愛媛FCレディースは、愛媛県全域をホームタウンとする、なでしこリーグ1部所属の女子サッカーチームです。
本ページでは、愛媛FCレディースのチームとしての特徴、注目選手、関連する試合レビュー記事をまとめて紹介します。
チームの特徴
2部優勝を経て、なでしこリーグ1部へ定着
愛媛FCレディースは、2019シーズンになでしこリーグ2部で優勝し、2020シーズンから1部へ昇格しました。
2021シーズンには5位へ入った一方、2022シーズンは11位。2023・2024シーズンは9位となり、2025シーズンは7位まで順位を上げました。上位に迫ったシーズンと残留争いに巻き込まれたシーズンの両方を経験しながら、1部で戦い続けています。
| シーズン | 最終順位 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 得点順位 | 全チーム平均得点 | 全チーム中央値 | 失点 | 失点順位 | 全チーム平均失点 | 全チーム中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 5位 | 9 | 5 | 8 | 25 | 8位 | 30.1 | 26.5 | 36 | 9位タイ | 30.1 | 28.0 |
| 2022 | 11位 | 2 | 7 | 13 | 18 | 10位 | 27.7 | 25.0 | 32 | 9位 | 27.7 | 25.5 |
| 2023 | 9位 | 5 | 7 | 10 | 24 | 10位 | 32.0 | 33.5 | 36 | 9位 | 32.0 | 31.5 |
| 2024 | 9位 | 7 | 5 | 10 | 29 | 8位 | 30.9 | 31.5 | 28 | 7位 | 30.9 | 26.5 |
| 2025 | 7位 | 7 | 6 | 9 | 26 | 8位 | 28.2 | 28.0 | 38 | 11位 | 28.2 | 28.0 |
※得点順位は得点数の多い順、失点順位は失点数の少ない順で算出。
※「全チーム平均」「全チーム中央値」は、その年のリーグ全体の得点・失点分布を把握するための参考値です。
2026シーズンは、第15節終了時点で5勝4分6敗、勝点19の7位。17得点に対して28失点と、試合ごとの内容と結果に振れ幅も見られます。
ハイプレスとハードワークで相手の前進を制限
愛媛の最大の武器は、前線からの積極的な守備です。
最前線の選手が相手のボールホルダーへ圧力をかけ、2列目がパスコースを制限する。相手をサイドへ追い込みながら、横パスやバックパスにも素早く反応し、逃げ道を減らしてボールを奪います。
その強みが鮮明に表れたのが、第3節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦でした。
愛媛は昨季王者の低い位置からのビルドアップを狙い、立ち上がりから積極的に前へ出ました。ボールを奪えば時間をかけずにゴールへ向かい、開始直後から得点を重ねます。
名古屋の反撃を受けて9得点が生まれる乱戦となりましたが、最後まで走り切り、5-4で勝利。プレス、球際の強さ、切り替えの速さを結果へ結びつけた一戦でした。
第15節の岡山湯郷Belle戦でも、前線からの圧力と球際の強度で試合の入りを支配。前半に2得点を挙げ、前節の0-6という大敗から立て直す勝利をつかんでいます。
内容を得点へ結びつけられるか
愛媛は試合内容で相手を上回りながら、勝点3を逃した試合も少なくありません。
開幕節の日体大SMG横浜戦では、前線からの守備と運動量で優位に進めながら2-2。第4節の岡山湯郷Belle戦では、相手のシュートを1本に抑えながらゴールを奪えず、0-0に終わりました。
第11節のスフィーダ世田谷FC戦でも、ボール保持とセカンドボール回収で相手を押し込みましたが、ラストパス、クロス、シュートの精度を欠き、スコアレスドローとなっています。
一方で、第10節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦では、前線からの守備と球際の強さを得点へ結びつけ、3-1で勝利しました。
内容面の優位をスコアへ変えられた試合では、確実に勝点3をつかめています。
ボールを前進させるところまでは形を作れているだけに、最後のパスとフィニッシュの質をどこまで高められるかが、順位を上げるためのポイントです。
強度を90分間どう配分するか
愛媛の守備は、前線からのハイプレスと中盤の素早い寄せによって成り立っています。
相手の判断時間を奪い、自由な状態で最終ラインまでボールを運ばせない。その強度が保たれている間は、上位チームを相手にしても主導権を握る時間を作れます。
一方で、試合が進んで前線や中盤の運動量が落ちると、相手に前向きでボールを持たれる場面が増えます。最初の守備を外された後は、最終ラインが広いスペースをカバーしながら、スピードに乗った相手へ連続して対応しなければなりません。
例えば、第9節のヴィアマテラス宮崎戦では、立ち上がりからハイプレスと球際の強さで宮崎の前進を制限。ショートパスを使った攻撃でも主導権を握り、上位チームを苦しめました。
しかし、優勢な時間帯を得点へ結びつけられないまま試合が進むと、徐々に前線からの圧力が弱まりました。宮崎に前向きでプレーされる場面が増え、最終的には0-3で敗れています。
愛媛に必要なのは、試合開始から終了まで同じ強度で追い続けることだけではありません。
どの時間帯で前から圧力をかけ、どこで守備位置を整えるのか。交代選手によって前線や中盤の運動量を補い、勝負どころで再び強度を上げられるか。後方だけに守備の負担を集中させないためにも、ペース配分と交代策を含めた90分間の設計が重要です。
注目選手
ここからは、筆者が2026シーズンの試合を追う中で特に印象に残った選手を紹介します。
GK 小松 里弥(RIMI KOMATSU)
落ち着いたビルドアップ参加とシュートストップで、愛媛の最後尾を支えるGKです。今シーズン、第15節終了時点では、リーグ戦15試合すべてにフル出場しています。
開幕節の日体大SMG横浜戦では、前半アディショナルタイムに鋭いシュートを好セーブ。愛媛が逆転した直後のピンチを防ぎ、リードを保ったまま前半を終えるうえで重要な働きを見せました。
愛媛は前線から積極的に圧力をかける一方、その背後ではGKにも広い範囲のカバーと冷静な判断が求められます。第11節のスフィーダ世田谷FC戦では、守備陣とともに無失点で試合を終えました。
前線の圧力が弱まり、相手に押し込まれる時間帯の守備、さらに後方から攻撃を組み立て直す役割も含め、小松選手の安定感は愛媛が90分間の試合運びを整えるうえで欠かせません。
MF 黒岩 沙羽(SAWA KUROIWA)
黒岩選手は、スピードと細かなボールタッチで、愛媛の攻撃を前へ進めるMFです。
主にサイドや前線に近い位置でボールを受け、相手へ向かうドリブルで前進します。
第3節の名古屋戦では、近藤彩優子選手のプレスから生まれたこぼれ球に素早く反応し、開始直後に先制ゴール。第6節のVONDS市原FCレディース戦、第8節のASハリマアルビオン戦でも得点を記録しています。
第11節のスフィーダ世田谷FC戦では、右サイドから何度も相手守備へ圧力をかけ、攻撃の組み立てにも深く関与しました。終盤には狭いエリアでも細かくボールを動かし、相手守備をズラしながらゴール前へ迫っています。
ドリブルで運ぶだけでなく、ゴール前へ入り、フィニッシュにも関われることが黒岩選手の強みです。クロスやセットプレーのキッカーとしても、愛媛の攻撃に変化を加えることができる、中盤の重要選手です。
当サイトの個人的ベストイレブン選出:1回(第15節終了時点)
第11節 個人的ベストイレブン
FW/MF 近藤 彩優子(AYUKO KONDO)
ハイプレス、背後への動き出し、フィニッシュを兼ね備えた前線の選手です。今シーズン、スフィーダ世田谷FCから移籍加入しています。
近藤選手の特徴は、スピードを生かして相手のビルドアップへ圧力をかけ、そのまま得点機会につなげられることです。
開幕節の日体大SMG横浜戦では、黒岩沙羽のクロスに頭で合わせて移籍後初ゴールを記録。さらに、粘り強いプレーから桜井由衣香の得点も生み出し、加入直後から攻撃の中心として存在感を示しました。
第3節の名古屋戦では、相手最終ラインへのプレスで先制点のきっかけを作り、さらに低い位置でのパスを逃さず、チームの2点目を記録。愛媛のハイプレスを象徴する働きで、昨季王者を相手にした5-4の勝利へ貢献しました。
第15節の岡山湯郷Belle戦では、前半だけで2得点。1点目では背後への動き出しとスピード、2点目では浮き球を収めて仕留める技術と落ち着きを見せました。
守備のスイッチを入れる役割と、最後にゴールを奪う役割の両方を担える選手です。近藤選手が前線で勢いを出せるとき、愛媛の攻撃と守備は連動しやすくなります。
当サイトの個人的ベストイレブン選出:1回(第15節終了時点)
第15節 個人的ベストイレブン
FW/MF 川﨑 和奏(WAKANA KAWASAKI)
前線への動き出しと、ゴール前へ入り込む力が魅力の前線の選手です。今シーズンから愛媛FCレディースに加入したルーキーです。
川﨑選手は、味方がボールを持ったときに守備者の間や背後へ走り、攻撃に深さを作ることができます。
第10節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦では、中盤でのボール奪取から生まれたこぼれ球を押し込み、先制点を記録。ホーム初勝利へつながる大きなゴールとなりました。
第11節のスフィーダ世田谷FC戦では、味方が相手守備を引きつけて空けたスペースへ走り込み、GKとの1対1を迎えました。得点にはなりませんでしたが、周囲との連係から決定機を作る動きに、川﨑選手の良さが表れています。
スピードだけでなく、味方の動きを見ながらゴールにつながる場所へ入れる選手です。前線で相手最終ラインを押し下げ、愛媛の攻撃に縦方向の広がりを与えています。
当サイトの個人的ベストイレブン選出:1回(第15節終了時点)
第10節 個人的ベストイレブン
ハードワークを90分間の勝点へ変えられるか
愛媛FCレディースは、前線からのハイプレス、球際の強さ、セカンドボールへの反応を武器に、上位チームを相手にしても主導権を握れる時間を作れています。
すべての時間帯で前から追い続けるのではなく、守備を整える時間を作りながら、勝負どころで再び強度を上げる。交代選手が前線や中盤のハードワークを引き継ぎ、後方だけに守備の負担を集中させない。
さらに、優勢な時間帯を確実に得点へ変え、苦しい時間帯には失点を最小限に抑える。
そうした90分間の試合運びが整えば、愛媛FCレディースは現在の順位以上の力を、結果として示せるはずです。
中断期間明けの愛媛FCレディースに引き続き注目です。
