中断期間直前の第15節。
愛媛FCレディースは、ホームに岡山湯郷Belleを迎えた。
前回対戦は、愛媛がハイプレスとハードワークで試合の主導権を握り、湯郷をシュート1本に抑えた一方で、最後までゴールを奪い切れなかった試合だった。
前回対戦のレビュー
第4節:岡山湯郷Belle 0-0 愛媛FCレディース
今回の再戦も、試合の入りで主導権を握ったのは愛媛だった。
前節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦で0-6と大敗し、立て直しが求められた中で、近藤彩優子が前半に2得点。対する湯郷も後半に修正し、今節をもって現役えお引退する南山千明のゴールで1点差に迫ったが、反撃はそこまでだった。
愛媛が2-1で競り勝ち、連敗をストップ。
一方の湯郷は、連勝が3で止まった。
この記事の要点
- 愛媛は前半、ハイプレスと近藤彩優子のスピードを生かして2点を先行
- 湯郷は後半に寺尾星奈、梶山朋恵、南山千明、片山真鞠を投入し、攻撃の圧力を強めた
- 南山千明のゴールで湯郷が1点差に迫ったが、愛媛が逃げ切って7位に浮上
試合情報
試合展開
近藤彩優子が一気に試合を動かす
立ち上がりから、愛媛は前線からの圧力と球際の強度を前面に出した。
湯郷はボールを動かしながら前進を試みたが、愛媛の出足に苦しみ、思うように中盤で時間を作れない。
その流れの中で、試合を動かしたのが#14近藤彩優子だった。
愛媛は最終ラインから縦にボールを入れると、近藤が湯郷の最終ラインの背後を取る。スピードに乗った動き出しから、ワンタッチで仕留めて先制点を奪った。

さらにその6分後、再び近藤がネットを揺らす。
左サイドで#2松村菜美が粘ってボールをキープ。湯郷の選手たちはボールがタッチラインを割ったとアピールしたが、笛は鳴らない。プレーが続く中で松村がドリブルで持ち運び、浮き球のパスを供給。これを近藤が巧みに収め、落ち着いて押し込んだ。
前半の中盤までに2点。
愛媛は、前回対戦でも湯郷を苦しめたハイプレスとハードワークを、今度は得点に結びつけた。
湯郷は後半から修正
2点を追う湯郷は、後半から#21寺尾星奈を投入。
前線にターゲットを置き、より縦方向への圧力を強めた。
同時に、守備面でも修正を加える。
前半は愛媛の前線、とくに#14近藤彩優子の動き出しと#8深澤里沙のポストプレーに対応が遅れる場面があった。後半は#20岸波優妃が深澤に対してより厳しく対応し、ボールが入る前の段階からプレーを制限。愛媛の攻撃の起点を消す場面が増えていった。

ただし、湯郷がすぐに完全に流れを取り戻したわけではない。
愛媛のプレスを受け、危険な位置でボールを失い、立て続けにシュートまで持ち込まれる時間もあった。それでもGK上野理佐を中心に粘り強く耐えて、3点目を許さなかったことが、終盤の反撃につながった。
交代策で湯郷が圧力を強める
時間の経過とともに、愛媛の運動量は少しずつ落ちていった。
そこに対して、湯郷は#3梶山朋恵、#8南山千明、#22片山真鞠を投入。4バックから3バック気味の形へ移行し、攻撃に人数をかける。
この変更で、湯郷は相手陣内でプレーする時間を増やした。
#10中野琴音のロングシュートが枠を捉え、愛媛GK#21小松里弥が触ったボールがポストを直撃。こぼれ球に寺尾が身体を張って絡み、最後は南山千明が左足で押し込んだ。
これで2-1。
湯郷が1点差に迫り、試合の緊張感は一気に高まった。

終盤は、梶山が右サイドで積極的に仕掛ける。1対1から相手を抜き去り、カットインやクロスでチャンスを作った。湯郷はラインを高く保ち、愛媛を押し込んでいく。
しかし、同点ゴールは生まれなかった。
愛媛が最後までリードを守り切り、2-1で勝利した。

総括
前回対戦と同じく、愛媛のハイプレスは湯郷を苦しめた。
違ったのは、愛媛がその優勢を前半の2得点に変えたことだ。
近藤彩優子のスピードと決定力が、試合の流れを大きく傾けた。
湯郷は後半に立て直し、交代策と配置変更で愛媛を押し込んだが、前半に背負った2点差が重かった。
愛媛にとっては、前節の大敗から立て直す大きな勝利。
湯郷にとっては、後半の修正力を示しながらも、入りの部分で相手に主導権を渡したことが響いた一戦だった。
愛媛FCレディース
愛媛は、前半の内容が非常に良かった。
前線からのプレス、切り替えの速さ、球際の強度。
チーム全体がよく走り、湯郷のビルドアップに時間を与えなかった。そこで奪った主導権を、近藤彩優子が2得点という形で結果に変えた。
近藤の1点目は、背後への動き出しとスピードが光った。
2点目は、浮き球を収めてから仕留める技術が見えた。単に速いだけでなく、ゴール前で落ち着いてプレーできる点が、この試合の大きな違いになった。
一方で、後半は課題も残った。
運動量が落ちてからは、湯郷に押し込まれる時間が増えた。
3点目を奪える場面で決め切れていれば、より楽な試合にできたはずだ。相手が交代策でギアを上げてきたときに、どう耐えるか。あるいは、どう刺し返すか。中断期間で整理したいポイントである。
それでも、前節6失点からの立て直しという意味では、非常に価値のある勝利だった。
自分たちの強みであるハードワークを取り戻し、勝点3をつかんで中断期間に入れることは大きい。
岡山湯郷Belle
湯郷は、前半の入りで苦しんだ。
愛媛の運動量とハイプレスを受け、中盤でボールを前向きに動かす場面が限られた。パスワークで前進したいチームだが、愛媛の出足に潰され、攻撃のテンポを作れなかった。
特に前半は、近藤彩優子の動き出しへの対応に苦しんだ。
最終ラインの安定感は湯郷の強みのひとつだが、この試合では近藤にやられてしまった。
ただし、後半の修正力は見せた。
前線に基準点を作り、攻撃的な選手の投入で攻撃の厚みを増した。岸波優妃の対応も含めて、守備の整理も進み、後半は湯郷らしい時間帯を作った。
南山のゴールで1点差に迫った終盤は、勝利しているときの湯郷に近い姿だった。
ラインを高く保ち、中盤で奪い、サイドから圧力をかける。リスクを負って前に出る姿勢は十分に見えた。
それでも、2点差をひっくり返すにはあと一歩届かなかった。
パスワークに加えて、相手の圧力を受けたときにどう前進するか。さらに、押し込んだ時間帯に決定機を増やせるか。中断期間明けの上位再浮上へ向けて、課題が明確になったことは収穫である。
順位表
第15節終了時点で、愛媛FCレディースは9位から7位に浮上。
岡山湯郷Belleは6位を維持した。
愛媛は連敗を止め、中位争いの中で大きな勝点3を獲得。
湯郷は敗れたものの、6位をキープして中断期間に入る。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(2) | 静岡SSUボニータ | 32 | 15 | 10 | 2 | 3 | 45 | 10 | +35 | |
| 2(1) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 32 | 15 | 9 | 5 | 1 | 37 | 12 | +25 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 29 | 15 | 8 | 5 | 2 | 28 | 15 | +13 | |
| 4(4) | オルカ鴨川FC | 28 | 15 | 8 | 4 | 3 | 20 | 10 | +10 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 26 | 15 | 7 | 4 | 3 | 17 | 11 | +6 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 23 | 15 | 7 | 2 | 6 | 22 | 23 | -1 | |
| 7(9) | 愛媛FCレディース | 19 | 15 | 5 | 4 | 6 | 17 | 28 | -11 | |
| 8(8) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 22 | 24 | -2 | |
| 9(7) | ASハリマアルビオン | 16 | 15 | 4 | 4 | 7 | 15 | 21 | -6 | |
| 10(10) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 15 | 14 | 4 | 3 | 7 | 23 | 27 | -4 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 15 | 3 | 1 | 11 | 13 | 45 | -32 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 1 | 15 | 0 | 1 | 14 | 6 | 39 | -33 |
次節に向けて
中断期間明け、7位の愛媛FCレディースはアウェイで首位・静岡SSUボニータと対戦する。
前回対戦時は、序盤から静岡に主導権を握られ、苦しい90分になった。再戦では、今節見せたハードワークをベースに、どこまで静岡の攻撃を制限できるかが焦点になる。
6位の岡山湯郷Belleは、ホームに4位のオルカ鴨川FCを迎える。
前回は、ビルドアップを制限されて先制を許したが、試合終盤の同点ゴールで勝点1をつかんだ。
後半戦の湯郷は、丁寧なビルドアップだけでなく、試合中の配置変更や交代策で流れを変える力も見せている。
堅い守備を持つオルカを相手に勝ち切り、上位グループとの差を縮められるか。中断明けの一戦は、湯郷にとって大きな試金石になる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第15節全試合ハイライト動画
公式記録

