前節のホームゲームで今季初勝利を挙げた伊賀FCくノ一三重が、今節も本拠地で勝点3を積み上げた。相手はアウェーで勝点を持ち帰りたいニッパツ横浜FCシーガルズ。試合は立ち上がりこそ拮抗したものの、時間の経過とともに伊賀が主導権を掌握し、最後は2-1で競り勝った。内容面でも伊賀の強みが随所に表れた一戦を振り返ります。
試合情報
| 伊賀FCくノ一三重 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
|---|---|
| 2 | 1 |
| 31分 増田 玲那 87分 唐沢 芽依 | 54分 權野 貴子 |
| 会場 | 上野運動公園競技場(三重県) |
| 観客数 | 387人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
伊賀FCくノ一三重
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 16 | 小野 未織 | |
| DF | 17 | 松久保 葵子 | |
| DF | 13 | 髙山 菜々香 | |
| DF | 3 | 秦 美結 | |
| MF | 14 | 増田 玲那 | |
| MF | 6 | 常田 麻友 (Cap.) | |
| MF | 7 | 渡邊 凜 | 79▼ |
| MF | 8 | 島野 美央 | 72▼ |
| MF | 24 | 唐沢 芽依 | 90+2▼ |
| FW | 22 | 松田 吏真 | |
| FW | 11 | 児野 楓香 | 55▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 井上 加菜美 | |
| DF | 5 | 常田 菜那 | 79▲ |
| DF | 18 | 井上 歩香 | 90+2▲ |
| DF | 19 | 古川 陽菜 | |
| MF | 9 | 桂 亜依 | 55▲ |
| MF | 25 | 上田 彩葉 | |
| FW | 10 | 平田 ひなの | 72▲ |
| 監督: 永井 良明 | |||
ニッパツ横浜FCシーガルズ
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 21 | 大久保 つくし | |
| DF | 31 | 俣野 佑果 | |
| DF | 17 | 新井 純奈 | |
| DF | 4 | 中居 未来 (Cap.) | |
| DF | 25 | 松尾 由帆 | |
| MF | 11 | 岡 百々花 | 89▼ |
| MF | 5 | 吉田 凪沙 | |
| MF | 14 | 田村 かのん | 77▼ |
| MF | 22 | 加田 菜 | HT▼ |
| FW | 10 | 室井 胡心 | |
| FW | 13 | 村上 真生 | 21▼ |
| 控え | |||
| GK | 19 | 松井 里央 | |
| DF | 15 | 渋谷 巴菜 | |
| DF | 23 | 金成 瑠那 | |
| MF | 7 | 浦島 里紗 | HT▲ |
| MF | 9 | 矢野 梨紗 | 89▲ |
| MF | 27 | 神立 美百合 | 77▲ |
| FW | 6 | 權野 貴子 | 21▲ |
| 監督: 山本 絵美 | |||
試合展開
立ち上がりは拮抗も、徐々に伊賀が主導権を掌握
序盤は両チームとも激しく主導権を争う展開となったが、時間の経過とともにホームの伊賀がペースを握っていく。前線から最終ラインまで、走力、強度、テクニック、攻撃のアイデアといった各要素で、この日は伊賀が上回っていた印象。特に両サイドハーフの#7渡邊凜、#14増田玲那に対し、横浜は対応に苦しんだ。
中盤では#6常田麻友が高さと対人の強さを発揮し、横浜の選手たちを自由にさせない。ルーズボールやセカンドボールへの反応でも伊賀が一歩先を行き、全体として試合の流れを引き寄せていった。横浜は前線のスピードを生かした裏抜けを狙うが、伊賀の最終ラインも対応が速く、単純なスピード勝負では崩し切れなかった。
増田玲那の鮮烈なミドルで伊賀が先制
20分を過ぎたあたりからは、伊賀が相手陣内でプレーする時間を大きく増やし、一方的な展開に持ち込む。横浜は懸命に耐えていたが、31分に均衡が破れる。
#7渡邊凜が右サイドバックの#17松久保葵子からのスルーパスを受けて右サイドを抜け出し、折り返す。これを#11児野楓香が落とすと、走り込んだ#14増田玲那が左足で鮮やかなミドルシュートを放ち、ゴールネットを揺らした。伊賀が試合の流れどおりに先制点を奪った場面だった。
伊賀の前線からの圧力で、横浜は狙いの形を出せず
先制後も伊賀の優勢は変わらない。右サイドバックの#17松久保葵子が高い位置を取る場面では、横浜の#10室井胡心がその背後を狙おうとするが、空いたスペースには#6常田麻友が素早くカバーに入る。守備時の役割分担が整理されており、大きく崩れる場面はほとんど見られなかった。
さらに伊賀の前線の選手たちは、横浜のボランチや最終ラインに絶えずプレスをかけ続けた。そのため横浜は今季取り組んでいるビルドアップを十分に発揮できない。また従来から得意な、裏抜けを狙う前線にフィードを送る形を作れないまま前半を終える。伊賀が1-0でリードしてハーフタイムに入った。
横浜がワンチャンスを生かし、權野貴子のヘッドで同点
後半に入っても主導権は伊賀が握っていたが、54分に横浜が少ないチャンスをものにする。左サイドからゴール前へ送られたボールに対し、#6權野貴子が頭で合わせて同点ゴール。押し込まれる時間が長い中でも、隙を逃さず仕留めた横浜の集中力が光った。
この失点で試合が振り出しに戻ると、伊賀はすぐに前線の選手を交代し、攻撃陣をリフレッシュ。再び押し返しに出る。
唐沢芽依と増田玲那の左サイドが再び攻勢を生む
追いつかれた後の伊賀では、先発した#24唐沢芽依の左サイドでの突破が特に目立った。#24唐沢と#14増田が形成する左サイドは、鋭さ、強さ、テクニックのいずれも高く、しかも守備への切り替えも速い。横浜にとっては対応の難しいエリアとなっていた。
時間が進むにつれて、横浜はこの左サイドへの対応にさらに苦しむようになる。終盤には#24唐沢、#14増田を止め切れない場面が増え、唐沢は何度も相手ゴールに迫ってシュートまで持ち込んだ。横浜も粘り強く耐えたが、流れは明らかに伊賀へ傾いていた。
横浜も反撃を試みるが、押し返す時間は続かず
60分を過ぎると、横浜もようやく狙いの攻撃の一端を見せる。伊賀の最終ラインのわずかなズレを突いて、#11岡百々花がクロスを上げ、中央で#6權野貴子が待つ形を作った。横浜らしい、前線のスピードと勢いを生かした攻撃だった。
ただ、それ以外では、相手のミスから生まれたボールを#10室井胡心や#11岡百々花が回収し、そのままゴールへ向かう形が中心で、自分たちの組み立てから厚みのある攻撃を継続的に繰り出すには至らなかった。試合全体で見ると、押し返す時間は限定的だった。
後半終盤、唐沢芽依が決勝点。伊賀がホーム2連勝
終盤に入ると、伊賀の攻勢はさらに強まる。そして87分、攻め続けた末に得たコーナーキックから勝ち越し点が生まれる。ファーサイドから走り込んだ#24唐沢芽依が押し込み、伊賀が再びリードを奪った。
その後は伊賀が時間を使いながら落ち着いて試合を進め、横浜の反撃を抑え込む。最後まで集中を切らさず守り切った伊賀が、2-1で勝利。前節に続くホーム2連勝を達成した
総括
横浜はよく粘ったが、それでもホームの伊賀は自身たちの強みを出し、しっかり勝ち切った。
伊賀FCくノ一三重
運動量、球際、守備の整理、そして両サイドの推進力が高い水準でかみ合っていた。シュート数は公式記録で8本と突出して多いわけではないが、内容面では相手ゴールに迫る場面を継続して作れており、もう1点入っていても不思議ではない流れだった。
守備面では、誰かが前に出た際に別の選手がバランスを取る意識が徹底されており、全体の約束事がよく共有されていることがうかがえた。ニッパツ横浜FCシーガルズの前線のスピードに対しても、最終ラインが慌てずに対応できていた点は好材料。今後さらに上位を狙ううえでは、チャンスの総量をどう得点数へ結びつけるかが一段上のテーマになりそうだ。
ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツ横浜FCシーガルズは、劣勢の時間が長いなかでも一度は追いつき、試合を壊さず終盤まで粘った点は評価できる。とくに權野貴子の同点弾は、少ない好機を仕留める集中力の高さを示した。
ただし、試合全体では中盤の競り合いや前進の質で伊賀に押され、ビルドアップから主導権を握る展開には持ち込みにくかった。交代選手も流れを大きく変えるまでには至らず、後半終盤は運動量や対人対応の面で苦しさが見えた。
そしてやはり、ラフプレーが目についた。この日の伊賀FCくノ一三重が横浜に比べて全体的にクリーンに戦っていただけに、なおさらそう映った。危険な角度のタックル、アフターチャージ、相手を抱え込むような形で倒す場面もあり、必死さは伝わる一方で、強度の高い守備とラフプレーは分けて考える必要があるだろう。地力で上回る相手に対し、そうした印象を残したうえで敗れるようでは、内容面の評価も厳しくならざるを得ない。
順位表
第6節終了時点で、伊賀FCくノ一三重は5位、ニッパツ横浜FCシーガルズは8位となっている。
| 順位 | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡SSUボニータ | 16 | 6 | 5 | 1 | 0 | 22 | 1 | 21 |
| 2 | ヴィアマテラス宮崎 | 14 | 6 | 4 | 2 | 0 | 14 | 7 | 7 |
| 3 | 岡山湯郷Belle | 11 | 6 | 3 | 2 | 1 | 10 | 9 | 1 |
| 4 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 9 | 6 | 2 | 3 | 1 | 11 | 9 | 2 |
| 5 | 伊賀FCくノ一三重 | 9 | 6 | 2 | 3 | 1 | 7 | 6 | 1 |
| 6 | オルカ鴨川FC | 8 | 6 | 2 | 2 | 2 | 8 | 5 | 3 |
| 7 | 愛媛FCレディース | 8 | 6 | 2 | 2 | 2 | 9 | 13 | -4 |
| 8 | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 7 | 6 | 2 | 1 | 3 | 9 | 11 | -2 |
| 9 | 日体大SMG横浜 | 7 | 6 | 2 | 1 | 3 | 9 | 20 | -11 |
| 10 | ASハリマアルビオン | 5 | 6 | 1 | 2 | 3 | 7 | 9 | -2 |
| 11 | スフィーダ世田谷FC | 4 | 6 | 1 | 1 | 4 | 12 | 15 | -3 |
| 12 | VONDS市原FCレディース | 0 | 6 | 0 | 0 | 6 | 3 | 16 | -13 |
次節、伊賀FCくノ一三重はアウェーで愛媛との一戦に臨む。一方のニッパツ横浜FCシーガルズはホームで首位の静岡SSUボニータと戦う。
伊賀FCくノ一三重にとっては連勝を伸ばして上位争いに食い込みたい一戦であり、ニッパツ横浜FCシーガルズにとっては難敵相手に内容と結果の両面で踏ん張りたいゲームになるだろう。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第6節全試合ハイライト動画
公式記録

