【試合レビュー】朝日インテック・ラブリッジ名古屋が8発大勝 日体大SMG横浜は守備再建が急務に|2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節

試合レビュー

3連敗中で10位の日体大SMG横浜が、前節はオルカ鴨川FCを相手に主導権を握りながらも引き分けに終わった4位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋をホームに迎えた一戦。

立ち上がりこそ、日体大SMG横浜が前線のスピードを生かして名古屋ゴールに迫る場面を作った。しかし、11分の先制点を境に試合の流れは大きく傾く。名古屋は仁木愛実の2得点を皮切りに、セットプレー、サイド攻撃、カウンター、ミドルシュートと多彩な形で得点を重ね、終わってみれば8-0の大勝となった。

日体大SMG横浜にとっては、守備組織の再構築が急務であることを突きつけられた試合。対する名古屋は、首位追走へ向けて取りこぼしたくない相手に対し、確実に勝ち点3を積み上げた。

この記事の要点

  • 朝日インテック・ラブリッジ名古屋が8得点の大勝。仁木愛実、上田真子、藤原愛里がそれぞれ2得点を挙げた
  • 日体大SMG横浜は立ち上がりに可能性を見せたものの、先制点以降は守備の緩さが露呈
  • 名古屋は交代選手も結果を残し、次節の静岡SSUボニータ戦へ向けて勢いをつけた

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節

日体大SMG横浜朝日インテック・ラブリッジ名古屋
8
11分 仁木 愛実
26分 仁木 愛実
40分 橘 麗衣
63分 上田 真子
69分 上田 真子
78分 藤原 愛里
85分 中村 友香
87分 藤原 愛里
会場ニッパツ三ツ沢球技場(神奈川県)
観客数310人

日体大SMG横浜

リザーブ登録は4人のみ。チーム事情の厳しさも感じさせるメンバー構成となった。

PosNo.氏名交代
GK1福田 はな
DF3内村 心優
DF4菅原 眞名 (Cap.)
DF25中野 梨緒
DF17鈴木 温子
MF7髙橋 光莉71▼
MF29横濱 桃杏
MF10本田 悠良
MF2藤澤 和心
FW11浅香 美結71▼
FW9柴原 希保
控え
GK19林 心春
MF26今野 真帆
FW16鬼頭 こはな71▲
FW24安部 美琴71▲
監督: 嶋田 千秋

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

PosNo.氏名交代
GK16流川 桐佳
DF24角田 菜々子
DF10橘 麗衣 (Cap.)
DF17堀内 意
DF2夏目 歩実
MF14上田 真子72▼
MF5安部 由希子81▼
MF21大場 柚季72▼
MF8渕上 野乃佳
FW13仁木 愛実56▼
FW9水野 亜美56▼
控え
GK1横山 野ノ香
DF25河合 野乃子72▲
MF11藤原 愛里56▲
MF15中村 友香72▲
MF20増永 朱里56▲
MF26長谷原 彩音81▲
MF28永田 晶子
監督: 磯村 健

試合展開

立ち上がりは日体大、しかし流れを変えた名古屋の落ち着き

試合の入りは、日体大SMG横浜にも狙いが見えた。高いラインを設定し、前線の#11浅香美結、#9柴原希保のスピードを生かして名古屋の背後を狙う。名古屋の最終ラインも、相手FWへの対応で一瞬整理がつかない場面があり、ホームチームが先に決定機の気配を漂わせた。

ただ、その時間帯は長く続かなかった。

流れを変えたのは、名古屋DF#24角田菜々子が自陣でボールを奪い、そのまま持ち上がってミドルシュートまで持ち込んだ場面だった。得点にはならなかったものの、名古屋が守備から攻撃へ切り替えるリズムを取り戻すきっかけになったように見えた。

以降、名古屋は最終ラインから落ち着いてボールを動かし、ピッチを広く使いながら前進。一方の日体大は、前線からのプレスも中盤の寄せも強度を保てず、名古屋に余裕を与えてしまった。

仁木愛実の2得点で試合の大勢が決まる

11分、名古屋が先制する。
左サイドバックの#2夏目歩実が#13仁木愛実へ縦パスを入れ、そこを起点に左サイドを崩す。最後は#8渕上野乃佳のクロスに仁木が頭で合わせ、名古屋が1点を先行した。

日体大はゴール前の人数自体は足りていた。しかし、クロスの出どころにも、ゴール前の仁木にも十分な圧力をかけられず、楽にヘディングを許してしまった。開幕節から見えていたゴール前の守備の緩さが、この場面でも表れた形だった。

26分には、セットプレーから名古屋が追加点を奪う。#5安部由希子の鋭いコーナーキックに、再び仁木が反応。日体大DFも身体を寄せてはいたが、高さと強さで上回られ、名古屋に2点目を許した。

この2点で、試合の流れはほぼ名古屋に傾いた。

日体大は失点後、反発する勢いをなかなか作れない。バックパスや最終ラインの横パスに対して名古屋が圧力をかけると、蹴らされるボールの精度が落ちる。名古屋はそのこぼれ球を回収し、再び攻撃へ移行する。ボールを持っても前進できず、守っても押し返せない。日体大にとっては苦しい展開が続いた。

橘麗衣の3点目が示した名古屋の完成度

40分、名古屋は3点目を奪う。
ボールを保持しながら出しどころを探し、日体大の守備を動かしてから前進。最後は#5安部由希子のシュート性のパスを、攻撃参加していたDF#10橘麗衣が見事にコントロールする。吸い付くようなトラップから相手をかわし、左足で冷静に流し込んだ。

この場面は、名古屋の完成度を象徴していた。
サイドからのクロス、セットプレーだけでなく、センターバックの攻撃参加まで得点に結びつける。単に日体大の守備が崩れたというより、名古屋が相手を動かし、空いた場所を使い、最後の質で上回った得点だった。

前半は0-3。日体大にとっては、立ち上がりの入り方が悪くなかっただけに、そこから試合をつなぎ止められなかったことが重くのしかかった。

後半も名古屋が強度を維持。交代選手も流れを加速させる

後半の入りも、日体大は前半と同じように高い位置から圧力をかけようとした。ボールを保持する時間もあり、何とか反撃の糸口を探したが、名古屋の守備は大きく崩れない。シュートで終わる場面を作れず、流れを引き戻すには至らなかった。

名古屋は56分に#9水野亜美と#14仁木愛実を下げ、#20増永朱里と#11藤原愛里を投入。この交代が、再び試合の流れを名古屋側へ引き寄せた。

特に増永の鋭いプレスは、日体大のビルドアップに大きな圧力をかけた。前線からの守備強度が上がったことで、日体大はさらに余裕を失い、名古屋が高い位置で攻撃を始める場面が増えていく。

63分には、増永からパスを受けた#14上田真子がDFを振り切り、左足でミドルシュート。狙い澄ました一撃が決まり、名古屋が4点目を奪った。
さらに69分、カウンターから増永が左サイドを抜け出し、上田がフィニッシュに絡む。シュートはやや当たり損ねた形になったが、日体大GKのキャッチミスを誘い、名古屋に5点目が生まれた。名古屋にとっては、勢いも運も味方につけた時間帯だった。

終盤は名古屋の層の厚さが得点に直結

終盤に入っても、名古屋の攻撃の手は緩まなかった。
78分には、コーナーキックからファーサイドの橘がヘディング。GKが弾いたところを#11藤原愛里が押し込み、6点目を奪う。橘、藤原ともにフリーで対応しており、日体大としてはセットプレー守備の課題が再び表れた失点だった。

85分には、日体大の横パスを中盤で奪った名古屋が一気に前進。途中出場の#15中村友香が豪快なミドルシュートを叩き込み、7点目。さらに87分には、#26長谷原彩音、#15中村友香、#24角田菜々子が右サイドを細かいパスワークで崩し、最後は#11藤原愛里がGKの頭上を越すループシュートで締めくくった。

8-0。

映像で見る限り、点差通りに両チームの完成度、強度、判断の速さに大きな差があった試合だった。

総括

ともに低い位置からのビルドアップを志向するチームだったが、この試合では完成度に明確な差が出た。前進の精度、切り替えの速さ、球際の強度、ゴール前での対応。そのすべてで名古屋が上回った。

日体大SMG横浜

日体大SMG横浜は、監督が掲げる「超攻撃的なサッカー」をこの試合では体現できなかった。
狙い自体は見えた。ボールを保持し、ビルドアップから前進し、スピードのある前線を生かして相手の背後を取る。そうした方向性は、立ち上がりの数分間には表れていた。

しかし、そのサッカーを成立させるための精度、強度、チーム全体の完成度が足りなかった。ビルドアップは名古屋のプレスに対して安定せず、前線の選手が中盤まで下がって組み立てを助ける場面も多くはない。守備では、クロス対応、セットプレー、横パスのリスク管理、失点後の立て直しに課題が出た。

特に深刻なのは、攻撃的なスタイルを掲げながら、公式記録上のシュート数がわずか2本にとどまったことだ。大量失点をしても点の取り合いに持ち込めるなら、まだ「超攻撃的」という方向性の中で整理できる。しかし、この試合では守れず、攻め切れず、試合の主導権も握れなかった。

第9節終了時点で4連敗。失点が続いている状況を考えても、まずは守備の再構築が急務だろう。前から奪いに行くのか、ブロックを作って守るのか。攻撃的に戦うにしても、守備の基準が曖昧なままでは、同じような展開に陥りかねない。

次節以降、岡山湯郷Belle、伊賀FCくノ一三重と力のある相手との対戦が続く。理想のサッカーを掲げるだけでなく、試合を壊さないための現実的な選択肢も必要になっている。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

朝日インテック・ラブリッジ名古屋にとっては、取りこぼしたくない相手に対して、確実に勝ち切った試合だった。
8得点という結果だけでなく、得点の形が多彩だったことも大きい。サイド攻撃、セットプレー、センターバックの攻撃参加、前線からのプレス、カウンター、ミドルシュート。相手の隙を突くだけでなく、自分たちの強みを複数の形で得点に結びつけた。

さらに、交代選手が結果を残した点も大きい。増永朱里は前線からのプレスで流れを変え、藤原愛里は2得点。中村友香も豪快なミドルシュートを決めた。先発だけでなく、ベンチメンバーを含めたチーム全体の層の厚さが、終盤の得点ラッシュにつながった。

個人的に印象的だったのは、渕上野乃佳の存在感だ。ボランチの位置で守備強度を保ちつつ、奪った後に短い距離をドリブルで持ち上がり、名古屋の前進にスイッチを入れていた。得点者だけでなく、中盤で試合の流れを整える選手の働きも、名古屋の安定感を支えていた。

一方で、完全な試合だったわけではない。前半開始直後、後半開始直後には、低い位置での横パスを狙われる場面があった。名古屋は試合の入りでややスロースターター気味になる時間帯があり、そこを強度の高い相手に突かれた場合はリスクになり得る。
それでも、この試合ではその時間帯を乗り切った後の安定感が際立った。次節は首位・静岡SSUボニータとの上位対決。リーグ2連覇の可能性をつなぐためにも、名古屋にとって大きな意味を持つ一戦になる。

順位表

第9節全試合終了まち

次節に向けて

日体大SMG横浜は、アウェイで岡山湯郷Belleと対戦する。まず必要なのは守備の整理だろう。攻撃的なサッカーを目指すとしても、試合の土台となる守備が整わなければ、前線の良さを生かす時間すら作れない。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、ホームで首位・静岡SSUボニータを迎える。今節の大勝で勢いは得た。ただし、静岡は決定力と攻撃の迫力を備えた相手。低い位置でのボールロストや立ち上がりの隙を減らし、名古屋らしい強固な守備と試合運びで上位対決に臨みたい。

リソース

フルマッチLIVE配信

第9節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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