前半戦の最終節、6位のニッパツ横浜FCシーガルズは、ホームのニッパツ三ツ沢球技場に11位のASハリマアルビオンを迎えた。
ニッパツにとっては、勝利で前半戦を締めくくり、上位進出への足場を固めたい一戦。一方のハリマは、開幕節以降勝利から遠ざかっており、苦しい前半戦を過ごしてきた。だからこそ、この試合で勝ち点3を持ち帰れるかどうかは、後半戦に向けた意味でも大きかった。
試合は、立ち上がりこそニッパツが前への勢いを見せたものの、ハリマが粘り強く耐えながら徐々に押し返す展開となった。後半、ニッパツのビルドアップのミスを逃さず千葉園子が先制点を奪うと、さらにコーナーキックから井上麗叶が追加点。守っても最後まで集中を切らさなかったハリマが、2-0で開幕節以来の勝利を挙げた。
この記事の要点
- ハリマは序盤のニッパツの勢いを無失点でしのぎ、中盤以降は前線の献身性とロングフィードを生かして流れを押し戻した
- ニッパツは前半の決定機を生かせず、後半はビルドアップのミスから失点。縦への推進力と保持の安定感を両立できなかった
- 千葉園子が攻守に存在感を発揮し、先制点を記録。ハリマは守備の粘りとセットプレーの決定力で後半戦につながる大きな勝利を手にした。
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ11部 第N節
| ニッパツ横浜FCシーガルズ | ASハリマアルビオン |
|---|---|
| 0 | 2 |
| 57分 千葉 園子 68分 井上 麗叶 |
| 会場 | ニッパツ三ツ沢球技場(神奈川県) |
| 観客数 | 1,235人 |
ニッパツ横浜FCシーガルズ
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 21 | 大久保 つくし | |
| DF | 31 | 俣野 佑果 | |
| DF | 15 | 渋谷 巴菜 | |
| DF | 4 | 中居 未来 (Cap.) | |
| MF | 25 | 松尾 由帆 | 84▼ |
| MF | 11 | 岡 百々花 | 67▼ |
| MF | 5 | 吉田 凪沙 | |
| MF | 14 | 田村 かのん | 67▼ |
| MF | 7 | 浦島 里紗 | 84▼ |
| FW | 6 | 權野 貴子 | 59▼ |
| FW | 10 | 室井 胡心 | |
| 控え | |||
| GK | 1 | 田中 翠 | |
| DF | 2 | 本多 実夏子 | 84▲ |
| MF | 9 | 矢野 梨紗 | 84▲ |
| MF | 20 | 村岡 由梨 | |
| MF | 22 | 加田 菜 | 67▲ |
| MF | 27 | 神立 美百合 | 67▲ |
| FW | 32 | 内田 光 | 59▲ |
| 監督: 山本 絵美 | |||
ASハリマアルビオン
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 41 | 小暮 千晶 | |
| DF | 4 | 阪中 澪 | 85▼ |
| DF | 5 | 小島 美玖 (Cap.) | 90+1▼ |
| DF | 6 | 佐々木 美悠 | |
| DF | 2 | 児玉 耀 | |
| MF | 8 | 小池 快 | |
| MF | 17 | 唐橋 万結 | 61▼ |
| MF | 18 | 阿部 文音 | HT▼ |
| FW | 9 | 川﨑 咲耶 | |
| FW | 10 | 千葉 園子 | |
| FW | 33 | 椎野 彩香 | 61▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 原田 実歩 | |
| DF | 19 | 高松 芹羽 | 85▲ |
| DF | 20 | 山口 歌子 | 90+1▲ |
| DF | 24 | 村田 かえで | 61▲ |
| MF | 25 | 鷹野 あかり | |
| FW | 13 | 今蔵 綾乃 | 61▲ |
| FW | 23 | 井上 麗叶 | HT▲ |
| 監督: 菅野 将晃 | |||
試合展開
序盤はニッパツが前へ、ハリマは耐える入り
立ち上がりはニッパツが積極的だった。ミドルシュートを早い時間帯から放ち、ハリマのビルドアップに対しても前線から圧力をかける。相手のバックパスや横パスに反応し、ボールを奪って一気にゴールへ向かう狙いが見えた。
特に#10室井胡心や#11岡百々花が前線で背後を狙う形は、ハリマにとって警戒すべきポイントだった。前へ蹴ればスピードで勝負できる選手がいるため、ニッパツはシンプルに相手最終ラインの裏を狙う場面も多かった。
一方のハリマは、序盤のニッパツの勢いに対して無理に前から出すぎず、まずは低い位置でブロックを作って対応した。押し込まれる時間はあったが、中央を簡単に割らせず、裏へのボールに対しても最終ラインが粘り強く対応。序盤を無失点で乗り切ったことが、この試合の大きな分岐点になった。
ハリマが中盤で押し返し、試合の流れを引き戻す
前半中盤以降は、ハリマが徐々に試合を落ち着かせていく。スローインやロングフィードを交えながら相手陣内へ前進し、ニッパツの最終ラインにも圧力をかけ始めた。
ニッパツは前線のスピードを生かす意識が強く、縦に速い攻撃を選ぶ場面が多かった。ただ、その分だけ中盤にスペースが生まれ、ハリマがセカンドボールを回収しやすい状況も作られていた。ハリマはハイボールの競り合いで優位に立つ場面を増やし、前半の途中からはゴールに近い位置でフィニッシュまで持ち込めるようになった。
ニッパツとしては、前半のうちに先制点を奪いたかった。室井のドリブル突破やミドルシュートなど、ゴールに迫る場面はあったが、最後の精度を欠いた。ハリマが粘り強く耐えたことで、試合は0-0のまま後半へ向かう。
後半、ビルドアップのミスを逃さなかったハリマ
後半に入ると、ニッパツは前半よりもビルドアップを重視する姿勢を見せた。縦に急ぐだけでなく、後方からボールを動かしながら前進しようとする意図はあった。
ただ、ハリマにとっては、単純な裏抜けを何度も狙われるよりも、中盤で勝負できる展開の方が戦いやすかった。前線の選手が献身的に戻り、ボールホルダーへ圧力をかけることで、ニッパツの前進を簡単には許さない。
そして57分、試合が動く。ニッパツのビルドアップのミスを突いたハリマが右サイドからチャンスを作ると、#4阪中澪のクロスに#10千葉園子が頭で合わせて先制。阪中のクロス、そして千葉のDFの間に入り込むポジショニングが見事で、限られたチャンスを確実に仕留めた。
ニッパツにとっては、相手の強烈なプレッシャーで完全に追い込まれたというより、自分たちの判断と技術の部分で生まれた失点だっただけに、悔いの残る場面だった。
セットプレーで突き放したハリマ、守備でも集中を切らさず
先制を許したニッパツは、選手交代を使いながら反撃に出る。しかし、次の得点もハリマだった。
68分、ハリマはコーナーキックから#23井上麗叶がヘディングで追加点。山なりの軌道を描いたボールはGKの届かないコースへ向かい、ハリマがリードを2点に広げた。
2点を追うニッパツは、終盤にかけてさらに前がかりになる。交代枠も使い切り、攻撃に人数をかけてゴールを目指した。ただ、ハリマの守備は最後まで崩れなかった。GK#41小暮千晶を中心に集中を保ち、ゴール前で粘り強く対応。ニッパツが1対1の局面でボールを失うと、素早くカウンターへ転じ、追加点の可能性も作った。
ニッパツもGK#21大久保つくしの好守で3点目は許さなかったが、最後まで1点を返すことはできず。試合は0-2で終了し、ASハリマアルビオンがアウェーで大きな勝利を手にした。
総括
ハリマにとっては、序盤の苦しい時間帯を無失点でしのいだことが勝利の土台になった。ニッパツの前線のスピードに対して慎重に対応しながら、徐々に中盤で戦える時間を増やし、相手の勢いを受け流した。
ニッパツは、前半の決定機を生かせなかったことに加え、後半のビルドアップのミスが重くのしかかった。前線にスピードのある選手をそろえているだけに、縦に速く攻める迫力はある。ただ、その攻撃が単発になったとき、中盤の空洞化やビルドアップ時の不安定さが表面化した。
ハリマは開幕節以来の勝利。前半戦の最後に、守備の粘り、前線の献身性、セットプレーの決定力がかみ合ったことは、後半戦に向けて大きな材料になるはずだ。
ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツは、前半の入り方自体は悪くなかった。積極的なミドルシュート、室井胡心のドリブル突破、岡百々花の背後への動きなど、相手を押し込むだけの勢いはあった。
ただ、ハリマ守備陣はニッパツの裏抜けに対してかなり注意を払っていた。室井や岡が完全に抜け出す場面は限られ、長い距離を走った後のラストパスやフィニッシュには精度面の難しさも出た。前半のチャンスを得点につなげられなかったことは、試合全体を見ても大きな痛手だった。
ビルドアップでは、田村かのんがセンターバック付近まで下りて組み立てに参加する形も見られた。しかし、その分だけ中盤にスペースが生まれ、サイドへ逃がしたところで奪われると、中央を使ったカウンターを受けやすくなっていた。
1失点目の場面は、相手のプレッシャーが極端に強かった状況ではなかっただけに、もったいない失点だった。縦への推進力を生かしながらも、後方からの前進をどう安定させるか。後半戦に向けて、攻撃の迫力とボール保持の安定感を両立させる必要があると感じられた。
ASハリマアルビオン
ハリマは、前半の入りで押し込まれながらも、耐えきったことが大きかった。ニッパツが前線へ速く蹴り込んでくる特徴を踏まえ、最終ラインは無理に押し上げすぎず、裏のスペースを管理した。
一方で、時間の経過とともに中盤で数的優位を作り、相手の攻撃を単発にしていった。前線の選手たちの献身的な守備、セカンドボールへの反応、切り替えの速さが、試合の流れを引き戻す要因になった。
攻撃では、佐々木美悠のロングフィードが効いていた。押し込まれていても一気に前進できるボールがあり、千葉園子が前線でしっかりと起点を作ることで、ハリマは守備一辺倒にならずに済んだ。
その千葉園子は、この日も攻守に存在感を示した。前半から少ないチャンスをシュートで終え、後半にはDFの間へ入り込んで先制点を記録。運動量、ポストプレー、ゴール前の入り方のいずれも、この試合の勝利に直結していた。
前半戦を勝利で終えられたことは、ハリマにとって非常に大きい。順位こそまだ下位にとどまるが、内容面でも結果面でも、後半戦に向けて前向きな材料を得た一戦だった。
順位表
第11節終了時点で、ニッパツ横浜FCシーガルズは6位、ASハリマアルビオンは11位。順位に変動はなかったが、ハリマにとっては停滞感を振り払う意味のある勝利となった。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 26 | 11 | 7 | 2 | 1 | 34 | 7 | +27 | |
| 2(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 24 | 11 | 7 | 3 | 1 | 23 | 10 | +13 | |
| 3(3) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 22 | 11 | 6 | 4 | 1 | 27 | 11 | +16 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 21 | 11 | 6 | 3 | 2 | 15 | 9 | +6 | |
| 5(4) | オルカ鴨川FC | 18 | 11 | 5 | 3 | 3 | 15 | 8 | +7 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 11 | 4 | 2 | 5 | 19 | 19 | 0 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 14 | 11 | 4 | 2 | 5 | 13 | 20 | -7 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 13 | 11 | 3 | 4 | 4 | 13 | 19 | -6 | |
| 9(9) | スフィーダ世田谷FC | 12 | 11 | 3 | 3 | 5 | 18 | 19 | -1 | |
| 10(10) | 日体大SMG横浜 | 10 | 10 | 3 | 1 | 7 | 13 | 37 | -24 | |
| 11(11) | ASハリマアルビオン | 9 | 11 | 2 | 3 | 6 | 11 | 14 | -3 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 11 | 0 | 0 | 11 | 5 | 33 | -28 |
次節に向けて
ニッパツ横浜FCシーガルズは、次節は岡山湯郷Belleとのアウェーゲームに臨む。開幕節では相手のビルドアップに後手を踏んで敗れており、今節で見えた中盤の空洞化やビルドアップの不安定さをどう修正するかが問われる。
ASハリマアルビオンは、ホームでVONDS市原FCレディースと対戦する。いわゆる裏天王山となるだけに、今節の勝利を単発で終わらせず、連勝につなげられるかが重要になる。開幕節に続いてVONDSから勝利を挙げることができれば、後半戦の巻き返しへ大きな弾みとなるはずだ。
リソース
フルマッチLIVE配信
第11節全試合ハイライト動画
公式記録

