なでしこリーグ1部初挑戦のVONDS市原FCレディース、開幕戦はASハリマアルビオンに0-2|2026プレナスなでしこリーグ1部 第1節レビュー

筆者が応援するオルカ鴨川FCと同じ千葉県に本拠地を置くVONDS市原FCレディースが、2026シーズンよりなでしこリーグ1部の戦いに挑戦する。
VONDS市原FCレディースは、なでしこリーグ2部への挑戦1年目でリーグ優勝し1部昇格を決めた直後にコンプライアンス規定に抵触する行為を行ったとして双方合意のもと監督解任、さらに選手の大量移籍が発生している。2部では圧倒的な攻撃力を誇った同チームが、昨シーズン1部5位のASハリマアルビオンをホームに迎えた開幕戦をレビューします。

リソース

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日程・結果

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注目ポイント

  • なでしこリーグ1部初挑戦のVONDS市原FCレディース

試合情報

会場ゼットエーオリプリスタジアム
観客数270人

両チームの移籍状況

昨シーズンから積み上げのあるハリマ・積み上げのないVONDS

選手が15人退団・13人加入、スタッフ陣もほとんど総入れ替えとなったVONDS市原FCレディース。2部時代からキャプテンとしてチームを引っ張ってきた#11村上賀梨、得点力のある#5小田川真奈、今シーズンから#10を背負い独特のリズムでサイドを切り裂く櫻庭琴乃らチームの核となっていた選手は残留している。そこに1部経験があり前所属チームでは主力だった#9宮本春花(前 スペランツァ大阪)、#13玉田愛理(前 スペランツァ大阪)が加入。また前所属では出場機会に恵まれなかった#14齊藤綾音(前 オルカ鴨川FC)が加入するなど、一定の戦力補強はできた。
筆者が思う最大の懸念は、今シーズンからチームを指揮する落合恵監督がトップチームの監督経験がないことである。
選手・スタッフともに戦力・経験値の両面で厳しい戦いになり、2部での快進撃そのままというわけにはいかないだろう。

対するASハリマアルビオンは主力選手の退団はあったものの、1部経験者とルーキーをバランスよく獲得している。スピードのある#13今蔵綾乃、#16左子五月(今節はメンバー登録外)、そして#7三冨りりか(今節はメンバー登録外)がWEリーグのちふれASエルフェン埼玉からのレンタル移籍を経て完全移籍。昨シーズンまで静岡SSUボニータで戦っていた#8小池快が3シーズンぶりの出戻り復帰となっている。
2024シーズン終盤に就任し、1部11位(2024)→1部5位(2025)と右肩上がりの成績を収め、さまざまカテゴリーでの監督経験が豊富な菅野監督が2026シーズンも指揮を執る。

スターティングラインナップ

以降、敬称略。

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/match_page.html?mno=2

市原は2部時代のチームの中心選手だった#11村上、#10櫻庭、#5小田川がスタメン。新加入の#9宮本、#14齊藤もスタメンに名を連ねた。#13玉田はベンチスタート。

ハリマはなでしこリーグ200試合出場達成の#9川崎・#10千葉が揃ってスタメン。静岡から復帰した#8小池も名を連ねた。

試合展開

両チームともハイプレスで運動量がある。
攻撃の印象として市原はどちらかといえば丁寧なビルドアップ、ハリマはFW#9川崎の飛び出しやDF#20山口歌子のオーバーラップを狙ってワンタッチを意識した縦への早い攻撃といった展開。
中盤の守備について、スペースを埋める市原に対してハリマはボールホルダーへの寄せと強度が高い。市原は中盤が間延びしがちであり、中盤の構成力と強度ではハリマに軍配。
前半は強いて言えばハリマの方が攻勢だった。ハリマ#10千葉が豊富な運動量で攻守において高く貢献し、中盤まで下がっての守備と繰り返しのスプリントを厭わない#9川崎を抑えるために中盤のスペースが空きがちになる市原だった。
市原は右SB#10櫻庭がドリブルでスルスルとハリマDFを抜き去ってチャンスメイクをするもゴール前にしっかり人数をかけてブロックを敷くハリマDF陣を破ることはできず決定機にはつながらない。

後半開始早々、前半終盤は押し込まれていた市原がラインを高く保ち前線のプレスを強めて攻勢を強める。これを跳ね返したハリマが徐々にペースを握る。バイタルエリアをワンタッチパスでつないだハリマが65分に#10千葉のシュート。さらに72分にロングボールに合わせて抜け出した#9川崎がワンタッチのループシュートで市原のゴールポストを叩く。

残り5分、耐える市原を沈めたハリマ#10千葉のヘッド

ハリマ優勢で迎えた85分、コーナーキックから#10千葉が頭で叩きつけたボールが市原のゴールネットを揺らす。#10千葉は相手の死角に入っており、巧さと高さを見せた。チームの象徴である選手の#10千葉の、2026シーズンにおけるチーム初ゴールは疲労で足の止まりかけたチームを鼓舞する貴重な先制点。

追う市原は失点直後、途中交代で入ったばかりの#15小林一歩に替えてにスピードのある#13玉田を投入。#9宮本・#13玉田のスペランツァ大阪時代によく見た構成で同点を狙う。

交代選手が躍動。後半AT、ハリマ#23井上麗叶がなでしこリーグ初出場で試合を決定づける追加点

後半AT3分、途中出場でなでしこリーグ初出場のハリマ#23井上が見事な右足シュートで市原のゴールネットを揺らし、この試合の結果を決める追加点を挙げる。

同じく後半途中交代で入った#2児玉耀からの縦へのクロスを#25鷹野あかり(こちらも後半から途中交代)が落とし、#9川崎がワンタッチつないで最後はルーキー#23井上がダイレクトで右足を振りぬいた。
ハリマの途中交代で入ったフレッシュな選手と90分最簿までサボらず走りきる選手たちを前にして、足が止まっていた市原の中盤・最終ラインの選手たちはプレスを全くかけることができていなかった。

総括

もともとチームの戦力と成熟度の差はあれど、1部初挑戦となる市原の選手たちは果敢に戦ったと感じる。それを打ち砕いたのは#10千葉・#9川崎らチームの心臓となるベテラン選手たちが誰よりも走ったハリマ。戦力、成熟度、そして監督の差が出た結果だと感じる。

攻守両面において違いを見せたVONDS市原FCレディース#10櫻庭琴乃

試合を通して、VONDS市原FCレディース#10櫻庭は攻守両面において1部でも十分に通用していたように見えた。SBではなくSHかWGで出場できれば更に怖い選手になると感じる。テクニックとスピードがあり、独特な間合いとテンポのドリブルは脅威である。

監督の差か、戦術と交代策に明暗

縦に早く、ピッチ上の選手間の距離間を確認してコンパクトな陣形を保つハリマに対して、中盤が間延びしがちな市原だった。特に気になったのは、市原はボランチはスペースを埋めるだけではなく更に1歩踏み込んで相手に体をぶつけるなどリスクを負わなければ、ハリマのように縦に早い攻撃を仕掛けてくる相手に対して苦労するだろうと感じた。静岡、伊賀、宮崎など上位チームは例外なく縦への意識が高く、推進力もある。

選手交代にも明暗が分かれた。ハリマ・菅野監督の采配が大当たりして途中交代選手たちが躍動した一方で、市原・落合監督は足が止まり戻りが遅くなった中盤の選手たちの交代はなく、さらに攻撃のギアを上げる#13玉田の投入はあまりにも遅かった。また、FWのファーストプレスに連動して2列目の選手たちの動きも少なかった印象である。ビルドアップを重視するにしても強度に劣る戦力で相手のプレスをどう躱すか再考の余地があるように思えた。

市原に所属する選手の個々の能力は悪くなく、先述した通り#10櫻庭、#9宮本、#13玉田など相手にとっては厄介で実力のある選手たちもいる。筆者としてはオルカ鴨川FCとVONDS市原FCレディースの千葉ダービーが楽しみであるので、ぜひ良いチームになるように願っている。

第1節終了時の順位

まだ第1節が終了しただけだが、ASハリマアルビオンは2位、VONDS市原FCレディースは10位タイとなった。

出典:https://www.nadeshikoleague.jp/2026/nadeshiko1/standings.html

次節、市原の相手は開幕戦でニッパツ横浜FCシーガルズに2-0で快勝した岡山湯郷Belle。湯郷は市原と同じく若い選手が多く、監督は今シーズンからの就任でなでしこリーグの監督は未経験である。1部における初めての勝ち点を得られるように頑張ってほしい。

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