【試合レビュー】静岡SSUボニータがヴィアマテラス宮崎との首位攻防戦を制す 横山久美の決勝PKで1-0勝利|2026プレナスなでしこリーグ1部 第8節

試合レビュー

第7節終了時点で、ともに5勝2分けの勝ち点17。リーグ首位の静岡SSUボニータと、2位ヴィアマテラス宮崎による上位直接対決が、磐田スポーツ交流の里ゆめりあ球技場で行われた。

静岡にとっては、ホームで宮崎を退けて首位の座をより確かなものにしたい一戦。宮崎にとっては、アウェーで首位を叩き、順位争いの主導権を握りたい重要な試合だった。

さらにこの試合は、静岡SSUボニータの横山久美がなでしこリーグ通算200試合出場を達成した記念すべき一戦でもあった。

試合は21分、横山が自ら獲得したPKを沈めて静岡が先制。その後は宮崎もサイド攻撃を軸に反撃を試みたが、静岡が最後まで集中を切らさず1点を守り切った。首位攻防戦は、静岡SSUボニータが1-0で制し、首位をキープした。

注目ポイント

  • 首位と2位の直接対決。勝者が上位争いで一歩抜け出す重要な一戦
  • 静岡SSUボニータの横山久美が、なでしこリーグ通算200試合出場を達成。記念試合でチームを勝利に導けるか
  • ここまで3試合連続ゴール中であり、古巣対戦でもあるヴィアマテラス宮崎の土屋佑津季が、この試合でも得点を挙げられるか

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第8節

静岡SSUボニータヴィアマテラス宮崎
1
21分 横山 久美
会場磐田スポーツ交流の里ゆめりあ球技場(静岡県)
観客数591人

スターティングラインナップ・登録メンバー

静岡SSUボニータ

PosNo.氏名交代
GK21田谷 春海
DF3彦坂 桃花
DF4青葉 結衣
DF5服部 花音
DF22上西 可奈子
MF6万力 安純
MF7高島 絢音
MF8三輪 玲奈82▼
MF11大曽根 由乃78▼
MF15岸野 早奈HT▼
FW10横山 久美 (Cap.)
控え
GK1水口 茉優
DF2白井 未来78▲
DF17櫻田 彩乃
MF9中島 咲友菜HT▲
MF14渡邉 琉那
MF23山本 香月
FW16藤田 桃加82▲
監督: 本田 美登里

ヴィアマテラス宮崎

PosNo.氏名交代
GK50後藤 優香
DF33小牧 明日香
DF21坂本 理保 (Cap.)
DF16松田 遥奈
DF3國生 乃愛
MF22山本 さゆり67▼
MF18中野 里乃
MF10鈴木 妃花78▼
MF4永野 桃子78▼
FW17小澤 寛60▼
FW9土屋 佑津季67▼
控え
GK1暁 清流
MF7有馬 りこ78▲
MF13川添 ゆず78▲
FW8嘉数 飛鳥67▲
FW11板倉 楓60▲
FW30富沢 藍那67▲
監督: 佐藤 考範

試合展開

宮崎が序盤から強度を示す

立ち上がりは宮崎が勢いを持って入った。中盤をコンパクトに保ちながら、ボールホルダーへ素早く寄せ、奪ってからはショートカウンターへ移行する。#9土屋佑津季と#17小澤寛を起点に、静岡の最終ラインへ圧力をかけていった。

静岡は序盤こそ押し込まれたが、守備陣が粘り強く対応。#21田谷春海を中心に、危険なエリアでは無理につなぎすぎず、はっきりとしたプレーで宮崎の勢いを受け止めた。

横山久美が記念試合で先制点

試合が少しずつ落ち着き始めた21分、静岡が大きなチャンスをつかむ。横山久美が宮崎のペナルティエリア内へドリブルで進入すると、後方からの対応を受けて倒され、静岡がPKを獲得した。

このPKを横山が自ら右足で決め、静岡が先制。なでしこリーグ通算200試合出場の節目に、自ら得点を挙げてチームを勢いづけた。
押し込まれる時間帯もあった静岡にとって、この先制点は試合の流れを引き戻す大きな一撃となった。

静岡が押し返し、宮崎もサイドから反撃

先制後の静岡は、徐々に攻撃のリズムを取り戻していく。#11大曽根由乃や#10横山久美を中心に前線へ素早くボールを運び、クロスバーを直撃する強烈なシュートも放った。序盤の劣勢を完全に跳ね返し、試合の主導権を握り返した印象だった。

一方の宮崎も、#9土屋、#17小澤、そして両サイドのスピードを生かして反撃を試みる。特に左サイドの#永野桃子からの仕掛けは鋭く、静岡守備陣に対して何度も揺さぶりをかけた。

前半は1-0で静岡がリードして折り返す。両チームともに常に前を向き、エースFWを中心にサイドから積極的に攻撃を仕掛ける展開となった。守備時にはリスクの高い選択を避け、必要な場面では大きくクリアする。互いの力を認め合っているからこそ、判断の一つひとつに緊張感があった。

後半は静岡の完成度が際立つ

後半に入ると、静岡の個人技と連携の完成度がより目立ち始めた。サイドバックやボランチの攻撃参加が効果的で、前進した後はシュートで終わる意識も強かった。

また、一度プレーが切れれば、上がった選手たちが素早く元のポジションへ戻り、守備のバランスを整える。この切り替えの早さが、宮崎に大きなチャンスを与えなかった要因のひとつだった。

宮崎はピッチを広く使い、ワイドな攻撃から同点を狙った。途中出場の#11板倉楓が左サイドから何度も仕掛け、クロスを供給する場面もあった。ただ、中央では静岡の球際の強さと運動量に対応され、決定的な形を作り切ることは難しかった。

土屋と小澤が途中交代でピッチを退いた後は、前半に見られた中央突破の迫力がやや薄れた印象もある。それでも宮崎は最後までサイド攻撃を続け、同点ゴールを目指した。

しかし、静岡は最後まで集中を切らさなかった。#21田谷春海を中心に守備を引き締め、宮崎の反撃をシャットアウト。首位攻防戦は、静岡SSUボニータが1-0で制した。

総括

首位と2位の直接対決にふさわしい、非常に見ごたえのある試合だった。

両チームとも前線からのプレスは鋭く、攻守の切り替えも速い。個人の能力だけでなく、組織としての完成度も高く、スピード、パワー、連携、状況判断のすべてにおいて、リーグ上位同士の対戦らしい迫力があった。

特に印象的だったのは、両チームとも最終ラインで無理に横パスを重ねるのではなく、常に前進する意志を持ってプレーしていた点である。ボールを持つために持つのではなく、相手ゴールへ向かうためにボールを動かす。その姿勢が、試合全体のテンポと緊張感を高めていた。

後半はやや静岡が試合を支配したが、宮崎も最後まで鋭いサイドアタックで同点を狙い続けた。1-0というスコア以上に、両チームの強度と完成度が伝わる好ゲームだった。

静岡SSUボニータ

静岡は、攻撃のバリエーションが豊富だった。サイドからの突破、中央での縦パス、横山久美を起点とした個人技、そして大曽根由乃らの積極的なフィニッシュ。どの攻撃にも「シュートで終わる」という意識が見えた。

同時に、リスク管理も非常に的確だった。宮崎の攻撃力をしっかりとリスペクトし、守備時には低い位置で無理につなぎすぎず、必要な場面ではボールを外へ逃がして態勢を整えた。この判断の明確さが、無失点勝利につながったと感じる。

宮崎という強力な攻撃陣を相手に失点ゼロで終えたことは大きい。静岡は攻撃力だけでなく、守備でも安定したチームになっている。特に前半、宮崎の速くて厚みのある攻撃を受けながらも、最後の局面で崩れなかった点は素晴らしい。

その安定感を支えているのが、最終ラインとGK田谷春海の存在だ。昨シーズンまでオルカ鴨川FCで正守護神を務めた田谷は、加入後すぐに静岡の守備に落ち着きをもたらしている。コーチングで守備ラインに指示を出し、自身のセービングでもチームを救った。

そして、やはり今季の静岡を語るうえで横山久美の存在は欠かせない。結果にこだわる姿勢、勝利への執念、そして周囲を前向きに動かすコミュニケーション。そのすべてが、チーム全体に良い影響を与えているように見える。

女子日本代表での経験も豊富な横山に対して、周囲の選手たちはリスペクトを持ちながらも、萎縮せずに伸び伸びとプレーしている。横山自身が先頭に立ち、プレーでも言葉でもチームを引っ張っているからこそ、静岡は攻守両面で高い完成度を見せているのだろう。

ヴィアマテラス宮崎

宮崎も、敗れはしたものの内容は決して悪くなかった。特に前半は、互角かそれ以上の時間帯もあった。

土屋佑津季と小澤寛は、常に静岡守備陣にとって脅威になっていた。スピード、身体の強さ、前を向いた時の推進力はさすがで、個人能力の高さがはっきりとうかがえた。

ただ、後半は静岡の守備対応が整理され、中央での突破が難しくなった。サイド攻撃では何度も形を作ったものの、中央で合わせる場面や、相手守備を崩し切る連携にはもう一段階の上積みが求められる。

選手交代で流れを大きく変えられなかった点も課題として残る。ただし、それは相手が静岡SSUボニータだったからこそ、より影響が大きく見えた部分でもある。静岡との戦力差は大きくない。だからこそ、攻撃のバリエーション、とりわけ中央突破の連携を高められれば、宮崎はさらに怖いチームになるはずだ。

今回の敗戦で首位との差は広がったが、宮崎の強さが損なわれたわけではない。次にホームで静岡を迎える時、今回の課題をどう修正してくるか。そこも今後の上位争いを見るうえで大きな注目点になる。

順位表

第8節終了時点で、静岡SSUボニータは首位をキープ。ヴィアマテラス宮崎も2位のままだが、両チームの勝ち点差は3に広がった。

静岡は勝ち点20に到達し、無敗を維持。宮崎は今季初黒星となったが、依然として上位争いの中心にいる。

順位チーム名勝点試合数得点失点得失点
1静岡SSUボニータ208620253+22
2ヴィアマテラス宮崎178521179+8
3岡山湯郷Belle14842213130
4朝日インテック・ラブリッジ名古屋1383411411+3
5オルカ鴨川FC128332136+7
6伊賀FCくノ一三重12833298+1
7ニッパツ横浜FCシーガルズ11832314140
8スフィーダ世田谷FC10831417170
9愛媛FCレディース982331015-5
10日体大SMG横浜782151226-14
11ASハリマアルビオン68134912-3
12VONDS市原FCレディース08008322-19

次節に向けて

次節、静岡SSUボニータは再びホームで岡山湯郷Belleを迎える。首位・静岡と3位・湯郷による、もうひとつの上位対決となる。

一方のヴィアマテラス宮崎は、ホームで愛媛FCレディースと対戦する。首位との差をこれ以上広げないためにも、しっかりと勝ち切りたい一戦だ。

静岡がどこまで無敗を続けるのか。そして宮崎がこの敗戦をどう次につなげるのか。第8節の首位攻防戦を終えて、なでしこリーグ1部の上位争いはさらに面白くなってきた。

リソース

フルマッチLIVE配信(Youtube)

第8節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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