【試合レビュー】伊賀FCくノ一三重は渡邊凜の先制弾、朝日インテック・ラブリッジ名古屋は橘麗衣のPKで追いつく 両者の持ち味がぶつかった好ゲーム|2026プレナスなでしこリーグ1部 第2節

試合レビュー

昨シーズン2位の伊賀FCくノ一三重が、ホーム開幕戦で昨シーズン王者の朝日インテック・ラブリッジ名古屋を迎えた一戦。ともに開幕戦を引き分けで終えており、今季初勝利を懸けた注目カードとなった。

結果は1-1。勝ち点1を分け合う形となったが、内容は非常に濃く、伊賀の鋭さと名古屋の完成度の高さがともに表れた好ゲームだった。結果は1-1に終わったが、両チームの強みが見れた非常に見ごたえのある好ゲームだった。

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注目ポイント

  • 昨季1位と2位による上位対決。リーグ屈指の実力を持つ両者が、今季初勝利を懸けて激突した。
  • ともに開幕戦は引き分け。勝敗だけでなく、現時点での完成度が問われる一戦でもあった。

試合情報

伊賀FCくノ一三重朝日インテック・ラブリッジ名古屋
11
会場上野運動公園競技場(三重県)
観客数554人

スターティングラインナップ・登録メンバー

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/match_page.html?mno=10

名古屋の先発は前節から変更なし。一方で、アカデミー所属の中学3年生、#35田中亜依が初めてベンチ入りを果たした。

試合展開

名古屋が主導権を握った立ち上がり

序盤は名古屋が得意のパスワークで主導権を握った。長短のパスを織り交ぜながらボールを保持し、両サイドを広く使って伊賀を押し込んでいく。

対する伊賀はコンパクトな陣形を維持し、球際で激しく応戦。特に中盤の攻防は見応えがあった。伊賀がボールを奪っても、名古屋は#4逸見桃子、#5安部由希子を中心に即時奪回を徹底。複数人が連動してパスコースを消し、高い最終ラインを保ちながら二次攻撃へとつなげていった。

伊賀が低い位置で構える時間帯ではあったが、それでも名古屋の「攻撃のための守備」の整理ぶりは際立っていた。

伊賀が押し返し、先制点を奪う

18分を過ぎたあたりから、伊賀が徐々に反撃に転じる。ゴールキックを前線で収めたことをきっかけにラインを押し上げ、両サイドを中心とした攻撃陣が一気に名古屋陣内へ入っていった。

名古屋は低い位置からも丁寧にボールをつなごうとしたが、そこを伊賀が狙った。コンパクトな陣形を保ったまま前に出て、名古屋陣内でボールを奪う場面を増やしていく。スローインの場面でも強く圧力をかけ、相手に前を向かせない。さらに縦のワンツーで守備ラインにずれを生じさせるなど、伊賀らしい鋭い攻めが見られた。

そして23分、少ないチャンスの中で、この良い流れを先に得点へ結びつけたのは伊賀だった。自陣深い位置でもボールをつなぐ名古屋に対し、伊賀は出足の鋭いプレスで圧力をかけ、コーナーキックを獲得する。その流れから放たれたミドルシュートは名古屋DFに当たってコースが変わったが、最後は#7渡邊凜が誰よりも早く反応して押し込んだ。名古屋のビルドアップに対する伊賀の狙いが、得点という形で実を結んだ場面だった。

伊賀FCくノ一三重#7渡邊凜の先制ゴール。少ないチャンスを決めた。

名古屋に主導権を握られる展開は想定内だったはずだ。その中で耐え、流れを引き寄せた時間帯にワンチャンスを仕留めた伊賀の戦い方は、非常に現実的で効果的だった。

追う名古屋、耐える伊賀

失点後も試合をコントロールしたのは名古屋だった。ボールもピッチも支配しながら、焦らずにポゼッションを継続。細かな立ち位置の調整とテンポの良いパス交換で、伊賀の守備にずれを生み出していく。

40分を過ぎると、伊賀は前線からのプレス強度をやや落とし、自陣でゾーンを形成して前半をリードで終えることを優先したように見えた。名古屋は何度もゴールへ迫ったが、伊賀はGK#16小野未織を中心に集中力を切らさず、全員で守って1点を守り切って前半を終えた。

後半も名古屋ペース、伊賀は粘り強く応戦

後半に入っても名古屋の姿勢は変わらない。ポゼッションを軸に押し込みながら、攻撃のための守備で前から圧力をかけ続ける。

49分には決定機。GKへのバックパスに#9水野亜美が猛然とスプリントし、ボールを奪って伊賀GKと1対1になった。角度がなく、GKも前に出ていたため、水野は中への折り返しを選択。これに#8渕上野乃佳がワンタッチで合わせたが、#5常田菜那が身体を投げ出してブロックし、同点ゴールを許さなかった。

後半早々の朝日インテック・ラブリッジ名古屋の決定機に#8渕上野乃佳がシュートを放つも伊賀DFに当たってしまい同点ならず

伊賀も#6常田麻友を中心に中盤で強度を保ち、ボールホルダーに厳しく寄せていた。ただし、重心がやや低くなっていたぶん、ルーズボールの回収では名古屋が優位に立つ。名古屋はピッチを広く使い、横パスで守備を揺さぶりながら縦パスを差し込む。伊賀は粘り強く守り、カウンターを狙うという構図が続いた。

その後も名古屋は、#24角田菜々子の縦への配球を起点に、#4逸見桃子、#8渕上野乃佳、#9水野亜美らがゴール前に圧力をかける。伊賀も身体を張って対応し、決定的な場面をぎりぎりのところで食い止めた。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋#8渕上野乃佳のシュートはゴールマウスの上空に。

交代策から名古屋が追いつく

後半半ば以降、両チームは前線を中心に交代カードを切る。伊賀は前線の守備強度とカウンターの勢いを維持しようとし、名古屋はフレッシュな選手を投入して同点ゴールを狙った。

名古屋では途中出場の#20増永朱里、#28永田晶子が中盤に強い圧力をかけ、前方向への推進力を高めていく。#15中村友香が左サイドからのクロスにダイレクトで合わせ、わずかにゴール左へ外れる場面もあり、王者らしい圧力がより強まっていった。

そして78分、ついに試合が動く。伊賀のゴールキックからの競り合いを名古屋が回収し、#28永田晶子がキープ。裏へ抜け出した#20増永朱里へスルーパスが通ると、対応した伊賀#6常田麻友との接触に対して主審はPKを宣告した。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋#20増永朱里が値千金のPKゲット。そこに至るまでの守備と繋ぎも素晴らしかった

このPKを名古屋のキャプテン#10橘麗衣が落ち着いて決め、80分に試合を振り出しへ戻した。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋#10橘麗衣が落ち着いてPKを決める。

終盤のPKストップで決着つかず

追いつかれた伊賀も、ホームで今季初勝利を挙げるべく前へ出た。サイドバックも高い位置を取り、リスクを承知で攻めに出る。終盤は両チームともテンポアップし、ゴール前の応酬が続いた。

88分には伊賀に最大のチャンスが訪れる。途中出場の#22松田吏真が名古屋のペナルティエリア内で倒され、今度は伊賀がPKを獲得。試合の行方を左右する場面だったが、キッカーを務めた松田のシュートを、名古屋GK#1横山野ノ香が見事にストップした。横山は今季から名古屋に加入したGKで、この場面で大きな存在感を示した。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋#1横山野ノ香がチームを救うPKストップ

このビッグセーブで勢いを失わなかった名古屋と、勝ち越しの機会を逃しながらも最後まで前に出た伊賀。両者が最後まで守備強度を保ったまま縦に速く攻め合い、熱戦は1-1で終了した。

総括

昨季1位と2位による一戦にふさわしい、非常に見応えのある90分だった。名古屋の巧みなボール保持と即時奪回、伊賀の鋭い守備対応と局面の強さ。その両方がしっかり表れた好ゲームだった。

伊賀は開幕から2試合連続の引き分けとなった。今節は#7渡邊凜、#14増田玲那、#10平田ひなのといった攻撃陣が守備対応に追われる時間も長かったが、それでも少ない好機を逃さず先制に結びつけた点はさすがである。課題は、押し込まれる時間帯の中でも、どう前線の推進力とカウンターの回数を増やしていくかだろう。守備の強度はすでに高いだけに、攻撃面での厚みが加われば、勝点3はさらに近づくはずだ。

一方の名古屋は、引き分けとはいえ内容面では王者らしい完成度を示した。全体を通してボールを握り、守備でも場面に応じて人への対応とゾーン管理を使い分けていた。加えて、ポゼッション一辺倒ではなく、終盤に見せたような縦に速い攻撃も繰り出せる点は大きな強みであり、選手層も厚い。今節は開幕から2試合連続の引き分けとなったが、ヴィアマテラス宮崎、伊賀FCくノ一三重という難しい相手との連戦を考えれば、悲観する内容ではない。むしろ、リーグ連覇を争ううえでの土台の強さを改めて示した一戦だったといえる。

伊賀FCくノ一三重 公式マッチレポート

「3/22(日)2026プレナスなでしこリーグ1部 第2節 vs朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦 試合結果 – 伊賀FCくノ一三重
三重県伊賀市を本拠地とする、なでしこリーグ所属の女子サッカーチーム。試合結果やスケジュール、選手紹介など。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋 公式マッチレポート(X)

順位表

第2節を終えて、伊賀FCくノ一三重は6位、朝日インテック・ラブリッジ名古屋は7位となった。

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/standings.html

次節、伊賀FCくノ一三重はホームで静岡SSUボニータと、朝日インテック・ラブリッジ名古屋はホームで愛媛FCレディースと対戦する。ともに今季初勝利を懸けた戦いとして、引き続き注目したい。


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