今シーズン最多失点で屈辱の0-3、残留争いチームに完敗したオルカ。皇后杯での再起なるか|2025プレナスなでしこリーグ1部・第22節 オルカ鴨川FC x 日体大SMG横浜

2025シーズン最終節。1部残留のために入れ替え戦への参加が決定している11位の日体大SMG横浜と、1つでも上の順位でリーグ戦を終えたいオルカ鴨川FCの一戦。皇后杯に向けて、良い感触でリーグ最終戦を締めくくりたい。オルカ鴨川FC目線で試合を振り返ります。

リソース

フルマッチLIVE配信(Youtube)

第22節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

公式ガイドブック

要約

1部残留を懸けた日体大SMG横浜と、上位フィニッシュを目指すオルカ鴨川FCによる最終節は、オルカが主導しながらも決定力を欠いた。

オルカは前半、アルマ・デービス選手を中心に攻めるも、カウンター対応の甘さから浅香選手と北沢選手に得点を許し0-2で折り返す。

後半、オルカは松本はな選手らを投入して反撃を試みるが、北沢選手に再び決められ0-3で完敗。

今季を通じて得点力不足が顕著で、上位には善戦しながらも下位相手に取りこぼす不安定な戦績が課題として残った。

最終節を黒星で終えたオルカは、皇后杯での巻き返しに期待がかかる一方、FW陣の補強が急務といえる。

注目ポイント

  • 交代策の意図と効果の乏しさ
    • 後半開始時にエースのアルマ・デービス選手を下げ、松本はな選手と屋富祖千怜選手を投入したが、戦術的意図が不明確で流れを変えるには至らなかった。高さを活かす形も作れず、采配面での課題が浮き彫りとなった。
  • オルカの「遅攻依存」とスピード不足
    • 前線にボールが入っても、味方の上がりを待つ遅い攻撃が多く、結果的に相手守備を整えさせてしまった。速攻時には好機を生んでいたことから、攻撃テンポの切り替えが今後の重要テーマといえる。
  • 若手・新戦力の起用試み
    • 屋富祖千怜選手や今西那歩選手など、リーグ最終節でデビュー・出場機会を与えられた選手がいた。結果にはつながらなかったが、皇后杯や来季に向けての育成的テストマッチの意味合いも感じられる。

試合情報

会場愛川町三増公園陸上競技場(神奈川県)
観客数333名

フォーメーション・スターティングラインナップ

オルカ鴨川FC

試合展開

前半

オルカが優勢も攻めが遅く決定力を欠く

序盤、アウェイのオルカ鴨川FCがボールを保持して左SH#20上田麻莉選手と中に張っている#10アルマ・デービス選手を中心に攻撃を組み立てる。

ホームの日体大SMG横浜は#13浅香がスピード豊富に仕掛けるが周りとの連動がなく形にならず。

日体大は守備時のポジショニングが曖昧で、プレス強度もい。ハイプレスでボールを奪うオルカが押し込む。

味方のクリアボールからアルマ・デービス選手が1人抜いて右足で枠内に飛ぶシュートを放つが相手GKナイスセーブ。

アルマ選手は常に味方からボールを引き出す動きと、相手GKとDFの間のスペースを狙っており日体大守備陣の脅威となっている印象。

アルマ選手に預けてキープ、複数選手が上がって攻撃の選択肢を増やす という攻め方が単純かつ効果的だと思うのだが…。ドリブルを得意とする#11河野有希選手・#20上田麻莉選手も良い選手だが、相手チームが抱く恐怖心は、アルマ選手への方が数段上だろう。

カウンターに対応できず失点するオルカ

時折見せる日体大のカウンターに対応できていないオルカだったが、そのカウンターにやられてしまう。

日体大左サイド、ハイプレスのオルカディフェンスラインの裏を狙ったスルーパスが通り、最後は#13浅香美結選手が右足ワンタッチで合わせて先制点を決める。

オルカは攻めていながらも決められずに逆に決められてしまう、いつもの悪いパターンが出てしまった。

北沢のゴールで突き放す日体大

またも右サイド(日体大の左サイド)から突破を許し、ゴール前の混戦から最後はWEリーグ・ジェフ千葉の特別指定選手である#9北沢明未選手がフィジカルの強さを見せて頭で決める。

オルカは#11河野有希選手と#20上田麻莉選手がドリブルで仕掛けるが、味方の上がりを待ってしまっているのでその間に相手の守備も整ってしまっている。その状況になったからドリブルしても脅威はなく横パス・バックパスを選択しがちになり、逆にカウンターを食らう起点になりやすい。#10アルマ・デービス選手との活かす・活かされる関係は次第に身を潜め、攻撃に怖さがなくなった。

さらに運動量が必須のオルカは走れていないように見える。味方間の連携度も低く、ボールを持ってからキョロキョロ…結果、球離れと前への推進が遅くなっている。

カウンター時に全力、結果を出す日体大

オルカ#20上田麻莉選手は時折よいプレーを見せるが、ドリブルで仕掛ける位置が低すぎて相手の脅威にはならず、奪われて逆にピンチの起点になりえている。それだけ前への意識が強い表れではあるが。。。

オルカは前半終了間際にシンプルに縦に速い攻撃を見せる。この試合で一番の脅威になっているように見受けられた。試合を通して遅攻ではなく速攻の方が良いと思うのだが…

前半終了して0-2。得点力というよりも決定力不足が深刻なオルカ、果たして後半45分で逆転できるのだろうか。ハーフタイム中にチームとして縦に早く攻めるという意思を統一できると、少しは変わると感じた。

後半

オルカに2名の選手交代あり。#10アルマ・デービス選手がベンチに下がり、#18松本はな選手がピッチに立つ。アルマ選手は前半通して日体大にとって最も驚異になっていたが、スタミナやコンディションの問題だろうか。松本選手と河野選手の2トップを形成する。

#25齋藤桃花に代えて、高さのある屋富祖千怜選手が入る。屋富祖選手は難しい場面でのなでしこリーグデビューとなった。屋富祖選手はボランチに位置し、前半ボランチだった#5浅野綾花選手はCMFに位置を上げた。#25齊藤選手は試合から消え気味だったので打倒な交代である印象。

松本選手と屋富祖選手を入れて高さを出してきたオルカだが、高さで不利だった印象が無いので、果たしてどういう意図の交代なのだろうか…。

日体大・北沢がチーム3得点目

62分、日体大の#9北沢選手がこの試合2点目を決める。オルカDFラインの裏に抜け出す北沢選手へのパスが合い、冷静に流し込んだ。オルカは敗色濃厚となってしまった。

オルカは攻撃陣のテコ入れを図るべく、67分に#23安東美那選手に代えて#33田中陽世里選手が入る。両サイドは縦への推進力がある#11河野有希選手・#20上田麻莉選手を配置し、なんとか状況の打開を試みる。

その後オルカは79分に#20上田麻莉選手に代えて#13浅坂真桜選手を投入。

84分に#11河野有希選手を下げて#15今西那歩選手が入る。

しかし最後まで日体大を崩せず、0-3で試合終了。

総括

オルカ鴨川FC

リーグ戦最終節を今シーズンで最も失点する終わり方をしてしまった。リーグ初戦から4試合目まで無得点。第4節終了後に辛島監督を解任し、百武コーチが監督を代行。なかなか勝てない時期が続いたが、第7節にスペランツァ大阪に1-0勝利でようやく初白星を挙げ、第11節に愛媛FCレディースに3得点で勝利。そして第12節アウェイのスフィーダ世田谷に2-1勝利し2連勝。ようやく勝てるチームになった。しかし中断期間前後にニッパツ、そしてスペランツァ大阪に連敗。その後も強豪相手には勝利を収めたり善戦するものの、下位相手に負けるなど安定しなかった。

安定しない戦績

最下位で2部降格が決定しているスペランツァ大阪、そして1部リーグ残留を賭けて入れ替え戦に臨む日体大にそれぞれアウェイゲームで完敗。劣勢に立たされる上位チームとの試合は驚異的な粘りとカウンターで最少失点あるいは勝ちを拾っている一方で下位チームには数多のチャンスを活かせず、失点し負けてしまう。

シーズンを通して苦しんだ決定力不足

エースFWのアルマ・デービス選手1人がいくらがんばっても限界はあるだろう。今シーズン、シュート数はリーグトップ10入りしているオルカ#11河野選手だが、得点数はこれまで1。彼女に課せられているタスクは攻守両面に多いが、フィニッシュの精度が高まれば…といった試合が今シーズンいくつもあったのも事実。今節ベンチ外の#9齊藤彩花選手とともに、昨シーズンチーム内で複数得点を挙げていた選手たちの決定率が低く、シーズン中に期待のFWとしてジェフ千葉レディースから完全移籍してきた#27今田紗良選手は今節もベンチ外。おそらく故障だろうが、移籍後ここまで結果を残せていない。まだあと1節残っているが、シーズン終了後の移籍期間にFW陣の補強は必須であろう。

リーグ戦は終了したが、まだ皇后杯がある。気持ちを切り替えて、1つでも勝ち上がってほしい。

SMG日体大横浜

1部残留をかけて入れ替え戦に臨む。リーグ最終節を良い形で終える事が出来たので、入れ替え戦にも期待したい。

2025年シーズンなでしこリーグ1部 記録

ランキング

順位

得点

オルカ鴨川FCからは5得点のアルマ・デービス選手が9位タイでランクイン。

シュート数

オルカ鴨川FCからは35本のシュートを放った河野有希選手が9位タイにランクイン。

決定率

アルマ・デービス選手が3位!20%を超える決定率を見せた。

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