解説に元なでしこジャパンで2011年ワールドカップ優勝メンバーの永里優季さんを迎えて行われた、2026プレナスなでしこリーグ1部 第14節。
いちご宮崎新富サッカー場では、ヴィアマテラス宮崎がVONDS市原FCレディースをホームに迎えた。
前回対戦は第3節。VONDSが櫻庭琴乃のゴールで先制したものの、宮崎が3得点を奪って1-3で逆転勝利を収めている。
前回対戦のレビュー
第3節:VONDS市原FCレディース 1-3 ヴィアマテラス宮崎
第14節を迎えた宮崎は、直近2試合で勝利なし。優勝争いに踏みとどまるためにも、ホームで勝点3が必要な一戦だった。
一方のVONDS市原FCレディースは、ここまで勝点0で最下位。苦しい状況は続いているが、試合を重ねるごとに攻撃の迫力は増している。前回対戦と同じく、宮崎から先制点を奪い、浮上のきっかけをつかみたい試合だった。
試合は開始直後にVONDSが先制に成功し、宮崎の低い位置のビルドアップを狙ったものの、前半アディショナルタイムに追いついた宮崎が後半2点を追加して合計3-1で勝利を収めた。
この記事の要点
- VONDSは開始早々、佐藤寿音のゴールで先制。宮崎の立ち上がりの隙を突いた
- 宮崎は坂本理保の前半終了間際の同点弾、小澤寛のCK直接弾、土屋佑津季の追加点で3-1の逆転勝利
- 宮崎は優勝争いに踏みとどまる勝点3。VONDSは先制後の守備整理とボール奪取位置に課題を残した
試合情報
試合展開
VONDSが立ち上がりに先制。宮崎の出鼻をくじく
試合はいきなり動いた。
開始早々、VONDSが得たセットプレー。宮崎ゴール前に入ったボールに対して、宮崎の守備陣はヘディングで対応したものの、クリアは十分ではなかった。
そのこぼれ球に反応したのが、VONDSの#7佐藤寿音だった。

ファーサイドから素早く落下地点に入り、フリーの状態でヘディング。ボールをゴールへ押し込み、VONDSが早い時間帯に先制した。
前回対戦でもVONDSは先制している。宮崎のビルドアップや立ち上がりの隙を狙う姿勢は明確で、この試合でもその狙いが開始直後に結果へつながった。
宮崎は縦に速く運び、VONDSを押し込む
先制を許した宮崎だったが、ここから一気に試合のギアを上げた。
低い位置から丁寧につなぐビルドアップに固執するのではなく、縦に速い攻撃を選択。センターバックとボランチから、両サイドの#4永野桃子、#22山本さゆりを背後へ走らせ、VONDSの最終ラインを押し下げていった。
VONDSとしては、宮崎のビルドアップが低い位置から始まる場面を狙い、前向きにボールを奪いたかったはずだ。しかし宮崎が早めに背後を使ったことで、VONDSは前から奪いに行く形を作り切れない。
試合は、宮崎が押し込み、VONDSが自陣で耐える構図に変わっていった。
VONDSは身体を張ってゴール前を守り、最後の局面では粘り強く対応していた。それでも、宮崎はセカンドボールを拾い続け、攻撃を終わらせない。前半の終盤にかけて、VONDSの守備陣には少しずつ負荷が蓄積していった。
坂本理保の同点弾が流れを変える
宮崎が追いついたのは、前半アディショナルタイムだった。
セットプレーの流れから、VONDSのGKがパンチングで逃れたボールが、ペナルティエリア付近に残る。そこに待っていたのが、宮崎の#21坂本理保だった。
坂本は浮いたボールを左足でダイレクト。難しいボールだったが、うまくミートしてゴールへ運び、宮崎が前半終了間際に1-1の同点に追いついた。

この得点は、スコア以上に大きかった。
VONDSは立ち上がりに先制し、長い時間を耐えながら前半をリードして終えようとしていた。そこを最後の最後でこじ開けられたことは、心理的にも重い失点だったはずだ。
反対に宮崎にとっては、前半のうちに試合を振り出しに戻せた意味が大きい。先制された焦りを抱えたまま後半に入るのではなく、1-1で仕切り直せたことで、試合を落ち着いて進められる状況を作った。
小澤寛のCK直接弾で宮崎が逆転
後半の立ち上がり、再び宮崎がセットプレーから試合を動かした。
宮崎のコーナーキック。キッカーは#17小澤寛。前半から攻撃の組み立てに関わり、相手の嫌な位置でボールを受け続けていた小澤のキックが、そのままゴールへ向かう。
強い風も味方につけたボールは、VONDS守備陣とGKの対応を難しくし、直接ゴールイン。宮崎が2-1と逆転に成功した。
先制された宮崎が、前半終了間際の同点弾、後半開始早々の逆転弾と、試合の節目を逃さず得点に変えた。内容面でも宮崎が押し込む時間は長かったが、それ以上に「取るべき時間帯で取った」ことが、この試合の大きな分岐点だった。
土屋佑津季が試合を決める
VONDSも同点を狙って前に出る意識を見せた。
#10櫻庭琴乃をはじめ、前を向いてボールを持てる選手がいると、周囲が一気にスプリントして攻撃に厚みを出す。先制点の場面だけでなく、ボールを奪ったあとの推進力には、試合を重ねる中での改善が見えた。
ただ、宮崎は攻撃の手を緩めなかった。
ビルドアップ、サイドの背後へのランニング、前線の動き出しを組み合わせながら、追加点を狙い続ける。VONDSは最終ラインで身体を張ったが、セカンドボールを拾われる時間が長く、守備の時間をなかなか終わらせられなかった。

そして、宮崎が3点目を奪う。
センターバックの#21坂本理保から#16松田遥奈へ縦パスが入る。松田は前線の#9土屋佑津季へスルーパス。VONDS最終ラインの背後を取った土屋が、左足ワンタッチでゴールネットを揺らした。
前半から何度も相手ゴールに迫っていた土屋にとって、待望のゴール。宮崎にとっては、試合を決定づける3点目だった。
この場面では、坂本の縦パス、松田の前向きな判断、土屋の動き出しと決定力がきれいにつながった。セットプレーで2点を奪った宮崎が、流れの中でも相手の最終ラインを攻略したことで、勝利を大きく引き寄せた。
宮崎が3-1で逆転勝利
その後も宮崎は追加点を狙い、VONDSは反撃の1点を目指した。
VONDSも最後まで前に出る姿勢を失わなかったが、宮崎の強度と運動量を前に、決定機を連続して作るところまでは至らなかった。
試合は3-1で終了。
立ち上がりに先制を許した宮崎だったが、慌てずに押し返し、運動量とセットプレー、そして前線の決定力で逆転勝利を収めた。

総括
ヴィアマテラス宮崎は、ビルドアップに不安定さを見せた一方で、両サイドの運動量、中盤の強度、前線の得点力で試合をひっくり返した。
VONDS市原FCレディースは、立ち上がりの狙いを先制点につなげ、守備でも粘り強さを見せた。ただし、試合全体で見ると、宮崎に押し込まれる時間が長く、セカンドボールを拾われ続けたことが大きな課題として残った。
ヴィアマテラス宮崎
宮崎にとっては、優勝争いに踏みとどまるための重要な勝利だった。
開始早々に失点したことは反省材料だが、その後の立て直しは見事だった。ビルドアップで相手のプレスを受けるリスクを考えながら、サイドの背後を早めに使い、VONDSを押し下げる。自分たちのやりたい形だけにこだわらず、試合の流れに合わせて攻撃の手段を選べていた。
特に存在感を放ったのが、小澤寛だった。
攻撃の起点としてボールを引き出しながら、後半にはCKを直接決めて逆転弾を記録。組み立てとフィニッシュの両面で、宮崎の攻撃を引っ張った。
また、永野桃子と山本さゆりの両サイドも、VONDSにとって大きな脅威であり続けた。背後へのランニングで相手の最終ラインを押し下げ、宮崎が前進するための出口を作っていた。永野は試合展開に応じて前線でもプレーし、運動量とスピードで相手に負荷をかけ続けた。
そして、3点目を決めた土屋佑津季の存在も大きい。
宮崎が追加点を欲しい時間帯で、相手最終ラインの背後を取り、ワンタッチで仕留めた。チャンスに顔を出し続け、最後にゴールで試合を決める。エースストライカーとしての仕事を果たした一撃だった。
一方で、課題は攻撃の始まりとなるビルドアップだ。
リーグ前半戦で機能していた形は、相手に対策されている。低い位置でボールを動かす場面では、相手のプレスを受けて不安定になる場面もあった。今後の上位対決では、ビルドアップで相手を引き出す場面と、早めに背後を使う場面の整理がより重要になる。
優勝を狙うチームとして、内容の安定感はまだ高めたい。それでも、先制されても押し返し、勝ち切れる力を示したことは大きい。
VONDS市原FCレディース
VONDSは、試合の入り方が非常に良かった。
開始早々のセットプレーから佐藤寿音が先制点を奪った場面は、チームとして狙いを持って試合に入れていた証拠だ。前回対戦に続き、宮崎相手に先制できたことは自信にしていい。
攻撃面では、試合を重ねるごとに前進の迫力が出てきている。櫻庭琴乃をはじめ、前を向いてボールを持てる選手がいると、周囲が一斉にスプリントし、相手ゴールへ向かう形を作れていた。勝点にはつながっていないが、攻撃の改善は確実に見える。
また、宮崎に対する狙いも明確だった。
宮崎のビルドアップが低い位置から始まる場面では、前からプレッシャーをかけ、ボール奪取を狙った。実際に何度かボールを奪い、宮崎が嫌がる形を作ることもできていた。
ただし、課題はやはり守備である。
中盤の選手が下がりすぎる場面があり、最終ラインの前にスペースが生まれやすかった。人数は足りているのに寄せ切れず、宮崎の選手にゴール前に近い位置で比較的自由にプレーさせてしまう傾向があった。
また、基本的に待ち構えて跳ね返す守備なので、セカンドボールを宮崎に拾われる場面が増えた。これでは、守備の時間が長くなり、攻撃に出る回数も限られてしまう。
VONDSが勝点を得るためには、ただ耐えるだけでなく、どこでボールを奪うのかをチームとして再度整理して、共有する必要がある。高い位置で奪うのか、中盤で引っかけるのか、あるいは最終ライン前で奪って素早く前へ出るのか。攻撃の形が見え始めているからこそ、守備から攻撃へ移るためのボール奪取位置を整理したい。
選手個々は戦えている。
だからこそ、ボール非保持時の中盤から最終ラインにかけての守備組織をどこまで積み上げられるかが、今後の焦点になる。攻撃と同じように、守備も日々のトレーニングと実戦の中で積み上げていくしかない。
順位表
第14節終了時点で、ヴィアマテラス宮崎は3位を維持した。
首位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋とは勝点3差、2位に後退した静岡SSUボニータとは勝点1差。優勝争いに踏みとどまるうえで、この勝利は非常に大きい。
VONDS市原FCレディースは、勝点0のまま12位。11位の日体大SMG横浜との勝点差は10となり、厳しい状況が続いている。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 31 | 14 | 9 | 4 | 1 | 37 | 12 | +25 | |
| 2(1) | 静岡SSUボニータ | 29 | 14 | 9 | 2 | 3 | 40 | 10 | +30 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 28 | 14 | 8 | 4 | 2 | 28 | 15 | +13 | |
| 4(4) | オルカ鴨川FC | 25 | 14 | 7 | 4 | 3 | 19 | 10 | +9 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 25 | 14 | 7 | 4 | 3 | 17 | 11 | +6 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 23 | 14 | 7 | 2 | 5 | 21 | 21 | 0 | |
| 7(10) | ASハリマアルビオン | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 15 | 16 | -1 | |
| 8(7) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 22 | 24 | -2 | |
| 9(8) | 愛媛FCレディース | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 15 | 27 | -12 | |
| 10(9) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 15 | 14 | 4 | 3 | 7 | 23 | 27 | -4 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 14 | 3 | 1 | 10 | 13 | 44 | -31 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 14 | 0 | 0 | 14 | 6 | 39 | -33 |
次節に向けて
次節、ヴィアマテラス宮崎はアウェーで伊賀FCくノ一三重と対戦する。
伊賀は今節、静岡SSUボニータを1-0で破っている。堅い守備と鋭いサイドアタック、そしてリーグ屈指の運動量を持つ相手だ。宮崎にとっては、強度の高い試合になることが予想される。
ビルドアップをどこで使い、どこでシンプルに背後を狙うのか。試合までの一週間で戦い方を整理し、試合中に判断しながら、決めるべき時間帯で決め切れるかがポイントになる。
VONDS市原FCレディースは、アウェーで首位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋に挑む。
名古屋は昨季王者であり、今季も首位を走る強敵。VONDSにとっては簡単な相手ではないが、宮崎戦で見せた立ち上がりの集中力と攻撃の迫力を、より長い時間継続したい。
中断期間前最後の一戦で、次につながる自信と勝点をつかめるか。VONDSにとっても、重要なチャレンジになる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第14節全試合ハイライト動画
公式記録


