【試合レビュー】オルカ鴨川FCが愛媛とのアウェー戦で今季初勝利、上田麻莉の先制弾と蔵田あかりの追加点で2-0完勝|2026プレナスなでしこリーグ1部 第2節

開幕戦をともに引き分けで終えた両チームが、今季初勝利を懸けて愛媛県で対戦した。
前節を無得点で終えたオルカ鴨川FCにとっては、課題とされる得点力の改善をアウェーの地で示せるかが注目点だった。

試合は、オルカ鴨川FCが愛媛FCレディースに2-0で勝利。今季初得点と初勝利を同時に手にした一戦を振り返る。

オルカ鴨川FCは、愛媛FCレディースとのアウェーゲームに2-0で勝利し、今季初得点と初勝利を同時に手にした。試合は序盤からオルカが主導権を握り、#19太田凪砂のポストプレーを起点に中盤と両サイドが連動。12分には、#20上田麻莉がこぼれ球に素早く反応し、鮮やかなターンから今季チーム初得点を決めた。

愛媛も35分、39分と決定機を迎えたが、オルカGK#1米澤萌香が好セーブで得点を許さない。とくに39分の1対1を止めた場面は、この試合の大きな分岐点だった。後半立ち上がりこそ愛媛が押し返したものの、オルカは守備ブロックを崩さず、時間の経過とともに再び流れを引き戻す。

そして75分、途中出場の#10アルマ・デービスの守備からチャンスが生まれ、#19太田の展開を受けた#14蔵田あかりが追加点。石田学監督の交代策が見事に的中し、試合を決定づけた。ベンチから絶えずコーチングを送り、「守るなよ! トライするぞ!」と攻める姿勢を求め続けた石田監督の姿も印象的だった。

この試合では、オルカが今季目指す新しい形も見えてきた。前線の強さを起点に中盤が前進し、両サイドを使って厚みのある攻撃につなげる形に加え、昨季よりも守備の安定感も増している。一方の愛媛は、相手の強度が上がったときに中盤が間延びし、前線を孤立させたことが課題として残った。オルカにとっては、内容と結果の両面で価値ある初勝利だった。

リソース

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日程・結果

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注目ポイント

  • オルカ鴨川FCが攻守で主導権を握り、今季初得点と初勝利を敵地でつかんだ。
  • 上田麻莉の先制弾、蔵田あかりの追加点、米澤萌香の好守が勝利を引き寄せた。

試合結果

愛媛FCレディースオルカ鴨川FC
02
12分 上田麻莉
76分 蔵田あかり
会場愛媛県総合運動公園球技場
観客数415人

スターティングラインナップ・登録メンバー

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/match_page.html?mno=8

愛媛FCレディース

前節で得点を挙げた #14近藤彩優子、#26桜井由衣香が今節もスタメンに名を連ねた。

オルカ鴨川FC

オルカは前節からスタメンを2人変更。
#3月東優季乃に代えて #23安東美那、#14蔵田あかりに代えて #24江藤里桜奈が先発に入った。月東、蔵田はともにベンチスタートとなった。

試合展開

序盤から主導権を握ったのはアウェーのオルカだった。#19太田凪砂のフィジカルを生かしたポストプレーで前線に起点をつくり、そこに2列目の選手たちが関わって前進。最終ラインも押し上げ、コンパクトな陣形を保ちながら試合を進めていく。ダブルボランチの#7並木千夏、#5 浅野綾花に加え、FW起用の#25齊藤桃花も中盤の底まで下りてきて、守備とビルドアップの両面で貢献した。中盤とサイドの距離感が良く、ボールを失っても素早く周囲がサポートに入り、愛媛の前進コースを消していった。

一方の愛媛は、時折ロングボールで#14近藤彩優子ら前線のスピードを生かそうとする。しかし、2列目の押し上げが十分ではなく、前線が孤立する場面が目立った。中盤での構成力ではオルカが上回り、愛媛は自陣から押し返すのに苦しんだ。

12分、オルカが今季初得点

12分、試合が動く。
オルカのスローインを起点に、#20上田麻莉が右サイドをドリブルで持ち上がり、#19太田凪砂へつなぐ。太田は2人に囲まれながらも味方の上がりを待ち、#7並木、#5浅野を経由して#25齊藤へ縦パス。齊藤から再びパスを受けた太田がバイタルエリアまで持ち上がって左足を振るが、これは愛媛DFが体を張ってブロックする。

しかし、こぼれ球に素早く反応した#20上田が左サイド深くで巧みにターンし、相手と入れ替わってペナルティーエリアへ侵入。右へ持ち出しながら放った右足シュートは、愛媛ゴール左隅へ鮮やかに突き刺さった。

オルカ鴨川FC#20上田麻莉の先制ゴール

良い流れの中で、それぞれの選手の特徴が噛み合って生まれた見事な得点だった。
#20上田麻莉のゴールは、オルカにとって今季初得点でもあった。

失点後、愛媛は前への圧力を強めるが、オルカの中盤と最終ラインがこれをしっかり受け止める。むしろオルカは、サイドを広く使ったカウンターで再び主導権を握る。#19太田のポストプレー、#25齊藤の展開力、そ#24 江藤里桜奈の縦への推進力で愛媛を押し込んでいく。#17越路萌永のタイミングの良い攻撃参加も愛媛の最終ラインを押し下げるのに効果的で、ボールを失った直後の切り替えも速い。前線では#19太田のプレスを起点に、#24江藤、#20上田が連動してプレスをかけ、愛媛にビルドアップを簡単には許さなかった。

愛媛の決定機をオルカGK米澤が阻止

35分、愛媛がようやく決定機をつくる。
中盤で人数をかけてボールを奪うと、#14近藤が左サイドを持ち上がって折り返し。ゴール前には愛媛の選手が5人走り込み、#26桜井由衣香がフリーでシュートを放つが、これはオルカGK#1米澤萌香が落ち着いてセーブした。

オルカ鴨川FC#1GK米澤萌香の好セーブ

さらに39分には、愛媛にこの試合最大のチャンスが訪れる。
中へ絞っていたオルカ#20上田の背後を使い、愛媛#19黒岩沙羽がフリーで抜け出してGK米澤と1対1に。だが、米澤は素早く飛び出してシュートコースを限定し、最後は体全体を投げ出してブロック。開幕戦に続いて1対1の場面で存在感を示し、チームを救った。

オルカ鴨川FC#1GK米澤萌香が1対1の局面で見事にブロックしたシーン

この場面では、黒岩以外でゴール前へ勢いよく走り込んでいたのは近藤くらいだった。より多くの選手がスプリントしていれば、黒岩の選択肢は増え、得点につながっていた可能性もあっただろう。前半終盤の苦しい時間帯だからこそ、こうした局面にチームの完成度が表れるように感じられた。

その後は、オルカがコンパクトな陣形を保ちながら相手のビルドアップに圧力をかけ、奪ってはカウンターという形を継続。前線からの強度の高い守備も機能し、そのまま前半を1点リードで折り返した。

後半も流れを渡さないオルカ

後半立ち上がりは愛媛が前に出た。左右両サイドから立て続けにシュートで終わる攻撃を見せ、流れを引き戻そうとする。

それでも55分を過ぎると、耐えたオルカが再びラインを押し上げて押し返す。愛媛の2列目は低い位置まで守備対応を強いられ、攻撃参加が遅れ始めた。

74分、愛媛は#14近藤彩優子を下げる。この試合でオルカにとって最も脅威となっていたであろう選手の交代は、オルカにとって大きかった。近藤はハードワークも際立っており、疲労や次戦も見据えた判断だったのだろう。この時間帯から愛媛は全体が間延びし、選手間のサポートも薄くなる。奪っても出しどころがなく、オルカの守備に阻まれる場面が増えていった。

74分に愛媛の近藤が下がる。この試合、オルカにとって一番脅威だった近藤の交代でオルカは楽になったが、近藤のハードワークは目立っていたのでスタミナや次戦を見据えての交代だろう。疲労からか愛媛はこのころからさらに全体的に間延びし、各選手どうしのサポートが足りない場面が目立つようになる。ボールを奪っても出しどころがなくオルカの守備に阻まれる。

交代策が当たり、オルカが追加点

すると75分、再び試合が動く。途中出場の#10アルマ・デービスがプレスバックでボールを奪うと、#19太田凪砂がワンタッチで左サイドを駆け上がる#14蔵田あかりへ展開。途中出場の蔵田はフリーの状態で左足を振り抜き、シュートはGKの手に当たりながらもゴールへ吸い込まれた。交代策が見事に実った追加点だった。

オルカ鴨川FC#14蔵田あかりが追加点

愛媛は攻めるも最後までオルカの守備を崩れせず

苦しくなった愛媛は選手交代で攻撃の活性化を図る。サイドからいくつかチャンスをつくったものの、集中を切らさないオルカの守備は崩れない。前線にはフィジカルと得点力を備えた#10アルマ・デービス、前半から攻撃の起点となり続けた#19太田凪砂、さらに走力のある大型FW#22北村ほのか右サイドに控えており、愛媛守備陣にとっては終盤まで大きな脅威だった。ラインを大胆に押し上げにくかった要因の一つでもあっただろう。

愛媛は何とか1点を返そうと前がかりになるが、オルカの守備ブロックを崩す明確なアイデアは見えず、クロスを上げては跳ね返される展開が続く。そうしてアディショナルタイムも終わり、試合終了のホイッスル。オルカ鴨川FCが敵地で今季初勝利を挙げた。

総括

見えてきたオルカの新しい形

この試合では、今季のオルカが目指す攻撃の輪郭が垣間見えた。石田監督は開幕戦から、前線に#19太田凪砂ら走力と強さを備えたFWを置き、攻守のスイッチ役を託している。前線がボールを収めて時間をつくり、その間に中盤が前進する。展開力のある#5 浅野綾花や#25 齊藤桃花が中央から縦やサイドへ配球し、ポスト役を担ったFWはそのまま最前線へ走り込む。両サイドのスピードを生かしながら厚みのある攻撃につなげていく形だ。

昨季序盤はサイド攻撃への依存度が高く、特に攻撃参加したサイドバックの背後を使われる場面が少なくなかった。しかし今季は、サイドバックが高い位置を取った際にサイドハーフやウイングが素早くカバーへ戻る場面が増え、守備の安定感は明らかに増しているように映る。

従来からの強みである、コンパクトな陣形を保った高い位置からの守備。そこに、より整理された前進の形が上積みされつつあるのではないか。そう感じさせる90分だった。

交代策とベンチワークがもたらした差

石田監督の交代策も的中した。交代出場の#14蔵田あかりが移籍後初ゴールを決め、相手の足が止まり始めていた時間帯に鋭さをもたらした。さらに途中出場の#3月東優季乃は右サイドバックで高い対人能力を示し、クリーンシートに貢献。#22北村ほのかも献身的なプレスバックで相手の攻撃機会をつぶしており、チーム全体の守備意識の高さが印象に残った。

両チームの監督の試合中の振る舞いの違いも印象的だった。オルカの石田監督は、試合を通じて大きな声と身振り手振りで選手たちに細かくコーチングを送り続けていた。ゴールが生まれた場面では感情を大きく表し、ベンチの熱量をさらに高めていたのも印象深い。とりわけ、蔵田がチーム2点目を決め、選手たちがポジションへ戻る場面で「守るなよ! トライするぞ!」と声を張り上げていたのは象徴的だった。2点リードの状況でも受けに回るのではなく、さらに前へ出て3点目を狙う姿勢を求めていたのだろう。ボールがタッチラインを割った際の切り替えについても絶えず指示を送り、ピッチ上の選手たちが次に何をすべきか迷わないよう働きかけていた。良いプレーには拍手を送り、大きな声で称える姿からは、石田監督の人間味も感じられた。

一方、愛媛FCレディースの長谷川歩監督は、比較的落ち着いた様子で試合を見守っていた。石田監督の感情表現が大きかった分、その対比はより際立って見えた。もちろん、監督の振る舞いに正解が一つあるわけではないが、両監督のベンチワークの違いも、この試合のコントラストの一つだった。

躍動した新戦力と主力たち

個々の選手に目を向けても、新戦力の躍動が目立った。得点を挙げた#14蔵田あかりはもちろん、愛媛の選手を背負いながら起点となり続けた#19太田凪砂、そして開幕戦に続いてこの試合でも1対1を止めたGK#1 米澤萌香の存在は大きい。クリーンシート達成には、DF#2 吉田紫穂の空中戦の強さも効いていた。#24江藤里桜奈は縦への推進力だけでなく対人強度の高さも見せ、体をぶつけられても簡単には崩れない。#7並木千夏も前節以上に存在感を放ち、#5浅野綾花とともに中盤の背骨を担った。豊富な運動量を武器に攻守両面で働き、相手のラインを押し下げる役割も果たしていた。

今後に向けた課題と展望

一方で、気掛かりなのは#5 浅野綾花の状態である。後半途中、自ら交代を申し出るような形で担架に乗ってピッチを後にした。筆者は同選手を中盤の最重要選手の一人と見ているだけに心配は残るが、テクニックがあり味方を生かすことに長けた#25齊藤桃花や、スフィーダ世田谷FCから加入した#8 金子ゆい らの起用にも注目したい。まずは浅野が軽傷であることを願いたい。

敗れた愛媛FCレディースは、相手が強度で上回ってきた際にどう攻めるかが課題として残った。前節の日体大SMG横浜戦では主導権を握る時間が長かったが、この日は中盤と最終ラインでオルカに優位を取られ、前線と後方の距離が間延びする時間が生まれた。新加入の#14近藤彩優子が大きな武器であることは間違いないだけに、#26桜井由衣香とともに、いかに守備負担を減らしながら攻撃の形を増やしていくかが今後のポイントになりそうだ。

順位表

3/22(日)の試合結果待ちだが、オルカ鴨川FCは暫定2位、愛媛FCレディースは暫定9位となった。

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/standings.html

次節、オルカは再びアウェーでニッパツ横浜FCシーガルズと対戦し、愛媛FCレディースもアウェーで朝日インテック・ラブリッジ名古屋と対戦する。オルカには連勝を、愛媛には王者相手のチャレンジの中で次につながる内容を期待したい。


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