岡山湯郷Belle

岡山湯郷Belleは、岡山県美作市を拠点とする、なでしこリーグ1部に所属する女子サッカークラブです。

なでしこリーグ | 岡山湯郷belle | 岡山県美作市

2001年に「スポーツといで湯のまち」をキャッチフレーズに、湯郷温泉のある旧美作町で誕生しました。Belleはフランス語で「美人」を意味します。

2024シーズンはなでしこリーグ2部で優勝し、2025シーズンから1部へ復帰。2026シーズンは1部復帰2年目として、ショートパスを軸にしたビルドアップ、守備の粘り、前線の推進力を武器に戦っています。

本ページでは、岡山湯郷Belleのチームとしての特徴、注目選手、関連する試合レビュー記事をまとめて紹介します。

チームの特徴

2部優勝から1部定着へ向かうチーム

岡山湯郷Belleは、2024シーズンに20勝2分0敗、75得点8失点。無敗で2部優勝を達成し、1部復帰を決めました。

シーズンリーグ最終順位得点得点順位全チーム平均得点全チーム中央値失点失点順位全チーム平均失点全チーム中央値
2024なでしこリーグ2部1位2020751位27.423.081位27.429.5
2025なでしこリーグ1部6位778259位28.228.0328位28.228.0

※得点順位は得点数の多い順、失点順位は失点数の少ない順で算出。
※「全チーム平均」「全チーム中央値」は、その年の所属リーグ全体の得点・失点分布を把握するための参考値です。
※2024シーズンはなでしこリーグ2部、2025シーズンはなでしこリーグ1部での成績です。

2024シーズンは、横山久美選手が32得点を挙げており、圧倒的な得点力で攻撃面を牽引しました。さらに栫井美和子選手も得点を重ね、チームは75得点という高い攻撃力を示しました。

2025シーズンは1部復帰初年度として6位。得点数はリーグ平均を下回った一方で、勝点28を積み上げ、1部定着への足がかりを作りました。

2026シーズンは、第8節終了時点で上位グループに位置しましたが、第9節から3連敗。しかし戦い方を整理し、3連敗後には3連勝を記録しました。第15節終了時点は6位に位置しており、上位をうかがえる位置で中断期間を迎えています。

ショートパスで相手の守備を崩すビルドアップ

湯郷の基本スタイルは、ショートパスをベースにしたビルドアップです。

最終ラインや中盤で細かくボールを動かしながら、相手の守備位置を少しずつズラしていく。縦に急ぐだけではなく、近い距離でパスコースを作り、相手の寄せを外しながら前進する形を大事にしています。

このパスワークがスムーズに出る試合では、湯郷はリズムよくボールを動かせます。選手同士の距離感がよく、ワンタッチ、ツータッチでボールが動くと、相手は守備の基準を定めにくくなります。

一方で、後方からのビルドアップは相手に狙われるリスクもあります。パスコースを消され、前線からの守備に捕まると、低い位置でボールを失う危険が高まります。実際に、結果を出し切れなかった時期には、後方からの前進を制限され、攻撃のリズムを作れない場面も見られました。

パスワークを一列前で発揮する修正

対策を受けた中で、湯郷はパスワークを発揮する位置を少し変えています。

リスクの高い低い位置で無理に細かくつなぐのではなく、必要以上に危険な場所でのプレーを避ける。そのうえで、一列前のエリアで強みであるショートパスと選手同士の連係を出す場面が増えました。

より相手ゴールに近い位置で、流れるようにパスがつながる。選手が止まってボールを受けるだけでなく、動きながら関わり、次の選手へボールを渡していく。そうした連係が出ると、湯郷の攻撃は一気にテンポを増します。

守備で試合を壊さず、攻撃につなげる

湯郷は、攻撃の形を作る前提として、守備で試合を壊さないことも大事にしています。

相手に押し込まれる時間帯でも、中央を簡単に割らせず、最後のところで体を張る。前線からの守備、中盤での寄せ、最終ラインの対応がかみ合った試合では、ロースコアでも勝点を積み上げられるチームです。

ただし、早い時間帯に失点した試合では、攻撃のリズムを取り戻す前に苦しくなる場面もあります。守備で粘りながら、どのタイミングで前へ出るのか。低い位置で無理をしすぎず、どこで自分たちのパスワークを出すのか。

その判断の質が、湯郷の安定感を左右しそうです。

注目選手

ここからは、筆者が2026シーズンの試合を追う中で特に印象に残った選手を紹介します。

GK 上野 理佐(RISA UENO)

湯郷のゴールを守る若きGKです。

2026シーズンの湯郷は、試合によって押し込まれる時間帯もあります。その中で、上野選手が最後尾で落ち着いて対応できるかどうかは、チーム全体の安定に大きく関わります。

シュートストップだけでなく、クロス対応やDFラインへの声かけも重要です。若いチームが試合を落ち着かせるためには、GKの存在感が欠かせません。

第13節のVONDS市原FCレディース戦では、相手に押し込まれる時間帯がありながらも好判断で決定機を防ぎ、クリーンシートに貢献しました。第14節のスフィーダ世田谷FC戦でも無失点勝利を支えています。

当サイトの独自ベストイレブン選出:2回(第15節終了時点)

第13節 個人的ベストイレブン
第14節 個人的ベストイレブン

DF 岸波 優妃(YUKI KISHINAMI)

2026シーズンから湯郷に加入したDFです。

クラブ公式発表では、姫路獨協大学からの加入内定選手として紹介され、2024年・2025年に全日本大学女子選抜へ選ばれていたことも発表されています。

岸波選手の魅力は、対人守備と落ち着いた対応です。相手FWと正面から向き合い、簡単に前を向かせない。ボールを奪い切れなくても、相手の攻撃を外へ追い出し、チーム全体が整う時間を作れます。

湯郷が無失点で勝ち切る試合を増やすためには、中央で崩れないことが重要です。その意味で、岸波選手は2026シーズンの湯郷守備陣を語るうえで欠かせない存在です。

第14節のスフィーダ世田谷FC戦では、強力な前線に対して強度高く対応。さらに先制点の場面では守備でボールに関与し、追加点の場面でも高い位置でボールを奪うなど、守備と攻撃の起点の両面で存在感を発揮しました。

当サイトの独自ベストイレブン選出:2回(第15節終了時点)

第12節 個人的ベストイレブン
第14節 個人的ベストイレブン

MF 中野 琴音(KOTONE NAKANO)

中盤で攻守をつなぐMFです。

中野選手は、2025プレナスなでしこリーグ1部で新人賞を受賞。2025シーズンはリーグ戦22試合に出場し、4得点を記録し、全試合フル出場を果たしました。

中野選手の魅力は、豊富な運動量で攻守の両方に関われることです。

守備では中盤で相手の前進を遅らせ、ボールを奪えば前線へつなぐ。攻撃では、味方の位置を見ながらボールを動かし、チームが前へ出るための起点になります。

湯郷は前線にスピードのある選手をそろえていますが、その選手たちを生かすには中盤からの配球が欠かせません。中野選手が前を向いてボールを持てる時間が増えれば、湯郷の攻撃はより厚みを増します。

第8節の伊賀FCくノ一三重戦では、サイドで粘り強く対応し、湯郷が上位直接対決を最少失点で制するうえで大きな役割を果たしました。

当サイトの独自ベストイレブン選出:1回(第15節終了時点)

第8節 個人的ベストイレブン

MF 香椎 彩香(AYAKA KASHII)

高いキック精度を持ち、中盤で湯郷の攻撃にリズムを加えるMFです。

香椎選手は、2026シーズンに山梨学院大学から加入したルーキーです。クラブ公式では、長崎県出身、ポジションはMF、2024年には全日本大学女子選抜に選出された選手として紹介されています。

開幕節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦では、途中出場から塩谷瑠南選手の折り返しを流し込み、なでしこリーグ1部での初戦から結果を残しました。

第12節のニッパツ戦では、直接フリーキックで先制点を記録。3連敗、3試合無得点という重い流れを断ち切る大きなゴールでした。さらに、前線からの守備やサイドでの関与でも存在感を示し、塩谷選手の得点につながる場面にも関わっています。

また、第14節のスフィーダ世田谷FC戦では、追加点の流れにも関与。高い位置でボールを奪い、複数の選手が連動してゴールへ向かう湯郷らしい攻撃の中で、香椎選手も重要な役割を果たしました。

ショートパスを軸にしながら、より相手ゴールに近い位置で連係を発揮する湯郷にとって、香椎選手は攻撃のテンポを上げられる存在です。当サイトが公式記録をもとに独自集計したアシスト数では、チームトップの5アシストを記録。得点に直結するプレーでも存在感を示しています。

中断明け以降も、前線の顔ぶれが変わる中で、サイドや中盤から攻撃に変化を加える役割が期待されます。

FW 塩谷 瑠南(RUNA SHIOYA)

2026シーズン前半の湯郷攻撃を支えた選手です。

塩谷選手は、守備の位置で出場する試合がありながら、前線でも起用され、得点源として存在感を示しました。

ゴール前で得点を狙えるだけでなく、前線でボールを受けて味方を使える点も大きな魅力でした。相手DFを背負いながら起点になり、そこからサイドや2列目の選手を生かす。湯郷が攻撃に出るうえで、中央で時間を作れる存在でした。

第12節のニッパツ戦では2得点。第13節のVONDS市原FCレディース戦でも2得点を挙げ、チームの連勝に大きく貢献しました。第13節では通算100試合出場の節目に2ゴールを記録しています。

その後、塩谷選手は中断期間中にAC長野パルセイロ・レディースへ移籍しました。

中断明けの湯郷にとって、塩谷選手の移籍は大きな変化です。前線で収め、ゴールも狙える選手が抜けた中で、どのように攻撃の形を再構築するかが後半戦のポイントになります。

当サイトの独自ベストイレブン選出:2回(第15節終了時点)

第12節 個人的ベストイレブン
第13節 個人的ベストイレブン

FW 栫井 美和子(MIWAKO KAKOI)

長期離脱から復帰し、攻撃に変化を加えるアタッカーです。

栫井選手は、2025シーズンの第13節ニッパツ横浜FCシーガルズ戦で負傷し、左膝前十字靭帯断裂、左膝半月板損傷、左膝内側側副靱帯損傷と診断されました。クラブ公式発表では全治8か月とされていました。

2025シーズンは負傷の影響で出場機会が限られましたが、クラブは2026シーズンの契約更新も発表。栫井選手自身も、ケガの影響でほとんどピッチに立てなかった悔しさをコメントしています。

栫井選手の魅力は、ボールを持ったときの縦への推進力です。サイドや前線でボールを受け、ドリブルや細かいタッチで相手守備を動かす。チームとして流れを変えたいときに、個人の仕掛けから局面を打開できる選手です。

長期離脱から戻ってきた栫井選手が、どれだけコンディションを上げ、前線に変化を加えられるか。塩谷選手が移籍した中断明け以降、湯郷の攻撃において重要な存在になりそうです。

1部復帰2年目、もう一段上へ進めるか

2024シーズンに2部優勝を果たし、2025シーズンからなでしこリーグ1部へ復帰した岡山湯郷Belle。

1部復帰初年度は6位でシーズンを終え、2026シーズンは中位からさらに上を目指す段階に入っています。

中断明けのポイントは、試合ごとの波をどれだけ小さくできるかです。

相手に対策されたときに慌てず、守備で粘り、良い位置で自分たちのパスワークを出す。さらに、前線の顔ぶれが変わる中で、得点を奪う形をどれだけ増やせるか。

1部に戻ってきたチームが、定着で終わるのか。
それとも、もう一段上の順位を狙えるチームへと進化するのか。

2026シーズン後半の岡山湯郷Belleの戦いから目が離せません。