前節、朝日インテック・ラブリッジ名古屋の猛攻を受けながらも最少失点で耐え、河野有希のゴールで貴重な勝ち点1を持ち帰ったオルカ鴨川FC。第9節は、2連勝中のスフィーダ世田谷FCをホーム・ワタレイスタジアムに迎えた。
世田谷は、堀江美月と内田美鈴を中心に前線の強度と得点力を備えるチーム。オルカにとっては、相手の攻撃力をどう抑え、自分たちの攻撃につなげるかが問われる一戦だった。
試合は序盤から両チームの運動量と球際の強度がぶつかり合う展開となった。その中でオルカは、世田谷の前線に自由を与えず、試合の主導権を徐々に引き寄せていく。後半78分、河野有希が2試合連続となるゴールを決め、これが決勝点。オルカが1-0で勝利し、上位争いに向けて大きな勝ち点3を手にした。
この記事の要点
- オルカ鴨川FCがスフィーダ世田谷FCに1-0で勝利。両チームが強度高くぶつかる中、オルカが世田谷の前線を封じて主導権を握った。
- 後半の修正でオルカが流れを引き寄せる。太田凪砂を前線に戻し、江藤里桜奈を右サイドに投入したことで攻撃が活性化した。
- 78分、河野有希が2試合連続ゴール。蔵田あかりのつなぎから河野が決勝点を奪い、オルカがホームで勝ち点3を手にした。
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節
| オルカ鴨川FC | スフィーダ世田谷FC |
|---|---|
| 1 | 0 |
| 78分 河野 有希 |
| 会場 | ワタレイスタジアム(鴨川市陸上競技場)(千葉県) |
| 観客数 | 605人 |
オルカ鴨川FC
今シーズンのキャプテンを務める金子ゆいがボランチとして今季初先発。太田凪砂は普段より一列低い位置に入り、齊藤桃花はボランチではなく前線で起用された。前節の名古屋戦で貴重な同点ゴールを挙げた河野有希も先発に名を連ねた。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 米澤 萌香 | |
| DF | 23 | 安東 美那 | |
| DF | 4 | 松尾 菜月 | |
| DF | 3 | 月東 優季乃 | |
| DF | 6 | 浦部 美月 | |
| MF | 19 | 太田 凪砂 | |
| MF | 5 | 浅野 綾花 | |
| MF | 8 | 金子 ゆい (Cap.) | |
| MF | 14 | 蔵田 あかり | |
| FW | 11 | 河野 有希 | 84▼ |
| FW | 25 | 齊藤 桃花 | HT▼ |
| 控え | |||
| GK | 26 | 力丸 里保 | |
| DF | 2 | 吉田 紫穂 | |
| DF | 29 | 中西 茉里奈 | |
| MF | 7 | 並木 千夏 | |
| FW | 10 | アルマ デービス | 84▲ |
| FW | 22 | 北村 ほのか | |
| FW | 24 | 江藤 里桜奈 | HT▲ |
| 監督: 石田 学 | |||
スフィーダ世田谷FC
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 大塚 美緒 | |
| DF | 2 | 根本 彩夏 | |
| DF | 6 | 黒川 愛奈 | |
| DF | 7 | 渡邊 那奈 | |
| DF | 15 | 篠原 沙耶 | |
| MF | 8 | 加藤 沙彩 | |
| MF | 3 | 柏原 美羽 (Cap.) | |
| MF | 10 | 田口 茉亜紗 | |
| FW | 16 | 北川 心子 | 65▼ |
| FW | 9 | 堀江 美月 | 82▼ |
| FW | 13 | 内田 美鈴 | |
| 控え | |||
| GK | 21 | 石川 愛紘 | |
| GK | 22 | 山内 夏実 | |
| DF | 4 | 小泉 柚紀 | |
| MF | 18 | 佐藤 李那 | 82▲ |
| MF | 20 | 石浦 和歌 | |
| FW | 11 | 粟田 桃子 | 65▲ |
| FW | 14 | 松原 萌乃 | |
| 監督: 濱田 堯 | |||
試合展開
世田谷の前線を警戒し、オルカが守備から主導権を握る
世田谷は#9堀江美月と#13内田美鈴を前線の起点にし、右サイドでは#8加藤沙彩と#2根本彩夏が積極的に攻撃参加。左サイドの#16北川心子も攻守にハードワークし、サイドから中央へボールを供給する形を狙った。
対するオルカは、#5浅野綾花と#8金子ゆいが中盤でコンパクトな守備を形成し、最終ラインでは#3月東優季乃と#4松尾菜月を中心に世田谷の前線を封じ込めた。特に堀江と内田に簡単に前を向かせず、受けた瞬間に複数人で寄せる対応が徹底されていた。
蔵田あかりの突破を起点に、オルカがチャンスを作る
攻撃では、右サイドに入った#19太田凪砂をターゲットにしながら、#11河野有希がサポートに入り、左サイドでは#14蔵田あかりがスピードを生かして前進した。
太田の強さ、蔵田の速さを左右で使い分ける意図が見え、特に蔵田が前を向いてボールを持った場面では、オルカがシュートまで持ち込む場面も増えていった。
前半は互いにチャンスを作りながらも、最後の局面で守備陣が集中力を保った。オルカは押し込む時間を作ったものの、世田谷の守備も崩れず、前半は0-0で折り返した。
後半開始の配置変更で、オルカが攻撃の流れをつかむ
後半開始から、オルカは#25齊藤桃花に代えて#24江藤里桜奈を投入。#19太田凪砂は本来の前線に入り、江藤が右サイドに入った。右サイドの推進力を高めると同時に、中央の強度を上げる狙いがあったと見受けられる。
この修正によって、オルカの攻撃はより整理された。太田が中央で起点となることで、味方が押し上げる時間を作れるようになり、守備でも前線からの圧力とプレスバックが効き始めた。
世田谷は後半序盤、左サイドで#13内田美鈴と#15篠原沙耶が起点になる場面を作ったが、継続的に押し込むまでには至らなかった。
世田谷の攻勢を受け止め、背後のスペースを突く
世田谷は両サイドバックの位置を高くし、攻撃の圧力を強めようとした。しかし、その背後にはスペースも生まれた。
オルカは江藤里桜奈と安東美那の右サイドからクロスを上げる場面を作り、徐々に試合の流れを引き寄せていく。押し込みながらも、あと一歩ゴールに届かない展開が続いたが、オルカは焦れずに攻撃を続けた。
河野有希が2試合連続ゴール、オルカが勝ち切る
78分、#1米澤萌香のゴールキックからの流れで、#14蔵田あかりが浮き球をつなぐ。そのボールに反応した#11河野有希が、右足でダイレクトシュート。世田谷GK#1大塚美緒も懸命に触ったが、ボールはゴールネットを揺らした。
前節の名古屋戦に続き、河野がまたしても勝負どころで結果を出した。
得点後、オルカは河野に代えてアルマ・デービスを投入。前線の強度を維持しながら、世田谷の反撃を受け止める形に移行した。世田谷も内田の鋭いミドルシュートなどでゴールを狙ったが、オルカの守備は最後まで崩れなかった。
試合はそのまま1-0で終了。オルカがホームでスフィーダ世田谷FCを破り、上位争いに踏みとどまる大きな勝利を収めた。
総括
強力な前線を持つ世田谷に対し、オルカは守備の設計と個々の集中力で上回った。決して楽な試合ではなかったが、堀江美月と内田美鈴に自由を与えず、試合の流れを自分たちの側に引き寄せたことが勝因だった。
攻撃面では、前半から蔵田あかりの突破が大きなアクセントになっていた。後半に太田凪砂を前線へ戻し、江藤里桜奈を右サイドに投入したことで、攻撃のバランスも改善。石田監督の修正が試合の流れを変えた一戦でもあった。
そして最後は、河野有希の決定力。名古屋戦で唯一のシュートを決め切った前節に続き、今節も限られたチャンスをゴールに変えた。チームとして守り、チームとして流れを作り、最後に決めるべき選手が決めた。オルカにとって、内容と結果の両面で価値のある勝利だった。
オルカ鴨川FC
オルカの最大の収穫は、世田谷の攻撃の中心を抑え込んだことだ。堀江美月と内田美鈴に対しては、基本的に複数人で対応し、簡単に前を向かせなかった。背負わせて受けさせる、受けた瞬間に寄せる、サポートコースを切る。この守備が徹底されていた。
ベンチワークも光った。後半開始から太田凪砂を前線に戻し、江藤里桜奈を右サイドに入れたことで、オルカは前線の強度と右サイドの推進力を取り戻した。前半の配置で見えていた課題を、後半開始時点で修正できた点は大きい。
一方で、改善点もある。相手をリスペクトする姿勢は必要だが、前節の名古屋戦と同様に、慎重になりすぎる時間帯もあった。特に世田谷の最終ラインに対して、もう一枚前から圧力をかけられていれば、相手により精度の低いボールを蹴らせることもできたはずだ。
それでも、今節は中盤と最終ラインの距離感が良く、守備の安定感が勝利につながった。今季初先発でフル出場した金子ゆいは、球際で体を張り、攻撃参加でも全力スプリントを見せた。キャプテンとして、チームに強度を与える存在だった。
個人的に、この試合の殊勲は蔵田あかりだ。90分を通じて運動量が落ちず、スピードを生かして何度も左サイドを前進した。攻撃だけでなく守備への戻りも速く、苦しい時間帯でも走り切った。河野の決勝点につながる場面でも、蔵田のつなぎが大きな役割を果たした。
スフィーダ世田谷FC
世田谷は、現在のリーグ下位グループの中では攻撃力のあるチームだと改めて感じた。堀江美月、内田美鈴、北川心子を前線に置き、両サイドの推進力と中央の高さを生かす攻撃は迫力がある。
ただし、攻撃的な姿勢が強い分、後方のリスク管理には課題も残った。サイドバックが高い位置を取ることで攻撃に厚みは出るが、その背後を使われる場面もあった。中盤のサポートやサイドの絞りがもう少し整理されれば、守備の安定感は高まるはずだ。
ポゼッション志向の相手には、サイドのスピードと中央の強さを生かして少ない手数でゴール前まで迫れる。一方で、オルカのように堅く守り、背後のスペースを突いてくる相手には、攻守の切り替えと最終ラインの管理がより重要になる。
攻撃の形はある。だからこそ、守備面が安定すれば、ここから勝ち点を伸ばしていける可能性は十分にあるチームだと感じた。
順位表
第9節終了時点で、オルカ鴨川FCは1つ順位を上げて4位。スフィーダ世田谷FCは8位を維持した。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 23 | 9 | 7 | 2 | 0 | 29 | 3 | +26 | |
| 2(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 20 | 9 | 6 | 2 | 1 | 20 | 9 | +11 | |
| 3(4) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 16 | 9 | 4 | 4 | 1 | 22 | 11 | +11 | |
| 4(5) | オルカ鴨川FC | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 14 | 6 | +8 | |
| 5(6) | 伊賀FCくノ一三重 | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 10 | 8 | +2 | |
| 6(7) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 18 | 14 | +4 | |
| 7(3) | 岡山湯郷Belle | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 13 | 17 | -4 | |
| 8(8) | スフィーダ世田谷FC | 10 | 9 | 3 | 1 | 5 | 17 | 18 | -1 | |
| 9(9) | 愛媛FCレディース | 9 | 9 | 2 | 3 | 4 | 10 | 18 | -8 | |
| 10(10) | 日体大SMG横浜 | 7 | 9 | 2 | 1 | 6 | 12 | 34 | -22 | |
| 11(11) | ASハリマアルビオン | 6 | 9 | 1 | 3 | 5 | 9 | 13 | -4 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 9 | 0 | 0 | 9 | 3 | 26 | -23 |
次節に向けて
次節、オルカ鴨川FCはアウェーでASハリマアルビオンと対戦する。上位戦線に踏みとどまるためには、下位チーム相手に確実に勝ち点3を積み上げたい。今節のように守備の強度を保ちつつ、攻撃ではより多くの決定機を作れるかがポイントになる。
スフィーダ世田谷FCは、アウェーでヴィアマテラス宮崎と対戦する。走力、攻撃力、守備強度のいずれも高い難敵だが、下位グループから抜け出すためには勝ち点を持ち帰りたい。攻撃力を生かすためにも、守備の整理とリスク管理が次節の鍵になるであろう。
リソース
フルマッチLIVE配信
第9節全試合ハイライト動画
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