リーグ全体の動き
第9節の大きな特徴は、勝利した6チームがすべてクリーンシートで勝ち切ったことだ。名古屋、ニッパツ、静岡、宮崎は複数得点で快勝し、オルカと伊賀は1-0で接戦を制した。攻撃力だけでなく、守備で相手の反撃を封じたチームが確実に勝点3を手にしたラウンドだった。
また、第8節終了時点で順位が上だったチームがすべて勝利した点も印象的だった。静岡は3位・岡山湯郷Belleとの上位対決を制し、宮崎、名古屋、オルカ、伊賀、ニッパツもそれぞれ下位チーム相手に勝点3を積み上げた。波乱の節というより、上位・中位のチームが現在の地力を結果に反映させた節だったと言える。
首位争いでは、静岡が宮崎、湯郷との上位対決を連勝し、首位としての安定感を強めた。宮崎も前節の敗戦から立て直し、勝点3差で追走を継続している。一方、3位以下では名古屋、オルカ、伊賀、ニッパツが浮上し、岡山湯郷Belleは3位から7位へ後退した。
第9節は、静岡と宮崎の2強構図が維持される一方で、3位以下の追走グループが再編されたラウンドだった。そして同時に、日体大、ハリマ、VONDS市原といった下位チームにとっては、中位との差をどう埋めるかがより明確になったラウンドでもあった。
第9節の試合結果
| 対戦カード | 結果 | 超概要コメント | リンク |
|---|---|---|---|
| 日体大 vs 名古屋 | 0-8 | 名古屋が多彩な攻撃で8得点圧勝。日体大は守備再建が急務 | 試合レビュー |
| VONDS vs ニッパツ | 0-4 | ニッパツが球際と前線の推進力で上回り、4得点快勝 | 試合レビュー |
| オルカ鴨川 vs 世田谷 | 1-0 | オルカが世田谷の前線を封じ、終盤の決勝点で勝利 | 試合レビュー |
| 静岡 vs 湯郷 | 4-0 | 静岡が上位対決を制圧。湯郷は決定力と守備対応で差が出た | 試合レビュー |
| 宮崎 vs 愛媛 | 3-0 | 宮崎が序盤を耐えて3得点。愛媛は善戦も得点を奪えず | 試合レビュー |
| ハリマ vs 伊賀 | 0-1 | 伊賀が粘り強く耐え、終盤の決勝点で接戦を制した | 試合レビュー |
各対戦カード振り返り
静岡SSUボニータが上位対決を連勝。首位チームとしての完成度を示す
第9節最大の注目は、静岡SSUボニータと岡山湯郷Belleの上位対決だった。
静岡は前節、2位・ヴィアマテラス宮崎との首位攻防戦を1-0で制しており、今節は3位・湯郷を迎えた。結果は4-0。宮崎戦に続いて上位直接対決を連勝し、首位チームとしての強さを改めて示した。
試合内容は、スコアほど一方的ではなかった。湯郷はコンパクトな守備とパスワークを使った前進で持ち味を出し、流れの中では静岡を簡単には崩させなかった。それでも静岡は、前半にセットプレーから2点を奪い、後半には交代選手の得点も含めて試合を決定づけた。流れの中で崩し切れない時間帯があっても、セットプレーや選手層で勝ち切る力がある。そこに、今の静岡の完成度が表れていた。
湯郷にとっては、3位として臨んだ上位対決で4失点を喫したことは重い。自分たちのパスワークを発揮する時間はあったものの、最後の崩しと決定機創出では静岡を上回れなかった。第8節で3位へ浮上した勢いを継続したかったが、第9節終了時点では7位へ後退。上位争いに踏みとどまるためには、強度の高い相手に対して得点を奪い切る力が求められる。

ヴィアマテラス宮崎は苦しい序盤を耐えて3-0勝利。静岡追走の立場を維持
ヴィアマテラス宮崎は、愛媛FCレディースに3-0で勝利した。
前節の静岡戦で今季初黒星を喫した宮崎にとって、優勝争いに踏みとどまるためにも落とせないホームゲームだった。試合序盤は愛媛のハイプレスと球際の強度に苦しみ、宮崎の両サイドの攻め上がりも制限された。それでも、12分に嘉数飛鳥、37分に小牧明日香、51分に土屋佑津季が得点し、終わってみれば3-0の勝利となった。
この試合で宮崎が示したのは、苦しい時間帯を耐えたうえで、少ないチャンスを得点に変える決定力だった。愛媛の準備は十分に機能しており、スコアほど内容に差があったわけではない。それでも、流れの中、セットプレー、崩しから3得点を奪った宮崎の得点パターンの多さは、上位チームらしい強みである。
愛媛にとっては、上位相手に前向きな戦いを見せながらも、勝点にはつなげられなかった。ハイプレスや球際の強度で宮崎を苦しめた点は収穫だが、90分を通した強度維持とフィニッシュ精度には課題が残った。宮崎は勝点20で2位を維持し、首位・静岡との勝点差3を保っている。

名古屋は8発大勝で3位浮上。首位追走へ勢いをつける
朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、日体大SMG横浜に8-0で大勝した。
立ち上がりこそ日体大が前線のスピードを生かして名古屋ゴールに迫る場面を作ったが、11分の仁木愛実の先制点を境に試合の流れは大きく傾いた。仁木は26分にも得点し、さらに橘麗衣、上田真子、藤原愛里、中村友香が得点。得点者も得点パターンも多彩な完勝だった。
名古屋にとって大きかったのは、単なる大量得点ではなく、チーム全体の層の厚さを示したことだ。サイド攻撃、セットプレー、センターバックの攻撃参加、前線からのプレス、カウンター、ミドルシュートと、複数の形で得点を重ねた。交代選手も結果を残し、藤原愛里は2得点、中村友香も豪快なミドルシュートを決めている。
一方の日体大は、4連敗となり、守備の再構築が急務となった。攻撃的なサッカーを掲げながらも、この試合では公式記録上のシュート数が2本にとどまり、攻撃面でも主導権を握れなかった。第9節終了時点でも10位のままだが、失点数は34まで増えており、まずは試合を壊さない守備の基準作りが必要になっている。

オルカ鴨川FCは世田谷を封じて4位浮上。河野有希が2試合連続ゴール
オルカ鴨川FCは、ホームでスフィーダ世田谷FCに1-0で勝利した。
相手は2連勝中で、堀江美月と内田美鈴を中心に前線の得点力を備えるチームだったが、オルカは序盤から運動量と球際で対抗し、世田谷の前線に自由を与えなかった。後半78分、蔵田あかりのつなぎから河野有希が2試合連続となるゴールを決め、これが決勝点となった。
この試合で印象的だったのは、オルカの守備の安定感である。前節の名古屋戦ではシュート13本を浴びながら最少失点で耐えたが、今節は世田谷の強力前線を封じた。後半には太田凪砂を前線へ戻し、江藤里桜奈を右サイドに投入する修正で攻撃も活性化。守備で耐え、交代策で流れを引き寄せ、最後に河野が決め切るという、勝ち切るための流れを作れた。
オルカはこの勝利で勝点15に伸ばし、5位から4位へ浮上した。静岡、宮崎との差はまだあるが、上位追走グループの中では確かな存在感を示している。第8節の名古屋戦で得た勝点1、第9節の世田谷戦での勝点3は、今後の上位争いに踏みとどまるうえで大きな意味を持つ。

伊賀は堅守で接戦を制し5位へ。ハリマは優勢を得点に変えられず
伊賀FCくノ一三重は、ASハリマアルビオンに1-0で勝利した。
ハリマにとっては、開幕節以来の勝利がない中で迎えたホームゲームであり、小池快のなでしこリーグ通算200試合出場という節目の試合でもあった。序盤はハリマが前線の人数と運動量を生かして伊賀を押し込み、主導権を握った。しかし、最後の崩しやクロスの精度を欠き、優勢な時間帯を得点に結びつけられなかった。
伊賀は前半の劣勢を耐え、時間の経過とともにボール保持と前進の形を取り戻した。72分には右サイドを起点に最終ラインを崩し、最後は平田ひなのが頭で押し込んで先制。平田は2試合連続ゴールとなり、伊賀が少ない好機をものにして勝点3を手にした。
伊賀はこの勝利で6位から5位へ浮上。一方のハリマは、内容面で良い入りを見せながらも、11位のまま。下位から抜け出すには、主導権を握った時間帯に得点を奪い、試合を自分たちの流れに引き寄せる力が必要になる。

ニッパツは4得点快勝で6位浮上。VONDSは攻撃面の前進を結果に変えられず
ニッパツ横浜FCシーガルズは、VONDS市原FCレディースに4-0で勝利した。
VONDSは前節までと比べて攻撃面で明らかな前進を見せ、サイドからの仕掛け、中央での連係、遠目からでもゴールを狙う姿勢があった。今季ここまでで最も攻撃の形を作った試合だったと言える。
しかし、試合を動かしたのはニッパツだった。38分に室井胡心が先制し、45分に中居未来が追加点。後半にも室井が2点目を奪い、79分には岡百々花が4点目を決めた。ニッパツは球際の強さ、前線のスピード、セットプレーでの集中力で上回り、効率よく得点を重ねた。
VONDSにとっては、内容面の改善を見せながらも0-4という結果が重く残る。攻撃の前進があったからこそ、守備の寄せの甘さ、セットプレー対応、球際の強度不足がより明確になった。開幕9連敗となり、勝点0のまま12位。まずは攻撃面の前進を継続しつつ、失点を減らすための守備の基準作りが急務となる。

順位変動と順位表(第9節終了時点)
第9節終了時点で、静岡SSUボニータは勝点23に到達し、首位をキープした。ヴィアマテラス宮崎も勝点20に伸ばして2位を維持。首位と2位の勝点差は、第8節終了時点と同じ3のままだった。
大きく動いたのは3位以下である。朝日インテック・ラブリッジ名古屋は4位から3位へ、オルカ鴨川FCは5位から4位へ、伊賀FCくノ一三重は6位から5位へ、ニッパツ横浜FCシーガルズは7位から6位へ浮上した。一方、岡山湯郷Belleは3位から7位へ後退。スフィーダ世田谷FC、愛媛FCレディース、日体大SMG横浜、ASハリマアルビオン、VONDS市原FCレディースは順位を維持している。
過去5試合(左から新しい順に表示):勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 23 | 9 | 7 | 2 | 0 | 29 | 3 | +26 | |
| 2(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 20 | 9 | 6 | 2 | 1 | 20 | 9 | +11 | |
| 3(4) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 16 | 9 | 4 | 4 | 1 | 22 | 11 | +11 | |
| 4(5) | オルカ鴨川FC | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 14 | 6 | +8 | |
| 5(6) | 伊賀FCくノ一三重 | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 10 | 8 | +2 | |
| 6(7) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 18 | 14 | +4 | |
| 7(3) | 岡山湯郷Belle | 14 | 9 | 4 | 2 | 3 | 13 | 17 | -4 | |
| 8(8) | スフィーダ世田谷FC | 10 | 9 | 3 | 1 | 5 | 17 | 18 | -1 | |
| 9(9) | 愛媛FCレディース | 9 | 9 | 2 | 3 | 4 | 10 | 18 | -8 | |
| 10(10) | 日体大SMG横浜 | 7 | 9 | 2 | 1 | 6 | 12 | 34 | -22 | |
| 11(11) | ASハリマアルビオン | 6 | 9 | 1 | 3 | 5 | 9 | 13 | -4 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 9 | 0 | 0 | 9 | 3 | 26 | -23 |
得点ランキング(第9節終了時点)
| 順位 | 得点数 (今節得点) | 氏名 | チーム名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 9 | 内田 美鈴 | スフィーダ世田谷FC |
| 2 | 8(1) | 横山 久美 | 静岡SSUボニータ |
| 3 | 6 | 堀江 美月 | スフィーダ世田谷FC |
| 3 | 6(1) | 土屋 佑津季 | ヴィアマテラス宮崎 |
| 5 | 5(2) | 室井 胡心 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 5 | 5 | 三輪 玲奈 | 静岡SSUボニータ |
| 7 | 4(1) | 岡 百々花 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 7 | 4(2) | 上田 真子 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
| 7 | 4 | 千葉 園子 | ASハリマアルビオン |
| 7 | 4 | 国吉 花吏埜 | 岡山湯郷Belle |
| 7 | 4 | 安部 美琴 | 日体大SMG横浜 |
次節の注目カード
朝日インテック・ラブリッジ名古屋と静岡SSUボニータ
第10節で最大の注目は、朝日インテック・ラブリッジ名古屋と静岡SSUボニータの上位対決だ。
静岡にとっては、ヴィアマテラス宮崎、岡山湯郷Belleに続く3戦連続の上位対決となる。ここまで宮崎を1-0、湯郷を4-0で退けており、次節は堅守と多彩な攻撃パターンを持つ昨季王者・名古屋とのアウェーゲームに臨む。ここでも勝ち切れば、前半戦無敗が現実味を帯びてくる。
一方の名古屋は、静岡の強力な攻撃を抑えながら、相手のプレスをかいくぐれるかが焦点となる。第9節では8得点の大勝を収めており、攻撃面の勢いもある。無敗の首位チームに土をつけられるか、注目の一戦だ。
ASハリマアルビオン vs オルカ鴨川FC
そして、筆者が応援するオルカ鴨川FCの試合にも注目したい。第9節で4位に浮上したオルカが、上位追走の流れを継続できるか。堅守とハードワークを武器に、次節も勝点を積み上げたい。

