2025プレナスなでしこリーグ1部第17節、オルカ鴨川FCはホーム・鴨川市陸上競技場にASハリマアルビオンを迎えた。前節は最下位のスペランツァ大阪に敗れ、流れを取り戻したい一戦。1,518人の観客が集まったホームゲームで、オルカは#10アルマ・デービス選手が前後半に1点ずつを決め、2-0で勝利した。
攻撃では前線の連動とスローインへのプレスが機能し、守備ではGK#1田谷春海選手を中心にクリーンシートを達成。5試合ぶりの勝利を、ホームの大きな声援とともに分かち合う一戦となった。
要約
オルカ鴨川FCはASハリマアルビオンに2-0で勝利。#10アルマ・デービス選手が前半19分に強烈な左足シュートを突き刺し、後半68分にはPKを沈めて2得点を挙げた。
この試合で目立ったのは、相手スローインへの厳しいプレスと、前線の連動性だった。#9齊藤彩花選手、#11河野有希選手、#24谷口愛奈選手がアルマ選手と絡みながらチャンスを作り、ハリマ守備陣に継続的な圧力をかけた。
また、配置変更も効果的だった。#18松本はな選手はボランチで球際の強さを発揮し、#5浅野綾花選手は一列前で攻守に広く関与。守備では#6浦部美月選手、#3月東優季乃選手、#4松尾菜月選手が集中を切らさず、GK#1田谷春海選手の安定した対応もあり、最後まで無失点で試合を締めた。
一方のハリマは、#9川﨑咲耶選手のスピードを生かした攻撃や、左サイドの連係からゴールに迫った。しかし決定機を決め切れず、#10千葉園子選手の交代後は攻撃の組み立てにもやや停滞感が出た。オルカとしては、前節の敗戦を払拭する大きな勝ち点3となった。
注目ポイント
- アルマ・デービス選手の圧倒的な存在感
- 相手スローインへのプレスがチャンスに直結
- 配置変更がもたらした中盤の強度
試合情報
| 会場 | 鴨川市陸上競技場(オルカ鴨川FCホームスタジアム) |
| 観客数 | 1,518名 |
| 得点者 | 19分 #10 ALMA DAVIS(オルカ鴨川FC) 68分 #10 ALMA DAVIS(オルカ鴨川FC) |
フォーメーション・スターティングラインナップ
オルカ鴨川FC

#6浦部美月選手は今シーズン初めてDFとしての出場。#20上田麻莉選手は2試合連続のベンチ外。
ASハリマアルビオン

試合展開
前半序盤:アルマ・デービス選手を起点に決定機を作る
立ち上がりから、オルカは#10アルマ・デービス選手の推進力を生かしてハリマゴールに迫った。
5分、#4松尾菜月選手のクリアボールを処理したハリマDFのトラップが少し流れたところを、アルマ選手が見逃さなかった。センターライン付近から中央をドリブルで持ち上がり、後ろから引っ張られてもバランスを崩さず前進。右を走っていた#11河野有希選手へパスを送る。河野選手のファーストタッチはやや大きくなったが、ゴール隅を狙ったシュートまで持ち込んだ。
9分にもオルカが好機を作る。アルマ選手がハリマの選手2人に挟まれながらもボールに食らいつき、#5浅野綾花選手がサポート。右サイドでフリーになった河野選手へ展開すると、河野選手は早めのクロスを選択した。左サイドから斜めに走り込んだ#24谷口愛奈選手が胸トラップからシュートを狙ったが、惜しくもミートし切れず、ハリマGK#41小暮千晶選手に処理された。
この時間帯から、アルマ選手の存在感は際立っていた。フィジカル、スピード、裏への動き出し、ボールの呼び込み方。ハリマがアルマ選手への警戒を強めることで、近い位置にいる河野選手や谷口選手にもスペースが生まれていた。
前半11分:ハリマも川﨑咲耶選手のスピードで反撃
一方のハリマも、11分に大きなチャンスを作る。中盤で細かくつなぎ、前線へ走り出した#9川﨑咲耶選手へ浮き球のパス。川﨑選手はオルカDFの背後を取り、GKと1対1に近い形まで持ち込んだ。
ただ、シュートはGK#1田谷春海選手の正面。ハリマにとっては決定機だっただけに、ここで仕留められなかったことは大きかった。オルカとしては、ヒヤリとする場面ではあったが、田谷選手が落ち着いて対応した。
前半19分:連動したプレスからアルマ・デービス選手が先制
19分、オルカに待望の先制点が生まれる。
きっかけは、ハリマのスローインに対するオルカの厳しいプレスだった。#9齊藤彩花選手、#5浅野綾花選手らが受け手に強く寄せ、パスコースを限定。ずれたボールを#11河野有希選手がカットし、そこから攻撃へ転じる。
河野選手から齊藤選手へつながり、齊藤選手はオフサイドラインを意識しながらポジションを取っていた#10アルマ・デービス選手へラストパス。アルマ選手はペナルティエリア付近で受けると、左に運びながら左足を小さく素早く振り抜く。強烈なシュートがハリマゴールに突き刺さり、オルカが1-0とリードした。
アルマ選手個人のゴラッソであると同時に、チームとして連動して奪い、最後まで仕留め切ったゴールでもあった。
前半中盤以降:ハリマに押し込まれる時間も、守備陣が粘る
先制後は、ハリマが徐々に押し込む時間を作った。30分には#9川﨑選手のクロスから#10千葉園子選手がワンタッチで合わせる決定機。ここはオルカ#6浦部美月選手が身体を張ってブロックした。
この時間帯のオルカは、アルマ選手を前線に残し、他の選手が自陣でブロックを作る形が増えた。決して楽な展開ではなかったが、#3月東優季乃選手、#4松尾菜月選手、#6浦部美月選手を中心に集中して対応。ハリマに押し込まれながらも、最後の局面では身体を張って跳ね返した。
44分には、再び相手スローインへのプレスからチャンスを作る。#5浅野綾花選手がボールを奪って前進し、前線に抜け出した#11河野有希選手へスルーパス。河野選手のファーストタッチがやや大きくなり、シュートまでは持ち込めなかったが、オルカの狙いは明確だった。
前半は1-0で終了。オルカは押し込まれる時間こそあったものの、高い位置からのプレスと相手スローインへの厳しい対応で、主導権を握る時間も多く作った。
後半序盤:ハリマは縦への意識を強める
後半開始時点で、両チームとも選手交代はなし。1点を追うハリマは、前半よりも縦への意識を強め、中盤を省略して前線に当てる形が増えた。
ただ、オルカも簡単には押し込まれない。49分には#5浅野綾花選手が奪ったボールを#11河野有希選手につなぎ、河野選手がミドルシュート。GK正面ではあったが、後半もオルカが積極的にシュートまで持ち込む姿勢を見せた。
55分には、#4松尾菜月選手のロングフィードから#24谷口愛奈選手が左サイドで仕掛ける。谷口選手は一人かわして、オーバーラップした#6浦部美月選手へノールック気味のスルーパス。浦部選手との連係からクロスを上げると、最後は背後に飛び込んだ#11河野有希選手がヘディングシュートを放った。惜しくもGK正面だったが、非常に良い形だった。
後半59分:浦部美月選手、谷口愛奈選手が身体を張る
59分、ハリマが左サイドの素早いパス交換からチャンスを作る。#10千葉園子選手が抜け出してシュートを放つが、#6浦部美月選手が身体を投げ出してブロック。さらにルーズボールからハリマが再びゴール前へ入れてくるが、最後は#24谷口愛奈選手が身体を張って防いだ。
この場面は、オルカの守備集中を象徴するシーンだった。攻撃面で目立つ選手たちが、守備でも最後まで戻り、シュートコースに身体を入れていた。クリーンシートを達成できた理由は、こうした一つひとつの守備対応にある。
後半65分以降:交代直後の圧力からPK獲得
65分、オルカは#9齊藤彩花選手に代えて#27今田紗良選手を投入。今田選手が前線に入り、#11河野有希選手は右サイドハーフに移った。

その直後、オルカが再び高い位置でボールを奪う。ハリマのバックパスに対して#27今田紗良選手と#5浅野綾花選手が挟み込み、浅野選手がボールを奪取。右サイドの河野選手へ展開すると、河野選手はペナルティエリア角付近から左足でミドルシュートを放つ。シュートは惜しくもクロスバーを直撃した。
その流れから#24谷口愛奈選手がボールを収め、最後は#10アルマ・デービス選手が相手を背負いながらキープして左足シュート。これがハリマDFの手に当たり、オルカがPKを獲得する。
68分、このPKをアルマ選手が落ち着いて決め、オルカが2-0とリードを広げた。公式記録上も、68分の得点は#10 ALMA DAVIS選手のPKによるゴールと記録されている。
後半終盤:松本はな選手の中盤守備と河野有希選手の推進力
2点を追うハリマは、前線の選手を入れ替えながら反撃を試みた。しかしオルカは、中盤と最終ラインで粘り強く対応した。
特に目立ったのが、#18松本はな選手のボランチでのプレーだった。ハリマにカウンターを受けかけた場面でも、身体の強さを生かしてノーファウルでボールを奪い切る。76分にも、ハリマの縦パスに反応してパスカットし、攻撃につなげた。中盤で相手の前進を止められる存在がいることで、オルカの守備には安定感が生まれていた。
83分には、#11河野有希選手が右サイドをドリブルで一気に駆け上がる。中で#10アルマ・デービス選手がボールを引き出す動きを見せる中、河野選手は自ら切り込んでシュート。低く強い弾道のシュートはわずかにゴール左へ外れたが、終盤でもオルカが追加点を狙う姿勢を示した場面だった。
90分には、この試合2得点のアルマ選手が交代。大きな拍手を受けながらピッチを退いた。後半アディショナルタイムにはハリマ#9川﨑咲耶選手に最後のチャンスを作られたが、シュートはミートせず枠外へ。オルカは最後まで集中を切らさず、2-0で試合を締めた。
総括
オルカ鴨川FC
#10アルマ・デービス選手の存在感
この試合は、#10アルマ・デービス選手の強靭なフィジカル、スピード、そしてストライカーとしての嗅覚が光った一戦だった。
相手を背負いながらでもボールをコントロールでき、相手の中途半端な横パスやバックパスを見逃さず、一気に加速してプレスをかける。さらに、前線で一人でボールを奪い切り、そのままマイボールにしてしまう場面もあった。
ハリマのDF陣がアルマ選手と正面から競り合う場面が多かったとはいえ、その勝負を上回り続けた点は見事だった。2得点という結果だけでなく、前線で相手に与えた圧力を含めても、プロ契約選手としての存在感を十分に示す活躍だったと感じる。
中断期間前最後の試合だったニッパツ横浜FCシーガルズ戦で右脚を負傷し、担架で運ばれて途中交代した時は心配だった。しかし中断期間明け以降は、アルマ選手と中盤の選手たちの連携が明らかに良くなっている。中断期間中の合宿や練習を通じて、チーム内で攻撃の形が再整理され、それを選手たちがしっかり落とし込んできたのだろう。
また、アルマ選手がなでしこリーグ加入後、フル出場に近い時間までピッチに立ったのはこの試合が初めてだった。終盤はさすがに疲労の色も見え、歩いて体力を温存するような場面もあった。それでも、ここぞという場面では一気に加速し、最後まで相手の脅威であり続けた。
周囲の選手たちの貢献も大きかった
アルマ選手の活躍が目立った試合ではあったが、周囲の選手たちの貢献も非常に大きかった。
途中出場の#27今田紗良選手は、プレスのかけ方、相手のパスコースの切り方、スローイン時の身体の入れ方など、随所にうまさが見えた。短い出場時間でも、試合の流れにしっかり入れていた点はさすがだった。
#24谷口愛奈選手の攻撃参加もよく機能していた。左サイドから積極的に高い位置を取り、逆サイドの#11河野有希選手とともに、ハリマ守備陣にとって怖い存在になっていた。両サイドが前向きに仕掛けられたことで、オルカの攻撃には幅と厚みが生まれていた。
また、この試合で普段よりも一列前でプレーした#5浅野綾花選手も印象的だった。周囲の選手との連携が良く、攻守のつなぎ役として機能していた。#10アルマ・デービス選手をはじめ、前線の選手たちが良い形でプレーできた背景には、浅野選手の献身的な関与があったと感じる。
守備では、#4松尾菜月選手の対応が光った。早めにボールをはね返し、時にはセンターライン付近まで前に出て、相手が前を向く前に刈り取る。オルカが高い守備ラインを維持できたのは、松尾選手の判断の速さと、前に出ていく守備があったからこそだ。
一方で、気になるのは#20上田麻莉選手が2試合連続でベンチ外となっていることだ。故障なのか、コンディション面の問題なのかは分からないが、チームにとって重要な選手だけに、状態が気がかりである。
ASハリマアルビオン
ハリマは、サイドにボールが出た時の選手同士の意思統一が素晴らしかった。素早いパス交換で相手の守備ブロックを動かし、前進していく形は非常に見事だった。
特に#9川﨑咲耶選手がいる左サイドからの攻撃は、オルカにとって脅威になっていた。一方で、オルカの#24谷口愛奈選手がかなり高い位置を取っていたため、逆サイドを起点に攻める選択肢をもう少し増やしてもよかったかもしれない。
また、負傷明けの#10千葉園子選手がピッチを退いてからは、効果的なパスの供給が減った印象を受けた。結果として、#9川﨑選手を走らせる形が攻撃の中心となり、二列目以降の選手が前線に関わる場面はやや少なかったように感じる。
加えて、オルカに狙われ続けていたスローインや、低い位置でのボール保持について、試合中に大きく修正できなかった点も痛かった。アルマ選手と無理に競り合わず、安全第一でクリアする。スローインでは受け手の立ち位置を細かく変え、同じ形で奪われないようにする。そうした対応を粘り強く続けられていれば、試合展開はもう少し違ったものになっていたかもしれない。
オルカが前線から圧力をかけ続けた一方で、ハリマはその圧力を外し切れず、最後まで流れを引き寄せられなかった。2失点はいずれもオルカの強みが出た場面だったが、ハリマ側から見れば、自陣でのボールの扱い方に課題が残る試合でもあった。
リソース
フルマッチLIVE配信(Youtube)
公式記録

