【試合レビュー】ヴィアマテラス宮崎のハイプレスが岡山湯郷Belleを圧倒 上位直接対決を3-1で制す|2026プレナスなでしこリーグ1部 第7節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部第7節、岡山湯郷Belleとヴィアマテラス宮崎による上位直接対決が行われた。

第6節終了時点で3位につける湯郷は、今季ここまで低い位置からのビルドアップを武器に勝ち点を積み上げてきた。一方の宮崎は、リーグ屈指の運動量と強度を誇るハイプレスを武器に、無敗で2位につけている。

ビルドアップ志向の湯郷と、前線から圧力をかけ続ける宮崎。対照的なスタイルを持つ両チームの一戦は、宮崎が立ち上がりから湯郷のビルドアップを封じ、1-3で勝利を収めた。スコア以上に、宮崎の強度、完成度、そして試合運びの確かさが際立つ内容だった。

注目ポイント

  • 第6節終了時点で3位の岡山湯郷Belleと、2位ヴィアマテラス宮崎による上位直接対決。
  • 湯郷は強度の高い相手に対して、自分たちのスタイルを貫きながら勝ち点を積み上げることができるか。

試合情報

岡山湯郷Belleヴィアマテラス宮崎
13
88分 塩谷 瑠南7分 土屋 佑津季
21分 オウンゴール
49分 鈴木 妃花
会場岡山県美作ラグビー・サッカー場
観客数1,077人

スターティングラインナップ・登録メンバー

岡山湯郷Belle

PosNo.氏名交代
GK34三田 一紗代 (Cap.)
DF7山下 沙耶香
DF20岸波 優妃HT▼
DF14塩谷 瑠南
DF10中野 琴音
MF3梶山 朋恵
MF17新谷 楓華HT▼
MF30松崎 こころ63▼
MF23国吉 花吏埜71▼
FW25香椎 彩香
FW24岸波 美采
控え
GK1福元 美穂
DF2森 宙舞
DF18村上 夏奈瀬HT▲
MF8南山 千明HT▲
MF15山本 早織76▲
FW21寺尾 星奈63▲76▼
FW22片山 真鞠71▲
監督: 和多田 充寿

ヴィアマテラス宮崎

PosNo.氏名交代
GK1暁 清流
DF33小牧 明日香
DF21坂本 理保 (Cap.)
DF16松田 遥奈
DF3國生 乃愛
DF22山本 さゆり84▼
MF18中野 里乃
MF10鈴木 妃花78▼
MF4永野 桃子78▼
FW17小澤 寛68▼
FW9土屋 佑津季68▼
控え
GK50後藤 優香
MF6松井 彩乃84▲
MF7有馬 りこ68▲
MF13川添 ゆず78▲
FW8嘉数 飛鳥68▲
FW30富沢 藍那78▲
監督: 佐藤 考範

試合展開

宮崎のハイプレスが湯郷のビルドアップを襲う

立ち上がりから、試合の構図は明確だった。

ホームの湯郷は、最終ラインから丁寧にボールをつなぎ、低い位置から前進しようとする。一方の宮崎は、前線から激しく、鋭くプレスをかける。湯郷が得意とするビルドアップに対して、宮崎は迷いなく圧力をかけ続けた。

序盤から湯郷は何度も危険な位置でボールを失う。すると7分、早くも宮崎が先制する。高い位置からのプレスで湯郷のボール保持を乱し、こぼれ球に反応した#9土屋佑津季が冷静に押し込んだ。

湯郷にとっては、自分たちの土俵であるはずのビルドアップが、逆に失点のリスクにつながる立ち上がりとなった。

21分、宮崎が追加点 湯郷は後ろ向きの展開に

失点後も湯郷は、自分たちのビルドアップを続けた。#23国吉花吏埜のスルーパスからこの試合初めて相手ゴールに迫る場面も作ったが、直後に再び試合が動く。

21分、中盤の競り合いで湯郷が押し込まれ、最終ラインから前線へ送ったボールを宮崎DF陣が回収。そこから左サイドへ展開し、抜け出した#17小澤寛がクロスを供給する。これに対応しようとした湯郷DFのクリアがオウンゴールとなり、宮崎がリードを2点に広げた。

この場面も、結果的にはオウンゴールではあるが、その前段階では湯郷が中盤で前向きにボールを動かせず、宮崎の強度に押し込まれていた。ボールをつなごうとしたところを宮崎に制限され、結果的に重心が後ろ向きになってしまったことが、失点の起点だったと言える。

湯郷は前進に人数をかけるが、宮崎は少人数でゴールへ迫る

湯郷は足元へのパスを使いながらビルドアップを組み立てようとした。しかし、ボールの行き先が分かりやすく、宮崎の選手たちはその狙いを見逃さなかった。

反撃を試みる湯郷は、相手ゴール前まで侵入する場面もあった。ただ、宮崎の守備を崩し切った形は少なく、密集地帯や遠めの位置からシュートを打たされる場面が目立った。決定機というよりも、何とかシュートまで持ち込んだという印象が強い。

一方の宮崎は、高い位置で奪う、あるいは少ない人数で一気に相手ゴールへ迫る形を何度も作った。湯郷がビルドアップに人数をかけるのに対し、宮崎は奪ってからの攻撃が速い。そのため、湯郷の攻撃は途中で寸断されやすく、宮崎はフィニッシュまで持ち込む回数を増やしていった。

前半は0-2。宮崎が試合の主導権を握ったまま折り返した。

後半開始直後、鈴木妃花のゴールで宮崎が突き放す

後半開始から湯郷は、MFとDFを1人ずつ入れ替えた。守備の立て直しと、ビルドアップの改善を狙った交代だったと見られる。

しかし、流れを変える前に宮崎が再び湯郷のビルドアップを襲う。49分、宮崎は高い位置でボールを奪うと波状攻撃へ移行。#4永野桃子の折り返しに#10鈴木妃花がダイレクトで合わせ、0-3とした。

湯郷にとっては、後半の入りで反撃の糸口をつかみたい時間帯だった。そこで3点目を奪われたことで、試合の難度はさらに上がった。

湯郷は交代カードを切るも、流れを変え切れず

その後も湯郷は選手を入れ替えながら反撃を試みた。セットプレーから惜しい場面を作る時間帯もあったが、流れの中から宮崎の守備を崩す場面は限られた。

また、宮崎の最終ラインに対するプレスも中途半端になり、宮崎に余裕を持って前進される場面が目立った。湯郷は前から行きたいのか、いったん構えて守りたいのかが曖昧になり、中盤にスペースが生まれてしまう。そこを宮崎に使われ、速く迫力のある攻撃を受け続ける展開となった。

88分、塩谷瑠南が意地の一撃

それでも終盤、ホームの湯郷が意地を見せる。

88分、DF#14塩谷瑠南が最終ライン付近で相手からボールを奪うと、そのままドリブルで前進。味方とのワンツーでフリーになると、宮崎GKが前に出ていることを確認し、落ち着いてループ気味のシュートを決めた。

湯郷にとっては苦しい試合展開の中で生まれた、見事なゴールだった。守備から攻撃へ自ら持ち上がり、最後まで冷静に決め切った塩谷の判断と技術は光った。

しかし、湯郷の反撃はここまで。試合は1-3で終了し、上位直接対決はアウェーのヴィアマテラス宮崎が制した。

総括

試合前の順位は、宮崎が2位、湯郷が3位。上位直接対決という位置づけだったが、内容面では順位以上に両チームの差を感じる一戦だった。

湯郷は今季ここまで、ビルドアップを軸に勝ち点を積み上げてきた。一方で、開幕からの対戦相手を考えると、今節は本格的な上位・強豪との力比べという意味合いも強かった。一方で宮崎は昨季王者の朝日インテック・ラブリッジ名古屋と引き分け、伊賀FCくノ一三重にも勝利している。そうした相手に対しても結果を出してきた宮崎の完成度が、この試合でははっきり表れた。

岡山湯郷Belle

湯郷にとっては、自分たちのスタイルを貫いたからこそ、課題も明確になった試合だった。

宮崎のように前線から強く、速く、連続してプレスをかけてくる相手に対して、低い位置からのビルドアップを続ける選択は大きなリスクを伴う。もちろん、自分たちのサッカーを信じて強度の高い相手に真正面から挑んだ姿勢は評価したい。

一方で、この日の組み合わせは湯郷にとってかなり難しかった。湯郷が最も嫌がるであろう強度とスピードを、宮崎はチーム全体で90分間絶え間なくやり切る力を持っている。そうした相手に対して、重要な直接対決で真正面から挑み続ける必要があったのか。もう少し試合の入りや時間帯によって、前進の方法を変える選択肢があってもよかったのではないか。

守備面でも課題は残った。宮崎の縦に速い攻撃に対して、前線の選手たちのプレスバックはやや控えめに映った。さらにボランチが下がることで中盤が間延びし、宮崎の攻撃に厚みを与えてしまう場面が多かった。

交代策についても、外から見ている限りでは意図を読み取りにくい部分があった。特に63分に投入された#21寺尾星奈が76分に交代となった場面は、負傷などの事情があった可能性はあるものの、試合の流れを変える交代としてはやや難しいものに見えた。

上位争いに食い込み続けるためには、ビルドアップの質をさらに高めるだけでなく、相手の特徴に応じた戦い方の柔軟性が必要になる。自分たちのサッカーを持っていることは強みだが、それだけで押し切れない相手とどう戦うか。湯郷にとって、この敗戦は今後の成長につながる重要な試合になったはずだ。

ヴィアマテラス宮崎

宮崎は、チーム状態の良さと完成度の高さを見せつけた。

前線からのプレス、奪ってからの速さ、少人数でもゴールへ迫れる攻撃力。いずれも高い水準にあり、湯郷に得意のビルドアップをほとんどさせなかった。相手の長所を消し、自分たちの強みを押し出すという意味で、非常に完成度の高い試合運びだった。

#17小澤寛、#9土屋佑津季の両FWは前線で存在感を放ち、相手の最終ラインに圧力をかけ続けた。土屋は7分に先制点を決め、これで今季5ゴール。2024シーズンのリーグ得点王が、新加入チームでも決定的な仕事を続けている。

また、サイドの#22山本さゆり、#4永野桃子も湯郷にとって大きな脅威だった。49分の3点目では、永野の折り返しから#10鈴木妃花が決めており、宮崎の攻撃が個の力だけでなく、複数の選手の連動によって成り立っていることも示された。

ただし、決定機の数を考えれば、宮崎はもう2、3点取っていても不思議ではなかった。終盤の失点も含め、完勝に近い内容の中にも課題は残る。それでも、名古屋と引き分け、伊賀を破り、さらに湯郷との上位直接対決にも勝利した事実は大きい。

リーグが進むにつれてさらに調子を上げてくれば、2024シーズンに見せた圧倒的な強さの再来を感じさせる。そう思わせるだけの内容だった。

順位表

第7節終了時点で、岡山湯郷Belleは6位に順位を落とし、ヴィアマテラス宮崎は2位を堅持した。首位の静岡SSUボニータが今節引き分けたため、宮崎は勝ち点で静岡に並んだ。

順位チーム名勝点試合数得点失点得失点
1静岡SSUボニータ177520243+21
2ヴィアマテラス宮崎177520178+9
3朝日インテック・ラブリッジ名古屋1273311310+3
4伊賀FCくノ一三重12733186+2
5オルカ鴨川FC117322125+7
6岡山湯郷Belle1173221112-1
7ニッパツ横浜FCシーガルズ872231113-2
8愛媛FCレディース87223914-5
9スフィーダ世田谷FC772141517-2
10日体大SMG横浜772141123-12
11ASハリマアルビオン57124811-3
12VONDS市原FCレディース07007320-17

次節、岡山湯郷Belleはアウェーで伊賀FCくノ一三重と対戦する。強度と組織力を備えた相手に対して、今回の敗戦をどのように修正して臨むのかが問われる一戦になる。

一方のヴィアマテラス宮崎は、首位・静岡SSUボニータとの直接対決を迎える。勝ち点で並ぶ相手を破れば、首位に浮上する大一番だ。

湯郷は、自分たちのサッカーに加えて、相手に応じた選択肢を持てるか。宮崎は、脅威の攻撃力を持つ無敗の首位を相手にこの勢いを継続できるか。第8節も、上位争いの行方を大きく左右する重要な試合になりそうだ。

リソース

フルマッチLIVE配信(Youtube)

第7節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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