リーグ中盤戦に差し掛かり、上位争いが一段と激しさを増している2026プレナスなでしこリーグ1部。第8節では、第7節終了時点で4位につける伊賀FCくノ一三重が、同6位の岡山湯郷Belleをホームに迎えた。
両チームの勝ち点差はわずか1。上位進出を狙ううえで、互いに落とせない直接対決だった。
試合は、伊賀の縦への推進力とサイド攻撃を、湯郷が組織的な守備と高い位置でのパスワークで封じる展開に。後半に入って伊賀も修正を見せたが、70分に湯郷がPKで先制すると、75分にはコーナーキックから追加点を奪取。伊賀も90分に平田ひなののゴールで1点を返したものの、反撃はそこまで。アウェーの岡山湯郷Belleが2-1で上位対決を制した。
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第8節
| 伊賀FCくノ一三重 | 岡山湯郷Belle |
|---|---|
| 1 | 2 |
| 90分 平田ひなの | 70分 寺尾 星奈 75分 国吉 花吏埜 |
| 会場 | 上野運動公園競技場(三重県) |
| 観客数 | 425人 |
伊賀FCくノ一三重
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 16 | 小野 未織 | |
| DF | 5 | 常田 菜那 | |
| DF | 26 | 清 悠香 | |
| DF | 3 | 秦 美結 | |
| MF | 14 | 増田 玲那 | |
| MF | 6 | 常田 麻友 (Cap.) | |
| MF | 7 | 渡邊 凜 | |
| MF | 8 | 島野 美央 | 73▼ |
| MF | 24 | 唐沢 芽依 | 90+1▼ |
| FW | 22 | 松田 吏真 | 61▼ |
| FW | 11 | 児野 楓香 | HT▼ |
| 控え | |||
| GK | 21 | 合田 朱里 | |
| DF | 13 | 髙山 菜々香 | |
| DF | 17 | 松久保 葵子 | |
| DF | 18 | 井上 歩香 | 73▲ |
| MF | 9 | 桂 亜依 | HT▲ |
| MF | 25 | 上田 彩葉 | 90+1▲ |
| FW | 10 | 平田 ひなの | 61▲ |
| 監督: 永井 良明 | |||
岡山湯郷Belle
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 34 | 三田 一紗代 (Cap.) | |
| DF | 19 | 沖田 有由 | |
| DF | 4 | 今野 瞳 | 61▼ |
| DF | 14 | 塩谷 瑠南 | |
| DF | 10 | 中野 琴音 | |
| MF | 3 | 梶山 朋恵 | |
| MF | 17 | 新谷 楓華 | |
| MF | 25 | 香椎 彩香 | |
| MF | 7 | 山下 沙耶香 | HT▼ |
| FW | 23 | 国吉 花吏埜 | 84▼ |
| FW | 24 | 岸波 美采 | HT▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 福元 美穂 | |
| DF | 2 | 森 宙舞 | |
| DF | 18 | 村上 夏奈瀬 | 61▲ |
| MF | 28 | 雪山 琴未 | 84▲ |
| MF | 30 | 松崎 こころ | HT▲ |
| FW | 21 | 寺尾 星奈 | HT▲ |
| 監督: 和多田 充寿 | |||
試合展開
湯郷が伊賀の推進力を封じる
この試合の大きな構図は、伊賀の縦への推進力とサイド攻撃を、湯郷がどのように受け止めるかだった。
伊賀は前線やサイドを起点に、テンポよく相手陣内へ押し込む力を持つチームである。とくにサイドから前進し、セットプレーにつなげる形は今季の強みのひとつだ。
しかし、この日の湯郷はその伊賀の武器を十分に警戒していた。中盤のプレス連動がよく、伊賀がサイドへ展開しようとする場面では、近い距離の選手が素早く寄せて前進を遅らせた。さらに、FW陣も守備に戻り、相手を挟み込むようにしてボールを奪い返す場面が目立った。
攻撃において、湯郷は自陣深くから無理にビルドアップを繰り返すのではなく、比較的高い位置でボールを動かしながら前進した。伊賀の鋭いプレスを正面から受けるのではなく、ピッチを広く使い、相手の寄せを外しながら攻撃の形を作っていった。
前半終盤には伊賀もサイド攻撃とコーナーキックから湯郷ゴールに迫ったが、試合全体の流れを握っていたのは湯郷だった。アウェーゲームとしては、リスクを抑えながら自分たちの良さを出した理想的な前半だったと言える。
伊賀の修正と湯郷守備陣の集中力
後半に入ると、伊賀は明確に攻撃のギアを上げた。
ハーフタイムに投入された#9桂亜依が裏への抜け出しとドリブルで変化を加え、伊賀は前半よりも相手陣内でプレーする時間を増やしていく。前向きに仕掛ける選手が増えたことで、セットプレーの回数も増え、湯郷にとっては我慢の時間帯となった。
それでも、湯郷の守備陣は集中を切らさなかった。伊賀のサイド攻撃に対しては粘り強く対応し、ゴール前では身体を張ってシュートコースを消す。伊賀が流れを引き寄せかけた時間帯を、湯郷が失点せずにしのいだことは、後の先制点につながる大きなポイントだった。
PKとCK、試合を決めた5分間
拮抗した展開が続くなか、試合が動いたのは70分だった。
伊賀のペナルティエリア内でファウルがあったとして、主審は湯郷にPKを与える。このPKを#21寺尾星奈が落ち着いて決め、アウェーの湯郷が先制に成功した。
伊賀にとって痛かったのは、その5分後だった。
先制を許した伊賀は、#14増田玲那をより高い位置に上げるなど、攻撃面の修正を図った。しかし、その出鼻をくじくように湯郷が再びゴールを奪う。75分、右コーナーキックから#23国吉花吏埜がヘディングで合わせ、湯郷がリードを2点に広げた。
PKで均衡を破り、直後のセットプレーで追加点を奪う。試合の流れが大きく傾いたこの5分間こそ、勝敗を分けた時間帯だった。
伊賀の意地は見えたが、反撃は1点止まり
2点を追う伊賀は、終盤にかけて攻勢を強めた。
サイドからのクロス、セットプレー、スローインの流れからゴール前に圧力をかけ、90分には#10平田ひなのがヘディングで押し込み1点を返す。最後まで勝負を諦めない粘りは、伊賀らしさが出た場面だった。
ただし、反撃はここまでだった。
湯郷は終盤の伊賀の圧力に対して、守備陣が最後まで身体を張って対応。伊賀はサイドから押し込む場面を作ったものの、同点に追いつくための決定機までは作り切れなかった。
結果は1-2。上位戦線を占う直接対決は、アウェーの岡山湯郷Belleが制した。
総括
湯郷の勝利は、伊賀対策と自分たちの修正がかみ合った結果だった。
伊賀の強みは、縦への速さ、サイドの推進力、そしてセットプレーで相手ゴールに迫る力にある。その強みに対して、湯郷は中盤と前線の連動した守備で前進を遅らせ、伊賀が勢いを持って仕掛ける場面を限定した。
一方の伊賀は、敗れはしたものの、後半の修正と終盤の粘りには見どころがあった。
ただ、上位を目指すうえでは、チャンスを作った後のフィニッシュ精度が課題として残る。堅い守備をベースに戦えるチームだからこそ、攻撃面であと一段の上積みがあれば、上位争いに踏みとどまる可能性は十分にある。
伊賀FCくノ一三重
前半の伊賀は、湯郷の中盤の構成力と守備の連動に苦しんだ。
サイドへ展開したい場面でも、湯郷の寄せが速く、前向きに仕掛ける時間を十分に作れなかった。中盤で優位を作れず、長いボールやセットプレーに頼る場面が増えたことで、攻撃のリズムをつかみ切れなかった印象だ。
それでも後半は、ベンチワークとポジション調整によって流れを変えた。桂亜依の投入によって裏への動きとドリブルの推進力が加わり、伊賀は前半よりも相手陣内でプレーする時間を増やした。さらに、増田玲那を高い位置で使うことで、中盤から前線への圧力も高まった。
セットプレーの迫力はこの試合でも健在だった。コーナーキックやスローインの流れからゴール前に人数をかけ、終盤には平田ひなのの得点につなげている。
一方で、課題はやはり決定力だろう。公式記録では伊賀はシュート9本、コーナーキック10本を記録している。チャンスの入口は作れているだけに、そこからゴールへ結びつける精度を高めたい。
岡山湯郷Belle
湯郷は、非常に完成度の高い試合運びを見せた。
前節までの湯郷は、低い位置で横パスをつなぎながら前線の動き出しを待つ場面が多い印象もあった。しかし今節は、より高い位置でボールを動かし、縦への意識も強かった。伊賀のプレスを受けやすい低い位置で無理にボールを保持するのではなく、相手陣内でパスワークを発揮した点が大きかった。
そのなかで存在感を放ったのが、#23国吉花吏埜だった。守備では中盤まで下がってブロック形成に加わり、攻撃ではボールを引き出して起点となる。さらに75分にはコーナーキックからヘディングで追加点を決め、フィニッシャーとしても結果を残した。
また、途中出場の#21寺尾星奈がPKを決め切ったことも大きい。拮抗した上位対決では、少ない決定機を確実にものにする力が勝敗を左右する。この試合の湯郷は、その勝負強さを示した。
ただし、低い位置でビルドアップを試みた際には、伊賀のプレスを受けて危ない場面もあった。そこは今後も注意が必要だろう。それでも、この試合のように高い位置で数的優位を作りながら前進できれば、湯郷は上位争いの中でも安定した結果を残せるはずだ。
順位表
第8節終了時点で、伊賀FCくノ一三重は6位に後退。岡山湯郷Belleは3位に浮上した。
| 順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡SSUボニータ | 20 | 8 | 6 | 2 | 0 | 25 | 3 | +22 |
| 2 | ヴィアマテラス宮崎 | 17 | 8 | 5 | 2 | 1 | 17 | 9 | +8 |
| 3 | 岡山湯郷Belle | 14 | 8 | 4 | 2 | 2 | 13 | 13 | 0 |
| 4 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 13 | 8 | 3 | 4 | 1 | 14 | 11 | +3 |
| 5 | オルカ鴨川FC | 12 | 8 | 3 | 3 | 2 | 13 | 6 | +7 |
| 6 | 伊賀FCくノ一三重 | 12 | 8 | 3 | 3 | 2 | 9 | 8 | +1 |
| 7 | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 11 | 8 | 3 | 2 | 3 | 14 | 14 | 0 |
| 8 | スフィーダ世田谷FC | 10 | 8 | 3 | 1 | 4 | 17 | 17 | 0 |
| 9 | 愛媛FCレディース | 9 | 8 | 2 | 3 | 3 | 10 | 15 | -5 |
| 10 | 日体大SMG横浜 | 7 | 8 | 2 | 1 | 5 | 12 | 26 | -14 |
| 11 | ASハリマアルビオン | 6 | 8 | 1 | 3 | 4 | 9 | 12 | -3 |
| 12 | VONDS市原FCレディース | 0 | 8 | 0 | 0 | 8 | 3 | 22 | -19 |
次節に向けて
次節、伊賀FCくノ一三重はアウェーでASハリマアルビオンと対戦する。上位争いに踏みとどまるためには、確実に勝ち点3を狙いたい一戦となる。
一方、岡山湯郷Belleはアウェーで首位・静岡SSUボニータとの上位対決に臨む。今節の勝利で3位に浮上した湯郷にとって、静岡戦は優勝争いに本格的に踏み込めるかを測る大きな試金石になる。
伊賀は攻撃面の上積みを、湯郷はこの試合で見せた高い位置でのパスワークと守備の連動を継続できるか。第8節の結果は、両チームの今後を占ううえでも意味の大きい一戦となった。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第8節全試合ハイライト動画
公式記録


