2026プレナスなでしこリーグ1部は、第12節からシーズン後半戦に入った。
前半戦で一度対戦した相手との再戦が始まり、各チームにとっては「前回対戦から何を修正したか」「前半戦の積み上げを試合で表現できるか」が問われるラウンドだった。
今節も全国各地で熱い戦いが繰り広げられ、首位争い、上位追走、下位からの巻き返しのいずれにも大きな意味を持つ結果が並んだ。
第12節の試合結果
| 対戦カード | 結果 | 超概要コメント | リンク |
|---|---|---|---|
| ハリマ vs VONDS | 1-0 | ハリマが終盤に決勝点 | 試合レビュー |
| 伊賀 vs オルカ | 0-0 | 互いに集中した守備でスコアレスドロー | 試合レビュー |
| 湯郷 vs ニッパツ | 4-1 | 湯郷が前半4得点で快勝 | 試合レビュー |
| 愛媛 vs 日体大 | 1-0 | 愛媛が試合を掌握。前半の決勝点で勝利 | 試合レビュー |
| 宮崎 vs 名古屋 | 0-2 | 名古屋が運動量と切り替えで宮崎を上回る | 試合レビュー |
| 静岡 vs 世田谷 | 1-2 | 静岡が先制するも世田谷が逆転勝利 | 試合レビュー |
第12節で見えたリーグ全体の動き
第12節を終えて、優勝争いは一気に詰まってきた。首位・静岡が世田谷に敗れ、名古屋が宮崎との上位直接対決を制したことで、首位・静岡と2位・名古屋の勝ち点差はわずか1。前半戦は静岡を宮崎が追う構図だったが、後半戦初戦で名古屋が優勝争いの中心へ入ってきた。
また、後半戦初戦らしく、再戦による修正も目立った。世田谷は開幕節で大敗した静岡に逆転勝利。名古屋も宮崎の強度やサイド攻撃を、運動量と切り替えで上回った。前回対戦の反省が、内容と結果に表れた節だった。
中位グループでは、湯郷、愛媛、世田谷が順位を上げた一方、ニッパツは6位から9位へ後退。伊賀とオルカは直接対決を0-0で終え、順位を維持した。中位グループは勝ち点差が小さく、1試合の結果で順位が大きく動く状況が続いている。
下位グループでは、ハリマが後半戦初戦を勝利で飾り、10位へ浮上。一方、VONDS市原FCレディースは開幕12連敗となった。日体大は11位に後退した。
順位変動と順位表(第12節終了時点)
※スマートフォンでは横にスクロールしてご覧ください。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 26 | 12 | 8 | 2 | 2 | 35 | 9 | +26 | |
| 2(3) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 25 | 12 | 7 | 4 | 1 | 29 | 11 | +18 | |
| 3(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 24 | 12 | 7 | 3 | 2 | 23 | 12 | +11 | |
| 4(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 22 | 12 | 6 | 4 | 2 | 15 | 9 | +6 | |
| 5(5) | オルカ鴨川FC | 19 | 12 | 5 | 4 | 3 | 15 | 8 | +7 | |
| 6(7) | 岡山湯郷Belle | 17 | 12 | 5 | 2 | 5 | 17 | 21 | -4 | |
| 7(8) | 愛媛FCレディース | 16 | 12 | 4 | 4 | 4 | 14 | 19 | -5 | |
| 8(9) | スフィーダ世田谷FC | 15 | 12 | 4 | 3 | 5 | 20 | 20 | 0 | |
| 9(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 12 | 4 | 2 | 6 | 20 | 23 | -3 | |
| 10(11) | ASハリマアルビオン | 12 | 12 | 3 | 3 | 6 | 12 | 14 | -2 | |
| 11(10) | 日体大SMG横浜 | 10 | 12 | 3 | 1 | 8 | 13 | 38 | -25 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 12 | 0 | 0 | 12 | 5 | 34 | -29 |
得点ランキング(第12節終了時点)
| 順位 | 得点数 (今節得点) | 氏名 | チーム名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 10(1) | 内田 美鈴 | スフィーダ世田谷FC |
| 1 | 10(1) | 横山 久美 | 静岡SSUボニータ |
| 3 | 8(1) | 堀江 美月 | スフィーダ世田谷FC |
| 4 | 7 | 土屋 佑津季 | ヴィアマテラス宮崎 |
| 5 | 6(1) | 室井 胡心 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 5 | 6 | 中島 咲友菜 | 静岡SSUボニータ |
| 7 | 5 | 三輪 玲奈 | 静岡SSUボニータ |
| 7 | 5 | 橘 麗衣 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
| 7 | 5(1) | 藤原 愛里 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
| 7 | 5 | 千葉 園子 | ASハリマアルビオン |
各対戦カード振り返り
ASハリマアルビオン 1-0 VONDS市原FCレディース
後半戦最初の試合となった一戦は、ハリマが主導権を握り、VONDSがゴール前で耐える展開が長く続いた。ハリマはボールを保持しながらサイドを使って前進し、相手陣内でプレーする時間を増やした。一方のVONDSは、守備ブロックを崩さず粘り強く対応し、終盤まで0-0のまま試合を進めた。
それでも、最後に試合を動かしたのはハリマだった。90分、川﨑咲耶が見事なループシュートを決め、ハリマが1-0で勝利。内容面で押し込む試合を勝ち点3にできたことは、後半戦の巻き返しへ向けて大きい。VONDSは守備の粘りを見せたが、中盤で相手の前進を止め切れず、攻撃へ押し返す時間も限られた。開幕から続く連敗を止めるためには、守る時間を減らし、前線で起点を作る時間を増やしたい。
伊賀FCくノ一三重 0-0 オルカ鴨川FC
4位・伊賀と5位・オルカによる上位追走の直接対決は、互いに譲らないスコアレスドローとなった。前半は伊賀がボールを握り、サイドを使いながらオルカを押し込む展開。伊賀は高い位置でプレーする時間を作り、オルカの前進を制限した。一方のオルカは、前半シュート0本に終わりながらも、最終ラインと中盤の守備が集中を切らさず、無失点で折り返した。
詳細レビュー
伊賀FCくノ一三重 0-0 オルカ鴨川FC
後半に入ると、オルカも前への圧力を強め、ショートカウンターから決定機を作る場面が増えた。齊藤桃花、江藤里桜奈らがゴールに迫ったが、伊賀GK小野未織の好守もあり、最後までスコアは動かなかった。
伊賀は4位、オルカは5位を維持したものの、上位グループとの差を詰めるという意味では、互いに勝ち点3が欲しかった試合でもある。両チームとも守備力の高さは示した一方で、直接対決を勝ち切る攻撃の精度が今後の課題となりそうだ。
岡山湯郷Belle 4-1 ニッパツ横浜FCシーガルズ
湯郷が前半だけで4得点を奪い、後半戦初戦を快勝で飾った。開始7分、香椎彩香の直接FKで先制すると、18分と33分に塩谷瑠南が連続ゴール。さらに43分には山下沙耶香が追加点を決め、前半のうちに試合の大勢を決めた。3連敗、3試合無得点という悪い流れを抱えていた湯郷にとって、早い時間帯から得点を重ねられたことは非常に大きかった。
一方のニッパツは、前半終了間際に室井胡心が1点を返したものの、前半の4失点があまりにも重かった。後半は押し返す時間を作ったが、試合の流れを大きく変えるまでには至らなかった。湯郷は前線からの圧力と中盤での素早いパスワークを使い分け、久々に攻撃のリズムを取り戻した。ニッパツはビルドアップ時の判断や守備対応で後手に回り、6位から9位へ後退。後半戦の入りで、両チームの明暗がはっきり分かれた試合だった。
愛媛FCレディース 1-0 日体大SMG横浜
愛媛が主導権を握り、日体大が自陣で構える展開となった。愛媛は序盤からボールをつなぎながら前線とサイドを使って攻撃を仕掛け、21分に桜井由衣香が先制点を奪った。その後も愛媛は攻め続けて合計15本のシュートを放ち、追加点を狙ったが、最後の局面で精度を欠き、スコアを広げることはできなかった。攻撃面では課題を残したが、守備では日体大に大きな流れを渡さなかった。
試合レビュー
愛媛FCレディース 1-0 日体大SMG横浜
日体大は守備重視に寄せ、失点を最小限に抑える戦い方を選んだが、攻撃面では迫力を欠いた。低い位置で耐える時間が長く、ボールを奪った後に前進する形も限られた。
愛媛にとっては追加点を奪えなかった点に物足りなさはあるものの、後半戦初戦を勝ち点3で終えたことは大きい。日体大は守備で粘るだけでなく、攻撃で相手を押し返す時間をどう作るかが、今後の課題となる。
ヴィアマテラス宮崎 0-2 朝日インテック・ラブリッジ名古屋
2位・宮崎と3位・名古屋による上位直接対決は、名古屋が0-2で勝利した。名古屋は試合を通して運動量、切り替え、セカンドボールへの反応で宮崎を上回った。ボールを持つだけではなく、奪われた後の守備への移行が速く、宮崎の前進を遅らせることに成功した。36分には水野亜美が先制点を奪い、名古屋が試合の主導権を握った。
宮崎も終盤にかけて押し込む時間を作ったが、名古屋の守備組織と切り替えの速さを最後まで崩し切れなかった。88分には藤原愛里が追加点を決め、名古屋が勝負を決定づけた。この勝利により、名古屋は宮崎を抜いて2位へ浮上し、首位・静岡との勝ち点差を1に縮めた。シーズン序盤の不安定さを乗り越えた名古屋が、後半戦初戦で優勝争いの中心に入ってきたことを強く印象づける一戦だった。
静岡SSUボニータ 1-2 スフィーダ世田谷FC
首位・静岡は25分、横山久美のゴールで先制し、試合を優位に進めた。シュート19本、CK13本という数字が示すように、静岡は多くの時間で世田谷を押し込んだ。しかし、追加点を奪い切れなかったことが、結果的に試合の流れを難しくした。世田谷は守備で粘りながら、縦への速い攻撃で反撃の機会をうかがった。
試合レビュー
静岡SSUボニータ 1-2 スフィーダ世田谷FC
後半に入ると、世田谷が勝負どころで一気に試合を動かした。66分に途中出場の堀江美月が同点ゴールを決めると、70分には内田美鈴が逆転弾。開幕節で静岡に1-6と大敗した世田谷が、後半戦初戦で見事なリベンジを果たした。
静岡は内容面で大きく崩れたわけではない。しかし、首位は維持したものの、追走勢との差は一気に詰まった。
後半戦の優勝争いはさらに緊張感を増している。
次節の注目カード
朝日インテック・ラブリッジ名古屋 vs 伊賀FCくノ一三重
第13節最大の注目カードは、2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋と4位・伊賀FCくノ一三重による上位対決を挙げたい。
前回対戦となった第2節は、伊賀のホームで1-1の引き分け。当時はリーグ序盤ということもあり、両チームとも手探りの部分が残る試合だった。名古屋にとっては、昨シーズン王者として迎える新シーズン特有の難しさもあっただろう。
第2節 試合レビュー
伊賀FCくノ一三重 1-1 朝日インテック・ラブリッジ名古屋
名古屋は第3節で愛媛FCレディースに4-5で敗れたが、そこからチームの方向性を大きく修正してきた。ビルドアップを単なるボール保持の手段にとどめず、ゴールへ向かうための前進手段として明確化。縦への意識を高め、運動量と技術力を組み合わせながら、多彩な攻撃と堅い守備を両立させている。
その成果は結果にも表れている。第4節以降は負けがなく、静岡SSUボニータ、ヴィアマテラス宮崎との上位直接対決では、いずれもクリーンシートで勝利を収めた。後半戦初戦で宮崎を下し、2位へ浮上。首位・静岡との勝ち点差を1に縮めた今、名古屋はリーグの中で最も勢いのあるチームの一つと言っていい。
伊賀戦では、相手の武器であるサイド攻撃をいかに制限するかがポイントになる。高い位置からのプレスで伊賀の前進を遅らせ、奪った後は長短のパスを使い分けながら中盤の選手が攻撃に厚みを加える。さらに、DF橘麗衣が今シーズンで5得点を挙げているように、名古屋は前線だけでなく、後方の選手も含めて得点に関われるチームである。伊賀にとっては、どこからでもゴールを狙える名古屋の攻撃をどう抑えるかが大きな課題となる。
対する伊賀は、第12節で5位・オルカ鴨川FCと0-0で引き分け、勝ち点を1つ積み上げるにとどまった。4位は維持したものの、上位3チームとの差を詰めるという意味では、勝ち点3が欲しかった試合でもある。
さらに伊賀は、ここから厳しい上位対決が続く。
- 第13節:vs 朝日インテック・ラブリッジ名古屋
- 第14節:vs 静岡SSUボニータ
- 第15節:vs ヴィアマテラス宮崎
中断期間前のこの3連戦は、伊賀の最終順位を左右する大きな山場になるだろう。名古屋戦では、武器であるサイド攻撃を繰り出す機会が限られる可能性もある。だからこそ、まずは堅い守備を維持し、限られたチャンスを確実に得点へつなげたい。
伊賀が名古屋を相手に勝ち点3を奪えれば、上位争いの中で一気に存在感を高めることができる。2021シーズン以来のリーグ優勝を目指すうえでも、まずは名古屋に勝利を収めたい。

