ホーム戦が続くオルカ鴨川FCが、VONDS市原FCレディースを迎えた一戦。なでしこリーグ1部で初めて実現した“千葉ダービー”は、立ち上がりからオルカが主導権を握る展開となった。
開始2分に北村ほのか、9分に中西茉里奈がゴールを奪うと、後半にも太田凪砂、蔵田あかりが追加点。オルカが4-0で快勝し、ホームで価値ある勝ち点3を積み上げた。
一方、なでしこリーグ1部初挑戦のVONDS市原FCレディースは開幕7連敗。苦しい状況が続いているが、終盤には決定機も作り、攻撃面では可能性を感じさせる場面もあった。
白熱した千葉ダービーを振り返ります。
注目ポイント
- なでしこリーグ1部で初めて実現した千葉ダービー
- 前節、後半アディショナルタイムに同点ゴールを許したオルカ鴨川FCが、今節こそホームで勝利を挙げられるか
- 開幕から勝利がないVONDS市原FCレディースが、千葉ダービーでなでしこリーグ1部初勝利をつかめるか
試合情報
| オルカ鴨川FC | オルカ鴨川FC |
|---|---|
| 4 | 0 |
| 2分 北村 ほのか 9分 中西 茉里奈 55分 太田 凪砂 60分 蔵田 あかり |
| 会場 | ワタレイスタジアム(鴨川市陸上競技場)(千葉県) |
| 観客数 | 613人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
オルカ鴨川FC
11河野有希が今季初先発。河野がFWに入り、#22北村ほのかは右サイドに位置した。#10アルマ・デービスもメンバー入りした。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 米澤 萌香 | |
| DF | 23 | 安東 美那 | 85▼ |
| DF | 4 | 松尾 菜月 | |
| DF | 3 | 月東 優季乃 | |
| DF | 29 | 中西 茉里奈 | 72▼ |
| MF | 22 | 北村 ほのか | 62▼ |
| MF | 5 | 浅野 綾花 (Cap.) | |
| MF | 25 | 齊藤 桃花 | 72▼ |
| MF | 14 | 蔵田 あかり | |
| FW | 11 | 河野 有希 | 72▼ |
| FW | 19 | 太田 凪砂 | |
| 控え | |||
| GK | 26 | 力丸 里保 | |
| DF | 2 | 吉田 紫穂 | 85▲ |
| DF | 17 | 越路 萌永 | 72▲ |
| MF | 7 | 並木 千夏 | 72▲ |
| FW | 10 | アルマ デービス | 72▲ |
| FW | 18 | 松本 はな | |
| FW | 24 | 江藤 里桜奈 | 62▲ |
| 監督: 石田 学 | |||
VONDS市原FCレディース
VONDS市原FCレディースは3バックを採用。スピードのある#13玉田愛理、#24増原遥花が両サイドに入り、#5小田川真奈と#9宮本春花がボランチ、トップ下には#10櫻庭琴乃が入った。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 山田 二千華 | |
| DF | 2 | 小堀 菜緒 | |
| DF | 11 | 村上 賀梨 (Cap.) | |
| DF | 17 | 板倉 瑞穂 | 66▼ |
| MF | 24 | 増原 遥花 | 80▼ |
| MF | 10 | 櫻庭 琴乃 | |
| MF | 5 | 小田川 真奈 | |
| MF | 9 | 宮本 春花 | 70▼ |
| MF | 13 | 玉田 愛理 | 66▼ |
| FW | 18 | 増田 沙美亜 | 70▼ |
| FW | 28 | 中村 円香 | |
| 控え | |||
| GK | 31 | 佐藤 瑠美奈 | |
| DF | 3 | 多崎 真琴 | |
| DF | 22 | 鈴木 菜々海 | 66▲ |
| MF | 8 | 石井 彩千香 | 66▲ |
| MF | 14 | 齊藤 綾音 | 70▲ |
| MF | 27 | 木須 みそら | 70▲ |
| FW | 20 | 高山 杏々葉 | 80▲ |
| 監督: 落合 恵 | |||
試合展開
開始9分で2得点 オルカが一気に主導権を握る
試合は立ち上がりからホームのオルカが動かした。
開始2分、左サイドへ抜け出した今季初先発の#11河野有希が、#14蔵田あかりからのスルーパスを受けて一気に加速。河野のクロスに、ファーサイドで待っていた#22北村ほのかが反応し、得意の左足でダイレクトボレーを叩き込んだ。
北村の今季2得点目で、オルカが早々に先制する。
さらに9分、GK#1米澤萌香のロングフィードが左サイドでフリーになっていた#14蔵田あかりへ通る。蔵田のマイナスのクロスは一度ブロックされたが、こぼれ球に反応した#29中西茉里奈が右足を振り抜く。シュートは相手DFに当たってコースが変わり、そのままゴールネットを揺らした。
中西はこれがなでしこリーグ初ゴール。オルカは開始9分で2点のリードを奪い、試合を大きく優位に進めることになった。
VONDSはサイドから反撃も、オルカの守備を崩し切れず
早い時間帯に2点を追う展開となったVONDSは、#13玉田愛理、#24増原遥花の両サイド、そして#10櫻庭琴乃を中心に反撃を試みた。
何度かオルカ陣内に押し込む場面はあったが、オルカの守備陣形が整った状態での攻撃が多く、フィニッシュの精度や崩しの迫力はやや物足りなかった。
一方のオルカは、後方からのフィードを#19太田凪砂や#22北村ほのかが前線で収め、少ない手数でゴールへ迫る。太田のフィジカルとポストプレー、河野の裏抜け、北村と蔵田の運動量が噛み合い、VONDSに何度も危険な場面を作った。
前半はオルカが2-0とリードして折り返す。
太田凪砂の高さ、蔵田あかりのスピードが追加点を生む
後半に入ると、VONDSは最終ラインを高く設定し、まず1点を返しにいく姿勢を強めた。
しかし、その高いラインの背後をオルカが逃さなかった。スピードのある蔵田と河野が背後を狙い続け、VONDSを押し込んでいく。
55分、オルカが追加点を奪う。サイドからのクロスは一度跳ね返されたが、#29中西茉里奈が再びクロスを供給。これに#19太田凪砂がヘディングで合わせ、スコアを3-0とした。
中西はこの日1ゴール1アシストの活躍。太田も今季3得点目を記録した。
蔵田あかりが仕上げの4点目 狙い続けた形が結実
3点差となり、VONDSはさらに攻めに出る。しかし、次に得点したのもオルカだった。
60分、スローインの流れから#19太田凪砂がボールをつなぐと、この日何度も左サイドを突破していた#14蔵田あかりが反応。背後へ抜け出し、左足のワンタッチで冷静に流し込んだ。
蔵田はこれで今季3得点目。前半から狙い続けていた左サイドの背後攻略が、4点目という形で実を結んだ。
終盤はVONDSも決定機 米澤萌香がクリーンシートを守る
その後は両チームが選手交代を行い、運動量と強度の維持を図った。
オルカでは#10アルマ・デービスが圧倒的なフィジカルと縦への推進力を見せ、#24江藤里桜奈もスピードと積極性を発揮した。試合終盤にかけても、オルカは追加点を狙う姿勢を失わなかった。
一方のVONDSも、試合終了間際に立て続けに決定機を迎える。しかし、オルカGK#1米澤萌香がゴールマウスを死守。最後まで集中を切らさず、4-0のクリーンシートで試合を締めくくった。
オルカ鴨川FCが、初の千葉ダービーを快勝で制した。
総括
もう少し堅い入りになるかと思われた千葉ダービーだったが、オルカは開始2分の北村ほのかのボレーをきっかけに、一気に試合の主導権を握った。
オルカ鴨川FC
開始9分までに2得点を挙げたことで、試合運びはかなり楽になった。VONDSも時折迫力ある攻撃を見せたが、オルカの守備陣は集中を切らさず、90分を通して安定した対応を見せた。4得点以上に、無失点で終えたことも大きな収穫だった。
今季2度目の4-0勝利は、いずれも下位相手ではある。ただ、昨季と比べると、選手層の強化と戦術面の整理が進んでいることは明らかだ。
昨季のオルカは深刻な得点力不足に苦しみ、アルマ・デービスや上田麻莉の個人技に頼る場面が多かった。しかし今季は、チーム全体で相手ゴールへ迫る形が増えている。
前線では、ルーキーながら一気に主力となった太田凪砂が強さと高さを発揮。長いリハビリを経て復帰した北村ほのかも、攻撃に迫力を加えている。サイドには蔵田あかり、河野有希、江藤里桜奈とスピードのある選手が揃い、相手の背後を突く攻撃にも厚みが出てきた。
中盤では浅野綾花、齊藤桃花に加え、並木千夏も含めて強度と運動量がある。最終ラインは松尾菜月と月東優季乃の安定感に加え、吉田紫穂の高さ、中西茉里奈の運動量もチームに上積みをもたらしている。
昨季の攻撃の軸だった上田麻莉が戦列を離れている中でも、相手に脅威を与えられる選手が増えている。石田監督のもと、試合を重ねるごとに選手同士の連係や戦術理解も深まっている印象だ。
もともと守備に定評のあるチームに、攻撃力が加わりつつある。もちろん、静岡SSUボニータやヴィアマテラス宮崎といった上位陣との差はまだある。それでも、昨季から見れば見違えるチームになっている。
一方で、オルカは基本的にビルドアップを大切にするチームでもある。強度の高いプレスを受けたときに、どのように相手を剥がすか。どこに出口を作るか。この部分は引き続き課題になるだろう。
それでも、この日の4-0は、攻守両面でチームの成長を示す快勝だった。
VONDS市原FCレディース
VONDS市原FCレディースは、試合開始早々に2点のビハインドを背負う苦しい展開となった。
この日は3-5-2を採用し、中盤の人数では優位を作れる配置だった。特に#13玉田愛理と#24増原遥花は比較的高い位置を取り、サイドからオルカの最終ラインを牽制していた。右サイドの増原が高い位置を取ることで、オルカのラインの押し上げを抑えようとする意図も見えた。
ただ、その一方で3バックの両脇には大きなスペースが生まれていた。特に増原の背後には広いスペースがあり、オルカ左サイドの#14蔵田あかりがそこを何度も狙っていた。結果的に、その形からオルカに多くのチャンスを作られており、試合中にもう少し戦術的な修正が欲しかった。
攻撃面では、#10櫻庭琴乃の存在感が際立っていた。ボールを持つと簡単には失わず、次のプレーへつなげる力がある。玉田、増原のスピードあるサイド攻撃、宮本春花の果敢な攻撃参加も含め、随所に可能性は見えた。
ただ、やはり中盤の守備強度には課題が残る。相手に余裕を持って前進される場面が多く、オルカの前線に簡単にボールが入ってしまった。中盤で奪える回数が増えれば、櫻庭を起点にしたサイド攻撃もより活きるはずだ。
これで開幕7連敗。まだトンネルの出口は見えていない。しかし、攻撃に特徴を持った選手はいる。だからこそ、まずは中盤の強度を上げて失点機会を減らし、前線の選手たちが良い状態でボールを受けられる時間を増やしたい。
苦しい状況ではあるが、浮上のきっかけをつかむためにも、課題を一つずつ整理して前に進んでほしい。
順位表
第7節を終えて、オルカ鴨川FCは5位、VONDS市原FCレディースは12位となった。
| 順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡SSUボニータ | 17 | 7 | 5 | 2 | 0 | 24 | 3 | +21 |
| 2 | ヴィアマテラス宮崎 | 17 | 7 | 5 | 2 | 0 | 17 | 8 | +9 |
| 3 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 12 | 7 | 3 | 3 | 1 | 13 | 10 | +3 |
| 4 | 伊賀FCくノ一三重 | 12 | 7 | 3 | 3 | 1 | 8 | 6 | +2 |
| 5 | オルカ鴨川FC | 11 | 7 | 3 | 2 | 2 | 12 | 5 | +7 |
| 6 | 岡山湯郷Belle | 11 | 7 | 3 | 2 | 2 | 11 | 12 | -1 |
| 7 | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 8 | 7 | 2 | 2 | 3 | 11 | 13 | -2 |
| 8 | 愛媛FCレディース | 8 | 7 | 2 | 2 | 3 | 9 | 14 | -5 |
| 9 | スフィーダ世田谷FC | 7 | 7 | 2 | 1 | 4 | 15 | 17 | -2 |
| 10 | 日体大SMG横浜 | 7 | 7 | 2 | 1 | 4 | 11 | 23 | -12 |
| 11 | ASハリマアルビオン | 5 | 7 | 1 | 2 | 4 | 8 | 11 | -3 |
| 12 | VONDS市原FCレディース | 0 | 7 | 0 | 0 | 7 | 3 | 20 | -17 |
次節、オルカ鴨川FCは昨季王者で現在3位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋とのアウェー戦に臨む。
ここで勝利できれば、上位争いに食い込む可能性が高まる大きな一勝となる。今回のように前線の強さとサイドのスピードを活かしつつ、名古屋のビルドアップに対してどこまで圧力をかけられるかがポイントになりそうだ。
一方のVONDS市原FCレディースは、アウェーでスフィーダ世田谷FCと対戦する。開幕から苦しい戦いが続いているが、攻撃面には可能性もある。まずは守備の整理と中盤の強度を高め、浮上のきっかけとなる1勝を目指したい。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第7節全試合ハイライト動画
公式記録


