2025プレナスなでしこリーグ1部は最終節。1部残留を懸けて入替戦に臨む日体大SMG横浜と、少しでも上の順位でリーグ戦を終えたいオルカ鴨川FCが対戦した。
オルカにとっては、皇后杯に向けて良い形でリーグ戦を締めくくりたい一戦。しかし結果は0-3。ボールを持つ時間はありながらも決定機を生かせず、日体大のカウンターと北沢明未選手の決定力に屈する悔しい敗戦となった。
オルカ鴨川FC目線で試合を振り返ります。
要約
1部残留を懸けて入替戦に臨む日体大SMG横浜と、上位フィニッシュを目指すオルカ鴨川FCによるリーグ最終節は、日体大SMG横浜が3-0で勝利した。公式記録上も、日体大SMG横浜がHOME、オルカ鴨川FCがAWAYの試合である。
オルカは前半、アルマ・デービス選手を中心に攻撃を組み立て、相手ゴールに迫る場面を作った。しかし決定機を生かせず、逆に日体大のカウンターから21分に浅香美結選手、34分に北沢明未選手に得点を許し、0-2で前半を折り返す。
後半、オルカは松本はな選手、屋富祖千怜選手らを投入して反撃を試みたが、62分に再び北沢明未選手に決められ、試合の流れを引き戻すことはできなかった。
今季を通じて、オルカは上位相手に粘り強い戦いを見せる一方、下位相手に勝ち切れない不安定さも抱えていた。最終節の0-3敗戦は、その課題があらためて表れた試合だったと言える。
リーグ戦は黒星で終了。ここからは皇后杯での巻き返しに期待したい。
注目ポイント
- 交代策の意図と効果
- 後半開始時、オルカは前半で最も脅威になっていたアルマ・デービス選手を下げ、松本はな選手を投入した。さらに齊藤桃花選手に代えて屋富祖千怜選手も入り、中盤と前線の構成を変えた。
ただ、交代によって高さや運動量を加えようとする意図は見えたものの、それを明確な攻撃の形につなげることはできなかった。クロスや縦への速い展開で新たな形を作り切れず、試合の流れを変えるには至らなかった印象だ。
- 後半開始時、オルカは前半で最も脅威になっていたアルマ・デービス選手を下げ、松本はな選手を投入した。さらに齊藤桃花選手に代えて屋富祖千怜選手も入り、中盤と前線の構成を変えた。
- オルカの遅攻依存とスピード不足
- この試合のオルカは、ボールを持つ時間こそあった。しかし、前線にボールが入っても味方の上がりを待つ場面が多く、結果的に日体大の守備が整う時間を与えてしまった。
一方で、前半終了間際に見せた縦に速い攻撃は、この試合で最も可能性を感じさせる形の一つだった。相手の守備が整う前に前進できた場面では、オルカにも十分にチャンスがあった。
だからこそ、遅攻と速攻の切り替え、そして攻撃テンポの判断は、今後の大きなテーマになる。
- この試合のオルカは、ボールを持つ時間こそあった。しかし、前線にボールが入っても味方の上がりを待つ場面が多く、結果的に日体大の守備が整う時間を与えてしまった。
- 若手・新戦力の起用
- 屋富祖千怜選手や今西那歩選手など、リーグ最終節で出場機会を得た選手もいた。
結果には直結しなかったが、皇后杯や来季を見据えた意味合いもあった起用と見ることができる。厳しい試合展開の中での出場となったが、こうした経験を次につなげられるかどうかも、チーム全体の底上げには重要だ。
- 屋富祖千怜選手や今西那歩選手など、リーグ最終節で出場機会を得た選手もいた。
試合情報
| 対戦カード | 2025プレナスなでしこリーグ1部 第22節 日体大SMG横浜 3-0 オルカ鴨川FC |
| 得点者 | 21分 浅香美結(日体大SMG横浜) 34分 北沢明未(日体大SMG横浜) 62分 北沢明未(日体大SMG横浜) |
| 会場 | 愛川町三増公園陸上競技場(神奈川県) |
| 観客数 | 333名 |
フォーメーション・スターティングラインナップ
オルカ鴨川FC

試合展開
オルカがボールを持つも、攻撃のテンポを上げ切れず
序盤はアウェイのオルカ鴨川FCがボールを保持し、左サイドの上田麻莉選手と、中央で起点となるアルマ・デービス選手を中心に攻撃を組み立てた。
日体大SMG横浜は浅香美結選手がスピードを生かして仕掛ける場面を作るが、序盤は周囲との連動が十分とは言えず、決定的な形までは持ち込めない。
守備時の日体大はポジショニングがやや曖昧で、プレス強度も高いとは言えない時間帯があった。そのため、オルカは高い位置でボールを奪い、相手陣内に押し込む場面を作る。
味方のクリアボールからアルマ・デービス選手が相手をかわし、右足で枠内シュートを放つ場面もあった。しかし、ここは日体大GKの好セーブに阻まれる。
アルマ選手は常に味方からボールを引き出し、相手GKとDFラインの間のスペースも狙っていた。前半のオルカの中では、日体大守備陣に最も怖さを与えていた選手だったと思う。
アルマ選手にボールを預け、キープしている間に周囲が押し上げる。あるいは、相手DFラインの背後を狙う。シンプルだが、この試合ではその形が最も効果的に見えた。
河野有希選手や上田麻莉選手もドリブルで仕掛ける力のある選手だ。ただ、相手に与える怖さという点では、前半のアルマ選手の存在感は際立っていた。
カウンター対応の甘さから先制点を許す
ボールを持つ時間はオルカにあったが、日体大が時折見せるカウンターへの対応には不安があった。そして、その不安が失点につながる。
21分、日体大は左サイドからオルカのディフェンスラインの背後を狙う。スルーパスが通り、最後は浅香美結選手が右足でワンタッチシュート。日体大が先制した。
オルカとしては、攻めている時間帯に決め切れず、逆に相手の数少ないチャンスを決められる展開。今季何度も見られた悪い流れが、最終節でも出てしまった。
北沢明未のゴールで日体大がリードを広げる
34分、日体大が追加点を奪う。再びオルカの右サイド、日体大から見れば左サイドを起点に攻撃を許し、ゴール前の混戦から最後は北沢明未選手が頭で押し込んだ。北沢選手はこの試合で2得点を記録している。
北沢選手は、ゴール前での強さと決定力を見せた。日体大にとっては、数少ないチャンスを確実に得点へ結びつける大きな追加点だった。
一方のオルカは、河野選手と上田選手がドリブルで仕掛ける場面を作る。しかし、味方の上がりを待つ時間が長く、その間に日体大の守備も整ってしまう。
相手守備が整った状態でドリブルを仕掛けても、突破の難度は高くなる。結果として横パスやバックパスを選択する場面が増え、逆にカウンターを受ける起点にもなってしまった。
前半の途中からは、アルマ選手を生かす形も少なくなり、攻撃全体の怖さが薄れていった印象だ。
縦に速い攻撃には可能性
前半終盤、オルカはシンプルに縦へ速い攻撃を見せた。この場面は、試合を通じても最も可能性を感じさせる攻撃の一つだった。
遅攻で相手を押し込む形も必要だが、この試合では日体大の守備が整う前に攻め切る形のほうが、より効果的に見えた。
前半は0-2で終了。オルカは得点力不足というより、決定機を仕留め切れない決定力不足が深刻に見える45分だった。後半に向けて、チームとして縦に速く攻める意識を共有できるかがポイントになると感じた。
オルカが2枚替え。アルマを下げて松本はなを投入
後半開始から、オルカは2名を交代する。アルマ・デービス選手に代えて松本はな選手、齊藤桃花選手に代えて屋富祖千怜選手が入った。

アルマ選手は前半を通じて日体大にとって最も脅威になっていたため、交代には驚きもあった。スタミナやコンディションの問題があったのかもしれない。
松本選手は河野選手と前線を形成。屋富祖選手はボランチに入り、前半ボランチだった浅野綾花選手はやや高い位置に移ったように見えた。
屋富祖選手は難しい試合展開での出場となった。チームとしては高さや中盤の構成を変える狙いがあったと思うが、試合の流れを大きく変えるところまでは至らなかった。
北沢明未が2点目。試合を決定づける3点目
62分、日体大が3点目を奪う。オルカのDFラインの背後に抜け出した北沢明未選手が、冷静に流し込んだ。これで北沢選手はこの試合2得点。前半のヘディングに続き、後半も背後への抜け出しから決定力を発揮した。
オルカにとっては、0-2から反撃に向かいたい時間帯での3失点目。試合の流れを引き戻すには、非常に重い失点となった。
攻撃陣を入れ替えるも、日体大を崩せず
67分、オルカは安東美那選手に代えて田中陽世里選手を投入。両サイドに河野有希選手、上田麻莉選手を置き、縦への推進力で打開を図る。
さらに79分には上田選手に代えて浅坂真桜選手、84分には河野選手に代えて今西那歩選手が入った。

しかし、最後まで日体大の守備を崩し切ることはできない。試合はそのまま0-3で終了。オルカはリーグ最終節を黒星で終えることになった。
総括
オルカ鴨川FC
リーグ戦最終節は、今季最多失点となる0-3での敗戦。内容面でも、悔しさの残る試合だった。
シーズン序盤のオルカは、開幕から第4節まで無得点と苦しいスタートを切った。その後、監督交代を経て少しずつ勝ち点を積み上げ、第7節のスペランツァ大阪戦で今季初勝利。第11節の愛媛FCレディース戦、第12節のスフィーダ世田谷FC戦では連勝し、ようやく勝てるチームになりつつある印象もあった。
しかし、シーズンを通じて安定感には課題が残った。
上位チーム相手には粘り強く守り、カウンターや少ない好機から勝ち点を拾う試合があった。一方で、下位チーム相手には多くのチャンスを作りながら決め切れず、逆に失点して敗れる試合もあった。
この最終節も、まさにその課題が表れた試合だったと思う。
下位相手に勝ち切れない不安定さ
最下位で2部降格が決まっていたスペランツァ大阪、そして1部残留を懸けて入替戦に臨む日体大SMG横浜。オルカはこの2チームとのアウェイゲームで、いずれも悔しい敗戦を喫した。
上位相手には粘れる。劣勢でも耐えられる。
しかし、自分たちがボールを持ち、主導権を握る展開で勝ち切れない。
この不安定さは、2025シーズンのオルカを象徴する課題だったと言えるかもしれない。
決定力不足は来季への大きなテーマ
攻撃面では、アルマ・デービス選手の存在感が際立った。前線でボールを収める力、相手のミスを見逃さない鋭さ、ゴール前での決定力。エースとしてチームを支えた選手だったと思う。
一方で、アルマ選手1人に頼るだけでは限界がある。
河野有希選手は今季、シュート数でリーグ上位に入るほど多くのフィニッシュに関わった。ただ、得点数という結果には十分につながらなかった。彼女に課されているタスクは攻守両面で多く、単純に得点数だけで評価するべきではない。それでも、フィニッシュの精度が高まっていれば結果が変わった試合は、今季いくつもあったように感じる。
また、齊藤彩花選手、今田紗良選手ら前線の選手たちにも、より明確な得点という結果が求められるだろう。今田選手は今節もベンチ外で、コンディション面の事情もあったのかもしれないが、移籍後に十分な結果を残すところまでは至らなかった。
来季に向けて、前線の得点力強化は大きなテーマになるはずだ。
皇后杯での巻き返しへ
リーグ戦は悔しい形で終了した。
ただ、オルカにはまだ皇后杯がある。
最終節の0-3敗戦は、チームにとって重い結果だ。しかし、ここで下を向いたまま終わるわけにはいかない。
リーグ戦で積み上げた守備の粘り、アルマ・デービス選手を中心とした攻撃の迫力、若手・新戦力の経験。そうしたものを皇后杯につなげ、1つでも上のラウンドへ勝ち上がってほしい。
SMG日体大横浜
日体大SMG横浜にとっては、入替戦に向けて大きな意味を持つ勝利だった。
浅香美結選手のスピード、北沢明未選手の決定力、そして少ないチャンスを確実に仕留める攻撃の鋭さが光った。守備でも、オルカにボールを持たれる時間はありながら、最後のところで粘り、無失点で試合を終えた。
1部残留を懸けた入替戦に向けて、リーグ最終節を良い形で終えられたことは大きな材料になるだろう。
2025年シーズンなでしこリーグ1部 記録

順位

得点
オルカ鴨川FCからは、5得点のアルマ・デービス選手が9位タイにランクインした。

シュート数
オルカ鴨川FCからは、35本のシュートを放った河野有希選手が9位タイにランクインした。

決定率
アルマ・デービス選手は、20%を超える決定率を記録。オルカの中で、最も得点の期待値を感じさせる存在だったと言える。

リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第22節全試合ハイライト動画
公式記録

