前節ともに勝利を挙げ、勝ち点差わずか1で迎えた3位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋と5位・オルカ鴨川FCの上位対決。
試合は、ホームの朝日インテック・ラブリッジ名古屋が序盤から主導権を握り、オルカを押し込む展開となった。公式記録上のシュート数は名古屋13本に対し、オルカはわずか1本。それでもオルカは、その唯一のシュートを#11河野有希が決め切り、1-1のドローに持ち込んだ。
内容面では名古屋が大きく上回った試合だった。一方で、苦しい展開の中でも失点を最小限に抑え、ワンチャンスを逃さなかったオルカの粘りも光った一戦だった。
注目ポイント
- 両チームとも上位争いに踏みとどまるため、勝利が欲しい一戦
- 守備に定評のある両チームだが、攻撃力と組織力では名古屋が一枚上手。オルカとしては、押し込まれる時間を耐えながら、限られたチャンスをものにできるか
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第8節
| 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | オルカ鴨川FC |
|---|---|
| 1 | 1 |
| 27分 水野 亜美 | 48分 河野 有希 |
| 会場 | CSアセット港サッカー場(愛知県) |
| 観客数 | 406人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 16 | 流川 桐佳 | |
| DF | 24 | 角田 菜々子 | |
| DF | 10 | 橘 麗衣 (Cap.) | |
| DF | 17 | 堀内 意 | |
| DF | 2 | 夏目 歩実 | |
| MF | 14 | 上田 真子 | 75▼ |
| MF | 5 | 安部 由希子 | 75▼ |
| MF | 4 | 逸見 桃子 | |
| MF | 8 | 渕上 野乃佳 | |
| FW | 11 | 藤原 愛里 | HT▼ |
| FW | 9 | 水野 亜美 | 68▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 横山 野ノ香 | |
| DF | 25 | 河合 野乃子 | |
| MF | 15 | 中村 友香 | 75▲ |
| MF | 20 | 増永 朱里 | 68▲ |
| MF | 21 | 大場 柚季 | 75▲ |
| FW | 13 | 仁木 愛実 | HT▲ |
| FW | 35 | 田中 亜依 | |
| 監督: 磯村 健 | |||
オルカ鴨川FC
オルカ鴨川FCは、前節からスターティングイレブンを変更せずに臨んだ。リザーブには、今シーズン初めて#8金子ゆいが名を連ねた。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 米澤 萌香 | |
| DF | 23 | 安東 美那 | |
| DF | 4 | 松尾 菜月 | |
| DF | 3 | 月東 優季乃 | |
| DF | 29 | 中西 茉里奈 | HT▼ |
| MF | 22 | 北村 ほのか | HT▼ |
| MF | 5 | 浅野 綾花 (Cap.) | |
| MF | 25 | 齊藤 桃花 | 79▼ |
| MF | 14 | 蔵田 あかり | 90+4▼ |
| FW | 11 | 河野 有希 | |
| FW | 19 | 太田 凪砂 | 83▼ |
| 控え | |||
| GK | 26 | 力丸 里保 | |
| DF | 2 | 吉田 紫穂 | |
| DF | 6 | 浦部 美月 | HT▲ |
| MF | 7 | 並木 千夏 | 90+4▲ |
| MF | 8 | 金子 ゆい | 79▲ |
| MF | 24 | 江藤 里桜奈 | HT▲ |
| FW | 10 | アルマ デービス | 83▲ |
| 監督: 石田 学 | |||
試合展開
名古屋が主導権を握り、オルカを押し込む
立ち上がりから試合を支配したのは名古屋だった。
ビルドアップの安定感、選手間の距離感、そして運動量を生かした連動性で、オルカを自陣深くへ押し込んでいく。オルカは何度も左右のサイドをえぐられたが、#3月東優季乃、#4松尾菜月、#5浅野綾花を中心に粘り強く対応した。
しかし27分、名古屋がコーナーキックから先制に成功する。#9水野亜美がオルカの堅い守備をこじ開け、ホームチームが1点をリードした。
太田凪砂を封じた名古屋の中盤守備
攻撃に出たいオルカだったが、前線の起点となる#19太田凪砂に対し、名古屋は厳しく対応した。
ゴールキックや最終ラインからのロングボールのターゲットになる太田選手に対して、名古屋は#4逸見桃子選手、#5安部由希子選手を中心にセカンドボールへの反応も早く、オルカに簡単な起点を作らせなかった。
また、名古屋の前線からのプレスも効果的だった。オルカは最終ラインから自由にボールを運べず、中央からの前進もほとんど成功しない。名古屋の弱点ともいえる最終ラインへのプレスをかけたい場面でも、オルカは自陣に押し込まれる時間が長く、なかなか前へ出られなかった。
結果として、前半のオルカはほとんど相手陣内へ攻め込めない展開となった。
前半終盤、太田凪砂が一瞬のチャンスを作る
一方的に押し込まれた前半だったが、オルカにも決定機はあった。
前半終盤、#25齊藤桃花のロングフィードに#19太田凪砂が抜け出す。GKと1対1に近い状況となり、ボールはゴール方向へ転がったが、名古屋#17堀内意がギリギリのところでクリア。オルカにとっては、前半最大のチャンスだった。
前半は、内容面で大きく上回った名古屋が1点をリードして折り返した。
河野有希が見逃さなかった一瞬の隙
後半開始早々、試合の流れが変わる。
ハーフタイムで立て直したオルカは、前半よりも高い位置でプレーする意識を見せた。そして48分、名古屋最終ラインの横パスが乱れ、ボールがルーズになる。
この一瞬の隙を、#11河野有希が見逃さなかった。
迷いなくワンタッチで放ったシュートは、GKの届かない軌道を描いてゴールネットへ。故障から復帰したオルカのスピードスターが、今シーズン初ゴールを値千金の同点弾として決め切った。
試合全体を通してオルカのシュートはこの1本。それでも、その1本をゴールに結びつけた河野の決定力は見事だった。
後半はオルカが修正、名古屋も勝ち越しを狙う
後半も名古屋がボールを持つ時間は長かったが、前半ほど一方的な展開ではなかった。
オルカはハーフタイムに#24江藤里桜奈、#6浦部美月を投入。江藤が右サイド、浦部が左サイドバックに入り、サイドの守備と前進のバランスを修正した。
また、#11河野有希が相手最終ラインへ積極的にプレスをかけるようになり、前半のように名古屋が余裕を持ってボールを動かす場面はやや減った。
両チームとも中盤と前線の選手を入れ替えながら勝ち越し点を狙ったが、最後の局面では互いに守備が踏ん張った。試合は1-1のまま終了。オルカが苦しい展開を耐え、アウェーで貴重な勝ち点1を持ち帰った。
総括
オルカ鴨川FCを応援する筆者の目線で見ても、前半だけを見れば、3-0、4-0と差が開いてもおかしくない試合だった。
選手のクオリティ、戦術理解、ボール保持時の安定感は、名古屋が一枚上手だった印象を受けた。それでも、名古屋は多くのチャンスを決め切れず、オルカは少ないチャンスをものにした。
内容では名古屋。結果への粘りではオルカ。そんな試合だった。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
名古屋は、前半45分だけを見れば非常に完成度の高い試合運びだった。
オルカの攻撃の軸である#19太田凪砂をほとんど抑え込み、中盤のプレスもよく組織されていた。オルカは中央からの突破をほとんど成功させられず、最終ラインからのビルドアップも名古屋のプレスに苦しんだ。
先制点を奪い、ボールを握り、相手を押し込む。前半の名古屋は、まさに理想的な試合展開だった。
それだけに、後半開始早々の失点は非常にもったいなかった。
自分たちのミスから相手にチャンスを与え、それを決められてしまった。開幕節から見られる最終ラインの不安定さは、今節でも顔をのぞかせた印象だ。相手チームも当然そこを狙ってくる。
ボールを保持し、ハイラインを保つ戦い方は名古屋の強みである。一方で、最終ラインへのプレス強度が高い相手に対しては、苦労する場面も出てくるだろう。チームのスタイルを大きく変える必要はないが、今後上位争いを戦い抜くうえでは、相手のプレスを外すためのオプション構築も必要になりそうだ。
オルカ鴨川FC
オルカにとっては、前半を最少失点で折り返せたことが大きかった。
名古屋に押し込まれ続ける展開の中で、#3月東優季乃、#4松尾菜月の両センターバックは何度も危険な場面をはね返した。#5浅野綾花のカバーリング、そしてGK#1米澤萌香の安定感も含め、最後の防波堤としての守備力はやはり高い。
後半開始からは、#24江藤里桜奈と#6浦部美月の投入によってサイドのバランスが改善された。特に浦部は今シーズン初出場ながら、左サイドバックとして落ち着いて試合に入った印象を受けた。
そして何より大きかったのは、#11河野有希の復帰後初ゴールだ。
故障から戻ってきたスピードスターが、限られたチャンスを確実に仕留めた。苦しい試合で勝ち点1をもたらしたという意味でも、チームにとって非常に大きなゴールだった。
また、今シーズンにスフィーダ世田谷FCから加入し、チームキャプテンも務める#8金子ゆいが後半途中から出場したことも好材料だ。河野、金子の復帰・出場によって、オルカの選手層には少しずつ厚みが出てきた。
一方で、課題も明確だった。
#19太田凪砂を抑えられた時の攻撃オプションは、今後さらに構築していく必要がある。太田はポストプレーや中盤まで下がっての守備貢献に優れるが、相手に徹底して封じられると、チーム全体の前進力が落ちてしまう。
その意味では、#10アルマ・デービスの投入は、もう少し早い時間帯でも面白かったかもしれない。
アルマには、太田とは異なるスピードと攻撃力がある。昨シーズンの活躍を見ても、フィジカル面でも相手に脅威を与えられる選手だ。苦しい展開を変える切り札として、今後さらに存在感を見せてほしい。
順位表
2026年5月3日の試合結果待ち。
次節に向けて
次節、朝日インテック・ラブリッジ名古屋はアウェーで日体大SMG横浜と対戦する。
一方のオルカ鴨川FCは、ホームにスフィーダ世田谷FCを迎える。
名古屋にとっては、内容で上回りながら勝ち切れなかった悔しさを次につなげたい一戦。
オルカにとっては、強豪相手に得た勝ち点1を価値あるものにするためにも、次節のホームゲームで結果が求められる。
上位争いはまだまだ混戦。両チームの次節の戦いにも注目したい。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第8節全試合ハイライト動画
公式記録

