2026プレナスなでしこリーグ1部 第14節、ASハリマアルビオンはホームに日体大SMG横浜を迎えた。
第13節終了時点で、ASハリマアルビオンは10位、日体大SMG横浜は11位。残留争いから距離を取りたいハリマと、入替戦圏の11位から抜け出したい日体大にとって、順位表の意味でも大きな直接対決だった。
前回対戦は第3節。ハリマが主導権を握りながらも、終盤の失点で日体大SMG横浜に0-1で敗れた。
前回対戦のレビュー
第3節:日体大SMG横浜 1-0 ASハリマアルビオン
今回も、試合の主導権を握ったのはハリマだった。ただし、前回と違ったのはゴールを奪い切ったことだ。
前半から相手最終ラインの背後を狙い、前線の強度でも上回ったハリマは、後半に前線からの守備を得点につなげて決勝点。1-0で勝ち切り、前回対戦の借りを返した。
この記事の要点
- ASハリマアルビオンは前線の強度と背後への狙いで日体大守備陣に圧力をかけ続けた
- 決勝点は55分、千葉園子のボール奪取から川﨑咲耶を経由し、正野可菜子が右足で仕留めた
- ハリマは第11節から3勝1分と調子を上げ、7位へ浮上。日体大SMG横浜は4連敗で11位にとどまった
試合情報
試合展開
日体大は前から狙うが、ハリマが徐々に対応
標榜していた超攻撃的サッカーが機能せず、大量失点による敗戦が続いた結果、第10節からは守備に重心を置いた戦い方を選択してきた日体大SMG横浜。
しかし、この日の日体大の立ち上がりは、低い位置で構えるだけではなかった。ハリマのビルドアップに対して前線から圧力をかけ、高い位置でボールを奪ってショートカウンターにつなげようとする意図が見えた。
序盤はその狙いが一定の効果を見せた。ハリマが後方でボールを動かす場面に対して、日体大は前線から寄せ、簡単には前進させない。

ただ、時間の経過とともにハリマが対応していく。
ハリマは無理に細かくつなぐだけでなく、前線へのロングボールや相手最終ラインの背後を狙うパスを使い始めた。#9川﨑咲耶、#10千葉園子が相手の最終ラインと中盤の間に入り、そこにボールが入ることで日体大の守備は後ろ向きに対応する場面が増えていった。
日体大のプレスは前から出ていく意識こそあったが、ボールホルダーに対して最後の一歩を詰め切れない場面もあった。スペースを埋めることはできていても、相手のプレー精度を落とすところまで圧力をかけられない。そのため、ハリマは人とボールを動かしながら、少しずつ日体大のプレスを外していった。
背後を狙うハリマ、耐える日体大
前半中盤以降、試合の流れはハリマに傾いた。
ハリマが効果的だったのは、日体大の最終ラインの背後、あるいはセンターバックとサイドバックの間を狙うボールである。日体大はゾーンで対応しようとしていたが、ライン間や選手間にギャップが生まれやすく、そこへハリマの前線が入り込んだ。
特に、逆サイドから入ってくる#23井上麗叶の動きは、日体大にとって対応が難しかった。川﨑や千葉が前線で起点になり、そこからサイドを変える、あるいは背後を突く形で、ハリマは複数回の決定機を作った。

一方の日体大は、#7髙橋光莉のドリブル突破など、個の力で前進する場面はあった。しかし、攻撃が単発になりやすく、前線の選手に入ったあとにチーム全体で押し上げる形を作り切れなかった。
ハリマは前半から主導権を握ったが、最後の部分で仕留め切れない。日体大は押し込まれながらもGKを中心に粘り、前半は0-0で折り返した。
前線からの守備が決勝点を生む
後半に入ると、ハリマはさらに前への圧力を強めた。
日体大のビルドアップに対して、前線から素早く寄せる。相手が縦パスを入れようとした瞬間を逃さず、ハリマの中盤と前線が連動してボールを奪いにいった。
均衡が破れたのは後半10分。
#10千葉園子が相手の縦パスをインターセプトし、すぐに#9川﨑咲耶へ預ける。川﨑は中盤からスプリントして上がってきた#14正野可菜子へスルーパス。正野はペナルティエリア内で日体大DF2人に対応されながらも前進すると、角度のない位置から右足を振り抜いた。
シュートはニアサイドを破り、ハリマが先制する。
前線からの守備、高い位置での奪取、そして少ないタッチでのフィニッシュ。ハリマがこの試合で狙い続けていた形が、そのまま得点につながった場面だった。

追う日体大、厚みを出せず
先制を許した日体大は、縦に速くボールを入れる意識を強めた。ゴールキックでも前線へ蹴り出し、早い段階でハリマ陣内へボールを運ぼうとする。
しかし、前線の3枚以外の関与が少なく、攻撃に厚みが出なかった。
前線にボールが入っても、セカンドボールの回収でハリマに上回られる。日体大の中盤と最終ラインの距離が広がり、間延びした状態になることで、こぼれ球を拾って二次攻撃につなげる形を作れなかった。
逆にハリマは、追加点こそ奪えなかったものの、終盤まで前からの守備とカウンターの勢いを維持した。ベテランの域に入っている千葉、川﨑は運動量を落とさず、ボールを収める、背後へ走る、守備で戻るという仕事を続けた。
中盤では、こちらもベテランの小池快が相手の攻撃の芽を摘み、日体大が前向きに攻撃へ移る前にプレーを止めた。守備でも大きく崩される場面は少なく、ハリマは1点のリードを最後まで守り切った。
ハリマは最後まで攻勢を緩めず、追加点を狙い続けた。2点目こそ生まれなかったが、1点のリードを守り切って1-0で勝利。前回対戦で敗れた日体大SMG横浜を相手に、見事に雪辱を果たした。

総括
スコアだけを見れば最少得点差の勝利だが、試合内容ではハリマが多くの時間で主導権を握った。前半から相手最終ラインの背後を狙い、後半には前線からの守備を決勝点につなげた。
一方で、20本のシュートを放ちながら1得点にとどまった点は課題でもある。前半のうちに先制できていれば、より楽に試合を進められた可能性は高い。
それでも、前回対戦では主導権を握りながら敗れた相手に対し、今回は無失点で勝ち切った。内容と結果を結びつけたという意味で、ハリマにとって大きな勝点3だった。
ASハリマアルビオン
ハリマは、第11節から3勝1分。前半戦で苦しんだチームが、明確に調子を上げている。
この試合で良かったのは、攻撃の選択肢が一つではなかったことだ。
ビルドアップで丁寧に前進するだけでなく、相手の最終ラインの背後へ早めにボールを送る。前線から奪いに行く。ロングボールを使って相手を下げる。局面に応じた使い分けができていた。
千葉園子と川﨑咲耶は、前線でボールを引き出しながら守備でも強度を落とさなかった。正野可菜子は、その2人が作った流れをゴールという結果につなげた。井上麗叶は積極的にゴールを狙い続けた。
課題は、やはり決定力である。
20本のシュートを放ちながら1得点にとどまったことを考えれば、追加点を奪い切る力は今後も問われる。特に上位相手では、決定機の数がここまで多くなるとは限らない。少ないチャンスを確実に仕留める精度が、さらに上の順位を狙ううえで必要になる。
それでも、チーム状態は明らかに上向きである。中位グループに顔を出した今、残りのシーズンでどこまで存在感を高められるか。中断期間前の次節は、その現在地を測る大きな一戦になる。
日体大SMG横浜
日体大SMG横浜は、前からハリマのビルドアップを狙う入り方自体は悪くなかった。
高い位置で奪い、ショートカウンターに持ち込む。そうした狙いは見えた。実際に序盤はハリマに自由な前進を許さない時間帯もあった。
ただ、プレスを継続する強度と、奪い切ったあとの攻撃の厚みに課題が残った。
守備では、スペースを埋めることはできていたが、ボールホルダーへ強く寄せてプレー精度を落とす場面は多くなかった。結果として、ハリマに前を向かれ、背後へのボールを供給される場面が増えた。
攻撃では、髙橋光莉のドリブル突破など個の力で打開する場面はあった。しかし、チーム全体が押し上げ切れず、前線の選手だけで完結する攻撃が多くなった。セカンドボールを拾えないため、攻撃が続かず、ハリマに再び押し返される展開になった。
日体大には、世代別代表に選出される選手を含め、個の能力を持った選手がいる。だからこそ、その力を生かすためにも、守備の強度、ライン間の距離、セカンドボールへの反応を整理したい。
いま必要なのは、90分を通して粘り強く戦う土台を作ることだろう。守備で耐え、前線の個の力を生かす。現状を考えれば、まずはその形をどこまで徹底できるかが問われる。
順位表
第14節終了時点で、ASハリマアルビオンは7位に浮上した。
勝点は16。スフィーダ世田谷FC、愛媛FCレディースと勝点で並ぶが、下位グループから一歩抜け出し、中位グループに食い込む位置まで上がってきた。
一方、日体大SMG横浜は11位のまま。4連敗となり、入替戦圏から抜け出せない状況が続いている。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 31 | 14 | 9 | 4 | 1 | 37 | 12 | +25 | |
| 2(1) | 静岡SSUボニータ | 29 | 14 | 9 | 2 | 3 | 40 | 10 | +30 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 28 | 14 | 8 | 4 | 2 | 28 | 15 | +13 | |
| 4(4) | オルカ鴨川FC | 25 | 14 | 7 | 4 | 3 | 19 | 10 | +9 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 25 | 14 | 7 | 4 | 3 | 17 | 11 | +6 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 23 | 14 | 7 | 2 | 5 | 21 | 21 | 0 | |
| 7(10) | ASハリマアルビオン | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 15 | 16 | -1 | |
| 8(7) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 22 | 24 | -2 | |
| 9(8) | 愛媛FCレディース | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 15 | 27 | -12 | |
| 10(9) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 15 | 14 | 4 | 3 | 7 | 23 | 27 | -4 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 14 | 3 | 1 | 10 | 13 | 44 | -31 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 14 | 0 | 0 | 14 | 6 | 39 | -33 |
次節に向けて
次節、ASハリマアルビオンは再びホームで静岡SSUボニータと対戦する。
静岡はリーグ屈指の攻撃力を持ち、守備も堅い上位チームである。前回対戦では、ハリマが0-2で敗れており、得点差以上に力の差を感じさせられる内容だった。
今回も、押し込まれる時間は長くなるだろう。だからこそ、守備で耐えながら、少ない決定機をどれだけ仕留められるかが重要になる。日体大戦で見せた前線の強度と背後への狙いを、上位相手にも出せるか。中断期間前に良い流れをさらに強めたい一戦だ。
日体大SMG横浜は、ホームにオルカ鴨川FCを迎える。
前回対戦では、日体大がビルドアップを狙われ、守備の曖昧さも突かれて0-4で敗れた。
前回対戦のレビュー
第4節:オルカ鴨川FC 4-0 日体大SMG横浜
オルカはリーグ屈指の守備力を持つチームであり、簡単にゴールを奪える相手ではない。日体大としては、まず守備の強度を高め、90分間粘り強く戦えるかが問われる。
中断期間前に、自分たちの現在地を示せるか。日体大にとっても重要な一戦になる。
リソース
フルマッチLIVE配信
第14節全試合ハイライト動画
公式記録

