【試合レビュー】上田彩葉が土壇場で決勝点 伊賀FCくノ一三重、愛媛FCレディースとの接戦を制し4位浮上|2026プレナスなでしこリーグ1部 第7節

試合レビュー

第6節終了時点で7位の愛媛FCレディースが、ホームに5位の伊賀FCくノ一三重を迎えた一戦。ともに前節で勝利を収めており、勝ち点差はわずか1。中位から上位争いへ抜け出すためにも、両チームにとって勝ち点3が欲しい試合だった。

試合は、運動量と強度を前面に出す伊賀が主導権を握りながらも、愛媛が粘り強い守備と鋭いカウンターで応戦する展開に。最後まで均衡が続いたが、88分に途中出場の#25上田彩葉が決勝点を挙げ、アウェーの伊賀が0-1で勝利。3連勝を飾った。

90分を通じてタフな戦いとなった一戦を振り返ります。

注目ポイント

  • 勝ち点1差の両チーム。上位争いに抜け出すのはどちらか
  • 今シーズン、ホームでいまだ勝利がない愛媛FCレディースは、今節でホーム初勝利を挙げることができるか
  • 2連勝中の伊賀FCくノ一三重は、アウェーで勝利を収めて3連勝とできるか

試合情報

愛媛FCレディース伊賀FCくノ一三重
1
88分 上田 彩葉
会場愛媛県総合運動公園球技場
観客数256人

スターティングラインナップ・登録メンバー

愛媛FCレディース

PosNo.氏名交代
GK21小松 里弥
DF16野口 珠里
DF5西村 紀音 (Cap.)
DF24前田 花依
DF13丸山 ちさと
MF19黒岩 沙羽89▼
MF6兵頭 來良
MF11小島 和希子
MF26桜井 由衣香
FW8深澤 里沙60▼
FW14近藤 彩優子87▼
控え
GK33山内 れな
DF2松村 菜美
DF25足立 寧々
MF15榎谷 岬
MF29安齋 結花87▲
FW9谷口 清夏60▲
FW18髙尾 真莉奈89▲
監督: 長谷川 歩

伊賀FCくノ一三重

PosNo.氏名交代
GK16小野 未織
DF17松久保 葵子HT▼
DF26清 悠香
DF3秦 美結
MF14増田 玲那
MF6常田 麻友 (Cap.)
MF7渡邊 凜
MF8島野 美央71▼
MF24唐沢 芽依71▼
FW11児野 楓香56▼
FW22松田 吏真82▼
控え
GK1井上 加菜美
DF2多崎 美玖82▲
DF5常田 菜那HT▲
DF13髙山 菜々香
MF9桂 亜依56▲
MF25上田 彩葉71▲
FW10平田 ひなの71▲
監督: 永井 良明

試合展開

伊賀が主導権を握る立ち上がり

どちらかといえばビルドアップから攻撃を組み立てようとする愛媛に対し、伊賀はより直線的にゴールへ向かう意識が強かった。

両チームとも運動量の多いチームだが、序盤から上回ったのは伊賀だった。縦への速い攻撃、プレス強度、切り替えの速さ、そして選手個々のクオリティで優位に立ち、試合の主導権を握る。

特に目立ったのは、愛媛の右サイド背後を狙う攻撃だった。愛媛の#19黒岩沙羽が比較的高い位置を取る場面があるなか、その背後を伊賀の#24唐沢芽依が突き、チャンスを作る場面が見られた。

それでも愛媛は、最後の局面で粘り強く対応。押し込まれる時間はありながらも、決定的なピンチを連続して作らせることはなかった。

愛媛は鋭いカウンターで応戦

愛媛も守るだけではなかった。ボールを奪った後は、#14近藤彩優子、#26桜井由衣香、#19黒岩沙羽といったスピードのある選手たちが一気に前線へ駆け上がる。

伊賀が前から圧力をかける分、その背後にはスペースも生まれる。愛媛はそこを突き、ショートカウンターから相手ゴールに迫った。

伊賀の守備陣も集中して対応していたため、愛媛が大きな決定機を連続して作る展開にはならなかったが、カウンターの切れ味は十分に脅威だった。

前半は互いにゴールを奪えず、0-0で折り返す。

後半も伊賀が攻勢 愛媛は粘り強く耐える

後半に入ると、伊賀はさらにラインを上げて攻勢を強めた。前線からの圧力を保ち、セカンドボールにも素早く反応。愛媛ゴールに迫る回数を増やしていく。

一方の愛媛も、押し込まれながら集中を切らさなかった。守備時には中盤での強度を保ち、ゴール前では体を張って対応。伊賀に主導権を握られながらも、簡単にはゴールを許さない。

伊賀はゴールまであと一歩の場面を作りながら、最後の一押しを欠く展開が続く。そこで永井良明監督は、#9桂亜依、#25上田彩葉、#10平田ひなのらを投入。攻撃の活性化を図った。

両チームに訪れた決定機

後半は、セットプレーから両チームに決定機が生まれた。

伊賀はコーナーキックの流れから#9桂亜依がシュートを放つも、ボールはゴールポストを直撃。愛媛もコーナーキックからチャンスを迎えるが、伊賀の#5常田菜那がゴールライン上でクリアし、得点を許さなかった。

時間が進むにつれて、前がかりになる伊賀の背後を愛媛が突く場面も増えていく。しかし、伊賀のDF陣は最後まで集中力を維持。危険な場面でも組織的に対応し、愛媛にゴールを割らせなかった。

88分、上田彩葉が土壇場で決勝点

このままスコアレスドローで終わるかと思われた88分、試合を動かしたのは伊賀だった。

中盤からのセットプレー。#14増田玲那がゴール前へボールを送り込むと、愛媛は一度跳ね返す。しかし、そのこぼれ球が途中出場の#25上田彩葉の足元へ。上田は右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。

試合終盤の貴重な先制点。伊賀にとっては、交代選手が結果を出した大きなゴールとなった。

その後も伊賀は、#6常田麻友のロングシュートで追加点に迫る。愛媛GK#21小松里弥がなんとか触れ、ボールはポストに救われる形となった。

最後まで目の離せない展開が続いたが、試合はそのまま終了。愛媛FCレディース 0-1 伊賀FCくノ一三重。伊賀がアウェーで勝ち点3を手にし、3連勝を飾った。

総括

守備時の中盤での人数のかけ方、ボール奪取後の切り替え、ゴール前での迫力。いずれの面でも、伊賀が上回っていた印象は強い。

それでも、試合が最後まで拮抗したのは、愛媛の選手たちが粘り強く戦い続けたからだろう。戦力や完成度だけを見れば伊賀が優勢に見える一戦だったが、愛媛は守備の整理と集中力によって、終盤まで0-0の状況を保った。

リーグ戦が進むにつれて、愛媛は守備面の課題を少しずつ修正しているように見える。押し込まれる時間帯でも簡単には崩れず、カウンターで相手に怖さを与える場面も作れていた。

また、公式記録上のピッチ状態は良芝とされているが、映像で見る限りでは、場面によってボールが不規則に跳ね、選手たちがコントロールしにくそうに見えるシーンもあった。そのなかでも両チームの選手たちは最後までタフに戦い抜き、見ごたえのある一戦となった。

愛媛FCレディース

愛媛は相手に主導権を握られながらも、#14近藤彩優子を中心とした攻撃陣が時折見せる鋭いカウンターで、伊賀に脅威を与えていた。

守備面でも粘り強さが光った。特に、伊賀の#7渡邊凜に簡単には自由を与えず、中盤でも強度を高く保っていた点は評価できる。

一方で、#14増田玲那への対応には苦しんだ。ドリブル、パス、クロス、セットプレーと選択肢が多く、いずれも高い水準でプレーできる選手であるため、愛媛にとっては終始対応が難しかった。決勝点も、増田のセットプレーが起点となっている。

格上相手でも、少ないチャンスからゴール前まで運ぶ力はある。だからこそ、最後のクオリティの差が勝敗を分けているようにも見えた。

今節は守備陣の奮闘が光っただけに、今後は攻撃陣のさらなる奮起に期待したい。あるいは、強豪相手にも守備陣が攻撃参加できる場面を増やせれば、勝ち点を積み上げていける可能性は十分にあると感じた。

伊賀FCくノ一三重

伊賀は試合の主導権を握りながらも、なかなかゴールを奪えない時間が続いた。愛媛の集中した守備の影響は大きく、決定機を作っても最後のところで得点には届かなかった。

それでも、交代カードをすべて使い切り、終盤に途中出場の上田彩葉が決勝点を奪った。アウェーで難しい展開になりながらも勝ち点3を持ち帰ったことは、チームとして非常に大きい。

途中出場の選手たちが存在感を見せたことからも、選手層の厚さ、チーム全体への戦い方の浸透、そして現在の状態の良さがうかがえる。

また、伊賀はセットプレーの質も高い。相手にとって守りづらいボールの入れ方が多く、この日の決勝点もセットプレーが起点だった。運動量、強度、守備力、速さに加え、セットプレーも武器にできる伊賀の総合力は、今後の上位争いをさらに面白くしてくれそうだ。

順位表

第7節終了時点で、愛媛FCレディースは8位、伊賀FCくノ一三重は4位となっている。

順位チーム名勝点試合数得点失点得失点
1静岡SSUボニータ177520243+21
2ヴィアマテラス宮崎177520178+9
3朝日インテック・ラブリッジ名古屋1273311310+3
4伊賀FCくノ一三重12733186+2
5オルカ鴨川FC117322125+7
6岡山湯郷Belle1173221112-1
7ニッパツ横浜FCシーガルズ872231113-2
8愛媛FCレディース87223914-5
9スフィーダ世田谷FC772141517-2
10日体大SMG横浜772141123-12
11ASハリマアルビオン57124811-3
12VONDS市原FCレディース07007320-17

次節、愛媛FCレディースは再びホーム戦。ASハリマアルビオンを迎える。伊賀FCくノ一三重はホームで岡山湯郷Belleと対戦する。

静岡SSUボニータとヴィアマテラス宮崎が頭ひとつ抜け出した様相を呈する2026シーズン。そのなかで、伊賀がどこまで上位争いに食い込めるか。そして愛媛がホームで勝ち点を積み上げ、巻き返しのきっかけをつかめるか。

両チームとも今節のような熱量を保ち、なでしこリーグ1部をさらに見ごたえのあるものにしてほしい。

リソース

フルマッチLIVE配信

第7節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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