【試合レビュー】横山久美が歴代最多得点記録に並ぶ一撃。静岡SSUボニータ、日体大SMG横浜に5発快勝|2026プレナスなでしこリーグ1部 第13節

試合レビュー

前節、スフィーダ世田谷FCに逆転負けを喫した首位・静岡SSUボニータ。第12節終了時点で、2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋とは勝ち点1差、3位のヴィアマテラス宮崎とは勝ち点2差。優勝争いは緊張感を増している。

一方、ホームの日体大SMG横浜は前節、愛媛FCレディースに敗戦。第12節終了時点で11位に後退し、残留争いの渦中にある。前回対戦は静岡が9-0で圧勝。日体大としては、その大敗からどれだけ修正できたかが問われる一戦でもあった。

結果は、日体大SMG横浜 0-5 静岡SSUボニータ。

静岡が立ち上がりから主導権を握り、流れの中からも、セットプレーからも、そして相手のミスを突く形からも得点を重ねた。日体大もビルドアップで前進を試みる時間はあったが、静岡の強度、帰陣の速さ、セカンドボールへの反応を上回ることはできなかった。

この記事の要点

  • 静岡は横山久美を起点に三輪玲奈・中島咲友菜が背後を狙い、序盤から日体大の守備を揺さぶった
  • 日体大は右サイドの髙橋光莉を出口に前進を試みたが、2失点後に中盤が間延びし、攻守の狙いが曖昧になった
  • 横山久美が通算182得点目を記録し、なでしこリーグ歴代最多得点記録1位タイに到達した
イメージです

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第13節

日体大SMG横浜静岡SSUボニータ
5
14分 三輪 玲奈
16分 青葉 結衣
31分 三輪 玲奈
61分 白井 未来
64分 横山 久美
日時2026年06月13日 15:00
会場ニッパツ三ツ沢球技場(神奈川県)
観客数314人
順位推移

スターティングラインナップ・登録メンバー

日体大SMG横浜

PosNo.氏名交代
GK19林 心春
DF4菅原 眞名
DF3内村 心優 (Cap.)
DF23笠井 寧々
DF17鈴木 温子
MF7髙橋 光莉
MF29横濱 桃杏HT▼
MF26今野 真帆
MF9柴原 希保
MF16鬼頭 こはな82▼
MF10本田 悠良
控え
DF2藤澤 和心HT▲
DF25中野 梨緒
DF27杉本 光羽82▲
MF18中村 柚仁
監督: 嶋田 千秋

静岡SSUボニータ

PosNo.氏名交代
GK21田谷 春海
DF3彦坂 桃花
DF4青葉 結衣
DF5服部 花音
DF22上西 可奈子83▼
MF6万力 安純58▼
MF7高島 絢音
MF8三輪 玲奈71▼
MF9中島 咲友菜71▼
MF15岸野 早奈58▼
FW10横山 久美 (Cap.)
控え
GK20内海 佑南
DF2白井 未来58▲
DF17櫻田 彩乃58▲
MF11大曽根 由乃83▲
MF14渡邉 琉那71▲
MF23山本 香月71▲
FW16藤田 桃加
監督: 本田 美登里

試合展開

横山久美が起点。静岡が序盤から主導権を握る

立ち上がりから、静岡がボールを握った。

この日も攻撃の中心にいたのは、#10横山久美である。最前線にとどまるだけでなく、中盤の低い位置まで下りてボールを受け、プレッシャーの弱い場所で前を向く。そこから#9中島咲友菜、#8三輪玲奈が横山を追い越し、日体大の最終ライン背後を狙った。

日体大も、ただ押し込まれるだけではなかった。直近の試合よりもビルドアップで前進しようとする意図は明確だった。特に右サイドに入った#7髙橋光莉を出口にし、同サイドでの組み立てや、逆サイドからのサイドチェンジで高い位置を取らせる狙いが見えた。

ただし、静岡の守備対応は速かった。サイドを使われてもゴール前には素早く人数を戻し、セカンドボールへの反応でも上回る。日体大は前進できる場面を作りながらも、最後の強度とラストパスの精度が足りず、攻撃は単発に終わった。

14分、三輪玲奈が先制。横山を自由にした代償

試合が動いたのは14分。

中盤に下りてボールを受けた横山が前を向くと、日体大の守備は一斉に下がってしまった。横山に対して強く寄せ切れず、結果としてノープレッシャーに近い状態を与えてしまう。

その瞬間、最終ライン際に飛び出した三輪へスルーパスが通った。三輪は相手DFを引き連れながらも、コンパクトに右足を振り抜き、静岡が先制に成功する。

イメージです

この場面は、日体大の課題を象徴していた。横山に前を向かせれば、静岡の前線は一気に動き出す。中島と三輪が背後を狙い、横山がそこへ正確にボールを届ける。日体大は、最も警戒すべき起点を自由にしてしまった。

セットプレーで追加点。青葉結衣、三輪玲奈が畳みかける

16分、静岡が追加点を奪う。

ショートコーナーから#7高島絢音がクロスを上げると、#4青葉結衣が相手DFの視界から一度外れ、ゴール前へ飛び込む。最後は頭で押し込み、静岡が早い時間帯で2点をリードした。

イメージです

2失点後、日体大の守備はさらに難しくなった。前へ出てボールを奪いに行きたい選手と、これ以上の失点を避けたい選手の意識が揃わないように見えた。結果として中盤が間延びし、静岡に使われるスペースが広がった。

慎重になるあまり、ビルドアップのテンポも落ちた。攻めるためにボールを動かすというより、失わないためにボールを持つ時間が増える。序盤には見えていた前進の怖さが薄れ、静岡のプレスに捕まりやすくなっていった。

31分には、再びコーナーキックから静岡が得点する。日体大GKがハイボールに対応するも、こぼれたところを三輪が押し込み、この日2点目。静岡が前半のうちに3-0と大きくリードを広げた。

日体大は両サイドから反撃も、静岡の最終ラインが崩れない

3失点後、日体大は両サイドを使いながら前進の圧を強めた。

しかし、静岡の守備陣は崩れなかった。#22上西可奈子、#5服部花音、#4青葉結衣、#3彦坂桃花が1対1で簡単に負けず、中央を締めてシュートコースを消す。日体大はサイドから運ぶことはできても、ゴール前で決定的な形を作り切れない。

前半終盤は日体大が守備で粘り、静岡も追加点までは至らなかった。日体大0-3静岡で前半を折り返す。

後半も静岡の強度は落ちず。交代出場の白井未来が4点目

後半開始直後、日体大はプレスの出足を改善した。角度がなくても、相手ゴールが近ければシュートを打つ意識も見えた。前半よりもゴールに向かう姿勢は明確だった。

しかし、その時間は長く続かなかった。

静岡は#6万力安純、#7高島絢音が中盤のスペースを的確に埋め、対人強度でも上回る。前線の中島、三輪も守備をサボらず、奪われた後の切り替えも速い。さらにボールを奪えば、前線に残る横山がタメを作り、三輪、中島、さらにはサイドバックの上西、服部も攻撃に参加する。日体大はラインを押し上げる時間を作れなかった。

イメージです

61分、静岡が4点目を奪う。交代で入ったばかりの#2白井未来が、相手ゴール前でクリアが中途半端になったところを逃さず反応。粘り強く押し込み、途中出場に結果で応えた。

横山久美が逃さなかった判断ミス。通算182得点目

64分、試合を決定づける5点目が生まれる。

日体大は4点を追う状況で、最終ラインからボールを動かそうとした。しかし、GKへのバックパスに対し、横山が素早く寄せる。判断が一瞬遅れたところを見逃さず、横山がボールを奪い、そのままゴールへ流し込んだ。

この得点で横山は、なでしこリーグ通算182得点目を記録。大野忍氏が持つリーグ歴代最多得点記録に並んだ。

技術、視野、経験、そして最後まで相手のミスを逃さない嗅覚。横山久美という選手の価値が詰まった一撃だった。

イメージです

その後、日体大は左サイドから組み立て、#2藤澤和心、#10本田悠良が惜しいシュートを放つ場面を作った。しかし、ゴールは遠い。

静岡も選手交代を使いながら前線と中盤の運動量を維持し、最後まで攻め続けたが、6点目は生まれず。試合は日体大SMG横浜 0-5 静岡SSUボニータで終了した。

総括

日体大は、第10節以降、守備面の再構築を進めているように見える。その一方で、直近の試合では得点力が落ちており、この試合でも少ないチャンスをどう得点につなげるかが大きなテーマだった。

しかし、静岡はその狙いを上回った。

横山を起点に前線が連動し、セットプレーでも得点を重ね、相手の低い位置でのミスも逃さない。5得点という結果だけでなく、得点の形が複数あったことが大きい。流れの中、セットプレー、ハイプレスからのショートカウンター。優勝争いを続けるチームとして、前節の敗戦を引きずらない強さを見せた。

日体大SMG横浜

日体大は、ボール保持時に丁寧につなごうとする意識が強かった。静岡相手に簡単に蹴らず、両サイドを使いながら前進を試みた点は良いチャレンジだった。

特に前半序盤、右サイドの髙橋光莉を使う形には可能性があった。サイドチェンジから高い位置を取らせる狙いもあり、静岡の守備を押し下げる場面も作れていた。

ただし、2失点後にチーム全体の意思統一が崩れた。前に出たい選手と、失点を避けて下がりたい選手の距離が広がり、中盤にスペースが生まれた。そこで横山に前を向かせてしまえば、静岡の攻撃は一気に加速する。

また、シーズン序盤からの課題である、ゴール前の守備対応と低い位置での判断ミスは、今節でも失点に直結した。アンダー世代の日本代表に選ばれるようなタレントを抱えているだけに、個の能力をどうチームとして活かすか。残留争いを抜け出すためには、守備の粘りだけでなく、ボールを持った時の前進方法とリスク管理を修正したい。

静岡SSUボニータ

静岡にとっては、前節の逆転負けから立て直すうえで大きな勝利だった。

横山が中盤に下りて起点となり、三輪と中島が背後を狙う。セットプレーでは青葉と三輪が得点し、途中出場の白井も結果を残した。さらに横山は相手のビルドアップミスを見逃さず、通算182得点目を決めた。

攻撃の多彩さ、切り替えの速さ、中盤の強度。静岡の強みが分かりやすく出た90分だった。

一方で、課題があるとすれば、先発の中島と三輪が下がった後のプレスと連携面である。交代前に見られた守備から攻撃への滑らかな移行、相手陣内での崩しの回数は、終盤にやや減ったように見えた。最終ラインの彦坂が中盤のスペースを埋める動きを見せていたように、この部分をさらに詰めていけば、守備面でもより隙の少ないチームになるだろう。

横山久美は、これでなでしこリーグ歴代最多得点記録に並んだ。次にゴールを決めれば、単独で歴代1位となる。リーグ優勝争いとともに、前人未到の記録更新にも注目が集まる。

終盤には、右サイドバックの上西可奈子が担架で退場した。今季の静岡を後方から支える重要な選手だけに、状態が気がかりである。

順位表

静岡SSUボニータは首位を維持した。2位には勝ち点1差で朝日インテック・ラブリッジ名古屋がすぐそこまで迫ってきている。

日体大SMG横浜は11位から変わらず。次節勝利したとしても、得失点差の影響で11位が確定している厳しい状態。

順位推移
順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ2913922409+31
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋28138413112+19
3(3)ヴィアマテラス宮崎25137422514+11
4(5)オルカ鴨川FC2213643179+8
5(4)伊賀FCくノ一三重22136431611+5
6(6)岡山湯郷Belle20136251921-2
7(8)スフィーダ世田谷FC161344522220
8(7)愛媛FCレディース16134451521-6
9(9)ニッパツ横浜FCシーガルズ15134362225-3
10(10)ASハリマアルビオン13133461416-2
11(11)日体大SMG横浜10133191343-30
12(12)VONDS市原FCレディース0130013536-31

次節に向けて

次節、日体大SMG横浜は、10位のASハリマアルビオンとアウェーで対戦する。前回対戦では日体大が1-0で勝利している相手だ。11位に沈む日体大にとって、残留争いを左右する重要な一戦となる。

静岡SSUボニータは、ホームに伊賀FCくノ一三重を迎える。前回対戦は0-0。伊賀の強度の高い守備と、出足の早いサイド攻撃に苦しめられた試合だった。優勝に向けて勝ち点を落とせない静岡にとって、試される一戦となる。

リソース

フルマッチLIVE配信

第13節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック