【試合レビュー】静岡SSUボニータ、宮崎戦に続く上位対決を制す 岡山湯郷Belleは粘るも4失点敗戦|2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節

試合レビュー

前節、ヴィアマテラス宮崎との首位攻防戦を制した静岡SSUボニータが、今節は3位の岡山湯郷Belleをホームに迎えた。静岡にとっては、2試合続けて上位陣と対戦する重要な一戦。湯郷にとっても、首位相手に現在地を測る試合となった。

結果は静岡SSUボニータが4-0で勝利。スコアだけを見れば静岡の完勝だが、試合内容は一方的なものではなかった。湯郷はコンパクトな守備とパスワークを使った前進で持ち味を見せ、特に流れの中では静岡を簡単には崩させなかった。

それでも、静岡はセットプレーで前半に2点を奪い、後半には交代選手のゴールも含めて試合を決定づけた。湯郷の粘りを上回った静岡の決定力と、首位チームとしての完成度が際立った一戦を振り返る。

この記事の要点

  • 静岡SSUボニータは前半のセットプレー2発で試合の主導権を握り、後半も決定力を発揮して4-0で勝利。
  • 岡山湯郷Belleはコンパクトな守備とパスワークを使った前進で持ち味を見せたが、最後の崩しと決定機創出に課題を残した。
  • 静岡は宮崎、湯郷との上位対決を連勝。攻守の完成度と選手層の厚さを示し、首位固めに成功した。

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節

静岡SSUボニータ岡山湯郷Belle
40
16分 彦坂 桃花
43分 横山 久美
78分 中島 咲友菜
80分 高島 絢音
会場磐田スポーツ交流の里ゆめりあ球技場(静岡県)
観客数484人

静岡SSUボニータ

PosNo.氏名交代
GK21田谷 春海
DF3彦坂 桃花
DF5服部 花音
DF17櫻田 彩乃
DF22上西 可奈子
MF6万力 安純86▼
MF7高島 絢音
MF8三輪 玲奈
MF11大曽根 由乃65▼
MF15岸野 早奈77▼
FW10横山 久美 (Cap.)
控え
GK1水口 茉優
DF2白井 未来86▲
DF4青葉 結衣77▲
MF9中島 咲友菜65▲
MF14渡邉 琉那
MF23山本 香月
FW16藤田 桃加
監督: 本田 美登里

岡山湯郷Belle

PosNo.氏名交代
GK34三田 一紗代 (Cap.)
DF19沖田 有由65▼
DF20岸波 優妃
DF4今野 瞳
DF14塩谷 瑠南
MF7山下 沙耶香82▼
MF17新谷 楓華
MF30松崎 こころ65▼
MF10中野 琴音
FW23国吉 花吏埜33▼
FW24岸波 美采
控え
GK1福元 美穂
DF2森 宙舞82▲
DF18村上 夏奈瀬82▲
MF3梶山 朋恵65▲
MF25香椎 彩香33▲
FW21寺尾 星奈65▲82▼
監督: 和多田 充寿

試合展開

立ち上がりは湯郷も応戦、静岡は前線から圧力をかける

試合の立ち上がりは、スコアほど一方的な展開ではなかった。
岡山湯郷Belleは低い位置からボールをつなぎ、ビルドアップで前進しようとした。静岡SSUボニータはそこに対して前線から強く圧力をかけ、バックパスや横パスに対して素早く距離を詰めていく。湯郷の最終ラインは落ち着いてつなぎたい一方で、静岡のプレスを受けて安定しきれない場面もあった。

ただ、湯郷も簡単には押し込まれなかった。中盤では#17新谷楓華を中心に強度高く対応し、最終ラインもコンパクトな陣形を保った。静岡の強力なサイド攻撃や前線の迫力に対して、湯郷は前後の距離感を崩さず、奪ってから静岡陣内へ進入する場面も作っていた。

試合を動かしたのは横山久美のキックと彦坂桃花の反応

均衡を破ったのはセットプレーだった。
16分、静岡はフリーキックを獲得。#10横山久美が蹴ったボールは、湯郷のディフェンスラインとGKの間に落ちる絶妙な軌道を描いた。湯郷GK三田一紗代が前に出て対応しようとしたが、その前に#3彦坂桃花が素早く反応。頭で合わせたボールがゴールネットを揺らし、静岡が先制した。

流れの中で湯郷が大きく崩されていたわけではない。だからこそ、この先制点は静岡にとって非常に大きかった。守備の形を整えていた湯郷に対し、セットプレーという別の局面からこじ開けた得点だった。

湯郷は崩れず応戦、しかし横山久美の直接FKが重くのしかかる

先制を許した湯郷だったが、すぐに大きく崩れることはなかった。
セカンドボールへの反応は悪くなく、中盤と最終ラインの距離感も保たれていた。攻撃では、複数人が近い距離で関わり、細かいパス交換からサイドへ展開する形も見られた。湯郷らしい前進の形は、限定的ながら確かに出ていた。

ただ、静岡の切り替えの速さは大きな脅威だった。湯郷が後方に戻した瞬間、静岡は一気に距離を詰める。奪った後の攻撃への移行も速く、湯郷は良い形でボールを動かせても、最後まで静岡の圧力から完全には逃れきれなかった。
それでも、湯郷の守備は流れの中ではよく整理されていた。静岡に簡単なシュートを許さず、球際でも粘り強く対応していた。

しかし43分、再び静岡がセットプレーで突き放す。ペナルティエリア手前、ほぼ正面の位置で#10横山久美がファウルを受けてフリーキックを獲得すると、横山自らキッカーを務めた。鋭く、正確なキックがゴールへ吸い込まれ、静岡が2-0とリードを広げる。

湯郷にとっては、前半の内容を考えると痛すぎる2失点だった。守備組織は一定の成果を出していたが、静岡はその守備をセットプレーで上回った。前半は2-0で静岡がリードして折り返した。

後半も湯郷は前進の形を作るが、静岡の守備は崩れない

後半に入っても、湯郷はコンパクトな守備を維持した。前線の選手たちもプレスバックを怠らず、静岡に簡単な前進を許さない姿勢を見せた。

攻撃面でも、湯郷はただ押し込まれるだけではなかった。比較的高い位置でボールを動かし、長短のパスを使い分けながら相手を揺さぶる。サイドで人数をかけ、クロスまで持ち込む場面もあった。特に後半は、静岡のプレスをパスワークで受け流す場面も増え、湯郷が目指す形は見えていた。

しかし、そこから先が遠かった。
静岡の守備は最後の局面で崩れない。クロスを上げられても中央で跳ね返し、ペナルティエリア内で決定的なシュートを打たせない。湯郷は前進まではできても、決定機と呼べる場面を作るところまではなかなか届かなかった。

中島咲友菜の一撃、高島絢音の追加点で勝負あり

試合を決定づけたのは、静岡の交代選手だった。

78分、途中出場の#9中島咲友菜が中盤でボールを受けると、思い切ってロングシュートを放つ。ボールは湯郷GKの手が届かないコースへ飛び、静岡が3点目を奪った。

さらにその2分後、前に出るしかなくなった湯郷の背後を静岡が突く。高いラインをカバーしようと飛び出したGKをかわし、#7高島絢音が無人のゴールへ流し込んだ。これで4-0。

湯郷は最後まで戦う姿勢を見せたが、前半のセットプレー2発に加え、後半の2ゴールで静岡が勝負を決めた。守備の粘り、攻撃の形を見せた湯郷に対し、静岡は決定機を逃さず得点に変えた。その差がスコアに表れた試合だった。

総括

4-0というスコアだけを見れば、静岡SSUボニータの快勝である。ただし、試合内容を振り返ると、静岡にとって決して楽な90分ではなかった。

岡山湯郷Belleの守備はよく整理されていた。中盤と最終ラインの距離感を保ち、前後で挟み込んで奪う形も見えた。流れの中では、静岡を簡単に前進させず、シュート数も大きく増やさせなかった。

それでも、静岡はセットプレーで前半に2点を奪った。ここが試合の最大の分岐点だった。湯郷が守備で粘っていた時間帯に、横山久美のキックと彦坂桃花の反応で先制し、さらに横山久美の直接FKで追加点を奪う。相手が守れている時間帯でも得点できる力は、首位チームの大きな強みである。

後半は湯郷も攻撃の形を出したが、静岡の守備は決定機を許さなかった。そして終盤には中島咲友菜、高島絢音が得点。交代選手を含めた選手層の厚さ、少ないチャンスを得点に変える決定力が際立った。

湯郷にとっては悔しい敗戦だが、内容すべてが悪かったわけではない。むしろ、守備の整理、パスワークで相手のプレスを受け流しながらサイドを使って前進できた場面には、チームとして積み上げているものが見えた。課題は、前進した後の最後の崩しと、得点に結びつける質である。

静岡は2位・宮崎、3位・湯郷との上位対決を連勝。首位を走るチームとして、攻守の完成度と勝ち切る力を改めて示した。

静岡SSUボニータ

静岡SSUボニータは、湯郷に研究されていた試合だったと思う。
湯郷はコンパクトな守備で中央を締め、静岡の前進を簡単には許さなかった。球際でも粘り強く対応し、静岡が流れの中で自由に崩し切る場面は多くなかった。

それでも、静岡は4得点を奪った。前半にセットプレーで2点を先取できたことが大きい。特に横山久美のキック精度は、試合の流れを変えるだけの威力があった。崩し切れない時間帯でも、セットプレーで得点できる。これは上位を争ううえで非常に大きな武器である。

守備面でも、前節の宮崎戦に続いて安定感を見せた。選手個々の能力の高さはもちろんだが、全員が攻撃にも守備にもよく走る。前線の選手もプレスバックを怠らず、ボールを失った後の切り替えも速い。

公式記録上、静岡はシュート7本で4得点。決定力の高さが際立つ数字である。少ないチャンスでも仕留める力、守備で大崩れしない安定感、そして交代選手が結果を出す選手層。首位を走る理由がよく表れた試合だった。

岡山湯郷Belle

岡山湯郷Belleは4失点で敗れたが、内容面では評価できる部分も多かった。

守備では、陣形をコンパクトに保ち、静岡の前進を簡単には許さなかった。中盤と最終ラインの距離感を保ち、前後で挟んで奪う形も見えた。特に流れの中では、静岡に簡単な決定機を作らせない時間帯があった。

攻撃面でも、後半は静岡のプレスをパスワークで受け流し、サイドから前進する場面を作った。複数人が近い距離で関わり、サイドからクロスを上げる形までは持ち込めていた。

ただし、課題はその先にある。前進した後、どうやって決定機までつなげるか。クロスを上げるだけでなく、ペナルティエリア内で相手守備を動かし、シュートを打ち切る形を増やせるか。静岡のような堅い相手に勝ち点を取るためには、最後の崩しとフィニッシュの質が問われる。

また、静岡の攻撃の出足を遅らせるためには、前線からのプレスでもう少し相手に制限をかけたかった。静岡は奪った後の切り替えが速く、湯郷は守備の形を整えていても、一瞬の対応で後手に回る場面があった。

個人では、#24岸波美采のスピードとプレスバック、#17新谷楓華の強さと展開力、#14塩谷瑠南の攻撃参加が印象に残った。強敵相手に点差をつけられた敗戦ではあるが、チームとして積み上げているものは見えた試合だった。

順位表

第9節終了時点で、静岡SSUボニータは首位をキープ。岡山湯郷Belleは、上位から中位にかけてのチームが勝ち点を積み上げた影響もあり、3位から7位へ順位を下げた。

静岡は2位・宮崎、3位・湯郷との直接対決を連勝し、首位としての立場をより強固なものにした。一方の湯郷は、勝ち点14で複数チームが並ぶ混戦の中に入った。順位こそ下げたが、上位争いから大きく離されたわけではない。次節以降、勝ち点を取り戻せるかが重要になる。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数勝分負得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ239720293+26
2(2)ヴィアマテラス宮崎209621209+11
3(4)朝日インテック・ラブリッジ名古屋1694412211+11
4(5)オルカ鴨川FC159432146+8
5(6)伊賀FCくノ一三重159432108+2
6(7)ニッパツ横浜FCシーガルズ1494231814+4
7(3)岡山湯郷Belle1494231317-4
8(8)スフィーダ世田谷FC1093151718-1
9(9)愛媛FCレディース992341018-8
10(10)日体大SMG横浜792161234-22
11(11)ASハリマアルビオン69135913-4
12(12)VONDS市原FCレディース09009326-23

次節に向けて

次節、静岡SSUボニータはアウェーで朝日インテック・ラブリッジ名古屋と対戦する。今節の名古屋は日体大SMG横浜を相手に8得点を挙げて大勝しており、勢いに乗る昨季王者との上位対決となる。静岡にとっては、首位の強さをさらに示すための大きな一戦だ。

岡山湯郷Belleはホームで日体大SMG横浜と対戦する。日体大SMG横浜も低い位置からのビルドアップを志向するチームであり、湯郷にとっては自分たちの完成度を示したい試合になる。静岡戦で見えた前進の形を、次はゴールと勝ち点につなげられるか。上位争いに踏みとどまるためにも、重要なホームゲームとなる。

リソース

フルマッチLIVE配信

第9節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック