アルマ・デービス選手が2得点。1500人を超える観客が応援するホームで2-0クリーンシート|2025プレナスなでしこリーグ1部・第17節 オルカ鴨川FC x ASハリマアルビオン

オルカ鴨川FC目線でマッチレビューをします。

リソース

フルマッチLIVE配信(Youtube)

公式記録

日程・結果

公式ガイドブック

要約

  • オルカ鴨川FCが2–0でASハリマアルビオンに勝利。#10アルマ・デービス選手が前半19分の強烈シュートと後半PKで2得点し、攻撃の軸として躍動。
  • 相手スローインへの高いプレスと前線の連動で再三チャンスを創出し、#11河野有希選手・#24谷口愛奈選手も決定機に関与。
  • 配置変更も奏功し、#18松本はな選手がボランチで強度を加え、#5浅野綾花は一列前で攻守に貢献。#6浦部美月選手が今シーズン初の守備配置、#3月東優季乃選手#4松尾菜月選手と共にでブロックで貢献し、GK#1田谷春海選手の対応で無失点。
  • ハリマは#9川崎咲耶選手のスピードを活かして走らせる攻撃や左サイドの連係で迫るも決め切れず、#10千葉園子選手の交代後は配球力が低下し流れを掴めなかった。

注目ポイント

  • オルカ#10アルマ・デービス選手の圧倒的存在感
  • 1500人が集まった鴨川市陸上競技場で嬉しい勝利
  • 前節、最下位のスペランツァ大阪に敗戦を喫してからの嬉しい勝ち点3

試合情報

会場

鴨川市陸上競技場(オルカ鴨川FCホームスタジアム)

観客数1,518名

フォーメーション・スターティングラインナップ

オルカ鴨川FC

#6浦部美月選手は今シーズン初めてDFとしての出場。#20上田麻莉選手は2試合連続のベンチ外。

ASハリマアルビオン

試合展開

前半

5分。DF#4松尾菜月選手のクリアボールを処理したハリマDFのトラップが少し流れたところを、オルカ#10アルマ・デービス選手が搔っ攫ってセンターラインから中央をドリブル開始。後ろから引っ張られてもお構いなしに引き剝がして前進する強さを見せる。ペナルティエリアまで持ち込み右を走っていた#11河野有希選手にパス。ファーストタッチが少し大きくなったが河野選手のゴール隅を狙ったシュートはハリマGK41小暮千晶選手がセーブ。

9分、#10アルマ・デービス選手はハリマの2人に挟まれながらもボールに食らいつき、#5浅野綾花選手がそれをサポートして右サイドでフリーになっていた#11河野有希選手にボールをつなぐ。河野選手はアーリークロスを選択、左サイドからダイアゴナルな動きでペナルティエリア中央に走りこんでいた#24谷口愛奈選手が胸トラップから相手のタイミングをずらしたシュートを放つ。おしくもミートせずにハリマGKに処理されてしまった。

#10アルマ・デービス選手のフィジカル、スピード、そしてフォワードとしてのボールの呼び込み方や裏への走り込みがASハリマアルビオンの脅威となっており、アルマ選手のマークを厚くした結果近い位置にいる#11河野選手がある程度自由に動けるようになり、決定機の演出ができるようになっている印象。

また、オルカは今シーズンはCBとFWとしての出場だった#18松本はな選手が、いつもは#5浅野綾花選手が担当している守備的MFの位置にいる。そして#5浅野綾花選手は松本選手の前である程度前に出る役割のようだ。

松本選手はスピードはないが、高さと強さがあるのでゴールキックの競り合いや球際でしっかりと戦えている印象。浅野選手は守備から最前線まで幅広く動き周り、攻守への貢献度が高い。

11分、ハリマは中盤で細かいパス回しをして、前線に走り出す#9川崎咲耶選手に浮き球のパス。川崎選手はオルカ#3月東優季乃選手に走り勝ちGKと1対1のビッグチャンス。シュートを放つがオルカGK田谷春海選手の正面。田谷選手の飛び出しが遅れていたので、非常にもったいなかった。

19分、オルカに先制ゴールが生まれる。ペナルティエリア付近で#9齊藤彩花選手からパスを受けたアルマ・デービス選手が左に運びながら左足を小さく素早く振り抜き、威力のあるシュートをハリマゴールに突き刺した。アルマ選手は来日3ゴール目、そしてチームとしては嬉しい3試合ぶりのゴール。

アルマ選手のゴラッソはもちろんだが、そこに至る過程も良かった。相手のスローインに#9齊藤彩花選手、#5浅野綾花選手が厳しく寄せており、パスコースがずれたところを#11河野選手がカット。するするっと抜けていた#9齊藤彩花選手に渡ってオフサイドラインを意識してポジショニングしていた#10アルマ・デービス選手へのラストパス。選手が連動してプレスをかけて相手のミスを誘い、最後はきっちり仕留める事ができた。しかし、この体制からこんなに小さな振りでこの威力のシュートを打てるアルマ・デービス選手、恐るべし…。

飲水タイム後の24分、オルカは#10アルマ・デービス選手がチャージを受けながらもボールを残して最後は#9齊藤彩花選手が左足でシュートで終わる。シュートに威力はなかったが、このチャンスも相手のスローインに対して厳しくチェックしてボールを奪ってからの攻撃だった。

続いて25分、オルカDF#4松尾菜月選手がセンターライン辺りまで上がって守備をしてマイボール、#9齊藤彩花選手→#10アルマ・デービス選手→#24谷口愛奈選手が一人交わして左足シュート。相手に当たってしまい威力は殺されたが、しっかりとシュートで終わる。

先制を許したハリマが徐々に押し込む展開が続く。30分に#9川崎選手からのクロスを#10千葉園子選手がワンタッチで合わせたが、オルカ#6浦部選手が身体でブロック。決定機だった。

オルカはアルマ・デービス選手を前線に1人残し、他選手は自陣で守備を固めてハリマの攻撃を跳ね返す我慢の時間が続く。

35分、オルカ#11河野有希選手が奪ったボールを受けた#9齊藤彩花選手が一人躱して前線の#10アルマ・デービス選手にスルーパス。ボールのコースが少し良くなかったが、アルマ選手が身体を張って競り勝ちマイボールに。アルマ選手のクロスは相手に当たってコーナーキックのチャンスを得た。フィジカルとスピードを活かしたアルマ選手のプレーに観客席が沸いた。

38分頃に#10アルマ・デービス選手に疲労の色が見え始める。スウェーデン出身の選手に日本の高温多湿な環境は相当堪えるだろう…。

44分、ここもオルカがハリマのスローインに対して積極的にプレスをかけて、ボールを奪った#5浅野綾花選手がドリブルでボールを運び、前線抜け出していた#11河野有希選手に見事なスルーパスを送る。これを受けた河野選手のワンタッチ目が大きくなってしまい。クリアされる。もったいない場面だった。

45分、ハリマ#9川崎選手が右サイドで粘るがオルカ選手たちが集中して守り抜き、前半は1-0でオルカリードのまま終了。

オルカは押し込まれる場面はあったものの、全体的にラインを高く保って高い位置からのプレスと、相手スローインに対して厳しくチェックしてチャンスを作っていた。

後半

両チームとも選手交代なし。

1点を追うASハリマアルビオンは縦に早くの意識が強くなり、中盤を飛ばして3トップに当てて攻撃を形成するようになる。

49分にオルカ#5浅野綾花選手が奪ったボールを受けた#11河野有希選手が右足でミドルシュートを放つがキーパー正面。

50分過ぎあたりから、ハリマの縦に早い意識が弱まったように感じた。全体の押し上げよりも#9川崎選手を走らせる戦術にシフトした?

53分、#4松尾菜月選手のクリアボールを#5浅野綾花選手が足を延ばして#9齊藤彩花選手に繋ぐ。#9齊藤彩花選手と#10アルマ・デービス選手の流れるようなパス交換からハリマゴールに迫った。

55分、#4松尾菜月選手のロングフィードを受けた#24谷口愛奈選手が1人交わし、オーバーラップした#6浦部美月選手に見事なノールックスルーパス。浦部選手からのリターンを受けた谷口選手が中で待つ#10アルマ選手・#18松本はな選手にクロスを上げた。谷口選手のクロスはアルマ選手と松本選手を越えて、その背後に飛び込んでいた#11河野有希選手が頭で叩きつけた。良いヘディングシュートだったが、惜しくもキーパー正面。

59分にハリマが左サイドで上下に早いワンタッチのパス交換から、#10千葉園子選手が抜け出し シュートを打つ。これをオルカDF#6浦部美月選手が身体を投げ出してブロック。ルーズボールをハリマFW#33椎野彩香選手がクロス、流れたところにMF#14正野可菜子選手がシュートを放つも最後はオルカ#24谷口愛奈選手がブロック。

60分 オルカGK#1田谷春海選手のロングフィードを右サイドで#11河野選手、#10アルマ・デービス選手が相手と競り合って潰れ、ルーズボールに。これを#18松本はな選手が出足早くマイボールとし、ゴール前に走りこむ#24谷口愛奈選手にクロス。後ろからのボールを上手く右足で合わせて威力のあるシュートを放った谷口選手だったが、GK正面でキャッチ。

徐々に押し返されるハリマ。ここで両チーム同時に選手交代を行う。

  • オルカ鴨川FC #9齊藤彩花選手OUT、#27今田紗良選手IN。今田選手はFWに入り、#11河野有希選手は右SHにポジションを移した。
  • ASハリマアルビオン 選手交代 #10千葉園子選手OUT、#11南條里緒選手IN、#33椎野彩香選手OUT、#7井之脇朱音選手IN

両チームとも前線の選手を交代し、オルカは追加点を、ハリマは同点そして逆転を狙う。

65分。ハリマのバックパスを#27今田紗良選手と#5浅野綾花選手が挟んでボールを奪取。浅野選手がドリブルで前に運んで右サイドの#11河野有希選手に開く。河野選手はペナルティエリアの角付近から左足でミドルシュートを放ち、これが惜しくもクロスバーを叩いてしまう。そのルーズボールを#24谷口愛奈選手が収めて、最後は#10アルマ・デービス選手が相手を背負いながらボールキープ、そして左足でシュート。これがハリマ選手の手に当たりハンドの判定。オルカは貴重な追加点のチャンスとなるPKを得た。映像を見直すと、ハリマDFは思いっきり手を出して当てにいってますね。文句なしのPKである。

このPKを#10アルマ・デービス選手が落ち着いて決めて、この日2得点目を挙げる。

ハリマは攻撃の選手を入れ替えてすぐの失点で出鼻をくじかれる形となった。

70分、またもオルカは相手のスローインからチャンスを迎える。ハリマのスローインを#27今田紗良選手がバックヘッドで#10アルマ・デービス選手にパス。アルマ選手は相手DFの重心の軸をずらすフェイントで1人交わしてシュートコースを作って右足で鋭いシュートを放つ。アルマ・デービス選手、キレキレである。スウェーデン女子2部リーグで10得点を挙げたストライカーがその実力を日本の鴨川で見せつつあるかもしれない。

流れを変えたいハリマは73分に2人交代。#20山口歌子選手OUT→#2児玉耀選手IN、#22唐橋万結選手→#15大原和夏選手IN。

オルカはバックパスが流れたところをハリマに奪われてカウンターのピンチを迎えるが、この日ボランチに入っている#18松本はな選手がフィジカルを活かしてノーファイルでボール奪取。こういうボールの奪い方は今シーズンのオルカにはこれまで無く、中盤での強度が増した印象。

76分、またも#18松本はな選手がハリマの縦パスに反応してパスパット。ルーズボールを#24谷口愛奈選手から#10アルマ・デービス選手に、さらに右サイドの#11河野有希選手へとつなぐ。河野選手はカットインして左足シュート。DFに当たってしまったが、シュートまで持ち込んだ。

続いてアルマ選手がハリマ#14正野可菜子選手が自陣で#10アルマ・デービス選手をドリブルで躱そうとするが、アルマ選手が身体を当ててこれを奪取。アルマ選手はハリマ#14正野選手と#6吉田紫穂選手から引っ張られても前進し、シュートを放った。惜しくもゴールマウスの右に逸れた。

77分にハリマが久しぶりの攻撃。左サイドでロングボールに走る#9川崎選手が粘ってオルカ#4松尾を振り切り、一度下げてペナ外から#18阿部文音選手がシュート。オルカGK#1田谷春海選手がしっかりとキャッチ。

79分。ハリマは前半に見せていたような#9川崎咲耶選手を中心にして左サイドから上下に速いパス交換から前線の選手の飛び出しに合わせる。しかし#11南条選手へのパスはオルカDFが対応。

80分にハリマは最後の選手交代。 #16松久保葵子選手OUT、#22朝山瑞希選手IN。点を取りに行かないといけない場面で守備の選手交代だった。得失点差を気にして、点を取るよりもこれ以上の失点を防ぐことを優先したか。

ハリマは交代で入ったばかりの#22朝山選手がチャンスを作る。コーナーキックをはじき返された後の組み立てから、朝山選手が前線に走りこんでいた#14正野選手に浮き球のパス。正野選手は後ろからのボールをボレーで狙うがミートせず、オルカGK#1田谷選手にキャッチされた。

83分、オルカのカウンター。#11河野選手がドリブルでハーフウェイライン辺りから相手ペナルティエリア内まで右サイドを駆け上がる。中でボールを引き出す動きを見せる#10アルマ選手を囮にして、自分で切り込んで1人躱してシュート。低い弾道で強いシュートだったがわずかにゴール左へ逸れた。

87分、この試合で再三みせているオルカの相手スローインへの厳しいプレス。ハリマからボールを奪ったオルカは#27今田紗良選手が遠い目の位置から左足を豪快に振り抜く。しっかりと枠内に飛ばす。

90分、オルカの選手交代。この試合2得点、その他にも多くのチャンスを作りシュートを放った#10アルマ・デービス選手がOUT、#25齊藤桃花選手がIN。

後半AT、ハリマがこの試合最後のチャンスを迎える。#18阿部文音選手が#9川崎咲耶に絶妙なスルーパス。川崎選手の両脇には#4松尾菜月選手と#3月東優季乃選手がいるという難しい状況だったが、川崎選手はシュートを放つ。しかしミートせずボールは大きくゴール右に外れた。

試合終了直前、オルカが3回目の選手交代。#11河野有希選手OUT、#8新田琴瑞選手IN。

そしてホイッスルが吹かれ、2-0でオルカが勝利。5試合ぶりの勝利を鴨川市陸上競技場に駆けつけた1500人以上の観客とともに喜んだ。

総括

オルカ鴨川FC

#10アルマ・デービス選手

アルマ・デービス選手の強靭なフィジカルとスピード、そして点取り屋としての嗅覚が光った試合だった。相手を背負いながらボールをコントロールできるし、相手の中途半端な横パス・バックパスを見逃さずに一気に加速してプレス。さらに前線で一人でボールを相手から奪ってマイボールにしてしまう。ハリマのDFたちがアルマ選手と正面からやりあってくれたおかげはあると思うが、プロ契約に恥じない活躍を見せてくれたと感じる。

中断期間前最後の試合だったニッパツ戦で右脚を負傷し担架に運ばれて途中交代した時はどうなることかと心配だったが、中断期間が明けて明らかに、アルマと中盤の選手の連携がよくなっている。中断期間中の合宿や練習でチーム内で戦術が再整理され、それを選手たちが落とし込んだのであろう。

アルマ・デービス選手はなでしこリーグに所属してからフル出場一歩手前までピッチに立っていたのは初めて。最後の方は足が止まっておりメッシのようにピッチを歩く場面が増えたが、ここぞという時には一気に加速し常に相手の脅威となり続けていた。

他の選手たちも頑張った

#27今田紗良選手のプレスや相手パスコースの切り方、スローインの時の身体の入れ方など、さすがにうまかった。

#24谷口愛奈選手の攻撃参加はしっかりと機能しており、逆サイドの#11河野有希選手と共に怖い存在だった。

この試合、普段よりも1列前でプレイした#5浅野綾花選手は周りの選手とよく連携が取れているようで、#10アルマ・デービス選手やその他の選手の活躍に彼女の貢献があると感じた。

#4松尾菜月選手は早め早めにボールをはじき返し、時にはセンターラインまで出てきて相手が前を向く前に刈り取りオルカの高い守備ラインを維持し続けた。

一方で、#20上田麻莉選手が2試合連続ベンチ外。故障だろうか?

ASハリマアルビオン

サイドにボールが出た時の選手の意思統一がすばらしく、素早いパス交換で相手の守備ブロックを崩す攻撃は見事だった。

#9川崎選手がいる左サイドからの攻撃を繰り返していたが、オルカ#24谷口選手がかなり高い位置を取っていたため、逆サイドを起点に攻めてもよかったかもしれない。

#10負傷明けの千葉選手がピッチを退いてからは効果的なパスを供給が減り、#9川崎選手を走らせるくらいしか攻撃の糸口が無かったように思われる。二列目以降の選手たちの運動量が少ないように感じた。また、狙われ続けていたスローインや低い位置でのプレーについて、最後まで修正することがなかった。アルマ選手とは競り合わずに安全第一でクリア、スローインは細かくポジションを変えて対応するなどを粘り強く続ければ、結果は違ったかもしれない。

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