【試合レビュー】愛媛FCレディースが内容で上回るも決め切れず、日体大SMG横浜との開幕戦は2-2引き分け|2026プレナスなでしこリーグ1部 第1節

昨季の日体大SMG横浜は、苦しい戦いの末になんとか1部残留を果たした。卒業生がWEリーグやなでしこリーグ1部のクラブへ進むケースも多く、個々の能力に優れた選手は揃っている。一方で、各種大会への出場や学業との両立といった学生チームならではの制約もあり、持てる力を安定して発揮することの難しさも抱えていた。

その日体大がホーム開幕戦で迎えたのは、昨季7位の愛媛FCレディース。愛媛もまた、昨季は失点数の多さが課題となったチームであり、両者にとって今季のスタートを占う上で、守備面の修正度合いが問われる一戦だった。

結果は2-2の引き分け。勝ち点1を分け合う形となったが、試合内容を振り返ると、両チームともに昨季からの守備面の課題をなお残していることがうかがえる開幕戦だった。

リソース

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公式記録

日程・結果

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注目ポイント

  • 昨シーズン、ともに守備に課題を抱えた両チームの現在地
  • 新戦力の活躍

試合情報

結果日体大SMG横浜 2-2 愛媛FCレディース
会場神奈川県立保土ケ谷公園サッカー場
観客数372人

スターティングラインナップ

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/match_page.html?mno=1

ホームの日体大はWEリーグの日テレ・東京ヴェルディベレーザへの入団が内定している#2藤澤和心が守備陣を統率した。対する愛媛では、今季スフィーダ世田谷FCから加入したFW近藤彩優子が開幕戦から先発。豊富な運動量で前線を活性化できるかが注目された。

一方で愛媛は、守備陣の大幅なテコ入れが見られなかった点も気になった。INAC神戸レオネッサから期限付き移籍で加入したDF足立寧々は、この試合ではメンバー外だった。

試合展開

日体大が先手。開始5分で藤谷千里が鮮やかなミドル

立ち上がりから日体大がハイプレスで愛媛を押し込み、テンポの速い攻撃を展開する。そして開始5分、#5藤谷千里が見事なミドルシュートを突き刺し、日体大が先制に成功した。開幕戦特有の硬さが残る愛媛の隙を突いた、効果的な先制点だった。

日体大SMG横浜#5藤谷千里の先制ゴール

この場面、愛媛は中盤と最終ラインの人数自体は足りていたものの、ボール保持者への圧力が弱く、日体大に自由に組み立てを許してしまった。

愛媛が盛り返し、近藤彩優子の加入後初ゴールで追いつく

出鼻をくじかれた愛媛だったが、ここから前線のプレス強度を高め、試合は徐々に走り合いの様相を帯びていく。日体大は#9柴原希保を中心に中盤でボールを奪ってサイドへ展開し、愛媛ゴールへ迫る。一方の愛媛は、縦へのロングフィードと走力を生かした攻撃で応戦した。

すると15分、愛媛が同点に追いつく。ロングフィードに抜け出した#29安齋結花が落としたボールを、右サイドの#19黒岩沙羽が相手をかわしてクロス。そこに#14近藤彩優子が頭で合わせ、移籍後初ゴールを記録した。チームに勢いをもたらす価値ある同点弾だった。

愛媛FCレディース#14近藤彩優子のゴールシーン

この場面の日体大は、ゴール前に人数を揃えていたものの、ボールウォッチャー気味になり、近藤への対応が後手に回った。昨季から続く守備面の不安が、早くも顔をのぞかせた形でもあった。

前半終盤に愛媛が逆転。日体大は守備対応に苦しむ

同点後は、徐々に愛媛が日体大を押し込む展開となった。日体大にもミドルシュートなど良い攻撃はあったが、全体の強度では愛媛が上回った印象だ。愛媛はボールを奪うと前方へ素早く配球し、日体大は最終ラインとボランチの距離が開きやすくなる。そこを愛媛の2列目が使い、厚みのある攻撃につなげていた。

そして前半40分、愛媛が逆転に成功する。スローインの流れから#14近藤彩優子が粘って折り返し、最後は#26桜井由衣香が右足でループ気味のシュート。GKの届かないコースに流し込み、愛媛が2-1とした。

愛媛FCレディース#26桜井由衣香の逆転ゴール

この場面でも、日体大守備陣は桜井に十分に寄せ切れず、ボールへの意識が強くなりすぎた印象を受けた。

追う日体大は前半アディショナルタイム、右サイドから鋭いシュートを放つも愛媛GK#21小松里弥が好セーブ。続くCKからのヘディングも枠を外れ、前半は2-1で愛媛リードのまま終了した。

後半も愛媛優勢。それでも日体大はワンチャンスを逃さない

後半に入っても、愛媛がアグレッシブに前へ出る。ハイプレスとカウンターを軸に、前線から最終ラインまでコンパクトな陣形を維持し、日体大のビルドアップを寸断。走らされる日体大は、ゴール前に侵入してくる愛媛の選手に後手を踏む場面が目立った。

59分には、愛媛が日体大最終ラインへの圧力からボールを奪い、少ない手数でフィニッシュまで持ち込む。#26桜井由衣香のシュートは惜しくも枠を外れたが、日体大が対応しきれていないことを示す場面だった。

愛媛FCレディース#26桜井由衣香の惜しいシュート。#14近藤彩優子の推進も見事だった

また、日体大の#9柴原希保が裏抜けから突破を狙う場面では、愛媛#13丸山ちさとが高い対人対応を見せて封じる。丸山は再三のオーバーラップで攻撃にも顔を出しながら、守備面でも存在感を放っていた。その裏では、丸山が高い位置を取った際に#24前田花依が適切にカバーしていた点も見逃せない。

日体大は愛媛の2列目、3列目に対するプレスがやや消極的で、スペースを埋める対応に終始する時間帯が続く。愛媛が自信を持って前線へボールを送れていたのは、この守備対応の甘さが一因だっただろう。守備の問題は決して浅くない、と感じさせられた。

64分、日体大・鈴木温子が同点弾。流れに逆らう一撃

64分、日体大が同点に追いつく。最終ラインからのロングフィードに対し、愛媛DFが対応を誤って後逸。そこへ詰めた#17鈴木温子がボールを奪い、そのままゴールを決めた。

日体大SMG横浜#17鈴木温子のゴール。愛媛DFは太陽が目に入ったか。

試合の流れ自体は愛媛が握っていただけに、愛媛にとっては悔やまれる失点だった。一方の日体大にとっては、苦しい時間帯をしのいだ末の同点弾であり、息を吹き返すきっかけとなる得点だった。

終盤も愛媛が押し込むが、決め切れずドロー決着

同点後も、前線から圧力をかけ続ける愛媛が主導権を渡さない。日体大はGKの出番が多く、それだけ守備陣が切り裂かれていたともいえる。75分を過ぎると日体大の陣形はさらに間延びし、運動量の落ちない愛媛が波状攻撃を仕掛けた。

日体大にも逆転のチャンスはあった。途中出場の#13山本葉桜が右サイドを突破して折り返し、同じく途中出場の#21佐藤実玖が合わせるだけという場面を迎える。しかし、これを大きくふかしてしまい、勝ち越しの好機を逃した。

その後も愛媛は、日体大の深い位置でのパス交換に強い圧力をかけてボールを奪い、#11小島和希子がポスト直撃のシュートを放つなど、いつ3点目が生まれてもおかしくない状況を作り出した。

後半アディショナルタイムにも、愛媛はCKの流れからこぼれ球を押し込みかけたが、日体大DFが間一髪でクリア。最後まで愛媛が攻め続けたものの、試合は2-2で終了した。

総括

結果だけを見れば2-2の引き分けだが、試合内容では愛媛FCレディースが優勢だった。

14近藤彩優子は移籍後初戦ながらチームにしっかりフィットしており、攻撃の軸として機能していた。前線の選手たちは相手の横パスやバックパスを狙い続け、中盤の選手は相手2列目への配球に素早く反応してコースを切る。最終ラインも高い集中力を保ち、全体として「走る意識」が徹底された、まとまりのあるチームという印象を受けた。

ただし気になるのは、このハイペースなサッカーをシーズン通して継続できるかどうかだ。夏場や終盤戦に運動量が落ちた際、個の質で上回る相手にどう対抗するのかは今後の注目点になる。また、公式記録上は14本のシュートを放ちながら2得点にとどまった点からも、決定力という面ではなお改善の余地がある。

対する日体大は、早い時間帯に先制しながらも、攻守の連動性には改善の余地が大きい。特に低い位置でのパス交換やGKへのバックパスは90分を通じて狙われ、多くのピンチの起点になっていたが、明確な修正は見られなかった。愛媛に絶対的なストライカーがいれば、さらに厳しい結果になっていても不思議ではない。きれいにつないで崩すスタイルは魅力的だが、それを成立させるには守備面の整理が不可欠である。基本戦術が機能しない時の代案をどれだけ早く準備できるかが、今後の鍵になりそうだ。

順位表

第1節終了時点で、日体大SMG横浜は4位、愛媛FCレディースは5位につけた。

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/standings.html

次節、日体大は静岡SSUボニータとのアウェーゲームに臨む。開幕節で6得点を記録した相手に対し、守備面の整理と修正ができなければ、横山・三輪・中島が形成する強力な攻撃に対応することは難しいと感じる。

一方、愛媛はオルカ鴨川FCを迎えてのホーム開幕戦。今節の内容を踏まえれば悲観する必要はないが、押し込みながら勝ち切れなかった課題をどう埋めるかが、今季初勝利へのポイントになるだろう。


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