鴨川市陸上競技場で現地観戦してきました。優勝の可能性は消えたがリーグ屈指の得点力を誇り2連勝中の強豪・静岡SSUボニータをホームに迎えての一戦。オルカ鴨川FC目線で振り返ります。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第19節全試合ハイライト動画
公式記録

公式ガイドブック
要約
ホームの鴨川市陸上競技場にて、オルカ鴨川FCは強豪・静岡SSUボニータを迎え撃ち、白熱の一戦となった。
前半はオルカが攻勢を仕掛け、#10アルマ・デービス選手や#11河野有希選手が果敢にゴールへ迫るも得点には至らず。
後半66分、交代出場の#23安東美那選手のスルーパスから河野選手が抜け出し、待望の今季初ゴールを決めて先制。
その後は静岡の猛攻をGK田谷春海選手を始めとした守備陣が集中力高く凌ぎ、最後までゴールを許さなかった。
結果は1-0でオルカが勝利し、ホーム2連勝を達成。チームの堅守と河野選手の活躍が光る試合となった。
注目ポイント
- 百武監督の采配の的中
- 河野有希選手をFWへポジション変更したことでスピードを活かす形に修正し、その結果が先制点につながった。采配が勝敗を分ける大きな要素となった。
- 松本はな選手の存在感
- 中盤の制空権を握り、ハイボールでほぼ無双状態。強豪・静岡の強力2トップに自由を与えず、試合の安定感をもたらした。
- 終盤の守備強度とチーム全体の運動量
- 静岡の猛攻に対して選手全員が走り切り、集中力を切らさず対応。特にブロックやロングスロー対策など、泥臭い守備で1点を守り切った点が印象的だった。
試合情報
| 会場 | 鴨川市陸上競技場(オルカ鴨川FCホームスタジアム) |
| 観客数 | 677名 |



フォーメーション・スターティングラインナップ
オルカ鴨川FC

前節からの変更点として、#17越路萌永選手が左サイドバックでスタメン復帰。#21屋富祖千怜選手が初のベンチ入り、#27今田紗良がベンチ外となった。#20上田麻莉選手は今節もベンチ外。スタジアムに姿はあったので、おそらく故障中だろう。
#9齋藤彩花選手と#10アルマ・デービス選手が2トップを形成。前節は消極的なプレーが目立った齋藤選手は右SHからFWにポジション変更し、得点への貢献が一層求められる。
静岡SSUボニータ

リーグ屈指の攻撃力を誇る静岡SSUボニータ。昨年なでしこリーグ1部得点王、そして現在リーグ得点数トップタイの#9土屋佑津季選手と昨年リーグ2部得点王の#10横山久美選手の2トップは強力で迫力がある。前回対戦時は土屋選手が1得点。
試合展開

前半

オルカ#11河野有希選手の積極的な攻撃、ボニータ#9土屋選手と#10横山選手による迫力あるカウンター
オルカの攻勢で試合は進む。時々、自陣での中途半端なプレーを狙われてカウンターを食らうが、全体的に強度が高くセカンドボールにも素早く反応する。
この試合、FWの#11河野有希選手が積極的な姿勢を見せる。自分でドリブル突破、シュートを放つ。また、#10アルマ・デービス選手を活かし、活かされ、良い関係を見せる。
そしてアルマ・デービス選手はこの日も相手の脅威となり、圧倒的なスピードと強靭なフィジカルで球際を制してマイボールにしてチャンスを創る。
守備面では前線の選手たちの連動したプレスと、#18松本はな選手の高さと強さが目立つ。スピードはないものの高さと強さがある松本選手は、ハイボール争いではほとんど勝利。ボールが入ると怖い静岡の前線をいち早くケアして潰し、簡単には攻めさせない。
静岡も時々素早いパス交換と前線の飛び出しから鋭いカウンターを見せる。特に#9土屋佑津季選手と#10横山久美選手が前を向いてスピードに乗ると怖い。あっという間にオルカゴール前までボールを運びシュートを放つ。土屋選手のポジショニングと飛び出しが素晴らしく、横山選手も絶えず土屋選手を意識してプレーしているように感じた。
オルカ鴨川FCは攻めながらも得点できないまま、前半が終了。#10アルマ・デービス選手の強さと上手さ、#11河野有希選手のスピードとアグレッシブな姿勢が目立った。静岡SSUボニータはチャンスは少なかったもののカウンターは迫力満点。守備陣も集中していた。
#17越路萌永選手のクロスやパスの精度があと一歩高ければ決定機といったシーンが何度かあった。また、#9齊藤彩花選手はプレーの強度不足が気になるものの、要所要所でボールに絡みチャンス創出に貢献していた。
後半
ハーフタイム明け、静岡SSUボニータが選手交代。#6小池快選手に代えて#17高島絢音が入る。オルカ鴨川FCの選手交代はなし。

攻撃に転じる静岡SSUボニータ、耐えるオルカ鴨川FC
後半開始早々、静岡SSUボニータはギアを一段上げて前への圧力を強める。オルカはGK#1田谷春海選手を中心とした守備陣が集中してゴールを許さない。
58分、試合の流れを取り戻したいオルカは2選手を交代。#24谷口愛奈選手OUT、#23安東美那選手IN。そして#10アルマ・デービス選手OUT、#13浅坂真桜選手IN。個人的にはアルマ・デービス選手のプレーはもっと見たかったが、試合当日は気温が高く疲労度も蓄積している為か早めの交代となった。

#11河野有希選手が右SHからFWへと一列前にポジションを移す。
オルカ#11河野有希選手が今シーズン初ゴール
少し膠着状態が続いた後、試合が動く。66分、押され気味だったオルカは#17越路萌永選手がインターセプトしたボールを#18松本はな選手のコントロールがズレたが、相手のパスミスを#23安東美那選手が奪うと、安東選手は#11河野有希選手に浮き球のスルーパスを送る。河野選手が相手に走り勝ちキーパーと1対1となり、河野選手は落ち着いてコースに決めた。
シーズン開幕からここまでオルカの攻撃を牽引してきた河野選手に待望の今シーズン初ゴールが生まれた。河野選手をFWに上げてスピードを活かした攻撃に修正した百武監督の采配が的中した。
直後に静岡は選手交代。#8白井未来選手に代わって#2杉田めい選手が入り、守備とサイドからの展開を強化する。

72分、先制点の起点となるインターセプトを見せた#17越路萌永選手の足が吊り、#8新田琴瑞選手と交代する。新田選手は右サイドハーフに入り、安東選手は右サイドバック、36浦部美月選手は左サイドバックへとポジションを変える。

攻め急ぐ静岡、耐えるオルカ
オルカは#8新田選手が入ったことによって強度が増し、中盤でボールを奪う展開が増える。
攻め急ぐ静岡SSUボニータは、何度もコーナーキックからの波状攻撃を繰り出すが、選手一丸となってなんとか掻き出し続けるオルカ。見ている身としてはヒヤヒヤものだった笑
同点ゴールが遠い静岡は2枚替えを行い運動量を上げる。#24大河内友貴選手と#11三輪玲奈選手がOUT、#3彦坂桃花選手と#22大曽根由乃選手がIN。

静岡は右サイドから#46万力安純選手がロングスローを多用してゴールに放り込み。押し込み続けるが集中したオルカの選手たちからゴールを奪うには至らず。
87分にドリブルでボールを運んた静岡#10横山選手のスルーパスに反応した#22大曽根由乃選手がペナルティエリア内右からシュート。これをオルカ#6浦部美月選手がナイスブロックでゴールを守った。
その後も前へ前へと圧力を強める静岡に対して運動量と強度を落とさずに対応し、雑になったプレーを奪ってカウンターを仕掛けるオルカ。静岡の猛攻およばず、1-0でオルカ鴨川FCがホームゲーム2連勝となった。
総括
オルカ鴨川FC
ホームゲームで強敵の静岡SSUボニータに対して一歩も譲らずにクリーンシートで勝ち点3をゲットした。#10アルマ・デービス選手がチームにフィットした事、ボランチとして出場する#18松本はな選手が中盤の制空権を握っている事がこれまでのチームに上積みされたことによって、簡単には負けないチームへとなりつつあると感じた。
中盤でボールを保持している時の中途半端なプレーを狙われて相手にシュートまで持っていかれるのはこれまでと変わらずだが、選手全員の運動量も多く、走り負けていない。
試合終了間際、この試合の先制点であり決勝点を挙げた#11河野有希選手が左わき腹を押さえて苦しそうだった。試合終了後の整列には並ばず、スタッフの元で状態確認を受けていた。
静岡SSUボニータ
今シーズン優勝の可能性が無くなってから臨んだオルカ戦。気持ちの切り替えとモチベーション維持が難しかったであろうことは想像がつく。やはり前線の攻撃力は脅威的だが、膠着状態や追う展開が続くとプレーの質が落ちてしまうことがもったいないと感じた。現在リーグ3位、得点数は36とリーグ1位と破壊力は抜群なので、残り3試合でゴールラッシュ、#10横山久美選手のリーグ得点王を期待したい。
優勝争い・残留争い

朝日インテック・ラブリッジ名古屋のリーグ初優勝はほぼ確定的。5位から10位までの勝ち点差が6であり、まだまだ中位グループの順位には変動が予想される。最下位のスペランツァ大阪は2部降格がすぐそこまで迫っており、歓喜する者と落胆する者がハッキリする日は近そうだ。
