スフィーダ世田谷FC

東京都世田谷区を拠点とするスフィーダ世田谷FCは、なでしこリーグ1部に所属する女子サッカークラブです。

スフィーダ世田谷FC – 女子サッカークラブ
スフィーダ世田谷FCは、なでしこリーグ1部所属のトップチームと、 普及と育成を目的とするアカデミー(小学生・中学生・高校生・ママさん)から構成されている 東京の世田谷区に本拠地を置く約180名の選手が所属する日本国内最大規模の女子サッカーク…

2001年に世田谷区で誕生し、2015年になでしこリーグ2部へ昇格。2020シーズンに2部初優勝を果たすと、2021シーズンから1部へ参戦し、2022シーズンには1部でも初優勝を達成しました。「スフィーダ」は、イタリア語で「挑戦」を意味します。

2026シーズンは、スフィーダ世田谷FCの名称で戦う最後のシーズンです。クラブはFC東京との統合に基本合意しており、2027シーズンから「FC東京スフィーダ」へ改称して活動する予定です。

本ページでは、スフィーダ世田谷FCのチームとしての特徴、注目選手、関連する試合レビュー記事をまとめて紹介します。

チームの特徴

2022年の初優勝から、新たなチームづくりへ

スフィーダ世田谷FCは、2021シーズンに1部参戦初年度で2位に入り、翌2022シーズンには16勝2分4敗でリーグ初優勝を達成しました。2023・2024シーズンも4位に入り、継続して上位争いへ加わっています。

シーズン最終順位得点得点順位全チーム平均得点全チーム中央値失点失点順位全チーム平均失点全チーム中央値
20212位1255452位30.126.5242位タイ30.128.0
2022優勝1624453位27.725.0161位27.725.5
20234位1084392位タイ32.033.5213位32.031.5
20244位976403位30.931.5232位30.926.5
202510位598324位28.228.0339位28.228.0

※得点順位は得点数の多い順、失点順位は失点数の少ない順で算出。
※「全チーム平均」「全チーム中央値」は、その年のリーグ全体の得点・失点分布を把握するための参考値です。

2021シーズン以降、すべての年でリーグ平均を上回る得点数を記録しており、攻撃力はチームの継続的な強みです。一方で、2025シーズンは32得点を挙げながら33失点を喫し、最終順位は10位。得点力を勝点へ結びつけ切れないシーズンとなりました。

2026シーズンは選手の退団や引退、新監督の就任を経て、改めてチームを組み直すシーズンを迎えています。

中断期間時点では、第15節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦が延期となったため、14試合を消化。4勝4分6敗、勝点16の8位につけています。22得点に対して24失点と、得点力を持ちながら、失点をどこまで抑えられるかが順位を左右しています。

リーグ屈指の得点力を誇る最前線

2026シーズンの世田谷を支えているのが、内田美鈴と堀江美月という2人の得点源です。

中断期間時点で、内田選手は11得点、堀江選手は8得点。チームの22得点のうち、2人で19得点を記録しています。相手守備にとって、どちらか一方へ警戒を集中できないことが、世田谷の大きな強みです。

内田選手は、相手DFを背負ってボールを収めるだけでなく、中盤まで下りて攻撃の起点にもなります。堀江選手は、相手の視界から外れる動きやゴール前への入り方に優れ、クロスやこぼれ球を得点へ結びつけます。

第12節の静岡SSUボニータ戦では、途中出場の堀江選手が相手DFの視界の外からクロスへ入り込み、同点ゴールを記録しました。その4分後には、内田選手がペナルティーエリア手前から左足を振り抜き、逆転ゴールを決めています。両エースが勝負どころで仕事を果たした一戦でした。

サイドバックの迫力ある攻撃参加

世田谷は後方からのビルドアップを試みながら、両サイドバックを高い位置へ押し上げ、攻撃に幅と厚みを加えます。前線で内田美鈴選手や堀江美月選手がボールを収めると、サイドバックも攻撃へ加わり、相手の最終ラインを押し下げます。

一方で、選手が前へ出た後にボールを失うと、その背後に広いスペースが生まれます。中盤の守備が間に合わず、最終ラインの選手が前へ出て対応すると、今度は中央や逆サイドが空きやすくなります。攻撃参加の迫力と、失った後の守備をどう両立するかが課題です。

開幕節の大敗から見せた守備の修正

開幕戦で守備の課題が表れた世田谷は、その後、陣形のコンパクトさやプレスのかけ方を修正しました。内田美鈴選手と堀江美月選手の得点力も結果へつながり、中断期間時点では8位まで順位を戻しています。

開幕節の静岡SSUボニータ戦では、中盤と最終ラインの間やサイドバックの背後を繰り返し使われ、1-6で敗れました。
しかし、第2節のASハリマアルビオン戦では、無理に相手へ食いつかず、コンパクトな陣形を維持。守備組織を立て直し、終盤の内田美鈴のゴールで1-1に追いつきました。

シーズンが進むにつれて、自分たちの強みを押し出すだけでなく、相手に応じた戦い方も見せています。そして、強みのひとつである運動量を生かし、上位陣とも互角に渡り合う姿を見せています。

第10節のヴィアマテラス宮崎戦では、宮崎のビルドアップへ前線から圧力をかけ続け、粘り強い守備から1-1の勝点1を獲得しました。
第12節の静岡戦では、守備に人数をかけながらハードワークと縦への速さを生かし、首位を破りました。

相手の攻撃力やビルドアップの特徴に合わせてリスクを調整し、その中で前線の決定力を生かすことが、今季の世田谷の勝ち筋です。

得点源の広がりと、終盤のゲームマネジメント

チーム22得点のうち19得点を内田選手・堀江選手の2人が記録しており、得点の多くを両選手が担っています。両選手が抑えられた試合で、サイドや中盤から別の得点ルートを作れるかが後半戦のポイントです。

また、終盤の試合運びにも伸びしろがあります。第6節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦では2-2で迎えた後半アディショナルタイムに決勝点を許し、第13節のハリマ戦では2点のリードから83分と90+2分に失点しました。前線の得点力を勝点へ結びつけるためにも、リード後の守備とボール保持を整理する必要があります。

注目選手

ここからは、筆者が2026シーズンの試合を追う中で特に印象に残った選手を紹介します。

GK 大塚 美緒(MIO OTSUKA)

シュートストップと冷静な判断で、世田谷の最後尾を支える長身のGKです。

第11節の愛媛FCレディース戦では、世田谷が押し込まれる展開の中で、序盤の決定機を防ぎました。1対1でも安定した対応を続け、0-0の勝点1獲得に大きく貢献しています。

第12節の静岡SSUボニータ戦では、19本のシュートを受けながらも、失点後に崩れませんでした。終盤には、横山久美選手が複数の選手をかわして放ったシュートに対し、前へ出てコースを消してセーブ。首位相手の逆転勝利を最後尾から支えました。

両サイドバックが高い位置を取る場面では、最終ラインとGKに広い範囲の対応が求められます。その中で、大塚選手が決定機を防ぎ、苦しい時間帯にも試合を崩さずに支えていることは、世田谷の結果を左右する重要な要素です。

当サイトの独自ベストイレブン選出:2回(第15節終了時点)

第11節 個人的ベストイレブン
第12節 個人的ベストイレブン

DF 篠原 沙耶(SAYA SHINOHARA)

豊富な運動量を生かし、左サイドの攻守に関わるDFです。

守備では相手のサイド攻撃へ粘り強く対応し、攻撃へ切り替われば積極的に高い位置を取ります。
第2節のASハリマアルビオン戦では、守備で踏ん張りながら、終盤には一列前へポジションを移してチームの前進を促しました。守備から攻撃まで、左サイドを広くカバーできる選手です。

クロスから得点機を作れることも大きな魅力です。第12節の静岡SSUボニータ戦では、左サイドで良い状態を作り、堀江美月選手の同点ゴールをアシスト。第10節のヴィアマテラス宮崎戦でも、自らボールを持ち運んだ流れから同点ゴールが生まれました。

守備で耐えるだけでなく、自ら前進して攻撃の出口になれることで、篠原選手の存在感が際立ちます。

DF 渡邊 那奈(NANA WATANABE)

センターバックとしては小柄ながら、対人守備の強さと積極性が光るDFです。

相手FWに対して素早く距離を詰め、簡単に前を向かせない。体格差のある相手にも臆せずに競り合い、前へ出てボールを奪いにいけることが渡邊選手の魅力です。
守備を受け身で終わらせず、自ら局面を動かそうとする姿勢が世田谷の最終ラインを支えています。

また、最終ラインにとどまらず、ボールを持って前へ出たり、中盤へ縦パスを入れたりと、前進の起点にもなります。第12節の静岡SSUボニータ戦では、渡邊選手から柏原美羽選手へつないだ流れから左サイドを攻略し、篠原沙耶選手のクロス、堀江美月選手の同点ゴールへ結びつきました。

対人守備で相手の攻撃を止めるだけでなく、奪った後は自ら攻撃へ関わる。守備と前進の両面で積極性を示せるセンターバックです。

FW 内田 美鈴(MISUZU UCHIDA)

前線でボールを収める力とフィジカル、そして高い決定力を兼ね備えた世田谷のエースです。

相手DFを背負いながら起点になり、ときには中盤まで下りてボールを受ける。味方の攻撃参加を待つ時間を作りながら、自らもゴール前へ入り、フィニッシュまで持ち込めます。

第7節の日体大SMG横浜戦では、開始4分に相手DFの背後へ入り、クロスをヘディングで押し込んで先制。後半にもこぼれ球へ素早く反応し、2得点を挙げて3-2の勝利に貢献しました。

第12節の静岡戦では、限られたチャンスを逃さず、左足のシュートで逆転ゴールを記録。相手に押し込まれる試合でも、わずかな機会を得点へ変えられることが、内田選手の大きな魅力です。

当サイトの独自ベストイレブン選出:2回(第15節終了時点)

第8節 個人的ベストイレブン
第12節 個人的ベストイレブン

FW 堀江 美月(MITSUKI HORIE)

ゴール前への入り方と、相手守備の隙を見逃さない決定力が魅力の長身FWです。

前線で高さを生かしてボールを収めるだけでなく、相手DFの背後や視界の外へ動き、クロスへ先に触れる位置を取れます。

第10節のヴィアマテラス宮崎戦では、宮崎のハイプレスと守備強度に苦しむ中で同点ゴールを記録。上位チームを相手に、少ない好機を得点へ変えました。

第12節の静岡戦では、途中出場直後に左サイドからのクロスへ反応。相手DFの視界から外れてゴール前へ入り込み、GKより先に頭で合わせました。高さに加え、相手の視界から外れる動き出しや、足元でボールを扱う技術も堀江選手の強みです。

内田選手へ相手の警戒が集まったとき、別の位置からゴールへ迫れる堀江選手の存在が、世田谷の攻撃に厚みを加えています。

当サイトの独自ベストイレブン選出:1回(第15節終了時点)

第10節 個人的ベストイレブン

現クラブ名で戦う最後のシーズン、攻撃力を浮上につなげられるか

2026シーズンは、スフィーダ世田谷FCの名称で戦う最後のシーズンです。

その節目のシーズンで、世田谷は、内田美鈴選手と堀江美月選手を中心に、リーグ屈指の得点力を備えています。開幕節の大敗後には守備を修正し、首位・静岡SSUボニータとの再戦で逆転勝利を挙げるなど、相手に応じて戦い方を変える力も見せてきました。

後半戦で問われるのは、前線の得点を安定して勝点へ結びつけられるかです。両エース以外の選手が得点へ関わり、リードした試合を最後までコントロールできれば、現在の8位からさらに順位を上げる力はあります。

長く親しまれてきたクラブ名で戦う最後のシーズンを、どのような結果で締めくくるのか。2026シーズン後半のスフィーダ世田谷FCから目が離せません。