はあったものの、全体としてはオルカが主導権を握る時間が長かった。
攻撃面で目立ったのは、#11河野有希選手の積極性だった。ドリブルで仕掛け、ゴール前へ侵入し、シュートまで持ち込む。#10アルマ・デービス選手との関係性も良く、河野選手がアルマ選手を生かし、アルマ選手も河野選手を生かす形が何度か見られた。
アルマ・デービス選手はこの日も相手にとって大きな脅威だった。圧倒的なスピードと強靭なフィジカルで球際を制し、相手DFを背負いながらもボールを収める。前線で一人でもチャンスを作れる存在として、静岡守備陣に圧力をかけ続けた。
守備面では、前線の選手たちによる連動したプレスに加え、#18松本はな選手の高さと強さが際立った。スピードで広範囲をカバーするタイプではないものの、ハイボールへの対応、身体を入れる強さ、相手の前線に入るボールへの予測は非常に安定していた。静岡の攻撃の起点を早めに潰し、危険な形を作らせなかった。
一方の静岡も、少ないチャンスの中で鋭さを見せた。特に#9土屋佑津季選手と#10横山久美選手が前を向いた時の迫力は十分。素早いパス交換と前線の飛び出しから、一気にオルカゴール前まで運ぶ場面もあった。
土屋選手のポジショニングと飛び出しはやはり素晴らしく、横山選手も常に土屋選手の動きを意識しているように見えた。オルカが優勢に進めていても、一瞬のミスが失点につながりかねない緊張感があった。
前半はオルカが攻め込みながらも得点には至らず、0-0で終了。#10アルマ・デービス選手の強さと上手さ、#11河野有希選手のスピードとアグレッシブな姿勢が印象に残る45分だった。
#17越路萌永選手のクロスやパスの精度がもう一歩高ければ、決定機につながった場面もあった。また、#9齊藤彩花選手は強度面でやや物足りなさも感じたが、要所ではボールに絡み、攻撃の流れに関与していた。
後半立ち上がり:静岡が圧力を強め、オルカが耐える展開に
ハーフタイム明け、静岡SSUボニータは#6小池快選手に代えて#17高島絢音選手を投入。オルカ鴨川FCに選手交代はなかった。

後半開始直後から、静岡はギアを一段上げて前への圧力を強めた。前半よりもボールを前線へ入れる意識が強まり、オルカは守備に回る時間が増えていく。
それでも、オルカはGK#1田谷春海選手を中心に集中を切らさなかった。最終ライン、中盤、前線がコンパクトさを保ち、静岡に決定的な形を簡単には作らせない。
58分、流れを取り戻したいオルカは2枚替えを行う。#24谷口愛奈選手に代えて#23安東美那選手、#10アルマ・デービス選手に代えて#13浅坂真桜選手を投入した。

アルマ選手のプレーをもっと見たい気持ちはあったが、試合当日は気温も高く、前線で強度高くプレーしていたことを考えると、疲労を踏まえた早めの交代だったのかもしれない。
この交代により、#11河野有希選手が右サイドハーフから前線へとポジションを移した。
66分:河野有希が待望の今季初ゴール
少し膠着した時間が続いた後、試合が動いた。
66分、オルカは相手のミスを逃さなかった。#23安東美那選手がボールを奪うと、前線へ抜け出した#11河野有希選手へ浮き球のスルーパス。河野選手は相手DFとの競走を制して抜け出し、GKとの1対1を迎える。
ここで河野選手は落ち着いて右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。
開幕からここまで、オルカの攻撃を牽引し続けてきた河野選手に、待望の今季初ゴールが生まれた。得点という結果がなかなかついてこなかった中でも、仕掛ける姿勢、走る姿勢、攻撃への関与を続けてきた選手だけに、非常に大きな一撃だった。
また、この得点は百武監督の采配が的中した場面でもあった。河野選手を前線に上げ、スピードを生かす形に修正したこと。そして交代出場の安東選手がアシストに絡んだこと。ベンチワークと選手の実行力が合わさった先制点だった。
直後、静岡は#8白井未来選手に代えて#2杉田めい選手を投入。守備の安定とサイドからの展開を強化し、同点を狙いにいく。

終盤:静岡の猛攻をオルカがしのぎ切る
72分、先制点の起点にも関わった#17越路萌永選手が足をつり、#8新田寿瑞選手と交代。新田選手は右サイドハーフに入り、#23安東美那選手が右サイドバック、#6浦部美月選手が左サイドバックへ回った。

新田選手が入ったことで、オルカは中盤の強度をもう一度高めることができた。相手のボールに対してしっかり寄せ、奪った後には前へ運ぶ意識も見せた。
一方、追いかける静岡は攻勢を強める。コーナーキックからの波状攻撃、サイドからのクロス、#46万力安純選手のロングスローなど、さまざまな形でオルカゴールに迫った。
オルカとしては、見ている側も手に汗握る時間帯だった。それでも選手たちは最後まで集中を切らさない。ゴール前の混戦では身体を張ってかき出し、セカンドボールにも粘り強く対応した。
同点ゴールが遠い静岡は、#24大河内友貴選手と#11三輪玲奈選手を下げ、#3彦坂桃花選手と#22大曽根由乃選手を投入。運動量を上げ、さらに前への圧力を強めた。

87分には、静岡#10横山久美選手がドリブルでボールを運び、スルーパスを供給。これに反応した#22大曽根由乃選手がペナルティエリア右からシュートを放つ。しかし、この場面は#6浦部美月選手が見事なブロックで対応。失点の危機を防いだ。
その後も静岡は前へ前へと圧力をかけたが、オルカは運動量と守備強度を落とさずに対応。ボールを奪えばカウンターで時間を作り、最後まで1点を守り切った。
試合は1-0で終了。オルカ鴨川FCが、強豪・静岡SSUボニータを相手にクリーンシートで勝利し、ホームゲーム2連勝を飾った。
総括
オルカ鴨川FC
オルカ鴨川FCは、強敵・静岡SSUボニータに対して一歩も引かず、クリーンシートで勝ち点3を獲得した。
特に大きかったのは、チームとしての守備強度と運動量だ。静岡の前線には#9土屋佑津季選手、#10横山久美選手という強力な2トップがいたが、オルカは前線からのプレス、中盤での潰し、最終ラインの身体を張った守備で対応した。
#10アルマ・デービス選手がチームにフィットしてきたこと、#18松本はな選手が中盤で制空権を握れることは、これまでのオルカに加わった大きな上積みだと感じる。前線でボールを収められる選手、中盤で相手の攻撃を跳ね返せる選手がいることで、チーム全体が簡単には崩れない形になりつつある。
一方で、中盤でボールを保持している時の中途半端なプレーを狙われ、相手にシュートまで持ち込まれる場面はまだ残っている。ここは今後も修正が必要だろう。
それでも、この試合では選手全員が走り負けなかった。終盤に押し込まれても、誰か一人が守るのではなく、全員で守り切った勝利だった。
また、試合終了間際には、決勝点を挙げた#11河野有希選手が左わき腹を押さえて苦しそうにしていた。試合終了後の整列には加わらず、スタッフのもとで状態確認を受けていたように見えた。今季初ゴールを決めた直後だけに、状態が大事に至らないことを願いたい。
静岡SSUボニータ
静岡SSUボニータにとっては、優勝の可能性が消えた後に迎えた一戦だった。気持ちの切り替えやモチベーション維持が難しかったであろうことは想像できる。
それでも、前線の攻撃力はやはり脅威だった。#9土屋佑津季選手の飛び出し、#10横山久美選手のキープ力と展開力、そしてサイドからのロングスローやセットプレーは、オルカにとって大きなプレッシャーになっていた。
一方で、膠着状態や追いかける展開が続いた時に、少し攻撃が急ぎすぎているようにも見えた。強引に前へ進めようとするあまり、プレーの質が落ちる時間帯があった点はもったいなかった。
それでも、現在リーグ3位に位置し、得点力でもリーグ屈指の数字を残しているチームであることに変わりはない。残り試合でのゴールラッシュ、そして#10横山久美選手の得点王争いにも期待したい。
順位表

第19節終了時点で、朝日インテック・ラブリッジ名古屋のリーグ初優勝はかなり近づいている。
一方で、中位グループはまだ混戦だ。5位から10位までの勝ち点差は小さく、残り試合の結果次第で順位は大きく変動する可能性がある。
また、最下位のスペランツァ大阪は厳しい状況が続いている。シーズン終盤に入り、歓喜と悔しさがはっきり分かれる時期が近づいてきた。
オルカ鴨川FCにとっては、ここから一つでも上の順位を目指すために、今回の勝利を次節以降につなげたい。強豪・静岡を相手に勝ち切った経験は、残り試合へ向けて大きな自信になるはずだ。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第19節全試合ハイライト動画
公式記録

