【試合レビュー】ヴィアマテラス宮崎、首位追走へ痛いドロー スフィーダ世田谷FCがハイプレスで粘り、1-1で勝ち点分け|2026プレナスなでしこリーグ1部 第10節

試合レビュー

静岡SSUボニータとの首位攻防戦に敗れたあと、前節の愛媛FCレディース戦では相手の対策を上回り、3得点で勝利したヴィアマテラス宮崎。首位・静岡を追う2位として迎えた今節は、ホームにスフィーダ世田谷FCを迎えた。

試合は、序盤から両チームが前から圧力をかけ合う、強度の高い展開となった。宮崎はサイド攻撃を起点に押し込み、世田谷はハイプレスとハイラインで宮崎のビルドアップを制限する。互いに球際で譲らず、90分を通して多くの運動量が求められる一戦だった。

後半73分、宮崎は土屋佑津季のゴールで先制。しかし、世田谷も直後の76分に堀江美月が同点弾を決め、試合を振り出しに戻した。首位・静岡が敗れた今節、宮崎にとっては勝てば勝ち点で並ぶチャンスだったが、最後まで勝ち越し点は奪えず。熱戦は1-1の引き分けに終わった。

この記事の要点

  • 宮崎は土屋佑津季の先制点で勝利に近づいたが、直後に堀江美月に同点弾を許し、首位追走へ痛い引き分けとなった
  • 世田谷はハイプレスとハイラインを90分間継続し、宮崎のビルドアップとサイド攻撃を制限した
  • 両チームのエースが結果を残し、強度・運動量・球際の激しさが最後まで落ちない好ゲームとなった

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第10節

ヴィアマテラス宮崎スフィーダ世田谷FC
11
73分 土屋 佑津季76分 堀江 美月
会場いちご宮崎新富サッカー場
観客数1,170人

ヴィアマテラス宮崎

PosNo.氏名交代
GK50後藤 優香
DF16松田 遥奈
DF21坂本 理保 (Cap.)
DF33小牧 明日香67▼
DF3國生 乃愛
MF10鈴木 妃花63▼
MF22山本 さゆり
MF8嘉数 飛鳥63▼
MF9土屋 佑津季
MF4永野 桃子
FW17小澤 寛83▼
控え
GK1暁 清流
MF6松井 彩乃67▲
MF7有馬 りこ
MF13川添 ゆず
MF14島田 綾子63▲
MF18中野 里乃63▲
MF24井之脇 朱音83▲
監督: 佐藤 考範

スフィーダ世田谷FC

PosNo.氏名交代
GK1大塚 美緒
DF2根本 彩夏
DF6黒川 愛奈
DF7渡邊 那奈
DF15篠原 沙耶
MF8加藤 沙彩74▼
MF10田口 茉亜紗67▼
MF3柏原 美羽 (Cap.)
FW16北川 心子
FW9堀江 美月87▼
FW13内田 美鈴
控え
GK22山内 夏実
DF4小泉 柚紀
DF23荒川 結乃花87▲
MF18佐藤 李那
MF20石浦 和歌67▲
FW11粟田 桃子
FW14松原 萌乃74▲
監督: 濱田 堯

試合展開

宮崎がサイドから押し込む立ち上がり

立ち上がりは宮崎が主導権を握った。#3國生乃愛のロングフィード、#4永野桃子のスピード、#22山本さゆりの技術を生かし、両サイドから前進。サイドで優位を作り、クロスやカットインからゴール前に迫った。

一方の世田谷も、簡単には押し込まれなかった。両サイドバックの#2根本彩夏、#15篠原沙耶が走力を生かして粘り強く対応。クロスを上げられた場面でも、GK#1大塚美緒を中心にゴール前で跳ね返し、宮崎に決定的な形を多くは作らせなかった。

世田谷のハイプレスが宮崎の前進を制限

世田谷の狙いは明確だった。前線の選手が宮崎の最終ラインに素早く圧力をかけ、ビルドアップの出口を塞ぐ。さらに、ボールを奪い切れなくても前線からのプレスバックで宮崎のカウンターの精度を落とし、簡単に前を向かせなかった。

宮崎に低い位置から自由にボールを持たせると、個の突破力と連係を兼ね備えた攻撃を止めるのは難しい。世田谷はそのリスクを理解したうえで、ラインを高く保ち、前から圧力をかけ続けた。背後を取られる危険はあったが、宮崎のサイド攻撃、とくに#4永野桃子のドリブル突破やカットインを早い段階で制限する効果もあった。

前半の飲水タイムを迎える頃には、宮崎が押し込む時間帯の中でも、世田谷が耐えてショートカウンターに持ち込む形が増えていた。

宮崎も前進の形を変えながら対抗

ビルドアップを制限された宮崎は、自陣でボールを失う場面もあった。それでも、素早いリスタートからセンターバックが持ち運ぶ形、GK#50後藤優香からのロングフィード、さらに#17小澤寛や#9土屋佑津季が低い位置に下りて組み立てに関わる形で前進を試みた。

中盤の攻防は互いに強度が高く、簡単に優劣がつく展開ではなかった。宮崎は中盤で前を向けると、両サイドとボランチが一気に前線へ顔を出し、クロスでも中央突破でもフィニッシュまで持ち込む形を作る。押し込まれる時間帯があっても、劣勢一辺倒にならず、一撃で仕留める可能性を感じさせる鋭さはさすがだった。

前半は宮崎が押し込み、世田谷がハイプレスとハイラインで対抗する展開。互いに譲らず、0-0で折り返した。

後半は宮崎がシンプルに背後を狙う

後半に入ると、宮崎の前進はよりシンプルになった。後方で横パスを重ねる場面は減り、サイドに開いた選手へ預けて早めに前へ進める形が増えたように見えた。

また、世田谷が高いラインを維持していたこともあり、宮崎は最終ラインとGKの間を狙う攻撃を増やした。世田谷のハイラインを逆手に取り、背後のスペースを突こうとする意図が見えた時間帯だった。

対する世田谷も、ハイプレスとハイラインを継続。スローインやカウンターから宮崎ゴール前までボールを運び、立て続けに決定機を作った。しかし、ここで宮崎GK後藤がビッグセーブを連発。得点が欲しいチームを最後方で支えた。

土屋佑津季が先制、堀江美月が即座に同点

守備陣の踏ん張りに応えるように、宮崎のエースが仕事を果たす。

73分、宮崎は攻め続けて得たコーナーキックからチャンスを作る。こぼれ球に反応した#14島田綾子のシュートはクロスバーに当たったが、その跳ね返りに#9土屋佑津季が素早く反応。右足で押し込み、宮崎が待望の先制点を奪った。

流れの中では世田谷の守備を崩し切れない時間も長かっただけに、セットプレーからこじ開けた大きなゴールだった。いちご宮崎新富サッカー場の雰囲気も一気に高まった。

しかし、世田谷もすぐに返す。76分、#5篠原沙耶の持ち運びから#20石浦和歌がつなぎ、最後はこぼれ球に反応した#9堀江美月が右足でシュート。長身を投げ出すようにして放った一撃が宮崎ゴールを揺らし、試合はすぐさま振り出しに戻った。

宮崎が土屋でこじ開ければ、世田谷は堀江で返す。両チームのエースストライカーが、勝負どころで結果を出した場面だった。

最後まで強度が落ちない熱戦

終盤、宮崎は左右に揺さぶりながら、広がったスペースへ縦パスとドリブルで侵入を狙った。世田谷はその形を出させないために前から圧力をかけ、運ばれても局面で粘り強く跳ね返す。そして奪えばカウンターへ移行した。

アディショナルタイムに入っても、宮崎は勝ち越しを狙って攻勢を強め、世田谷は最後まで耐えながら反撃の機会をうかがった。両チームともコンパクトな陣形を保ち、球際でも走力でも譲らない。決勝点こそ生まれなかったが、1-1というスコア以上に見応えのある一戦だった。

総括

世田谷は、宮崎の最終ラインに圧力をかけ、ハイラインで前向きな攻撃を制限する戦い方を選んだ。前節の愛媛FCレディースも同様の狙いを見せていたが、世田谷はもともとハイライン志向のチーム。前線に得点力のある選手を複数抱えている点でも、その戦い方に説得力があった。

もちろん、背後を取られれば一気に決定機につながるリスクはある。それでも世田谷は、ラインコントロールとプレスの連動を90分間保ち、宮崎の攻撃を簡単には加速させなかった。守備に不安を抱えた時期もあったチームが、強者相手に最後まで強度を落とさなかったことは大きな収穫だろう。

得点を挙げた土屋佑津季と堀江美月も、エースストライカーと呼ぶにふさわしい働きだった。宮崎は後半に前進の形を変えながら押し込み、ゴールが欲しい流れで土屋が先制点を決めた。対する世田谷も、先制された直後に受け身へ回れば一気に突き放されかねない場面で、堀江がすぐさま同点弾を叩き込んだ。

宮崎のホームゲームは今節も1,000人を超える観客が入り、温かい応援がスタジアム全体を包んでいた。高い強度、エースの一撃、最後まで途切れない緊張感。試合内容だけでなく、会場の雰囲気も含めて、なでしこリーグ1部の魅力が詰まった一戦だった。

ヴィアマテラス宮崎

首位・静岡SSUボニータが朝日インテック・ラブリッジ名古屋に敗れた今節、宮崎にとっては勝てば再び勝ち点で並べるチャンスだった。その意味では、ホームで勝ち切れなかったことは悔やまれる。

ただ、世田谷が90分間にわたって宮崎対策を遂行したことも事実だ。今後、宮崎を追うチーム、あるいは宮崎に挑むチームは、勇気を持って前から圧力をかけてビルドアップを制限する戦い方をより明確にしてくる可能性がある。

追われる立場でもある宮崎にとって、ハイプレスを受けたときに後方からどう前進するか、背後を狙うだけでなく、どのように相手のプレスを外して主導権を握り返すかは、今後の重要なテーマになりそうだ。

スフィーダ世田谷FC

世田谷は、開幕節で静岡SSUボニータに大敗するなど、シーズン序盤は守備面の不安定さが目立った。得点力はある一方で、ハイラインの背後を突かれたり、試合終盤に失点して勝ち点を逃したりする試合もあった。

しかし、この日の世田谷は違った。強度を保ち、走り負けず、サイドバックの攻守のバランスも大きく崩れなかった。宮崎相手に勝ち切ったわけではないが、内容面では十分に前向きな引き分けだったと言える。

両チームにとって勝ち点3には届かなかったものの、最後まで強度が落ちない好ゲームだった。

順位表

第10節終了時点で、ヴィアマテラス宮崎は2位を維持。スフィーダ世田谷FCは順位を1つ下げ、9位となっている。

過去5試合:勝利 引き分け 敗戦

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ2310721296+23
2(2)ヴィアマテラス宮崎21106312110+11
3(3)朝日インテック・ラブリッジ名古屋19105412511+14
4(4)オルカ鴨川FC1810532156+9
5(5)伊賀FCくノ一三重1810532129+3
6(6)ニッパツ横浜FCシーガルズ14104241917+2
7(7)岡山湯郷Belle14104241318-5
8(9)愛媛FCレディース12103341319-6
9(8)スフィーダ世田谷FC11103251819-1
10(10)日体大SMG横浜10103161334-21
11(11)ASハリマアルビオン610136914-5
12(12)VONDS市原FCレディース090010428-24

次節に向けて

次節は前半戦の最終節。12チームによる総当たり戦の1巡目を締めくくる一戦となる。

ヴィアマテラス宮崎は、アウェーでオルカ鴨川FCと対戦する。オルカは現在4位で、宮崎との勝ち点差は3。宮崎にとっては首位追走を続けるために落とせない試合であり、オルカにとっても上位戦線に踏みとどまるための重要な一戦になる。

オルカを応援する筆者としては、今季初の2連勝で勢いに乗るオルカの勝利を期待したい。ただ、宮崎の攻撃力と修正力を考えれば、簡単な試合にはならないはずだ。前半戦最後の上位対決として、熱い試合を期待したい。

スフィーダ世田谷FCは、ホームで伊賀FCくノ一三重と対戦する。伊賀は下位グループ相手に2連勝中で、着実に勝ち点を積み重ねている。世田谷にとっては、宮崎戦で見せた強度と粘りを次の勝利につなげられるかが問われる一戦になる。

リソース

フルマッチLIVE配信

第10節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック

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