【試合レビュー】伊賀FCくノ一三重が日体大SMG横浜に3-0快勝 前半2得点で主導権を握り後半戦へ弾み|2026プレナスなでしこリーグ1部 第11節

試合レビュー

前節、岡山湯郷Belleを相手に守備的な戦い方を選択し、終了間際のゴールで連敗を4で止めた日体大SMG横浜。今節はホームのニッパツ三ツ沢球技場に、下位グループ相手に連勝中の伊賀FCくノ一三重を迎えた。

試合は日体大SMG横浜が0-3で敗戦。立ち上がりこそ日体大がロングボールと前線のスピードを生かして攻勢を見せたが、時間の経過とともに伊賀が主導権を掌握した。伊賀は中盤の運動量、セカンドボール回収、サイドを使った前進で日体大を押し込み、前半のうちに2点を先行。後半も試合を大きく崩さず、終盤に直接FKで3点目を奪った。

日体大にとっては、順位差やチーム状態の差がそのまま内容とスコアに表れた一戦だった。一方の伊賀は、前半戦終盤にかけて積み上げてきた守備の安定感と決定力の改善を、しっかり勝ち点3につなげた。

  • 日体大は序盤こそロングボールと前線のスピードで押し込んだが、時間の経過とともにビルドアップを伊賀に狙われ、主導権を失った
  • 伊賀は渡邊凜、唐沢芽依の得点で前半のうちに2点を先行。運動量とセカンドボール回収で試合を優位に進めた
  • 後半も伊賀が強度を落とさず、秦美結の直接FKで3点目。日体大は攻守両面の課題を解消できず、前半戦を苦しい形で終えた

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第11節

日体大SMG横浜伊賀FCくノ一三重
20分 渡邊 凜
45+1分 唐沢 芽依
90分 秦 美結
会場ニッパツ三ツ沢球技場(神奈川県)
観客数307人

日体大SMG横浜

日体大は登録メンバーが15人で、控えは4人のみ。交代枠5枚を使い切ることができないメンバー構成からも、苦しいチーム状況がうかがえた。

PosNo.氏名交代
GK12長谷川 想
DF27杉本 光羽
DF23笠井 寧々
DF3内村 心優 (Cap.)
DF25中野 梨緒
MF20枚田 乙愛HT▼
MF10本田 悠良
MF17鈴木 温子
MF9柴原 希保
FW11浅香 美結
FW7髙橋 光莉
控え
GK1福田 はな
MF18中村 柚仁66▲
MF31山田 仁菜
FW21佐藤 実玖HT▲66▼
監督: 嶋田 千秋

伊賀FCくノ一三重

伊賀は、3試合連続ゴールを挙げている平田ひなのが先発。中盤には常田麻友、渡邊凜、島野美央、唐沢芽依らが入り、運動量と前進力を生かせる構成となった。

PosNo.氏名交代
GK16小野 未織
DF5常田 菜那
DF26清 悠香83▼
DF3秦 美結
MF14増田 玲那
MF6常田 麻友 (Cap.)
MF7渡邊 凜
MF8島野 美央78▼
MF24唐沢 芽依61▼
FW10平田 ひなの78▼
FW11児野 楓香HT▼
控え
GK1井上 加菜美
DF17松久保 葵子
DF18井上 歩香83▲
MF15竹島 加奈子78▲
MF23米澤 心花78▲
MF9桂 亜依HT▲
FW22松田 吏真61▲
監督: 永井 良明

試合展開

立ち上がりは日体大が前へ出る

開始直後の日体大は、前節の湯郷戦と同様に、後方で細かくつなぐ場面を抑え、ロングボールを前線へ入れる形を選択した。前線の#9柴原希保、#11浅香美結、#7髙橋光莉を走らせ、セカンドボールに中盤とサイドバックが押し上げる。前節よりも攻撃に人数をかけ、厚みを出そうとする意図は見えた。

ただし、10分を過ぎたあたりから日体大は徐々に低い位置でボールをつなぎ始める。ここを伊賀は見逃さなかった。前線から積極的に制限をかけ、日体大のビルドアップの精度を落とし、こぼれ球を回収する流れを作っていく。

伊賀が先制、日体大のビルドアップを狙い撃つ

20分、伊賀が先制する。左サイドから#11児野楓香がつなぎ、#6常田麻友が中央へ浮き球のパスを送る。これに#7渡邊凜が反応し、ワンタッチで合わせてゴールネットを揺らした。

この得点以降、試合の流れは伊賀へ傾いた。日体大はボールを大事に動かそうとするが、低い位置での横パスやバックパスが伊賀のプレスの標的になる。伊賀は前線と中盤が連動し、奪い切れなくても相手の前進を遅らせ、セカンドボールを回収することで攻撃の回数を増やしていった。

日体大は前線のスピードを生かしたカウンターで打開を狙ったが、ボールを奪ってからの押し上げが遅れ、単発の攻撃にとどまる場面が多かった。

前半終盤は伊賀ペース、追加点で勝負の流れを決める

前半終盤は明確に伊賀の時間帯だった。特に、#14増田玲那が左サイドや中盤に顔を出しながら起点となり、日体大の守備を横に揺さぶった。日体大は増田を捕まえきれず、伊賀はサイドからも中央からも前進する形を作っていく。

そして45+1分、伊賀が大きな追加点を奪う。#16GK小野未織のゴールキックから前線の#10平田ひなのが競り、#8島野美央を経由して右サイドの#7渡邊凜へ。渡邊のシュートはクロスバーを叩いたが、こぼれ球に#24唐沢芽依が反応し、頭で押し込んだ。

この場面では、日体大の中盤が前に出たあと戻り切れず、最終ライン前のスペースを伊賀に使われた。押し込まれていた時間帯に耐え切れず、前半終了間際に2点目を失ったことは、スコア以上に重い失点だった。

後半も伊賀が強度を維持、秦美結の直接FKで3点目

後半の日体大は、#9柴原希保が前線だけでなくサイドや最終ライン付近まで顔を出し、守備にも多くのエネルギーを使う展開となった。その分、ボールを奪っても前線に厚みを作れず、カウンターの迫力は限られた。

伊賀は日体大のカウンターを何度か受けたものの、交代選手を使いながら運動量と守備強度を維持した。押し込み続ける中でセットプレーを獲得し、90分には#3秦美結が直接FKを決めて3点目。試合を決定づけた。

アディショナルタイムは5分あったが、最後まで走れていたのはリードしている伊賀の方だった。日体大は終盤もゴールの気配を高めることができず、試合は0-3のまま終了した。

総括

公式記録上、シュート数は日体大の3本に対して、伊賀は17本。数字の差は、そのまま試合内容を表していた。日体大は前線に速さのある選手を置きながらも、攻撃をシュートで終える回数が少なく、守備面でもゴール前で相手に寄せ切れない場面が目立った。

一方の伊賀は、運動量、セカンドボール回収、フィニッシュで終える意識で日体大を上回った。派手に圧倒したというより、相手の弱点を逃さず突き、試合の流れを着実に自分たちのものにした勝利だった。

日体大SMG横浜

日体大にとっては、改めて課題が浮き彫りになった試合だった。

低い位置での横パスやバックパスは、ビルドアップを成立させるための手段であるはずだが、現状では相手に狙われるリスクの方が大きい。中盤でボールを奪っても、前ではなく最終ラインへ戻す選択が多く、相手に守備を整える時間を与えてしまっていた。

もちろん、ボールを大事にする姿勢自体が悪いわけではない。ただ、相手のプレスのかかり方やボールの位置に関係なく同じようにつなごうとすれば、それは攻撃的なサッカーではなく、相手にとって狙いやすいビルドアップになってしまう。

また、守備面でもゴール前の強度には課題が残る。コースを切る対応はできていても、相手に身体を当ててシュートを打たせない対応が足りないため、伊賀の選手にペナルティエリア付近で前を向かれる場面が多かった。

前半戦11試合を通して、攻撃面・守備面ともに大きな改善が見えにくい状況は続いている。特に37失点は現在リーグワーストである。次節から後半戦に入るが、戦い方の方向性そのものを整理し直す必要があるように感じた。

伊賀FCくノ一三重

伊賀にとっては、非常に内容のある勝利だった。

特に大きかったのは、前半アディショナルタイムの追加点である。1点リードで折り返すのと、2点差にして折り返すのでは、後半の試合運びは大きく変わる。押し込んでいた時間帯に走り切り、こぼれ球に反応して決め切った唐沢芽依の得点は、試合の流れを決定づけるものだった。

攻撃面では、ボールサイドだけに人数を集めるのではなく、逆サイドを意識しながら相手を横に揺さぶる場面が目立った。中盤で前を向けたときには、ワンタッチを交えながらテンポよくペナルティエリア付近まで進み、日体大の守備を後手に回らせた。

リーグ序盤は決定力に課題を残していたが、ここ数試合は少ない好機をものにするだけでなく、押し込んだ時間帯に追加点を奪えるようになっている。堅い守備と豊富な運動量を土台に、後半戦へ向けて調子を上げてきた印象だ。

順位表

第11節終了時点で、伊賀FCくノ一三重は1つ順位を上げて4位となっている。日体大SMG横浜は10位を維持。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ2611721347+27
2(2)ヴィアマテラス宮崎24117312310+13
3(3)朝日インテック・ラブリッジ名古屋22116412711+16
4(5)伊賀FCくノ一三重2111632159+6
5(4)オルカ鴨川FC1811533158+7
6(6)ニッパツ横浜FCシーガルズ141142519190
7(7)岡山湯郷Belle14114251320-7
8(8)愛媛FCレディース13113441319-6
9(9)スフィーダ世田谷FC12113351819-1
10(10)日体大SMG横浜10103171337-24
11(11)ASハリマアルビオン9112361114-3
12(12)VONDS市原FCレディース0110011533-28

次節に向けて

日体大SMG横浜は、次節アウェーで愛媛FCレディースと対戦する。開幕戦では2-2で引き分けた相手だが、前半戦を通じて見えた課題をどこまで修正できるかが問われる一戦になる。

伊賀FCくノ一三重は、ホームでオルカ鴨川FCを迎える。開幕節では0-0に終わったカードだが、両チームともに前半戦を通じて堅守をベースに決定力を修正して勝ち点の積み上げてきた。後半戦のスタートを占う意味でも、白熱した一戦になりそうだ。

リソース

フルマッチLIVE配信

第11節全試合ハイライト動画

第11節全試合終了待ち

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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