朝日インテック・ラブリッジ名古屋の初優勝が決まった2025プレナスなでしこリーグ1部。
シーズン終盤に差しかかるなか、オルカ鴨川FCは1つでも上の最終順位を目指し、愛媛FCレディースは1部残留へ向けて重要な勝ち点を狙う一戦となった。
会場は愛媛県総合運動公園球技場。
前節、ホームで静岡SSUボニータを破ったオルカがその勢いをつなげられるか。オルカ鴨川FC目線で試合を振り返る。
要約
オルカ鴨川FCは最終順位の上積みを狙い、愛媛FCレディースは1部残留へ向けて勝ち点3が欲しい状況で対戦した。
前半はオルカにも決定機があったものの、決め切ることができず。すると37分、愛媛FCレディースが右サイドから崩し、桜井由衣香選手のゴールで先制する。
後半もオルカは選手交代で流れを変えようとしたが、64分に小島和希子選手の直接フリーキックで愛媛が追加点。オルカは最後までゴールを奪えず、2-0で愛媛FCレディースが勝利した。
オルカにとっては、前節の静岡SSUボニータ戦で見せた粘り強さを結果につなげられなかった悔しい敗戦。愛媛にとっては、残留へ大きく前進する価値ある勝ち点3となった。
注目ポイント
- オルカ上田麻莉選手の復帰
中断期間前まで攻撃の一翼を担っていた#20上田麻莉選手が、5試合ぶりにベンチ入り。後半途中からピッチに立った。
ただ、左腕と左脚にはテーピングが巻かれており、コンディションは万全ではなかったように見えた。短い出場時間の中でドリブルのキレは見せたものの、復帰戦としてはまだ不安を残す内容だった。 - 愛媛の徹底したゲームプラン
愛媛FCレディースは、オルカの強みをよく研究していた印象が強い。
前節の静岡SSUボニータ戦で存在感を見せた#18松本はな選手との空中戦を避け、単純なロングボールではなく、後方から丁寧につなぐ形を選択。さらに#10アルマ・デービス選手には複数人で厳しく対応し、自由に前を向かせなかった。 - 深澤里沙選手の歴史的記録
愛媛FCレディースの#8深澤里沙選手は、この試合でなでしこリーグ通算366試合出場を達成。リーグ歴代最多出場記録を更新する大きな節目となった。
試合そのものは残留争いの重要な一戦だったが、女子サッカー界にとっても記録に残る試合となった。
試合情報
| 対戦カード | 2025プレナスなでしこリーグ1部 第20節 愛媛FCレディース 2-0 オルカ鴨川FC |
| 得点者 | 37分 桜井 由衣香(愛媛FCレディース) 64分 小島 和希子(愛媛FCレディース) |
| 会場 | 愛媛県総合運動公園球技場(愛媛FCレディースホームスタジアム) |
| 観客数 | 444名 |
フォーメーション・スターティングラインナップ
オルカ鴨川FC

中断期間前まで攻撃の一翼を担っていた#20上田麻莉選手が、5試合ぶりにベンチ入り。一方で、キャプテンの#9齊藤彩花選手はベンチ外となった。
この試合では、GK#1田谷春海選手がキャプテンを務めた。
愛媛FCレディース

#8深澤里沙選手は、この試合がリーグ通算366試合目の出場。なでしこリーグ歴代最多出場記録を更新する一戦となった。
試合展開
前半:愛媛が幅を使い、オルカの強みを消す
立ち上がりから愛媛FCレディースは、ピッチを広く使いながらサイドチェンジを交えてオルカ陣内へ攻め込んだ。
特に印象的だったのは、#10アルマ・デービス選手への対応である。前回対戦でゴールを許していることもあり、愛媛はアルマ選手に対して厳しくマーク。まずはボールを簡単に触らせない、前を向かせないという意図が明確だった。
オルカはやや押し込まれる時間帯が続いたが、18分に最初の決定機を迎える。スローインを収めた#25齊藤桃花選手がニアサイドで振り向きざまにシュート。キーパーが弾いたところに#5浅野綾花選手が詰めたが、シュートはゴール左へ外れた。
このプレーをきっかけに、オルカの攻撃にも少しずつ動きが出始める。
決め切れないオルカ、愛媛が桜井由衣香のゴールで先制
30分、再びオルカに決定機が訪れる。
相手DFのパスに対して#5浅野綾花選手が素早くプレスをかけ、中盤でインターセプト。こぼれたボールを#10アルマ・デービス選手が拾ってドリブルで持ち込み、右サイドから#11河野有希選手がシュートを放つ。しかし、これはゴールポストに嫌われた。
押し込まれる時間帯を耐えた愛媛は、37分に試合を動かす。
右サイドのスローインから#19黒岩沙羽選手が#17越路萌永選手との競り合いを制し、グラウンダーのクロスを供給。ファーサイドにフリーで走り込んだ#26桜井由衣香選手が丁寧に流し込み、愛媛が先制した。
オルカとしては、決定機を作りながらも決め切れず、逆に相手のチャンスを仕留められた形。試合の流れを考えても痛い失点だった。
その後は一進一退の攻防となり、1-0で愛媛がリードしてハーフタイムを迎えた。
後半:オルカは両サイドを入れ替えて反撃へ
後半開始から、オルカは両サイドバックを交代した。
#6浦部美月選手に代えて#13浅坂真桜選手、#17越路萌永選手に代えて#24谷口愛奈選手を投入。#23安東美那選手が右サイドバック、#24谷口愛奈選手が左サイドバック、#13浅坂真桜選手が左サイドハーフに入った。

後半最初の決定機は愛媛。オルカのクリアボールを拾った#24前田花依選手がミドルシュートを放つが、これはオルカGK#1田谷春海選手がパンチングで防いだ。
56分、1点を追うオルカは早めに次のカードを切る。#25齊藤桃花選手を下げ、5試合ぶりにベンチ入りした#20上田麻莉選手を投入。上田選手は右サイドハーフに入り、#11河野有希選手が前線へポジションを移した。

上田選手は左腕と左脚にテーピングを巻いた状態での出場。中断期間中に故障があったことをうかがわせる姿で、コンディションは万全ではなかったように見えた。
小島和希子選手の直接FKで愛媛が突き放す
オルカがやや優勢に試合を進めていた時間帯だったが、次のゴールを奪ったのは愛媛だった。
64分、愛媛はゴール正面約30m付近でフリーキックを獲得。#11小島和希子選手が左足で直接狙うと、グラウンダーの強く速いシュートがゴールへ吸い込まれた。
見事な直接フリーキック。愛媛が2-0とリードを広げた。
2点を追う展開となったオルカは、69分に#10アルマ・デービス選手を下げ、#8新田寿瑞選手を投入する。

愛媛としては、最も警戒すべきアルマ選手に決定的な仕事をさせず、ピッチから退かせることに成功した。愛媛守備陣の集中力と粘りが光った場面でもある。
一方のオルカは、アルマ選手が抜けたことで前線からのプレス強度が落ちた印象もあった。愛媛は後方からのビルドアップに余裕を持ちやすくなり、試合を落ち着かせる時間が増えていった。
終盤 攻め急ぐオルカ、愛媛が試合を締める
83分、愛媛FCレディースは3枚替えを行い、試合を締めにかかる。
OUT:#24前田花依選手、#19黒岩沙羽選手、#8深澤里沙選手
IN:#34毛利美佑選手、#13丸山ちさと選手、#25児野楓香選手

続く84分、オルカは途中出場の#20上田麻莉選手を下げ、#2高村ちさと選手を投入した。
上田選手は短い時間ながらドリブルで仕掛ける場面もあったが、再び交代となったところを見ると、まだコンディションが戻り切っていなかったのかもしれない。

終盤のオルカは、2点を追う状況もあり攻め急ぐ展開が目立った。しかし、前線と中盤の距離感が整わず、攻撃はなかなかかみ合わない。逆に愛媛のカウンターを受ける場面もあり、最後までゴールをこじ開けることはできなかった。
試合は2-0で終了。愛媛FCレディースがクリーンシートで勝利し、残留へ大きく前進する勝ち点3を手にした。
総括
オルカ鴨川FC
前節、ホームの鴨川市陸上競技場で静岡SSUボニータの攻撃を跳ね返し続け、1-0で勝利したオルカ。その粘り強さを考えると、この試合は悔しさの残る敗戦だった。
もちろん、静岡に勝ったから愛媛にも勝てる、という単純な話ではない。それでも、静岡戦で見せた集中力と勝負強さを知っているからこそ、なおさらこの0-2という結果は重く感じる。
決定機はあった。18分の#25齊藤桃花選手と#5浅野綾花選手の場面、30分の#11河野有希選手のポスト直撃の場面。どちらかを決めていれば、試合展開は大きく変わっていた可能性がある。
一方で、愛媛はオルカの強みをよく消していた。
前節の静岡戦で空中戦の強さを見せた#18松本はな選手に対しては、単純なロングボールで競らせない。#10アルマ・デービス選手には複数人で対応し、前を向かせない。オルカの武器を正面から受けず、戦う場所をずらしてきた。
その中で、アルマ選手以外の得点力、チーム全体としての決定力不足が改めて課題として浮き彫りになった。押している時間帯はあったが、そこで仕留め切れなかったことが敗因のひとつだった。
また、#20上田麻莉選手の復帰は明るい材料ではあるものの、テーピングの状態を見る限り、まだ本調子とは言い切れない。シーズン終盤に向けて、どこまでコンディションを戻せるかも気になるところである。
愛媛FCレディース
愛媛FCレディースにとっては、残留へ向けて非常に大きな勝利だった。
戦力面や高さではオルカに分がある場面もあったが、愛媛は真正面からぶつかるのではなく、相手の強みを消す戦い方を徹底した。
#10アルマ・デービス選手に自由を与えず、#18松本はな選手とは空中戦で勝負しない。後方からビルドアップしながら、サイドを広く使ってオルカの守備を動かす。守備では最後まで集中を切らさず、少ないチャンスを確実にゴールへ結びつけた。
37分の桜井由衣香選手の先制点、64分の小島和希子選手の直接フリーキック。どちらも、愛媛が粘り強く試合を進めたからこそ生まれた得点だった。
戦術とハードワークで相手の強みを消し、必要な勝ち点3をもぎ取った。残留争いの中で、非常に価値のある勝利だった。
順位表
第20節終了時点で、リーグ上位では伊賀FCくノ一三重と静岡SSUボニータの2位争い、ヴィアマテラス宮崎とASハリマアルビオンの4位争いが続いている。
一方で、中位から下位にかけては勝ち点差が詰まっており、6位から9位までが勝ち点2差という接戦になっている。スペランツァ大阪は自動降格圏からの脱出に苦しみ、日体大SMG横浜も静岡SSUボニータに大量失点を喫するなど、まだ予断を許さない状況だ。

そして、10位に沈むニッパツ横浜FCシーガルズも苦しいシーズンを送っている。昨シーズン2位の強さは影を潜め、得点数も伸び悩んでいる。大きな選手流出がなかったことを考えると、今シーズンは上位争い、あるいは優勝争いを狙っていたはずだが、現実には残留争いに巻き込まれている。
メンバーや戦い方の固定化によって、相手チームに研究されやすくなった面もあるのかもしれない。シーズン終盤、各チームがどのように勝ち点を積み上げるか。残留争いは最後まで目が離せない。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
第20節全試合ハイライト動画
公式記録

