2026プレナスなでしこリーグ1部は後半戦に入り、第12節を迎えた。
前半戦を首位で折り返した静岡SSUボニータは、ホーム・ヤマハスタジアムにスフィーダ世田谷FCを迎えた。
両者の前回対戦は開幕節。スフィーダ世田谷FCはホームで静岡に1-6と大敗しており、後半戦最初の一戦は、その敗戦からどこまで修正できたのかが問われる試合でもあった。
試合は前半に横山久美のゴールで静岡が先制する。しかし後半、世田谷は途中出場の堀江美月が66分に同点ゴールを決めると、70分には内田美鈴が左足で逆転弾。静岡がシュート19本、CK13本と押し込む時間を多く作りながらも、世田谷が粘り強い守備と高い決定力で1-2の逆転勝利を収めた。
首位を破った世田谷にとっては、4試合ぶりの勝利。開幕節の大敗を払拭する大きな勝ち点3となった。
この記事の要点
- 静岡は横山久美の先制点で主導権を握ったが、追加点を奪い切れなかった
- 世田谷は5バック気味の守備と縦への速い攻撃で、開幕節からの修正を示した
- 堀江美月、内田美鈴の両エースが後半に決定的な仕事を果たし、首位相手に逆転勝利を収めた

試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第12節
| 静岡SSUボニータ | スフィーダ世田谷FC |
|---|---|
| 1 | 2 |
| 25分 横山 久美 | 66分 堀江 美月 70分 内田 美鈴 |
| 日時 | 2026年06月07日 15:00 |
| 会場 | ヤマハスタジアム(磐田)(静岡県) |
| 観客数 | 1,681人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
静岡SSUボニータ
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 21 | 田谷 春海 | |
| DF | 3 | 彦坂 桃花 | |
| DF | 4 | 青葉 結衣 | |
| DF | 5 | 服部 花音 | |
| DF | 22 | 上西 可奈子 | |
| MF | 6 | 万力 安純 | |
| MF | 7 | 高島 絢音 | |
| MF | 8 | 三輪 玲奈 | |
| MF | 9 | 中島 咲友菜 | |
| MF | 15 | 岸野 早奈 | 65▼ |
| FW | 10 | 横山 久美 (Cap.) | |
| 控え | |||
| GK | 1 | 水口 茉優 | |
| DF | 2 | 白井 未来 | |
| DF | 17 | 櫻田 彩乃 | |
| MF | 11 | 大曽根 由乃 | 65▲ |
| MF | 14 | 渡邉 琉那 | |
| MF | 19 | 曽我 来未 | |
| FW | 16 | 藤田 桃加 | |
| 監督: 本田 美登里 | |||
スフィーダ世田谷FC
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 大塚 美緒 | |
| DF | 2 | 根本 彩夏 | |
| DF | 6 | 黒川 愛奈 | |
| DF | 7 | 渡邊 那奈 | |
| DF | 15 | 篠原 沙耶 | |
| DF | 23 | 荒川 結乃花 | 60▼ |
| MF | 3 | 柏原 美羽 (Cap.) | |
| MF | 20 | 石浦 和歌 | |
| MF | 8 | 加藤 沙彩 | 87▼ |
| FW | 13 | 内田 美鈴 | |
| FW | 16 | 北川 心子 | |
| 控え | |||
| GK | 22 | 山内 夏実 | |
| DF | 4 | 小泉 柚紀 | |
| MF | 18 | 佐藤 李那 | 87▲ |
| MF | 19 | 羽柴 咲良 | |
| FW | 9 | 堀江 美月 | 60▲ |
| FW | 11 | 粟田 桃子 | |
| FW | 14 | 松原 萌乃 | |
| 監督: 濱田 堯 | |||
試合展開
世田谷は守備から入り、静岡の前線に自由を与えない
この日の世田谷は、守備時に5バック気味になる形で試合に入った。
静岡は横山久美を中心に、中島咲友菜、三輪玲奈、高島絢音、万力安純らが連動しながら前進するチームである。開幕節では、その前線と中盤の強度に世田谷が後手を踏み、大量失点につながった。
だからこそ、世田谷はまず最終ラインに人数をかけ、中央を簡単に割らせないことを優先した。
DF#23荒川結乃花は、非保持では最終ラインの一角に入り、保持時には中盤へ顔を出す。守備の厚みを保ちながら、攻撃への出口にもなる役割を担っていた。
序盤の世田谷は球際の強度も高く、静岡に一方的に押し込まれる展開にはしなかった。特に、静岡が横山へ縦パスを入れた場面では、早めに体を寄せ、次のプレーを制限する意識が見えた。

横山久美が一瞬の隙を逃さず先制
それでも、先に試合を動かしたのは静岡だった。
25分、世田谷の中盤でのバックパスに#10横山久美が鋭く反応する。相手のミスを逃さずボールを奪うと、そのままGKをかわして難しい角度から右足でシュート。静岡が1-0と先制した。
横山はそれ以前からミドルシュートを放ち、少しずつゴールに近づいていた。相手DFの間に立ち、マークの受け渡しを迷わせる位置取りも巧みで、静岡の攻撃の中心であり続けた。

前半の静岡は、横山を起点に#9中島咲友菜、#8三輪玲奈が関わり、厚みのある攻撃を見せた。中島がボールを収め、三輪が前向きに関わることで、世田谷の守備陣を押し下げていく。
一方の世田谷は、失点後も崩れなかった。ビルドアップは割り切って優先度は低くし、#13内田美鈴や#16北川心子へ早めにボールを入れ、そこからサイドを使って前進する。静岡に押し込まれる時間は長かったが、GK#1大塚美緒を中心に粘り、前半を1失点で耐えた。
前半は静岡1-0世田谷で折り返した。
後半、世田谷が押し返す位置を一段上げる
後半に入っても、静岡は追加点を狙って前に出た。
特に右サイドでは、#22上西可奈子が攻撃参加を増やし、前半よりも厚みのある攻撃を見せる。横山がヒールで落とし、裏へ抜けた中島がGKと1対1に近い形を作った場面は、静岡にとって大きな追加点のチャンスだった。
しかし、このシュートは枠を外れる。
ここで2点目を奪えなかったことが、試合の流れを大きく変えたように思える。
世田谷は、後半に入って守備の位置を少しずつ押し上げた。最終ラインだけで耐えるのではなく、中盤で引っかけて、より相手ゴールに近い位置からカウンターを狙う形である。
静岡のサイドバックが前に出た背後を、#8加藤沙彩やサイドの選手が使う場面も増えた。世田谷は守るだけでなく、反撃の形を作りながら同点の機会をうかがっていた。

堀江美月の投入が流れを変える
60分、世田谷は#23荒川結乃花に代えて#9堀江美月を投入する。
この交代が試合を大きく動かした。
66分、世田谷は左サイドで攻撃を作る。#7渡邊那奈から#3柏原美羽を経由して相手を剥がし、#15篠原沙耶が良い体制で左サイドからクロスを上げる。そこへ、堀江が相手DFの視界の外から入り込んだ。
堀江は静岡GK#21田谷春海が触る前に頭で合わせ、ボールはゴールネットへ。世田谷が1-1の同点に追いついた。
堀江の強みは、高さだけではない。相手DFの背後や死角に入り、クロスに対して先に触る位置取りがある。この場面でも、投入直後とは思えない鋭さでゴール前に入り、試合の流れを一気に引き寄せた。

内田美鈴が値千金の逆転弾
同点に追いつかれた静岡は、直後から再び攻勢を強めた。
横山が中央を割ってシュートを放ち、中島が低い位置まで下りて攻撃を組み立てる。左サイドに流れた横山が強烈なシュートを放った場面もあったが、ボールはポストに嫌われた。
静岡が押し返そうとした矢先、世田谷が再び試合を動かす。
70分、世田谷は右サイドから攻撃を展開する。#2根本彩夏が低く鋭いクロスを入れると、静岡DFが頭でクリア。そのこぼれ球がペナルティアーク付近の#13内田美鈴の足元に収まった。
内田は迷わず左足を振り抜く。シュートはポストをかすめるようにゴールへ吸い込まれ、世田谷が1-2と逆転に成功した。
内田にとって、この試合のシュートはこの1本だけだった。それでも、その1本を決め切る。世田谷のエースとしての決定力が凝縮された場面だった。

静岡は最後まで攻め続けるが、大塚美緒が立ちはだかる
逆転を許した静岡は、さらに前への圧力を強めた。
横山は最前線で相手DFと駆け引きを続け、中島と三輪が攻撃を組み立てる。静岡は何度も世田谷ゴールへ迫ったが、最後の場面で世田谷の守備陣が体を張った。
終盤には、横山がペナルティエリア内で粘り、複数人をかわしてシュートまで持ち込む場面もあった。しかし、世田谷GK大塚美緒が前へ飛び出し、シュートコースを消してセーブ。世田谷は最後まで集中力を切らさなかった。

試合はそのまま1-2で終了。
静岡は今季2敗目。世田谷は首位を相手に逆転勝利を収め、4試合ぶりの勝ち点3を手にした。
総括
静岡が主導権を握った時間は長かった。公式記録上でも、シュート数は静岡19本に対して世田谷7本。CKも静岡13本、世田谷5本である。
ただし、試合内容は数字ほど一方的ではなかった。
世田谷は、守備で耐えるだけではなく、前線と中盤の運動量で静岡を押し返した。開幕節で大敗した相手に対して、ビルドアップのリスクを整理し、縦への意識を高め、勝負どころで堀江美月と内田美鈴が決定的な仕事を果たした。
静岡にとっては、先制後に追加点を奪い切れなかったこと、そして66分から70分までの短時間で2失点したことが重かった。それでも、横山を中心に何度も決定機を作っており、攻撃力そのものが失われたわけではない。
この試合では、世田谷の粘りと決定力が、静岡の攻撃力を上回った。
静岡SSUボニータ
静岡は、横山久美の先制点までは理想に近い試合運びだった。
横山が相手守備の間で受け、中島咲友菜と三輪玲奈がその周囲で関わる。高島絢音、万力安純も前向きに攻撃へ参加し、世田谷を押し込む時間を作った。
ただ、世田谷の守備は受け身になりすぎなかった。横山にボールが入った瞬間には強く寄せ、前を向かせない。中島に対しても、荒川結乃花や根本彩夏が粘り強く対応した。
その影響もあり、静岡は通常以上にラストパスとフィニッシュの精度を求められる展開になった。
後半は上西可奈子の攻撃参加によって右サイドに厚みが出た。中島の抜け出しや横山のシュートなど、追加点に迫る場面も作れていた。だからこそ、1-0の時間帯で2点目を奪い切れなかったことが、試合の難しさにつながった。
特に大きかったのは、66分から70分までの短時間で2失点を喫したことである。
同点に追いつかれた後も、静岡が試合の主導権を手放したわけではなかった。再開直後から横山を中心に相手ゴールへ迫り、再びリードを奪い返すだけの迫力はあった。
しかし、その直後に逆転を許したことで、静岡は攻め急がざるを得なくなった。最終ラインの押し上げが十分に整わないまま前へ出る時間が増え、中盤がやや間延びし、攻撃が少し単調になる場面も見られた。
それでも、シュートで攻撃を終え続けられるところはさすがだった。横山久美、中島咲友菜、三輪玲奈を中心に最後までゴールの可能性を感じさせ、試合終了のホイッスルまで同点に追いつく期待感は残っていた。
この敗戦は、静岡の攻撃力が失われた試合ではない。
むしろ、GK大塚美緒の安定したセービング、堀江美月の相手の視界から消えるポジショニングの巧さ、内田美鈴の高い決定力、そして世田谷の選手たちのハードワークを称えるべき一戦だった。
今シーズン2敗目を喫したが、首位に立つだけの攻撃の迫力と試合を動かす力は十分に示していた。崩しの精度と試合運びをもう一段高めていけば、静岡はまだまだ優勝戦線の主役であり続けるはずだ。
スフィーダ世田谷FC
世田谷にとって、この勝利は単なる勝ち点3以上の意味を持つ。
開幕節では、静岡の強度と攻撃力に押し切られ、1-6で敗れた。その相手に対して、後半戦の初戦で逆転勝利を収めたことは、チームとしての修正力を示す結果だった。
ただし、この試合の世田谷は、第10節で静岡に勝利した朝日インテック・ラブリッジ名古屋のように、試合全体を巧みにコントロールしたわけではない。静岡に完全に崩される場面もあり、相手のフィニッシュ精度やポストに救われた場面もあった。
だからこそ、GK#1大塚美緒の存在は非常に大きかった。
静岡が19本のシュートを放つ中で、大塚は最後まで落ち着きを失わなかった。横山久美の強烈なシュートや、終盤のペナルティエリア内での決定機に対しても、前へ出る判断とシュートコースを消す対応でチームを救った。世田谷が我慢の時間帯を最少失点でしのぎ、逆転勝利へつなげられたのは、大塚の安定したセービングがあってこそだった。

そして、勝つための選択が明確だった。
無理に低い位置からつなぎすぎず、前線の内田美鈴、北川心子へ早めに入れる。サイドを経由して前進し、押し込まれてもカウンターの出口を残す。守備では最後まで走り、横山や中島に対して自由な時間を与えない。
その積み重ねが、後半の2得点につながった。
堀江美月は60分からの出場で、シュート2本1得点。高さと強さ、そしてゴール前で相手の視界から消える動きは大きな武器である。投入直後に同点ゴールを決めたことで、世田谷は一気に前向きになった。
内田美鈴は、90分を通してシュート1本。その1本を逆転ゴールに変えた。前半から相手DFを背負い、ボールを収め、チームを前進させる役割を担っていたが、最後はエースらしく結果で試合を決めた。
また、根本彩夏の貢献も大きかった。守備では中島咲友菜や横山久美への対応を求められながら、攻撃では逆転ゴールにつながるクロスを入れた。攻守両面で負荷の高い役割を果たした。
北川心子も、前線から最終ライン付近まで戻るプレスバックを続け、攻撃に転じれば再び前へ走った。チーム全体のハードワークを象徴する存在だった。
課題を挙げるなら、失点場面である。中盤での後ろ向きのパスミスは、静岡のような相手には一瞬で失点につながる。大塚を中心に守備陣が粘れていただけに、あのミスは非常にもったいなかった。
それでも、そこから崩れずに逆転まで持っていったことが、この試合の最大の価値である。
今後の鍵は再現性だ。高強度で守り、前向きに走り、エースが決める。この戦い方を続けられれば、世田谷は中位以上へ浮上していく可能性がある。
順位表
第12節を終えて、静岡SSUボニータは首位を維持した。
ただし、朝日インテック・ラブリッジ名古屋がヴィアマテラス宮崎に勝利したため、静岡と2位名古屋の勝点差は1に縮まった。優勝争いは、ここからさらに緊張感を増していく。
一方のスフィーダ世田谷FCは、9位から8位に浮上。勝点15、得失点差0まで持ち直した。中位グループは混戦であり、この勝利をきっかけに上位をうかがう流れを作りたい。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 26 | 12 | 8 | 2 | 2 | 35 | 9 | +26 | |
| 2(3) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 25 | 12 | 7 | 4 | 1 | 29 | 11 | +18 | |
| 3(2) | ヴィアマテラス宮崎 | 24 | 12 | 7 | 3 | 2 | 23 | 12 | +11 | |
| 4(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 22 | 12 | 6 | 4 | 2 | 15 | 9 | +6 | |
| 5(5) | オルカ鴨川FC | 19 | 12 | 5 | 4 | 3 | 15 | 8 | +7 | |
| 6(7) | 岡山湯郷Belle | 17 | 12 | 5 | 2 | 5 | 17 | 21 | -4 | |
| 7(8) | 愛媛FCレディース | 16 | 12 | 4 | 4 | 4 | 14 | 19 | -5 | |
| 8(9) | スフィーダ世田谷FC | 15 | 12 | 4 | 3 | 5 | 20 | 20 | 0 | |
| 9(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 14 | 12 | 4 | 2 | 6 | 20 | 23 | -3 | |
| 10(11) | ASハリマアルビオン | 12 | 12 | 3 | 3 | 6 | 12 | 14 | -2 | |
| 11(10) | 日体大SMG横浜 | 10 | 12 | 3 | 1 | 8 | 13 | 38 | -25 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 12 | 0 | 0 | 12 | 5 | 34 | -29 |
次節に向けて
静岡SSUボニータは、次節アウェーで日体大SMG横浜と対戦する。
第2節では9-0で大勝した相手だが、優勝争いを続けるうえで取りこぼしは許されない。今節の敗戦を引きずらず、確実に勝ち点3を積み上げたい試合である。
スフィーダ世田谷FCは、ホームでASハリマアルビオンと対戦する。
世田谷は首位撃破、ハリマは2連勝中。前半戦で苦しんだ両チームが、後半戦の巻き返しへ向けて勢いをつかみ始めている。浮上を狙ううえで、世田谷にとっては今節の勝利を次につなげられるか、再現性が問われる一戦となる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第12節全試合ハイライト動画
公式記録


