前節、それまで無敗だった首位・静岡SSUボニータを3-0で下した朝日インテック・ラブリッジ名古屋。シーズン序盤の苦戦を乗り越え、試合を重ねるごとに完成度を高めている昨季王者が、シーズン前半戦の最終戦で岡山湯郷Belleをホームに迎えた。
両チームに共通するのは、後方から丁寧にボールを動かし、相手陣内へ前進していくスタイルである。そのぶん、この試合では「どちらが相手のビルドアップを制限できるか」が大きな焦点となった。
立ち上がりは湯郷が前から強く圧力をかけ、名古屋の前進を阻む。名古屋は簡単にボールを運べない時間帯が続いたが、前半35分、セットプレーの流れから橘麗衣が押し込み先制。流れの中で主導権を握り切れない展開でも、得点に結びつける勝負強さを見せた。
後半は名古屋が一転して押し込む展開を作る。最終ラインを高く保ち、ボールを保持しながら湯郷陣内でプレーする時間を増やした。湯郷もGK上野理佐の好セーブを含めて粘り強く耐えたが、87分に安部由希子のコーナーキックが直接ゴールネットを揺らし、名古屋が2-0で勝利を決定づけた。
名古屋は今季初の3連勝。8戦負けなしでシーズン前半戦を終えた。一方の湯郷は、前半の入りで準備してきた名古屋対策を見せながらも、セットプレー2発に屈して3連敗。内容面で粘りは示したが、結果としては悔しさの残る前半戦最終戦となった。
この記事の要点
- 名古屋は湯郷のハイプレスに苦しみながらも、前半35分に橘麗衣のゴールで先制。流れの中で崩し切れない時間帯でも、セットプレーで試合を動かした。
- 後半は名古屋が高い位置から圧力を強め、湯郷を押し込む展開に。湯郷も粘り強く守ったが、終盤に安部由希子のコーナーキックが直接決まり、名古屋が勝利を決定づけた
- 名古屋は今季初の3連勝、8戦負けなしで前半戦を終了。湯郷は守備面で粘りを見せた一方、攻撃の精度を欠き、3連敗で後半戦へ向かうことになった。
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第11節
| 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 岡山湯郷Belle |
|---|---|
| 2 | 0 |
| 35分 橘 麗衣 87分 安部 由希子 |
| 会場 | CSアセット港サッカー場(愛知県) |
| 観客数 | 405人 |
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 16 | 流川 桐佳 | |
| DF | 24 | 角田 菜々子 | 90+2▼ |
| DF | 10 | 橘 麗衣 (Cap.) | |
| DF | 17 | 堀内 意 | |
| DF | 2 | 夏目 歩実 | |
| MF | 14 | 上田 真子 | |
| MF | 5 | 安部 由希子 | 90+2▼ |
| MF | 4 | 逸見 桃子 | |
| MF | 8 | 渕上 野乃佳 | 86▼ |
| MF | 28 | 永田 晶子 | 62▼ |
| FW | 9 | 水野 亜美 | 86▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 横山 野ノ香 | |
| DF | 23 | 松本 和笑 | 90+2▲ |
| MF | 11 | 藤原 愛里 | 86▲ |
| MF | 15 | 中村 友香 | 86▲ |
| MF | 20 | 増永 朱里 | 62▲ |
| MF | 21 | 大場 柚季 | |
| MF | 30 | 成田 倖彩 | 90+2▲ |
| 監督: 磯村 健 | |||
岡山湯郷Belle
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 31 | 上野 理佐 | |
| DF | 18 | 村上 夏奈瀬 | HT▼ |
| DF | 4 | 今野 瞳 | |
| DF | 14 | 塩谷 瑠南 (Cap.) | |
| DF | 10 | 中野 琴音 | |
| MF | 19 | 沖田 有由 | |
| MF | 7 | 山下 沙耶香 | HT▼ |
| MF | 17 | 新谷 楓華 | |
| MF | 28 | 雪山 琴未 | HT▼ |
| FW | 25 | 香椎 彩香 | |
| FW | 24 | 岸波 美采 | 74▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 福元 美穂 | |
| DF | 2 | 森 宙舞 | 74▲ |
| DF | 20 | 岸波 優妃 | |
| DF | 27 | 成田 夢愛 | |
| DF | 29 | 藤本 日菜 | HT▲ |
| MF | 3 | 梶山 朋恵 | HT▲ |
| FW | 23 | 国吉 花吏埜 | HT▲ |
| 監督: 和多田 充寿 | |||
試合展開
湯郷のハイプレスが名古屋の前進を制限
試合の立ち上がりは、湯郷のプレスが目を引いた。
湯郷は前線から中盤までをコンパクトに保ち、名古屋の最終ラインや中盤に時間を与えない。前線の選手も素早くプレスバックし、名古屋のスローインに対しても厳しくマークをつけた。名古屋に自由なビルドアップをさせないという意図が、チーム全体で共有されていた。
名古屋にとっては、簡単に前進できない時間帯が続いた。最終ラインからのドリブル前進、サイドハーフの高い位置取り、前線の選手が中盤まで下りる動きなどで湯郷の守備にズレを作ろうとするが、湯郷も集中を切らさず対応する。
名古屋のビルドアップの質を警戒し、序盤から高い強度で対抗したことは、湯郷がこの試合に向けてしっかり準備してきた証でもあった。
一方で、湯郷の戦い方は運動量を必要とする。試合終盤までこの強度を保てるのか気にはなった。
橘麗衣の3試合連続ゴールで名古屋が先制
湯郷のプレスに徐々に慣れてきた名古屋は、左サイドから前進の糸口を探る。
#8渕上野乃佳が#28永田晶子とのワンツーで抜け出し、相手陣内深くまで侵入。そこから獲得したコーナーキックが、試合を動かすきっかけとなった。
35分、コーナーキックのこぼれ球を#10橘麗衣が押し込み、名古屋が先制する。橘はこれで3試合連続ゴール。序盤から名古屋の前進を抑えていた湯郷にとっては、耐えていた時間帯の中で与えたワンチャンスを決められる痛い失点となった。
前節の静岡戦に続き、名古屋はセットプレーの精度と決定力を示した。流れの中で崩し切れない時間帯でも得点を奪えることは、上位を争うチームにとって大きな武器である。
前半終盤は名古屋が湯郷のビルドアップに対して圧力を強め、両サイドから前進する時間を増やした。湯郷はゴール前を固めて追加点を許さず、前半は名古屋の1点リードで折り返した。
後半は名古屋が高い位置で押し込む
後半に入ると、試合の構図は前半序盤とは大きく変わった。
名古屋はキックオフ直後からショートパスで湯郷陣内へ入り、相手のラインを押し下げる。CB#17堀内意がドリブルで持ち上がり、#2夏目歩実のクロスに#28永田晶子がダイレクトで合わせる決定機も作ったが、ここは湯郷GK#31上野理佐が片手で阻止。湯郷にとっては、流れを完全に渡さない大きなセーブだった。
それでも、後半の主導権は名古屋にあった。湯郷の最終ラインに鋭くプレスをかけ、パスの精度を下げさせる。CBとSBも高い位置を取り、クロスやセカンドボール回収から二次攻撃につなげた。
中盤では#4逸見桃子と#5安部由希子がこぼれ球を拾い、#8渕上野乃佳が縦パスを差し込みながら自らも前線に顔を出す。名古屋は押し込み続けたが、湯郷の守備陣も粘り強く対応し、流れの中では追加点を許さなかった。
湯郷は限られた機会でカウンターに出る場面もあった。しかし、フィニッシュの精度や崩し切る部分では物足りなさが残り、名古屋の守備を破るには至らなかった。
安部由希子の直接CKで勝負あり
試合終盤まで1点差のまま進んだが、再びセットプレーが勝敗を決定づけた。
87分、この日何度も鋭く曲がるコーナーキックで湯郷ゴールに圧力をかけていた#5安部由希子が、コーナーキックから直接ゴールネットを揺らす。湯郷GK上野も対応を続けていたが、最後はキックの質が上回った。
この追加点でスコアは2-0。名古屋が試合終盤に勝利を大きく引き寄せ、前半戦最終節を勝利で終えた。
総括
この試合で名古屋が示したのは、流れの中で崩し切れない展開でも勝ち切る力だった。
湯郷は前半序盤から名古屋のビルドアップを制限し、試合の入り方としては十分に狙いを表現できていた。名古屋に自由な前進を許さず、前線から中盤までコンパクトに守ることで、相手のリズムを崩していた。
それでも名古屋は、セットプレーから試合を動かした。前節の静岡戦に続き、多彩な得点パターンを持っていることは大きい。静岡SSUボニータやヴィアマテラス宮崎にも共通するが、上位を走るチームは得点パターンが豊富である。今節の名古屋も、シーズン前半戦を通じて積み上げてきた完成度と勝負強さを見せた。
湯郷にとっては、前半にボールを持てていた時間帯、あるいは名古屋の前進を制限できていた時間帯に先制点を奪えていれば、違う展開に持ち込めた可能性はあった。ただ、前半から高い強度で入った影響もあってか、後半は運動量が落ちたように見え、名古屋に押し込まれる時間が長くなった。
それでも、流れの中では名古屋に得点を許さず、守備面では粘りを見せた。上位チーム相手に一定の手応えを残した一方で、攻撃面では最後の精度と迫力が課題として残った試合だった。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
シーズン序盤は大量失点で敗れる試合もあり、昨季王者として苦しい入りとなった。しかし、そこからチーム状態を立て直し、今季初の3連勝。8戦負けなしでシーズン前半戦を終えたことは、後半戦に向けて大きな意味を持つ。
岡山湯郷Belle
第8節の静岡SSUボニータ戦から3連敗。一時は上位争いに加わっていた湯郷だが、7位でシーズン前半戦を終えた。後半戦で再び上位に迫るためには、粘り強い守備と、決定機を結果につなげるための得点力が求められる。
順位表
第11節を終えて、朝日インテック・ラブリッジ名古屋は3位を維持。岡山湯郷Belleは7位を維持している。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 26 | 11 | 7 | 2 | 1 | 34 | 7 | +27 | |
| 2(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 24 | 11 | 7 | 3 | 1 | 23 | 10 | +13 | |
| 3(3) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 22 | 11 | 6 | 4 | 1 | 27 | 11 | +16 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 21 | 11 | 6 | 3 | 2 | 15 | 9 | +6 | |
| 5(4) | オルカ鴨川FC | 18 | 11 | 5 | 3 | 3 | 15 | 8 | +7 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 11 | 4 | 2 | 5 | 19 | 19 | 0 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 14 | 11 | 4 | 2 | 5 | 13 | 20 | -7 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 13 | 11 | 3 | 4 | 4 | 13 | 19 | -6 | |
| 9(9) | スフィーダ世田谷FC | 12 | 11 | 3 | 3 | 5 | 18 | 19 | -1 | |
| 10(10) | 日体大SMG横浜 | 10 | 10 | 3 | 1 | 7 | 13 | 37 | -24 | |
| 11(11) | ASハリマアルビオン | 9 | 11 | 2 | 3 | 6 | 11 | 14 | -3 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 11 | 0 | 0 | 11 | 5 | 33 | -28 |
次節に向けて
朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、次節ヴィアマテラス宮崎とのアウェーゲームに臨む。第11節終了時点で2位の宮崎を勝ち点2差で追う3位・名古屋にとって、勝利すれば2位浮上となる大一番である。
岡山湯郷Belleは、ホームでニッパツ横浜FCシーガルズと対戦する。湯郷は3連敗、ニッパツも2連敗中。開幕節では湯郷が勝利している相手だけに、後半戦の初戦を勝利で飾り、再び上位争いに食らいつくための重要な一戦となる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第11節全試合ハイライト動画
第11節全試合終了まち
公式記録


