オルカ鴨川FC、愛媛FCレディースに敗戦 静岡撃破の勢いをつなげられず|2025プレナスなでしこリーグ1部・第20節 オルカ鴨川FC x 愛媛FCレディース

朝日インテック・ラブリッジ名古屋の初優勝が決まった、なでしこリーグ1部。オルカ鴨川FCは1つでも上の最終順位を目指して、愛媛FCレディースは1部リーグ残留をかけて愛媛県総合運動公園球技場で激突する。

オルカ鴨川FC目線で試合を振り返ります。

リソース

フルマッチLIVE配信(Youtube)

第20節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

公式ガイドブック

要約

オルカ鴨川FCは最終順位の上積みを狙い、愛媛FCレディースは残留を懸けて対戦した。

前半は決定機を活かせなかったオルカに対し、愛媛が桜井由衣香選手のゴールで先制。後半はフリーキックを小島和希子選手が決め、愛媛がリードを広げた。

オルカは交代策も実らず無得点に終わり、決定力不足が課題として浮き彫りになった。2-0で勝利した愛媛が1部残留を決定づけ、オルカは悔しい敗戦となった。

注目ポイント

  • オルカ上田麻莉選手の復帰
    • 5試合ぶりのベンチ入りを果たしたが、左腕・左脚にテーピングを巻いた状態での強行出場。コンディション面で本調子ではなく、復帰戦としては不安を残した。
  • 愛媛の徹底したゲームプラン
    • オルカの松本はな選手との空中戦を避け、ビルドアップ主体で組み立てるなど、相手の強みを徹底的に消す戦術が奏功した。
  • 歴史的な記録更新
    • 愛媛FCレディースの深澤里沙選手が、なでしこリーグ歴代最多となる通算366試合出場を達成。試合の背景として大きな節目を迎えた。

試合情報

会場

愛媛県総合運動公園球技場(愛媛FCレディースホームスタジアム)

観客数444名

フォーメーション・スターティングラインナップ

オルカ鴨川FC

中断期間前まで攻撃一翼を担っていた#20上田麻莉選手は5試合ぶりのベンチ入りとなった。キャプテン#9齊藤彩花選手はベンチ外となった。代わりに#1田谷春海選手がキャプテンを務める。

愛媛FCレディース

#8深澤里沙選手は、なでしこリーグの歴代最多出場数を更新する366試合目の出場となった。

    試合展開

    前半

    愛媛FCレディースはピッチを広く使ってサイドチェンジしながらオルカ陣内を攻めあがる。前回対戦でゴールを許しているアルマ・デービス選手には厳しくマークし、まずはボールに触らせないように徹底する。

    決めきれないオルカ鴨川FC

    最初の決定機は押されていたオルカ。18分にスローインを収めた#25齊藤桃花選手がニアサイドで振り向きざまのシュートを放ち、キーバーが弾いたところを#5浅野綾花選手が足を延ばすがゴール左に外れた。

    このプレイでようやく攻撃に動きが出始めたオルカ。対する愛媛は守備の集中を切らさない。少し気になるのは、他の試合と同様にオルカ#17越路萌永選手がオーバーラップした後は上がりっぱなしになる事が何度かあり、愛媛は空いたスペースを狙ってパスを送っている。オルカ#3月東優季乃選手がケアしているが、スピードで振り切られると対応が難しいので見ていてヒヤヒヤする。

    30分に再びオルカが決定機を迎える。相手DFのパスに素早くプレスをかけた#5浅野綾花選手が中盤でインターセプト、こぼれたボールを#10アルマ・デービス選手がドリブルで持ち込んで右サイドから#11河野有希選手がシュートを放つがゴールポストに嫌われた。

    耐えた愛媛FCレディースがホームゲームで先制点

    劣勢に立たたされていた愛媛に待望の先制点が生まれる。37分に右サイドのスローインから#19黒岩沙羽選手が#17越路萌永選手に走り勝ちグラウンダーのクロスを上げ、ファーサイドにフリーで走りこんでいた#26桜井由衣香選手が丁寧に流し込んだ。

    その後は一進一退の攻防となり、1-0愛媛リードでハーフタイムを迎える。

    後半

    オルカは両サイドバックを交代。#6浦部美月選手に代えて#13浅坂真桜選手、#17越路萌永選手に代えて#24谷口愛奈選手が後半最初からピッチに入った。#23安東美那選手が右サイドバック、#24谷口愛奈選手が左サイドバック、#13浅坂真桜選手が左サイドハーフに位置する。

    後半最初の決定機は愛媛。オルカのクリアボールを拾った#24前田花依選手がミドルシュート。これはオルカGK#1田谷春海選手がパンチングで防ぐ。

    56分、1点を追うオルカは早くも次の選手交代。#25齊藤桃花選手を下げて5試合ぶりにベンチに入った#20上田麻莉選手を投入。#20上田麻莉選手は右サイドハーフに入り、#11河野有希選手がFWにポジションを移した。

    上田選手を見て驚いてしまった。左腕と左脚がテーピングでぐるぐる巻きである。やはり中断期間中に故障していたようで、今節が故障からの復帰戦となった。

    突き放す愛媛、フリーキックを直接沈めて追加点

    若干オルカ優勢で進んでいた試合だったが、ゴール正面30m付近で得たフリーキックを愛媛#11小島和希子選手が直接決める。グラウンダーの強くて速い見事なシュートだった。64分、差は2点に広がった。

    リスクを負って攻めなければならなくなったオルカは69分に#10アルマ・デービス選手を下げて#8新田琴瑞選手がピッチイン。愛媛としては一番の強敵にシュートを打たせずピッチを退かせるこいとができ、守備陣の奮闘が光った。

    #10アルマ・デービス選手が抜けた事で最前線でプレスをする強度がなくなり、愛媛はビルドアップが楽になった印象。

    83分に愛媛FCレディースはDF、MF、FWをそれぞれ1人ずつ合計3枚替え行い、フレッシュな選手で試合の締めくくりにかかる。
    OUT:#24前田花依選手、#19黒岩沙羽選手、#8深澤里沙選手
    IN:#34毛利美佑選手、#13丸山ちさと選手、#25児野楓香選手

    交代策が機能しないオルカ、攻め急ぐがかみ合わず

    続く84分、オルカは故障明けで後半途中出場の#20上田麻莉選手を下げて#2高村ちさと選手が入った。上田選手のドリブルのキレ自体はまずまずのように見えたが、思いのほかコンディションが戻っていなかったのだろうか。

    攻め急ぐオルカだが逆に愛媛のカウンターを喰らう悪循環。その後愛媛は2回で2人の交代を行い、時間と交代枠を使い切って試合終了。2-0で愛媛FCレディースがクリーンシートを達成し、1部リーグ残留を決めた。

    総括

    オルカ鴨川FC

    前節、ホーム鴨陸で強敵の静岡SSUボニータの攻撃を跳ね返し続けて1-0勝利を挙げた粘り強さはどこへやら、シーズン序盤を思い起こさせる試合運びだった。その静岡SSUボニータは、今節対戦した日体大SMG横浜には8得点の圧勝。静岡に1-0で勝てるのだから、愛媛にも勝ってほしかった。

    ただ、愛媛FCレディースはオルカをよく研究してきたという印象だった。静岡SSUボニータ戦では空中戦で無双状態だった#18松本はな選手だったが、愛媛FCレディースのゴールキックは単純な放り込みではなく後ろからのビルドアップが中心であり、高さを活かせる場面が少なかった。#10アルマ・デービス選手には常に2人以上が厳しく詰めており、アルマ選手にだけはやられない(他の選手にやられても仕方がない)という徹底した守備だった。これまでチームトップの5得点を挙げているアルマ選手以外の決定力不足が改めて露呈した試合だった。押している時間帯は長かったが、決めきれなかった。

    愛媛FCレディース

    #10アルマ選手に好きにさせず、高さと強さのある#18松本はな選手とは空中で戦わないようにポイントをズラして配球。戦力的にも高さでも分が悪く全体的に押されてはいたが、戦術とハードワークでカバーし、相手の強みを消してもぎ取った勝ち点3。1部リーグ残留を決定づける貴重な勝利だった。

    残留争い

    上位陣は伊賀と静岡の2位争い、宮崎とハリマの4位争いを繰り広げる。そして中位は6位から9位までが勝ち点2差という超接戦。一方でスペランツァ大阪は自動降格圏からの脱出に苦しむ。今節、静岡に大量8得点を許しノックアウトされた日体大も予断を許さない。

    第20節終了時点のなでしこリーグ1部順位表

    そして10位に沈むニッパツ横浜FCシーガルズ。昨シーズン2位の強さは影を潜め、得点数はリーグで下から3番目。大きな選手流出もなく今シーズンは優勝を目指していたと思うが、まさかの残留争いである。ここまで弱体化してしまったのは、メンバーと戦術の固定化による弊害で、相手チームに研究されてしまったのかもしれない。

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