なでしこリーグ1部初挑戦のVONDS市原FCレディースは、開幕から2試合未勝利。ホーム初勝利を目指した第3節で迎えた相手は、2024シーズン王者のヴィアマテラス宮崎だった。
試合は総じて宮崎が主導権を握ったものの、市原も鋭いカウンターで存在感を示した。櫻庭琴乃の得点でクラブとして待望の1部初ゴールが生まれた一方、試合は1-3で終了。宮崎が地力と完成度の高さを示し、今季2連勝を飾った。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第3節全試合ハイライト動画
公式記録

注目ポイント
- VONDS市原FCレディースは、なでしこリーグ1部で初得点・初勝利をつかめるか
- ヴィアマテラス宮崎は、開幕節の引き分け後に続く2連勝を果たせるか
試合情報
| VONDS市原FCレディース | ヴィアマテラス宮崎 |
|---|---|
| 1 | 3 |
| 27分 櫻庭 琴乃 | 38分 土屋 佑津季 65分 土屋 佑津季 80分 中野 里乃 |
| 会場 | ゼットエーオリプリスタジアム |
| 観客数 | 193人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
VONDS市原FCレディース
開幕から2節は右サイドバックで起用されていた#10櫻庭琴乃が、この日は一列前でプレー。攻撃性能をより前向きに生かす狙いが感じられる配置だった。一方、#9宮本春花はベンチスタートとなった。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 山田 二千華 | |
| DF | 17 | 板倉 瑞穂 | |
| DF | 2 | 小堀 菜緒 | |
| DF | 11 | 村上 賀梨 (Cap.) | |
| DF | 13 | 玉田 愛理 | |
| MF | 24 | 増原 遥花 | 62▼ |
| MF | 5 | 小田川 真奈 | |
| MF | 10 | 櫻庭 琴乃 | |
| MF | 14 | 齊藤 綾音 | |
| MF | 27 | 木須 みそら | 70▼ |
| FW | 18 | 増田 沙美亜 | 70▼ |
| 控え | |||
| GK | 31 | 佐藤 瑠美奈 | |
| DF | 3 | 多崎 真琴 | |
| MF | 6 | 菅野 瑞 | |
| MF | 8 | 石井 彩千香 | |
| MF | 9 | 宮本 春花 | 62▲ |
| FW | 20 | 高山 杏々葉 | 70▲ |
| FW | 28 | 中村 円香 | 70▲ |
| 監督: 落合 恵 | |||
ヴィアマテラス宮崎
宮崎は前線から中盤にかけて走力と推進力のある顔ぶれを並べ、立ち上がりから相手を押し込む構成。第2節に続く勝利へ向け、アウェーでも自分たちの強みを出せるかが焦点だった。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 50 | 後藤 優香 | |
| DF | 6 | 松井 彩乃 | 84▼ |
| DF | 16 | 松田 遥奈 | |
| DF | 21 | 坂本 理保 (Cap.) | |
| DF | 3 | 國生 乃愛 | |
| MF | 18 | 中野 里乃 | |
| MF | 25 | 村上 日奈子 | 20▼ |
| MF | 22 | 山本 さゆり | |
| MF | 4 | 永野 桃子 | 84▼ |
| MF | 9 | 土屋 佑津季 | 70▼ |
| FW | 8 | 嘉数 飛鳥 | HT▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 暁 清流 | |
| DF | 33 | 小牧 明日香 | 84▲ |
| MF | 7 | 有馬 りこ | 84▲ |
| MF | 24 | 井之脇 朱音 | 20▲ |
| FW | 17 | 小澤 寛 | 70▲ |
| FW | 30 | 富沢 藍那 | HT▲ |
| 監督: 佐藤 考範 | |||
試合展開
宮崎が押し込む立ち上がり、市原は櫻庭琴乃の一発で先制
試合は前半序盤から宮崎が押し込んだ。選手同士の連動、中盤での回収力、そして縦に速い前進。後方で長く保持するというより、ボールを奪ってから素早く前へ運ぶ色合いが濃く、市原は自陣で受ける時間が長くなった。
それでも市原は、カウンターから前線起用の#10櫻庭琴乃を使って反撃を狙う。決定機の数は多くなかったが、櫻庭の機動力は宮崎にとって無視できない脅威になっていた。
20分には宮崎にアクシデント。#25村上日奈子が接触の影響で早々に交代し、#24井之脇朱音が投入される。
それでも流れ自体は宮崎優勢のまま進んだが、26分に試合が動く。宮崎が最終ラインでボールを動かした場面で、櫻庭が一気に寄せてボールを奪取。そのまま持ち込み、右足でゴール左隅へ流し込んだ。市原にとってはクラブの1部初ゴールとなった。
櫻庭の前線起用が、少ないチャンスを得点に変える形で結果につながった場面だった。
同点弾の背景にあった中盤の差
先制した市原だったが、主導権そのものは依然として宮崎が握っていた。
35分前後からは市原の前線と中盤の距離がやや開き、バイタルエリア周辺で宮崎がボールを拾い、つなぎ直す場面が増える。市原はスペースを埋めようとしていたものの、対人の強度と回収後のつなぎの両面で苦しさが見えた。
そうした流れの中で38分、宮崎が同点に追いつく。#24井之脇朱音の浮き球のあと、相手選手のヘディングのこぼれ球を#9土屋佑津季が左足ボレーで決めた。こぼれ球への反応、そして浮かせずに打ち切った技術の両方が光るゴールだった。
市原は#10櫻庭の飛び出しで再び相手ゴールに迫る場面を作ったが、前線へのパスの精度や、受け手の動き出しの呼吸が合い切らず、厚みのある攻撃にはつながりにくい。
一方の宮崎は、#3國生乃愛のフィード力も目立った。長いボール1発で#9土屋のシュートをお膳立てする。土屋のシュートは惜しくも市原#13玉田愛理にクリアされたが、市原としては押し返しても再び背後を脅かされる展開が続いた。
後半も宮崎ペース、土屋佑津季の2点目で逆転
後半に入っても宮崎の優位は続く。
ボール保持そのものより、前向きにボールを動かしてシュートで終える攻撃によって相手を押し込み、試合全体のテンポを支配していた印象だ。市原は守備対応の連続で、映像以上に消耗していた可能性が高い。
65分、宮崎が逆転に成功する。#3國生乃愛のフィードを起点に、左サイドを抜けた#18中野里乃が折り返し、最後は#9土屋佑津季が左足で押し込んだ。宮崎の狙いがきれいに表れた得点だった。
追う展開となった市原は、62分に#9宮本春花、70分には#20高山杏々葉と#28中村円香を投入。前線の活性化を図り、点を取りに行く姿勢を示した。
中野里乃のスーパーゴールで決着、市原にも終盤の見せ場
しかし80分、宮崎が試合を大きく引き寄せる。右コーナーキックを一度は相手がクリアしたものの、こぼれ球を#18中野里乃が右足のスーパーミドルを叩き込み、3点目。市原としては苦しい時間帯でプレスの圧が弱まり、相手に打ち切らせてしまった。
なんとか1点を返したい市原は、途中出場の#28中村円香が右サイドで相手の逆を取り、一気に前進。ラストパスを受けた#10櫻庭琴乃がフィニッシュまで持ち込んだ場面は、追撃の可能性を感じさせるプレーだった。
終盤はややオープンな展開になりながらも、宮崎は最終ラインと中盤の交代で運動量と強度を維持し、リードを保ったまま試合を締めくくった。
その後はややオープンな展開になりながらも、宮崎が主導権を握ったまま試合終了。
市原は開幕節・第2節に続いて、試合終盤で失点してしまった。
総括
チーム力の差が出た90分
1部初挑戦で選手の入れ替わりも大きかったVONDS市原FCレディースと、2024シーズン王者で補強も進んでいるヴィアマテラス宮崎。現時点では、チームとしての完成度や局面ごとの質に差が出た一戦だった印象。市原は先制して見せ場も作ったが、90分を通した主導権までは握れなかった。対する宮崎は2試合連続3得点での連勝となり、序盤戦としては非常に良い流れに乗っている。
VONDS市原FCレディースの課題と希望
市原については、とくに中盤の強度が気になった。スペースを埋める意識は見えるものの、相手が個でも組織でも前進できるチームだと、そこで押し返し切れない。今節は中盤でのデュエルやセカンドボール対応で後手に回る場面が少なくなかった。
その中で、#10櫻庭琴乃の存在感は際立っていた。守備ではファーストディフェンスに出る角度とタイミングが良く、攻撃ではドリブルでもパスでも違いを生み、さらにゴールまで決めた。1部の舞台でも十分に戦えていると感じさせる内容だった。ただし、櫻庭ひとりで相手の組織全体を崩し続けるのは難しい。周囲との連動や、中盤を含めたサポートの質を高めていくことが、初勝利への近道になりそうだ。
土屋佑津季の初ゴールで増した宮崎の怖さ
一方の宮崎は、土屋佑津季に今季初ゴールが生まれたことが大きい。土屋は静岡SSUボニータ時代の2024シーズンに22得点で得点王に輝いており、その得点感覚の一端を示した試合だった。今後さらにチームになじみ、前線の連係が深まれば、相手にとって極めて厄介な存在になるだろう。嘉数飛鳥、永野桃子、土屋佑津季を軸にした前線は、スピード、推進力、技術を兼ね備えており、今後も大きな武器になりそうだ。
クラブ公式マッチレポート
VONDS市原FCレディース

ヴィアマテラス宮崎

順位表
第3節終了時点で、VONDS市原FCレディースは3連敗で12位。ヴィアマテラス宮崎は勝点7で2位につけている。
| 順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡SSUボニータ | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 15 | 1 | 14 |
| 2 | ヴィアマテラス宮崎 | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 6 | 2 | 4 |
| 3 | 岡山湯郷Belle | 6 | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 5 | 0 |
| 4 | ASハリマアルビオン | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 2 | 1 |
| 5 | スフィーダ世田谷FC | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 7 | 0 |
| 6 | オルカ鴨川FC | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 0 |
| 7 | 愛媛FCレディース | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 8 | -1 |
| 8 | 日体大SMG横浜 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 11 | -8 |
| 9 | 伊賀FCくノ一三重 | 3 | 3 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| 10 | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 3 | 3 | 1 | 0 | 2 | 4 | 6 | -2 |
| 11 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 5 | 6 | -1 |
| 12 | VONDS市原FCレディース | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 1 | 8 | -7 |
次節、VONDS市原FCレディースはホームで朝日インテック・ラブリッジ名古屋と対戦する。
ヴィアマテラス宮崎はホームで伊賀FCくノ一三重を迎える。
市原は今節までに見えた課題をどう修正し、1部初勝利につなげるか。宮崎は連勝をさらに伸ばし、王座奪還へ向けて歩みを進められるか。第4節も両チームの内容に注目したい。
