3,361人の観客が駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場に集まった、2026プレナスなでしこリーグ1部 第13節。
スフィーダ世田谷FCは、ホームでASハリマアルビオンを迎えた。
前回対戦のレビュー
第2節:ASハリマアルビオン 1-1 スフィーダ世田谷FC
ホームで連勝を狙うハリマと、静岡との開幕戦大敗から立て直しを図る世田谷が激突する一戦。互いに譲らぬ展開の末、1-1の引き分け。ハリマは勝利目前で追いつかれ、世田谷は苦しい流れのなかで勝ち点1をもぎ取った。
シーズン前半戦は、両チームとも苦しい時間が長かった。ただ、直近の流れは悪くない。
世田谷は第12節で首位・静岡SSUボニータに逆転勝利。ハードワークをベースにした戦い方が整理され、前線の決定力も結果に結びつき始めていた。
一方のハリマも、第11節にニッパツ横浜FCシーガルズを破って開幕節以来の勝利を挙げると、第12節はVONDS市原FCレディースに勝利。今季初の2連勝で駒沢に乗り込んできた。
中位浮上を狙う世田谷と、下位から抜け出したいハリマ。後半戦で勝点を積み上げるために、互いに負けられない一戦だった。
この記事の要点
- 世田谷は前半からハイプレスと球際の強度で主導権を握った
- 荒川結乃花の投入直後に内田美鈴が追加点。世田谷が2-0とリードを広げた
- ハリマは後半に反撃。千葉園子の2得点で敗戦濃厚の展開から追いついた
試合情報
2026プレナスなでしこリーグ1部 第13節
| スフィーダ世田谷FC | ASハリマアルビオン |
|---|---|
| 2 | 2 |
| 38分 オウンゴール 60分 内田 美鈴 | 83分 千葉 園子 90+2分 千葉 園子 |
| 日時 | 2026年06月13日 13:00 |
| 会場 | 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場(東京都) |
| 観客数 | 3,361人 |
スターティングラインナップ・登録メンバー
スフィーダ世田谷FC
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 1 | 大塚 美緒 | |
| DF | 2 | 根本 彩夏 | |
| DF | 6 | 黒川 愛奈 | |
| DF | 7 | 渡邊 那奈 | |
| DF | 15 | 篠原 沙耶 | |
| MF | 8 | 加藤 沙彩 | 77▼ |
| MF | 20 | 石浦 和歌 | 83▼ |
| MF | 3 | 柏原 美羽 (Cap.) | |
| FW | 16 | 北川 心子 | |
| FW | 9 | 堀江 美月 | 57▼ |
| FW | 13 | 内田 美鈴 | |
| 控え | |||
| GK | 22 | 山内 夏実 | |
| DF | 4 | 小泉 柚紀 | |
| DF | 23 | 荒川 結乃花 | 57▲ |
| MF | 10 | 田口 茉亜紗 | 83▲ |
| MF | 18 | 佐藤 李那 | 77▲ |
| FW | 11 | 粟田 桃子 | |
| FW | 14 | 松原 萌乃 | |
| 監督: 濱田 堯 | |||
ASハリマアルビオン
| Pos | No. | 氏名 | 交代 |
|---|---|---|---|
| GK | 41 | 小暮 千晶 | |
| DF | 4 | 阪中 澪 | 64▼ |
| DF | 5 | 小島 美玖 (Cap.) | |
| DF | 6 | 佐々木 美悠 | |
| DF | 2 | 児玉 耀 | |
| DF | 24 | 村田 かえで | HT▼ |
| MF | 8 | 小池 快 | |
| MF | 17 | 唐橋 万結 | 83▼ |
| FW | 9 | 川﨑 咲耶 | |
| FW | 10 | 千葉 園子 | |
| FW | 33 | 椎野 彩香 | HT▼ |
| 控え | |||
| GK | 1 | 原田 実歩 | |
| DF | 19 | 高松 芹羽 | |
| DF | 20 | 山口 歌子 | 64▲ |
| MF | 14 | 正野 可菜子 | HT▲ |
| MF | 18 | 阿部 文音 | |
| FW | 13 | 今蔵 綾乃 | 83▲ |
| FW | 23 | 井上 麗叶 | HT▲ |
| 監督: 菅野 将晃 | |||
試合展開
世田谷のプレスが、ハリマの出口をふさいだ前半
立ち上がりから、試合の主導権を握ったのは世田谷だった。
ハリマは最終ラインから丁寧にボールを動かし、低い位置から攻撃を組み立てようとする。攻撃の核である#9川﨑咲耶や#10千葉園子をできるだけ高い位置でプレーさせる狙いもあり、ビルドアップの起点は左サイドに寄る場面が多かった。
ただ、世田谷はその出口を見逃さなかった。
前線からハリマの最終ラインに圧力をかけ、サイドへ誘導したところで一気に距離を詰める。球際の強度、セカンドボールへの反応、奪った後の前進。いずれも前半は世田谷が上回っていた。
攻撃では、#13内田美鈴と#9堀江美月が中央で起点となり、背後へのランニングとサイドバックの押し上げを引き出す。シンプルな縦方向の攻撃だけでなく、前線で時間を作ってからサイドを使う形もあり、ハリマの守備陣を押し下げた。

38分、世田谷の圧力がオウンゴールを誘う
試合が動いたのは38分だった。
ハリマの最終ラインに堀江が詰めてパスをインターセプトすると、中央に構える内田に繋いで右サイドへ展開すると、#8加藤沙彩がクロスを供給。ハリマGK小暮千晶が対応したものの、クリアしたボールが味方に当たり、そのままゴールへ吸い込まれた。

記録上はオウンゴール。
ハリマにとっては不運な失点でもあった。しかし、前半を通じて世田谷がボールの奪いどころを明確にし、ハリマに余裕を与えていなかったことも事実である。
偶然だけではなく、世田谷のプレスとハードワークが呼び込んだ先制点だった。
ハリマは後半開始から反撃するも、世田谷が追加点
後半、ハリマはハーフタイムに#14正野可菜子と#23井上麗叶を投入し、反撃に出る。
開始直後から前への意識が強まり、サイドからクロスを入れる場面も増えた。正野がゴール前で合わせ、ポストを叩く惜しい場面もあった。前半はシュート1本に抑えられていたハリマだったが、後半は明らかに押し返す力を見せ始めていた。
それでも、次のゴールを奪ったのは世田谷だった。
57分、世田谷は堀江美月に代えて#23荒川結乃花を投入する。その3分後の60分、右サイドで荒川が仕掛けて中央へグラウンダーのクロスを送ると、内田美鈴が低い体制で右足を合わせた。

2-0。
世田谷にとっては、反撃に出たハリマの出鼻をくじく大きな追加点だった。内田はゴール前での一瞬の動き出しと決定力を見せ、エースストライカーとしての仕事を果たした。
2点リード後、世田谷の圧力が弱まる
2点差となったことで、試合は世田谷がコントロールしやすい展開になったように見えた。
しかし、ここから流れは少しずつ変わっていく。
世田谷は前半のように前から圧力をかけ続けるよりも、ボールを保持して落ち着かせる場面が増えた。リードしている以上、時計を進める選択自体は悪くない。問題は、その保持が相手のプレスを外すための保持になりきらず、むしろハリマに押し上げる時間を与えてしまったことだった。
ハリマは2点を追う展開になり、リスクを負って前へ出る。最終ラインから丁寧につなぐよりも、前線へ速く届ける選択が増えたことで、世田谷のプレスは効きにくくなった。
83分、千葉園子が1点差に迫る
83分、ハリマがついに1点を返す。
世田谷は右サイドの低い位置でボールを奪ったものの、密集地帯でパスを選択。これをハリマに即時奪還され、#2児玉耀が前線へ浮き球のパスを送る。これに反応した千葉園子が左サイドから抜け出し、GKをかわして難しい角度から左足でフィニッシュ。ボールはゴールへ吸い込まれた。
世田谷にとっては、自陣でボールを奪った後の処理が甘くなったところから生まれた失点だった。
一方のハリマにとっては、エースに良い形でボールを届ければ得点の可能性が生まれることを改めて示したゴールだった。

90+2分、再び千葉。ハリマが土壇場で追いつく
1点差に迫ったハリマは、さらに前へ出る。
世田谷は逃げ切りを図るが、ハリマの勢いを受け止めきれない。後半アディショナルタイム、試合を決定づける場面が訪れる。
左サイドでスローインを素早くリスタート。川﨑がプレッシャーの弱い状態でクロスを上げる。世田谷GK大塚美緒が対応したものの、弾いたボールはゴール前に残った。
そこに詰めていたのが、千葉園子だった。
左足で押し込み、2-2。ハリマが土壇場で同点に追いついた。
世田谷は最後に勝ち越しを狙ったが、残された時間は少なかった。試合はそのまま終了。勝利目前だった世田谷と、敗戦目前から追いついたハリマ。両チームにとって対照的な意味を持つ勝点1となった。

総括
世田谷にとっては、大観衆の前でつかみかけた勝利が手から滑り落ちた一戦だった。一方のハリマにとっては、前半の内容からは想像しにくいほどの猛追を見せ、敗戦濃厚の展開から勝点1をもぎ取った試合だった。
スフィーダ世田谷FC
世田谷にとっては、勝点3を取り切れる可能性が高い試合だった。
前半の内容は良かった。ハイプレス、球際、セカンドボールの回収、奪ってからの前進。世田谷がやりたいサッカーはかなり明確に出ていた。38分の先制点も、前線からの守備が相手のミスを誘発したものと見ていい。
60分の追加点も、途中出場の荒川結乃花が右サイドで違いを作り、内田美鈴がゴール前で仕留める理想的な形だった。堀江美月と内田美鈴が中央で起点となり、そこに北川心子やサイドの選手が絡む攻撃は、シーズン序盤よりも洗練されている。
それだけに、2-0からの試合運びはもったいなかった。
リード後にボールを保持して試合を落ち着かせる判断は必要である。結果論ではあるが、この試合では保持によって相手を動かすというより、前からの圧力を弱めたことでハリマに前進する余地を与えてしまった。
前半のように前から奪い切るのか。あるいは、保持で相手のプレスを外しながら時計を進めるのか。その中間になったことで、終盤のハリマに勢いを渡した印象が強い。
内容の積み上げは確かに見えた。だが、勝てる展開を勝ち切るためには、終盤のゲームマネジメントをもう一段高めたい。
ASハリマアルビオン
ハリマにとっては、前半と後半で大きく表情が変わった試合だった。
前半は苦しかった。最終ラインからのビルドアップを世田谷に狙われ、前進の出口をふさがれた。シュートは前半1本。コーナーキックも奪えず、川﨑咲耶や千葉園子をゴールに近い位置で使う回数は限られていた。
ただ、後半は違った。
ハーフタイムの交代で前への圧力を高め、2点差になってからはよりシンプルに前線へボールを送った。丁寧につなぐことにこだわりすぎず、世田谷のプレスを越える選択を増やしたことで、千葉と川﨑がフィニッシュに絡む場面が増えていった。
後半だけでシュート10本。数字にも、ハリマの反撃がはっきり表れている。
特に千葉園子の2得点は大きかった。83分のゴールは難しい角度からの左足。90+2分の同点弾は、こぼれ球に詰めるストライカーらしい反応だった。チームが苦しい時間帯でも、最後にゴール前で仕事をする。ハリマを敗戦から救ったのは、まさにエースの決定力だった。
一方で、今後に向けた課題もある。
川﨑と千葉を低い位置まで下げて守備や組み立てに関与させると、前進は安定する。ただ、そのぶんゴール前の厚みは薄くなる。逆に2人を高い位置に残せば、相手にとっての脅威は増すが、中盤や最終ラインの負担は大きくなる。
このバランスをどう整えるか。
ハリマが上の順位を目指すためには、ビルドアップの質を高めながら、川﨑と千葉をよりゴールに近い位置でプレーさせる時間を増やしたい。終盤の反発力は見事だっただけに、それを試合の早い時間帯から出せるかが次のテーマになる。
順位表
第13節終了時点で、スフィーダ世田谷FCは7位に順位を上げた。勝点は16。中位グループに食らいつくためにも、勝ち切れなかったことは痛い。
ASハリマアルビオンは10位を維持。勝点は13となり、9位のニッパツ横浜FCシーガルズとの差を2に縮めた。一方で、11位の日体大SMG横浜との差は3。下位争いから抜け出すためにも、次節の直接対決は非常に重要になる。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 29 | 13 | 9 | 2 | 2 | 40 | 9 | +31 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 28 | 13 | 8 | 4 | 1 | 31 | 12 | +19 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 25 | 13 | 7 | 4 | 2 | 25 | 14 | +11 | |
| 4(5) | オルカ鴨川FC | 22 | 13 | 6 | 4 | 3 | 17 | 9 | +8 | |
| 5(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 22 | 13 | 6 | 4 | 3 | 16 | 11 | +5 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 20 | 13 | 6 | 2 | 5 | 19 | 21 | -2 | |
| 7(8) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 13 | 4 | 4 | 5 | 22 | 22 | 0 | |
| 8(7) | 愛媛FCレディース | 16 | 13 | 4 | 4 | 5 | 15 | 21 | -6 | |
| 9(9) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 15 | 13 | 4 | 3 | 6 | 22 | 25 | -3 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 13 | 13 | 3 | 4 | 6 | 14 | 16 | -2 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 13 | 3 | 1 | 9 | 13 | 43 | -30 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 13 | 0 | 0 | 13 | 5 | 36 | -31 |
次節に向けて
次節、7位のスフィーダ世田谷FCは、6位の岡山湯郷Belleとのアウェイ戦に臨む。
前回対戦では世田谷が5-0で快勝しているが、湯郷は後半戦に入ってから2連勝中。戦い方が整理され、調子を上げている。前線の決定力を生かすためにも、世田谷は90分間ハードワークと強度を保ち続けたい。
前回対戦のレビュー
第3節:スフィーダ世田谷FC 5-0 岡山湯郷Belle
10位のASハリマアルビオンは、ホームに11位の日体大SMG横浜を迎える。
ハリマは3戦負けなし。一方の日体大は苦しい状況が続いている。勝点差を広げる意味でも、ハリマにとっては必ず勝点3を手にしたい一戦である。
前回対戦のレビュー
第3節:日体大SMG横浜 1-0 ASハリマアルビオン
リソース
フルマッチLIVE配信
第13節全試合ハイライト動画
公式記録

