前節、ASハリマアルビオンに勝利し、今季初の2連勝を飾ったオルカ鴨川FC。4位で迎えた第11節は、ホームに2位のヴィアマテラス宮崎を迎える、前半戦の現在地を測る一戦となった。
宮崎は前節、スフィーダ世田谷FCのハイプレスと運動量に苦しみ、1-1の引き分け。対するオルカは、ミドルブロックを基調に相手の前進を制限し、奪ってから少ないチャンスを仕留める展開に持ち込みたい試合だった。
しかし、試合全体を通して主導権を握ったのは宮崎だった。高い強度、豊富な運動量、サイドを起点とした前進でオルカを押し込み続け、小澤寛の2得点で0-2。オルカにとっては、上位チームとの差を突きつけられる敗戦となった。
この記事の要点
- 宮崎が強度と運動量で上回り、オルカは低い位置で耐える時間が長くなった
- 小澤寛が中盤での組み立てとゴール前の決定力で存在感を発揮し、2得点で勝利に貢献
- オルカはシュート3本、CK0本に抑え込まれ、上位相手に攻撃機会を作る難しさが課題として残った
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第11節
| オルカ鴨川FC | ヴィアマテラス宮崎 |
|---|---|
| 0 | 2 |
| 40分 小澤 寛 57分 小澤 寛 |
| 会場 | ワタレイスタジアム(鴨川市陸上競技場)(千葉県) |
| 観客数 | 682人 |
オルカ鴨川FC
強度の高い展開が予想される中、オルカはアルマ・デービスが今季初先発。前線での起点作りとフィジカル勝負に期待がかかる起用となった。
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 米澤 萌香 | |
| DF | 23 | 安東 美那 | |
| DF | 4 | 松尾 菜月 | |
| DF | 3 | 月東 優季乃 | |
| DF | 6 | 浦部 美月 | |
| MF | 11 | 河野 有希 | 83▼ |
| MF | 5 | 浅野 綾花 | |
| MF | 8 | 金子 ゆい (Cap.) | |
| MF | 14 | 蔵田 あかり | |
| FW | 10 | アルマ デービス | HT▼ |
| FW | 19 | 太田 凪砂 | 64▼ |
| 控え | |||
| GK | 26 | 力丸 里保 | |
| DF | 2 | 吉田 紫穂 | |
| DF | 17 | 越路 萌永 | |
| MF | 7 | 並木 千夏 | HT▲ |
| MF | 25 | 齊藤 桃花 | |
| FW | 22 | 北村 ほのか | 83▲ |
| FW | 24 | 江藤 里桜奈 | 64▲ |
| 監督: 石田 学 | |||
ヴィアマテラス宮崎
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 50 | 後藤 優香 | |
| DF | 16 | 松田 遥奈 | |
| DF | 21 | 坂本 理保 (Cap.) | |
| DF | 33 | 小牧 明日香 | |
| DF | 3 | 國生 乃愛 | 90▼ |
| MF | 22 | 山本 さゆり | 76▼ |
| MF | 13 | 川添 ゆず | 90▼ |
| MF | 10 | 鈴木 妃花 | 76▼ |
| MF | 4 | 永野 桃子 | |
| FW | 17 | 小澤 寛 | 66▼ |
| FW | 9 | 土屋 佑津季 | |
| 控え | |||
| GK | 1 | 暁 清流 | |
| MF | 6 | 松井 彩乃 | 76▲ |
| MF | 14 | 島田 綾子 | 90▲ |
| FW | 8 | 嘉数 飛鳥 | 66▲ |
| FW | 24 | 井之脇 朱音 | 76▲ |
| FW | 30 | 富沢 藍那 | 90▲ |
| 監督: 佐藤 考範 | |||
試合展開
宮崎の強度が序盤から試合を支配
立ち上がりから、宮崎の運動量と球際の強さがオルカを押し込んだ。オルカは自陣で耐える時間が長くなり、GK#1米澤萌香を中心に最終ラインで粘る展開となる。
オルカにもチャンスはあった。スローインの流れから#10アルマ・デービスが決定機を迎えたが、シュートはゴール左へ外れる。上位相手に数少ない好機だっただけに、ここを決め切れなかったことは試合全体の流れにも響いたように感じた。
宮崎の攻撃は、最終ラインからの安定したビルドアップを起点に始まった。オルカは陣形こそコンパクトに保っていたが、ラインはやや低く、プレス開始位置も後ろに下がりがちだった。そのため、宮崎は比較的余裕を持ってボールを動かすことができた。
#17小澤寛が中盤に下りて組み立てに関わり、そこから両サイドの#4永野桃子、#22山本さゆりへ展開。スピードと運動量を兼ね備えるサイドの推進力によって、宮崎はオルカ陣内へ何度も入り込んだ。
オルカの前線も奮闘するが、宮崎の球際が上回る
オルカは#19太田凪砂と#10アルマ・デービスを前線に置き、フィジカル面での起点作りを狙った。2人ともチーム内では強さを持つ選手だが、この日は宮崎守備陣の寄せも鋭く、簡単には前を向かせてもらえなかった。
#14蔵田あかりがプレスのスイッチを入れ、太田、#8金子ゆいと連動して相手をサイドや狭いエリアへ追い込む場面はあった。狙い自体は悪くなかったが、宮崎は球際で逃げ切る強さと巧さがあり、オルカが奪い切ってショートカウンターへ移る回数は限られた。
押し込まれながらも耐えていたオルカだったが、40分に試合が動く。セカンドボールを拾われ続けた流れから、最後は#17小澤寛がループ気味のシュートで押し込み、宮崎が先制に成功した。
この日の小澤は、ゴールだけでなく中盤での組み立てでも大きな存在感を示していた。先制点直後にも、サイドチェンジから山本さゆりの決定機を演出。前半は0-1で終えたものの、内容面では宮崎が優勢のままハーフタイムを迎えた。
セットプレーから宮崎が追加点
後半も構図は大きく変わらなかった。宮崎がボールを保持して押し込み、オルカは守備で耐えながらカウンターを狙う展開が続いた。
オルカとしては、1点差のまま耐え、どこかで同点ゴールにつながるカウンターを出したかった。しかし57分、再び宮崎が試合を動かす。
宮崎のコーナーキックから、#33小牧明日香がヘディングで合わせると、ゴール前で#17小澤寛が反応。これを押し込み、この日2点目を奪った。オルカはそれまで何度もゴール前で粘っていたが、ついにセットプレーから追加点を許した。
前に出たいオルカ、崩れない宮崎
2点を追うオルカは、前線からのプレスを強めて反撃を試みた。しかし、宮崎は焦らずボールを動かし、ビルドアップでプレスを外していく。リスクを負って前に出たいオルカに対し、宮崎は試合の主導権を握ったまま時間を進めた。
オルカは#8金子ゆいが低い位置から縦パスを差し込む場面もあったが、宮崎の寄せは速く、受け手が前を向く前に潰される場面が目立った。パスが通っても、その次のプレー精度が上がらず、シュートまで持ち込む回数は限られた。
終盤まで宮崎がボールを握り、オルカが守ってカウンターを狙う構図は変わらない。試合はそのまま0-2で終了。宮崎がアウェーで勝ち点3を持ち帰った。
総括
中位グループに位置するオルカと、首位争いを続ける宮崎。その立ち位置の違いが、内容と結果の両面に表れた試合だった。
宮崎は、強度、運動量、ビルドアップの安定感、サイド攻撃の迫力でオルカを上回った。オルカも守備で粘る時間は作ったが、奪った後に前進する回数が少なく、試合を押し返すところまでは至らなかった。
スコアは0-2だが、内容面では宮崎が主導権を握り続けた一戦。オルカにとっては、上位チームと渡り合うために何が必要かを突きつけられる試合となった。
オルカ鴨川FC
オルカにとって、まず課題となったのはラインの高さだった。宮崎の攻撃に対して慎重になるのは自然だが、全体の重心が下がると、プレス開始位置も低くなる。その結果、宮崎のビルドアップに十分な圧力をかけられず、相手に余裕を持って前進される時間が長くなった。
もちろん、宮崎のサイドにはスピードと推進力がある。オルカのサイドバックが純粋な走力勝負に持ち込まれると、分が悪い場面もあった。だからこそ、本来はその前段階であるビルドアップの起点を制限したかったが、この日はそこまで押し上げることが難しかった。
攻撃面でも、シュート3本、コーナーキック0本という数字が示す通り、宮崎ゴールに迫る回数は限られた。守備で耐える時間が長くなる試合では、遠い位置からでもシュートを打って相手を牽制したいところだったが、その場面すら多くは作れなかった。
堅く守るだけでは、上位チーム相手にいずれ決壊してしまう。少ないチャンスを確実に仕留める決定力を高めるのか、あるいは試合を通じて相手に走り負けない前提を作るのか。後半戦へ向けて、オルカが整理すべき課題は明確になったように思う。
ヴィアマテラス宮崎
宮崎は、ビルドアップが安定すればサイド攻撃の破壊力がさらに増すチームであることを改めて示した。サイドに相手を引きつければ中央が空き、中央を警戒させればサイドが生きる。この循環を作れることが、宮崎の大きな強みだ。
この試合では、オルカが積極的なハイプレスを採用しなかったこともあり、宮崎は比較的組み立てやすい展開になった。最終ラインから丁寧に前進し、小澤寛が中盤に下りて攻撃をつなぎ、サイドの選手が高い位置で仕掛ける。チーム全体の狙いがはっきりと表れた試合だった。
小澤は2得点だけでなく、組み立てや展開力でも存在感を発揮。前線にいながら中盤の流れを作り、最後はゴール前で仕留める。宮崎の攻撃を成立させる重要な役割を担っていた。
首位・静岡SSUボニータを追う立場として、宮崎にとっては落とせない試合でしっかり勝ち切ったことが大きい。2シーズンぶりの王座奪還へ向けて、好調を維持したまま前半戦を終える形となった。
順位表
第11節終了時点で、オルカ鴨川FCは順位を1つ下げて5位。ヴィアマテラス宮崎は2位を維持した。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 26 | 11 | 7 | 2 | 1 | 34 | 7 | +27 | |
| 2(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 24 | 11 | 7 | 3 | 1 | 23 | 10 | +13 | |
| 3(3) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 22 | 11 | 6 | 4 | 1 | 27 | 11 | +16 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 21 | 11 | 6 | 3 | 2 | 15 | 9 | +6 | |
| 5(4) | オルカ鴨川FC | 18 | 11 | 5 | 3 | 3 | 15 | 8 | +7 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 11 | 4 | 2 | 5 | 19 | 19 | 0 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 14 | 11 | 4 | 2 | 5 | 13 | 20 | -7 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 13 | 11 | 3 | 4 | 4 | 13 | 19 | -6 | |
| 9(9) | スフィーダ世田谷FC | 12 | 11 | 3 | 3 | 5 | 18 | 19 | -1 | |
| 10(10) | 日体大SMG横浜 | 10 | 10 | 3 | 1 | 7 | 13 | 37 | -24 | |
| 11(11) | ASハリマアルビオン | 9 | 11 | 2 | 3 | 6 | 11 | 14 | -3 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 11 | 0 | 0 | 11 | 5 | 33 | -28 |
次節に向けて
5位のオルカ鴨川FCは、4位の伊賀FCくノ一三重とのアウェー戦に臨む。4位と5位の直接対決であり、上位グループに食い込めるかどうかを占う大きな一戦となる。開幕節では0-0で引き分けた相手に対し、伊賀の堅い守備をどう攻略するかが焦点だ。
2位のヴィアマテラス宮崎は、3位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋をホームに迎える。こちらも上位直接対決。首位・静岡SSUボニータを追走するためにも、宮崎にとっては負けられない一戦となる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第11節全試合ハイライト動画
公式記録

