2026プレナスなでしこリーグ1部は第12節を迎え、シーズン後半戦に入った。
第11節終了時点で7位の岡山湯郷Belleは、ホームに6位のニッパツ横浜FCシーガルズを迎えた。湯郷は3連敗、かつ3試合無得点で前半戦を終えており、まずは得点を奪って悪い流れを断ち切りたい一戦。対するニッパツも2連敗中で、上位争いに踏みとどまるためには勝ち点3が欲しい試合だった。
試合は開始早々から湯郷が主導権を握る。前半7分、香椎彩香の直接フリーキックで先制すると、18分と33分に塩谷瑠南が連続ゴール。さらに43分には山下沙耶香が追加点を挙げ、前半だけで4得点を奪った。
ニッパツも前半終了間際に室井胡心が1点を返したが、前半の4失点が重くのしかかった。後半は攻勢を強めたものの、湯郷が粘り強く対応。岡山湯郷Belleが4-1で勝利し、後半戦のスタートを白星で飾った。
この記事の要点
- 岡山湯郷Belleは前半だけで4得点。香椎彩香の直接FKを皮切りに、塩谷瑠南の2得点、山下沙耶香のゴールで試合を決定づけた。
- 湯郷は低い位置でのビルドアップに固執せず、前線からの圧力と中盤での素早いパスワークを使い分けた。
- ニッパツは後半に押し返す時間を作ったが、前半の失点が重く、ビルドアップから前線のスピードを生かす形を十分に出し切れなかった。

試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第12節
| 岡山湯郷Belle | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
|---|---|
| 4 | 1 |
| 7分 香椎 彩香 18分 塩谷瑠南 33分 塩谷 瑠南 43分 山下 沙耶香 | 45分 室井 胡心 |
| 日時 | 2026年06月07日 13:00 |
| 会場 | 岡山県美作ラグビー・サッカー場 |
| 観客数 | 636人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
岡山湯郷Belle
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 31 | 上野 理佐 | |
| DF | 19 | 沖田 有由 | |
| DF | 4 | 今野 瞳 (Cap.) | |
| DF | 20 | 岸波 優妃 | |
| DF | 10 | 中野 琴音 | |
| MF | 7 | 山下 沙耶香 | 61▼ |
| MF | 2 | 森 宙舞 | |
| MF | 17 | 新谷 楓華 | |
| MF | 23 | 国吉 花吏埜 | 80▼ |
| MF | 25 | 香椎 彩香 | 90▼ |
| FW | 14 | 塩谷 瑠南 | |
| 控え | |||
| GK | 34 | 三田 一紗代 | |
| DF | 27 | 成田 夢愛 | |
| MF | 15 | 山本 早織 | |
| MF | 30 | 松崎 こころ | 90▲ |
| FW | 9 | 栫井 美和子 | 61▲ |
| FW | 22 | 片山 真鞠 | 80▲ |
| FW | 24 | 岸波 美采 | |
| 監督: 和多田 充寿 | |||
ニッパツ横浜FCシーガルズ
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 21 | 大久保 つくし | |
| DF | 31 | 俣野 佑果 | |
| DF | 17 | 新井 純奈 | |
| DF | 4 | 中居 未来 (Cap.) | |
| DF | 25 | 松尾 由帆 | |
| MF | 22 | 加田 菜 | 58▼ |
| MF | 5 | 吉田 凪沙 | |
| MF | 14 | 田村 かのん | 70▼ |
| MF | 7 | 浦島 里紗 | |
| FW | 6 | 權野 貴子 | HT▼ |
| FW | 10 | 室井 胡心 | |
| 控え | |||
| GK | 19 | 松井 里央 | |
| DF | 2 | 本多 実夏子 | 70▲ |
| DF | 23 | 金成 瑠那 | |
| MF | 9 | 矢野 梨紗 | 58▲ |
| MF | 11 | 岡 百々花 | HT▲ |
| MF | 27 | 神立 美百合 | |
| MF | 33 | 市野 瑛瑠奈 | |
| 監督: 山本 絵美 | |||
試合展開
香椎彩香の直接FKで湯郷が4試合ぶりの得点
立ち上がりから、試合はオープンな展開となった。湯郷は#23国吉花吏埜にボールが入ると、前を向いて運び、#2森宙舞のミドルシュートにつなげる。対するニッパツも#10室井胡心の裏抜けを使い、湯郷の最終ラインの背後を狙った。
互いにゴールへ向かう姿勢を見せる中、先にスコアを動かしたのは湯郷だった。
前半7分、湯郷は右サイド寄りの位置でフリーキックを獲得する。キッカーは#25香椎彩香。右足でゴール前へ送ったボールは、誰にも触れずにそのままゴールネットへ吸い込まれた。
湯郷にとっては、チームとして4試合ぶりの得点。3連敗、3試合無得点という重い流れを断ち切る意味でも、非常に大きな先制点だった。

塩谷瑠南を起点に前線の圧力が機能
先制後、湯郷の狙いはより明確になった。
この日の湯郷は、低い位置から丁寧につなぎ続けるよりも、リスクを抑えながら前線へボールを運ぶ場面が目立った。ゴールキックでも無理に短くつなぐのではなく、ロングボールを使ってニッパツの前線プレスを回避する。
一方で、ボールを失った後の切り替えは非常に速かった。この試合は前線に入った#14塩谷瑠南がファーストディフェンスをかけ、香椎彩香や中盤の選手が連動してニッパツのビルドアップの出口を制限する。特にニッパツがサイドへ展開しようとする場面では、湯郷が前向きに圧力をかけ、相手の横パスやバックパスを狙っていた。

その狙いが追加点につながる。
前半18分、湯郷は左サイドから攻撃を組み立てる。相手のバックパスをインターセプトして生まれたスローインから、#17新谷楓華、#25香椎彩香を経由し、最後は#14塩谷瑠南が中央で受ける。相手DFを背負いながらもマークを外し、左足でシュート。難しい体勢からしっかりと枠へ飛ばし、湯郷が2-0とリードを広げた。
塩谷が再び決め、前半で試合の流れを大きく引き寄せる
2点を先行した湯郷は、さらに前への意識を強める。
中盤でワンタッチを交えながら相手のプレスを外し、前線の塩谷やサイドの香椎へボールを届ける形が効果的だった。
前半33分、湯郷は再び左サイドからチャンスを作る。香椎の浮き球に対し、中央で塩谷が反応。頭で合わせ、チーム3点目を奪った。
今シーズンはここまでDFとしての出場が多かった塩谷は、この日2得点。本来のFWとして出場した中で、ポストプレー、前線からの守備、そしてフィニッシュの部分で大きな存在感を示した。

山下沙耶香が4点目 湯郷が前半で試合を決定づける
前半終盤、湯郷はさらにニッパツのミスを逃さなかった。
左サイドの狭いエリアでニッパツの選手が密集した場面、後ろ向きのパスを国吉花吏埜がインターセプト。そこから香椎との連係で抜け出し、最後は塩谷を経由して中央へ。#7山下沙耶香がワンタッチで合わせ、湯郷が4点目を奪った。

この場面は、湯郷の前向きな守備と攻撃への切り替えが結実したゴールだった。ボールを奪った瞬間に人数をかけ、相手の守備が整う前に仕留め切る。前半の湯郷を象徴する得点である。
ニッパツも前半45分、#7浦島里紗が巧みに相手DFの股の間を通したパスを、#10室井胡心が左足で押し込んで1点を返す。しかし、前半終了時点でスコアは4-1。ニッパツにとっては、非常に苦しい展開で後半を迎えることになった。
後半はニッパツが押し返すも、湯郷が粘り強く対応
後半、ニッパツは#11岡百々花を投入し、前線の推進力を高めた。岡は中央で楔を受ける場面や、右サイドから仕掛ける場面を作り、ニッパツの攻撃に変化を加えた。
ただ、湯郷の守備対応も集中していた。
中央では#20岸波優妃が相手FWに体を当て、自由に前を向かせない。サイドでは#10中野琴音がスピードのある相手に粘り強く対応し、クロスを上げられる場面でも簡単には質の高いボールを入れさせなかった。

3点を追うニッパツは、時間が進むにつれて縦への意識を強める。前線に人数をかけ、室井や岡のスピードを生かそうとしたが、その分だけ中盤と最終ラインの距離が広がり、攻撃が単発になりやすかった。
雨で濡れたピッチの影響もあり、ボールが伸びて一気にゴール前へ届く場面はあった。ニッパツにも決定機はあったが、フィニッシュの精度を欠き、追加点には至らない。
後半はスコアが動かず、試合は4-1で終了。岡山湯郷Belleがホームで快勝し、後半戦の初戦で大きな勝ち点3を手にした。
総括
この試合を分けたのは、前半の決定力と、湯郷の戦い方の整理だった。
湯郷はビルドアップを得意とするチームだが、無理に低い位置からつなぐことにこだわらなかった。ニッパツの前線からの圧力を受ける場面ではロングボールを使い、ボールを奪い返す場面では前線から連動してプレスをかける。パスワークは自陣深くではなく、中盤より前で相手の守備を外すために使った。
結果として、ニッパツのビルドアップに制限をかけながら、奪った後は素早くゴールへ向かう形が明確になった。香椎の直接FKで先制し、塩谷の2得点、山下の追加点で前半だけで4得点。湯郷にとっては、攻守の狙いが結果としてはっきりと表れた快勝だった。
一方のニッパツは、ボールを握る時間や前線のスピードを生かす場面はあった。しかし、前半の失点があまりにも重かった。ビルドアップから前進しようとする姿勢は見えたものの、その出口を湯郷に制限され、攻守のバランスが安定する前に失点を重ねてしまった。
岡山湯郷Belle
湯郷にとって、この勝利は単なる1勝以上の意味を持つ。
3連敗、3試合無得点という流れの中で迎えた後半戦初戦。そこで前半だけで4得点を奪い、ホームで勝ち切ったことは、チームにとって大きな自信になるはずだ。
特に大きかったのは、塩谷瑠南を前線に置いた効果である。相手DFを背負ってボールを収める強さ、反転してシュートへ持ち込む技術、クロスに入るタイミング、そして前線からの守備。FWとして求められる要素を高い水準で発揮した。
また、香椎彩香も先制点だけでなく、左サイドからのチャンスメイクで存在感を示した。国吉花吏埜の前向きなボール奪取、山下沙耶香のゴール前への入り方も含め、攻撃陣がそれぞれの役割を果たした試合だった。
中野琴音のオーバーラップは、特に後半押し込まれた局面を押し返す重要な一手だった。
守備面では、岸波優妃と中野琴音の対応が光った。後半はニッパツが前へ出てくる時間帯もあったが、中央とサイドで簡単に自由を与えず、最少失点での勝利に大きく貢献した。
ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツにとっては、前半の4失点がすべてだった。
ファウル、バックパスといった自分たち起因の場面から湯郷にチャンスを与え、それを高い精度で決め切られてしまった。ゴール前でのパスをインターセプトされるような致命的なミスが続いたわけではない。それでも、相手に前向きな守備のきっかけを与え、立て続けに失点したことで、試合の流れを大きく手放すことになった。
ボールを握りながら攻撃を作ろうとする意図は見えた。GKから短くつなぎ、サイドバックや中盤を経由して前進し、最後は室井胡心や岡百々花のスピードを生かす。方向性そのものは明確である。
ただし、連続失点によってビルドアップへのボランチの関与が次第に薄くなり、攻撃がサイドへ急ぎがちになった。中央で一度受けて相手を引きつける場面が少なくなると、湯郷としては守備の狙いを定めやすい。
前半終了間際に室井が1点を返し、後半は岡を投入し推進力を増強。何度かゴール前に迫ったが、前半の失点差を覆すには至らなかった。
今季のニッパツは、従来の強みである前線の裏抜けやスピードに、ビルドアップの要素を加えようとしている。ただし、ビルドアップは技術だけでなく、立ち位置、判断、サポートの距離、失った後のリスク管理まで求められる。完成までには時間が必要だが、前線にタレントがいるだけに、そこへどう良い状態で届けるかが今後の課題になる。
順位表
第12節終了時点で、岡山湯郷Belleは順位をひとつ上げて6位に浮上。ニッパツ横浜FCシーガルズは9位に後退した。
湯郷は悪い流れを止め、再び中位から上位をうかがう位置へ。ニッパツは連敗が続く形となり、次節での立て直しが求められる。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 26 | 12 | 8 | 2 | 2 | 35 | 9 | +26 | |
| 2(3) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 25 | 12 | 7 | 4 | 1 | 29 | 11 | +18 | |
| 3(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 24 | 12 | 7 | 3 | 2 | 23 | 12 | +11 | |
| 4(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 22 | 12 | 6 | 4 | 2 | 15 | 9 | +6 | |
| 5(5) | オルカ鴨川FC | 19 | 12 | 5 | 4 | 3 | 15 | 8 | +7 | |
| 6(7) | 岡山湯郷Belle | 17 | 12 | 5 | 2 | 5 | 17 | 21 | -4 | |
| 7(8) | 愛媛FCレディース | 16 | 12 | 4 | 4 | 4 | 14 | 19 | -5 | |
| 8(9) | スフィーダ世田谷FC | 15 | 12 | 4 | 3 | 5 | 20 | 20 | 0 | |
| 9(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 12 | 4 | 2 | 6 | 20 | 23 | -3 | |
| 10(11) | ASハリマアルビオン | 12 | 12 | 3 | 3 | 6 | 12 | 14 | -2 | |
| 11(10) | 日体大SMG横浜 | 10 | 12 | 3 | 1 | 8 | 13 | 38 | -25 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 12 | 0 | 0 | 12 | 5 | 34 | -29 |
次節に向けて
岡山湯郷Belleは次節、アウェーでVONDS市原FCレディースと対戦する。前回対戦では湯郷が3-0で勝利している相手だが、後半戦で順位を上げていくためには、ここで勝ち点を取りこぼせない。
ニッパツ横浜FCシーガルズは、ホームにヴィアマテラス宮崎を迎える。前回対戦では1-3で敗れており、宮崎の強度とビルドアップの前に苦しんだ。連敗を止めるためには、守備の立て直しと、前線のスピードを生かす攻撃の質が問われる一戦となる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第12節全試合ハイライト動画
公式記録

