なでしこリーグ1部初挑戦のVONDS市原FCレディースを、岡山県美作ラグビー・サッカー場に迎えた岡山湯郷Belleとの一戦。湯郷は開幕2連勝を、市原は1部リーグ初勝利を目指して臨んだ。
試合はホームの湯郷が3-0で快勝。948人の観客の前でホーム開幕戦を白星で飾り、開幕2連勝を達成した。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第2節全試合ハイライト動画
公式記録

なでしこリーグ公式ガイドブック
注目ポイント
- 元日本代表GK福元美穂が、岡山湯郷Belleで約10年ぶりに先発出場。キャプテンマークを巻いてゴールを守る。
- VONDS市原FCレディースが、アウェーでなでしこリーグ1部初勝利を飾れるかにも注目が集まった。
試合情報
| 岡山湯郷Belle | VONDS市原FCレディース |
| 3 | 0 |
| 会場 | 岡山県美作ラグビー・サッカー場 |
| 観客数 | 948人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー

湯郷は開幕戦でゴールを決めた#23国吉花吏埜と#25香椎彩香が今節もスタメン。また、2016年まで湯郷でプレーし、昨シーズンにチームへ復帰した元日本代表GKの#1福元美穂が、湯郷で約10年ぶりの先発出場を果たした。
一方の市原は、前節途中出場だった#13玉田愛理が移籍後初先発。立ち位置を見る限り、前節の4-4-2から変化を加え、3-6-1気味にも見える配置を採用していた。両サイドの選手は状況に応じてサイドバックのような位置まで下がり、可変的に戦っていた印象である。
試合展開
立ち上がりで試合を動かした湯郷・国吉花吏埜の先制点
前半6分、湯郷が早くも試合を動かす。最終ラインから丁寧につないだボールを前進させると、最後は#23国吉花吏埜が左サイドのやや距離のある位置から狙い澄ましたシュートを決め、ホームチームが先制した。
国吉はこれで開幕戦に続く2試合連続ゴール。新加入選手が早い段階で結果を残していることは、湯郷にとって非常に大きい。
両チームともに、低い位置からのビルドアップを軸に試合を作ろうとする意図は見えた。ただ、立ち上がりからより整理されていたのは湯郷だったように感じる。攻守ともに選手間の距離が適切で、ボール保持者へのサポートも早い。対して市原は、守備でボールを奪ったあとの選手間の距離がやや遠く、前進の最初の一手に苦しむ場面が目立った。
出鼻をくじかれた市原だったが、キャプテン#11村上賀梨を中心にアグレッシブな守備を見せ、#9宮本春花らが豊富な運動量で同点を狙う。しかし、守備から攻撃へ切り替わる局面で、受け手との距離が遠く出しどころに困る場面が散見された。対する湯郷は、攻守ともに周囲の立ち位置が整理されており、ポゼッションサッカーの完成度では一枚上手という印象だった。
また、前節のASハリマアルビオン戦でも気になったが、市原は守備における中盤底の強度に課題を抱えているように見える。スペースを埋める意識はあるものの、もう一歩前に出て相手を止め切る場面は多くなく、最終ラインとの挟み込みで対応する形が多い。そのぶん後方の負担が大きくなっていた。
それでも前半終盤、市原はラインを押し上げてボール保持の時間を増やし、#9宮本を中心に湯郷ゴールへ迫った。少しずつ前進の形は作ったものの、最後の局面で決定機にはつながらず、湯郷の1点リードで前半を折り返した。
後半開始早々の追加点。湯郷の連動性が光る
後半開始早々、湯郷が再びゴールネットを揺らす。市原がハイライン気味に前へ出ていたところを受けて、湯郷は中盤でテンポよくボールを動かしながら前進。映像で見る限り、ハーフウェーライン付近から湯郷の選手たちがワンタッチの浮き球パスを何本も滑らかにつなぎ、相手の守備が整う前にフィニッシュまで持ち込んだ。最後は途中出場の#21寺尾星奈が押し込み、移籍後初ゴールを決めた。
このゴールは、和多田充寿監督の交代策が的中した場面でもあった。同時に、湯郷が志向する「つなぐだけでは終わらないポゼッション」の美しさが表れた得点だったように思う。低い位置から運ぶだけでなく、前進の局面でテンポを上げ、相手のズレを逃さずゴールまで持っていく。開幕2戦目の段階でここまで形が見えているのは好材料だろう。
一方の市原は、前半・後半ともに立ち上がりで失点したことが試合運びを難しくした。前節のASハリマアルビオン戦では後半終盤まで粘り強く守れていただけに、この日の2失点は痛かった。2点を追う展開となり、前に出るしかなくなったことで、さらに苦しい展開に追い込まれていく。
湯郷は、低い位置から落ち着いてラインを押し上げながらビルドアップし、相手の立ち位置を見て縦パスを差し込む。セカンドボールへの反応も早く、追う市原を押し込む時間帯が続いた。
反撃の起点となった櫻庭琴乃
後半に入っても、市原は選手間の距離感に大きな修正は見られなかった。最終ラインの#11村上、両サイドの#10櫻庭琴乃、#13玉田愛理が個で打開を試みる場面はあったが、サポートの枚数や距離感の面でやや苦しみ、湯郷の守備ブロックを大きく崩すには至らない。
それでも68分、市原は前線の選手を2枚同時に交代。さらに、スピードとテクニックを備え、ドリブルで違いを生み出せる#10櫻庭琴乃がより高い位置に移ることで、攻撃が活性化していく。
その櫻庭が、湯郷DFのバックパスを追ってGK福元にも果敢にプレッシャーをかけ、ゴール目前の決定機を迎える。ここは福元が身体を投げ出してCKへ逃れたが、市原にとっては1部初ゴールの可能性を強く感じさせる場面だった。福元の対応もまた見事で、経験豊富な守護神の存在感が際立ったシーンでもある。
櫻庭は前節でも、スピード、テクニック、独特のリズムを持つドリブルで違いを作っていた選手であり、この試合でも1部で十分通用するだけの個の力を示していた。今後、よりゴールに近い位置でプレーする時間が増えれば、市原の攻撃にとって大きな武器になりそうだ。
終盤の3点目で勝負あり
市原が明確に前へ出てくるなか、湯郷は冷静だった。スリーバック脇のスペースを使いながら、#23国吉花吏埜を中心に攻撃を組み立てる。クロスのこぼれ球に#19沖田有由が反応し、ファーサイドからダイレクトで狙った場面は惜しくもゴール左へ外れたが、追加点の気配は濃厚だった。
後半終盤、市原はDFに代えてFWを投入し、リスクを負ってでも1点を奪いにいく。しかし後半アディショナルタイム、湯郷が試合を決定づける3点目を奪う。映像では、ゴールキック後のルーズボール処理の局面で市原のサポートがやや遅れ、湯郷がその隙を逃さず回収。最後は#23国吉花吏埜が抜け出し、GKとの1対1を落ち着いて流し込んだ。国吉はこの日2点目となった。
この場面でも、市原はボール保持者に対するサポートの少なさが気になった。苦しい時間帯ではあったが、こうした細部の詰めが、1部と2部の違い、そしてチーム完成度の違いとして表れた場面だったのかもしれない。
最後は市原の反撃を全員守備で跳ね返し、湯郷が3-0のクリーンシートで勝利。ホーム開幕戦を内容・結果ともに充実した形で終えた。
総括
岡山湯郷Belleはこれで開幕2連勝。#23国吉花吏埜が2試合連続ゴール、今節は2得点の活躍を見せた。加えて、和多田監督の交代策も機能し、途中出場の#21寺尾星奈もゴールという結果を残した。湯郷のポゼッションは、後方でただボールを回すだけではなく、効果的な縦パスやテンポのよい連係を織り交ぜながら前進できている。そして、その先に明確なフィニッシャーがいることは今のチームの大きな強みだろう。湯郷は第2節終了時点で勝点6の2位につけている。
一方、VONDS市原FCレディースは開幕2連敗。2試合連続無得点で、1部での初ゴールは次節以降へ持ち越しとなった。ただ、そのなかでも#10櫻庭琴乃は、前線にポジションを移してから特に湯郷にとって危険な存在になっていた。スタートから#10櫻庭と#13玉田をより高い位置に置いた形も、今後の選択肢として見てみたいところである。
また、#11村上賀梨、#5小田川真奈には、後方の選手でありながらフィジカルの強さと前への推進力が感じられた。選手個々の能力は決して低くなく、選手・スタッフの入れ替わりが大きいなかで、まだチームを作り上げている段階なのだろう。特に守備面と選手同士の距離感が整理されてくれば、1部でも十分戦えるだけの力はあるはずだ。市原は第2節終了時点で最下位となっているが、ここからどう積み上げていくかに注目したい。
岡山湯郷Belle 公式マッチレポート
VONDS市原FCレディース 公式マッチレポート (X)
順位表
開幕2連勝の岡山湯郷Belleは2位。開幕2連敗で無得点のVONDS市原FCレディースは最下位となった。

次節、岡山湯郷Belleはアウェーでスフィーダ世田谷FCと、VONDS市原FCレディースはホームでヴィアマテラス宮崎と対戦する。
開幕戦では静岡SSUボニータに6失点を喫した世田谷だが、第2節のASハリマアルビオン戦では守備を修正し、引き分けに持ち込んだ。湯郷としては、世田谷の強力な前線である内田美鈴と堀江美月を抑えながら、ここまで見せているポゼッションの質を次節も継続できるかがポイントになる。
次節、岡山湯郷Belleはアウェーでスフィーダ世田谷FCと、VONDS市原FCレディースはホームにヴィアマテラス宮崎を迎える。
開幕こそ静岡SSUボニータに6失点で敗れた世田谷だが、前節ASハリマアルビオン戦では守備を修正しアウェーでタフに戦い引き分けに持ち込んだ。湯郷は世田谷の強力な2大エースである内田美鈴と堀江美月を抑えて得意のポゼッションサッカーを披露できるか注目である。
一方、市原にとって次節のヴィアマテラス宮崎戦は、リーグ屈指の運動量と強度の高い相手との厳しいゲームになる。だからこそ、守備の整理をどこまで進められるか、そして1部初得点をどうこじ開けるかが大きな見どころになりそうだ。
