前節、静岡SSUボニータとの首位攻防戦に敗れ、今季初黒星を喫したヴィアマテラス宮崎。優勝争いに踏みとどまるためにも、ホームで迎える愛媛FCレディース戦は立て直しが問われる一戦だった。
一方の愛媛は、ここ3試合勝利なし。上位を争う宮崎を相手に勝ち点を奪い、停滞感を払拭したい試合だった。
立ち上がりは、愛媛が宮崎を苦しめた。高い位置からのプレス、球際の強度、ショートパスを使った前進で主導権を握り、宮崎の両サイドの攻め上がりを封じる。しかし、試合を動かしたのは宮崎だった。少ないチャンスを確実に仕留め、前半のうちに2点を先行。後半も早い時間帯に追加点を奪い、最終的には3-0で勝利した。
スコアだけを見れば宮崎の快勝だが、内容は決して一方的ではなかった。愛媛が準備してきた宮崎対策は十分に機能し、宮崎は苦しい時間帯を耐えながら勝ち切った。点差以上に見応えのある一戦を振り返る。
この記事の要点
- 愛媛は前半序盤、ハイプレスと球際の強度で宮崎の前進を制限し、試合の主導権を握る時間帯を作った
- 宮崎は押し込まれる展開でも崩れず、流れの中、セットプレー、崩しから3得点。決定力と得点パターンの多さを示した
- 愛媛は敗れたものの、強豪相手に前向きな姿勢を見せた。一方で、90分を通した強度維持とフィニッシュ精度に課題を残した。
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節
| ヴィアマテラス宮崎 | 愛媛FCレディース |
|---|---|
| 3 | 0 |
| 12分 嘉数 飛鳥 37分 小牧 明日香 51分 土屋 佑津季 |
| 会場 | いちご宮崎新富サッカー場 |
| 観客数 | 1,251人 |
ヴィアマテラス宮崎
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 50 | 後藤 優香 | |
| DF | 6 | 松井 彩乃 | |
| DF | 21 | 坂本 理保 (Cap.) | |
| DF | 33 | 小牧 明日香 | |
| DF | 3 | 國生 乃愛 | 79▼ |
| MF | 16 | 松田 遥奈 | 84▼ |
| MF | 22 | 山本 さゆり | |
| MF | 8 | 嘉数 飛鳥 | 68▼ |
| MF | 9 | 土屋 佑津季 | 68▼ |
| MF | 4 | 永野 桃子 | |
| FW | 17 | 小澤 寛 | 68▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 暁 清流 | |
| MF | 10 | 鈴木 妃花 | 84▲ |
| MF | 11 | 板倉 楓 | |
| MF | 13 | 川添 ゆず | 68▲ |
| MF | 18 | 中野 里乃 | 79▲ |
| MF | 24 | 井之脇 朱音 | 68▲ |
| FW | 30 | 富沢 藍那 | 68▲ |
| 監督: 佐藤 考範 | |||
愛媛FCレディース
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 21 | 小松 里弥 | |
| DF | 16 | 野口 珠里 | |
| DF | 5 | 西村 紀音 (Cap.) | |
| DF | 24 | 前田 花依 | |
| DF | 13 | 丸山 ちさと | 68▼ |
| MF | 19 | 黒岩 沙羽 | |
| MF | 6 | 兵頭 來良 | 79▼ |
| MF | 32 | 平塚 万貴 | 68▼ |
| MF | 26 | 桜井 由衣香 | |
| FW | 8 | 深澤 里沙 | 57▼ |
| FW | 20 | 川崎 和奏 | 68▼ |
| 控え | |||
| GK | 33 | 山内 れな | |
| DF | 2 | 松村 菜美 | 68▲ |
| DF | 25 | 足立 寧々 | |
| MF | 11 | 小島 和希子 | 68▲ |
| MF | 15 | 榎谷 岬 | 79▲ |
| MF | 29 | 安齋 結花 | 68▲ |
| FW | 18 | 髙尾 真莉奈 | 57▲ |
| 監督: 長谷川 歩 | |||
試合展開
愛媛のハイプレスが宮崎を苦しめる
立ち上がりに主導権を握ったのは愛媛だった。
愛媛は前線から宮崎の最終ラインと中盤に厳しく圧力をかけ、#4永野桃子、#22山本さゆりの両サイドが自由に攻め上がれない状況を作った。守備時の距離感はコンパクトで、球際の寄せも速い。ボールを奪った後もショートパスを使って素早く前進し、セカンドボールの回収でも宮崎を上回る場面が目立った。
宮崎に前を向かせると、縦への推進力とダイレクトパスで一気にゴール前まで運ばれてしまう。だからこそ愛媛は、前進の入口を潰すことに徹底していた。運動量の負担は大きいが、宮崎対策として準備してきた形がよく表れていた。
宮崎がワンチャンスを仕留めて先制
それでも、先にスコアを動かしたのは宮崎だった。
12分、#22山本さゆりが中央に絞ってボールをはたくと、そのまま右サイドへ斜めにランニング。外に開いていた#6松井彩乃からパスを受けた山本が低いクロスを入れ、最後は#8嘉数飛鳥が押し込んだ。
愛媛としては、自分たちのプレスが機能し、試合の主導権を握りかけていた時間帯での失点だった。内容面で手応えがあっただけに、この先制点は大きな痛手となった。
失点後も愛媛のプレス強度は落ちなかった。宮崎はダイレクトパスでプレスの背後を狙うが、愛媛の運動量とカバーリングが機能し、簡単には決定機を作らせない。
宮崎が背後のスペースを突き、流れを引き戻す
時間の経過とともに、宮崎も徐々に対応していく。
ピッチを広く使い、愛媛の守備陣を横に動かすことで、プレスに出る距離を長くさせた。さらに、愛媛が高い位置から圧力をかけることで生まれる背後のスペースを狙い、手数をかけずにゴールへ迫る場面が増えていく。
愛媛の選手たちはハードワークで対応していたが、序盤ほど一方的に宮崎を押し込む展開ではなくなっていた。愛媛の運動量が少しずつ落ち始めたことに加え、宮崎が背後を狙う形を増やしたことで、愛媛は思い切って前に出にくくなっていった。
そして37分、宮崎が追加点を奪う。コーナーキックから#33小牧明日香が合わせて2-0。流れの中で苦しい時間帯があっても、セットプレーで得点できる。この決定力と得点パターンの多さが、上位を争う宮崎の強さだった。
前半終盤、愛媛は運動量の低下が見えながらも、前進する姿勢を失わなかった。ただ、宮崎はその背後を冷静に狙い続ける。前半は2-0、宮崎リードで折り返した。
後半は宮崎が先手を取り、3点目で試合を決定づける
後半に入ると、宮崎がプレスの強度を上げて先手を取った。
左サイドの#4永野桃子がたびたびフリーになり、クロスを上げる場面を作るなど、立ち上がりから宮崎のペースで試合が進む。そして51分、宮崎が3点目を奪った。
永野が左サイドから中へ切れ込み、#17小澤寛がワンタッチで#9土屋佑津季へつなぐ。土屋はDFの間を抜け出し、落ち着いてゴール隅へ流し込んだ。前半は耐える時間が長かった宮崎だが、後半開始直後に主導権を握り、早い時間帯の追加点で試合の流れを決定づけた。
その後、両チームは選手交代で運動量と強度の維持を図る。宮崎は両サイドの推進力を保ち、中盤のパスワークから前進。愛媛もプレスを続け、ボールを奪えばサイドからカウンターを狙った。
しかし、宮崎の守備は最後まで堅かった。GK#50後藤優香が1対1の場面でシュートストップを見せるなど、愛媛に得点を許さない。愛媛は最後までゴールを目指したが、宮崎の守備を崩し切ることはできなかった。
試合は3-0で終了。宮崎がホームで勝ち切り、首位追走へ向けて落とせない一戦をものにした。
総括
スコアは3-0だったが、愛媛にも見せ場はあった。
前半のある時間帯では、運動量、球際の強度、前線からのプレスで宮崎を上回り、リーグ屈指の強豪を苦しめた。特に、宮崎のサイドの攻め上がりを抑え、ショートパスで前進する形は十分に機能していた。
それでも、試合を分けたのは決定力と90分を通した総合力だった。宮崎は少ないチャンスを確実に仕留め、守備では押し込まれても大きく崩れなかった。愛媛が良い時間帯を作りながらも得点に結びつけられなかった一方で、宮崎はチャンスを得点に変えた。この差が、最終的な3点差につながった。
ヴィアマテラス宮崎
前半序盤の宮崎は、愛媛の強烈なプレスに苦しんだ。最終ラインからの前進を阻まれ、サイドの攻撃参加も制限された。それでも、守備陣は大きく崩れず、攻撃陣は限られたチャンスを確実に生かした。
特に印象的だったのは、得点パターンの多さだ。1点目はサイドの連動から崩し、2点目はセットプレー、3点目は左サイドから中央を使った崩し。流れの中で押し込まれる時間帯があっても、異なる形で得点できることは、強いチームの条件と言える。
土屋佑津季もチームにしっかりフィットしており、宮崎の攻撃の質はリーグでも高い水準にある。前節は静岡SSUボニータに敗れたが、力の差が大きいわけではない。今後もこの安定感と決定力を維持できれば、シーズン終盤まで優勝争いの中心にいる可能性は十分にある。
愛媛FCレディース
愛媛は敗れたものの、前半の内容には大きな価値があった。
2失点目を喫するまでは、宮崎対策がよく機能していた。前線からのハイプレスで宮崎の良さを消し、奪った後はショートパスとスピードのあるサイド攻撃で前進する。下位グループに位置するチームとは思えないほど、準備された戦いを見せていた。
悔やまれるのは、良い時間帯に得点を奪えなかったことだ。宮崎を苦しめていた時間帯にフィニッシュまで持ち込めていれば、試合展開は大きく変わっていたかもしれない。
後半開始早々の3失点目以降は、前半のハイペースな試合運びによる疲労もあったのか、プレスの出足、球際の強度、全体の運動量に陰りが見えた。守備ではサイドでもゴール前でも詰め切れない場面が増え、カウンターでも前に走る人数が足りず、宮崎に大きな脅威を与え続けることはできなかった。
それでも、消極的なバックパスや横パスに逃げる場面は少なかった。運動量が落ちた後も、カウンターを軸にゴールを目指し続けた姿勢は素晴らしかった。結果は3失点での敗戦だが、強豪相手に一歩も引かず戦った内容は、次節以降につながるものだった。
順位表
第9節終了時点で、ヴィアマテラス宮崎は2位を維持。愛媛FCレディースは9位のままとなっている。
過去5試合(左から新しい順に表示):勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 23 | 9 | 7 | 2 | 0 | 29 | 3 | +26 | |
| 2(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 20 | 9 | 6 | 2 | 1 | 20 | 9 | +11 | |
| 3(4) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 16 | 9 | 4 | 4 | 1 | 22 | 11 | +11 | |
| 4(5) | オルカ鴨川FC | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 14 | 6 | +8 | |
| 5(6) | 伊賀FCくノ一三重 | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 10 | 8 | +2 | |
| 6(7) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 18 | 14 | +4 | |
| 7(3) | 岡山湯郷Belle | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 13 | 17 | -4 | |
| 8(8) | スフィーダ世田谷FC | 10 | 9 | 3 | 1 | 5 | 17 | 18 | -1 | |
| 9(9) | 愛媛FCレディース | 9 | 9 | 2 | 3 | 4 | 10 | 18 | -8 | |
| 10(10) | 日体大SMG横浜 | 7 | 9 | 2 | 1 | 6 | 12 | 34 | -22 | |
| 11(11) | ASハリマアルビオン | 6 | 9 | 1 | 3 | 5 | 9 | 13 | -4 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 9 | 0 | 0 | 9 | 3 | 26 | -23 |
次節に向けて
次節、ヴィアマテラス宮崎は再びホームでスフィーダ世田谷FCと対戦する。首位・静岡SSUボニータを追走するためにも、取りこぼしは避けたい一戦となる。
愛媛FCレディースはホームにニッパツ横浜FCシーガルズを迎える。相手は2連勝中で中位グループに位置する難敵だが、今節の前半に見せたプレスの強度と前進の形を継続できれば、勝ち点を積み上げる可能性は十分にある。課題は、良い時間帯を得点につなげること、そして90分を通して強度を保つことだろう。
リソース
フルマッチLIVE配信
第9節全試合ハイライト動画
公式記録

