宮崎県新富町を拠点とするヴィアマテラス宮崎は、なでしこリーグ1部に所属する女子サッカークラブです。
2023シーズンになでしこリーグ2部で優勝すると、2024シーズンは1部昇格初年度ながらリーグ初優勝を達成。なでしこリーグ2部参入から2年連続でタイトルを獲得し、一気にその存在感を示しました。
2026シーズンも、局面の強度、サイドからの推進力、前線のスピードを武器に上位争いを続けています。一方で、昨季までの縦への速さに加え、後方から丁寧にボールを動かす場面も増えています。ビルドアップを使いながら前進し、そこから一気にスピードを上げてゴールへ向かう形は、今季の宮崎を見るうえで大きなポイントです。
本ページでは、ヴィアマテラス宮崎のチームとしての特徴、注目選手、関連する試合レビュー記事をまとめて紹介します。
チームスタッツ
チームの特徴
2部優勝から1部初優勝へ、一気に駆け上がったチーム
ヴィアマテラス宮崎は、2023シーズンにプレナスなでしこリーグ2部で優勝し、2024シーズンから1部へ昇格しました。
昇格初年度の2024シーズンは、16勝1分5敗、55得点25失点で1部初優勝。得点数はリーグ最多で、攻撃力と運動量を兼ね備えたチームとして強いインパクトを残しました。
2025シーズンは4位。連覇こそ逃しましたが、10勝4分8敗、30得点27失点で上位争いに加わり続けました。
| シーズン | 最終順位 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 得点順位 | 全チーム平均得点 | 全チーム中央値 | 失点 | 失点順位 | 全チーム平均失点 | 全チーム中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024 | 1位 | 16 | 1 | 5 | 55 | 1位 | 30.9 | 31.5 | 25 | 5位タイ | 30.9 | 26.5 |
| 2025 | 4位 | 10 | 4 | 8 | 30 | 5位 | 28.2 | 28.0 | 27 | 5位タイ | 28.2 | 28.0 |
※得点順位は得点数の多い順、失点順位は失点数の少ない順で算出。
※「全チーム平均」「全チーム中央値」は、その年のリーグ全体の得点・失点分布を把握するための参考値です。
※ヴィアマテラス宮崎は2024シーズンからなでしこリーグ1部に参戦しているため、ここでは1部昇格後の成績を掲載しています。
数字を見ると、2024シーズンの攻撃力が際立っています。55得点はリーグ最多で、1部昇格初年度の優勝を支える大きな要因となりました。
一方で、2025シーズンは得点数が30まで減少。前年王者として研究される中で、いかに攻撃の形を増やすかが課題になりました。
強度と推進力で前へ出る
ヴィアマテラス宮崎の大きな魅力は、局面の強度と前へ出る推進力です。
相手に簡単に前を向かせず、ボールを奪えば素早く前線へ進む。中盤やサイドでボールを受けた選手が、迷わずゴール方向へ運べることが、宮崎の攻撃に迫力を与えています。
特にサイドからの前進は、宮崎の大きな武器です。永野桃子、山本さゆりらが関わりながら、外側から一気に前進し、クロスやカットイン、背後への抜け出しで相手ゴールへ迫る。これが上位争いを続けるうえでの大きな強みになっています。
後方からつなぐ形と、そこを狙われたときの課題
2026シーズンの宮崎は、昨季までの強度や推進力に加えて、後方から丁寧にボールを動かす場面が増えています。
最終ラインや中盤でボールを保持し、相手の出方を見ながら前進する。サイドや前線の選手が良い状態でボールを受けられれば、そこから一気にスピードを上げてゴールへ向かう。単純に縦へ急ぐだけではなく、ビルドアップを使いながら攻撃の形を作ろうとしている点は、2026シーズンの宮崎の変化です。
一方で、そのビルドアップを相手に狙われたときには、攻めあぐねる場面もあります。
第12節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦では、名古屋の前線からの守備と切り替えにより、宮崎はサイドや中盤で前を向く前の段階を制限されました。第15節の伊賀FCくノ一三重戦でも、伊賀の前線からのプレスと高い最終ラインに苦しみ、後方から前進する形をなかなか作れませんでした。
宮崎には、前を向けば一気にゴールへ迫れる選手が複数います。だからこそ、その選手たちへどのように良い状態でボールを届けるか。後方からのビルドアップを相手に狙われたとき、別の前進ルートを作れるか。
ここが、2026シーズン後半の宮崎にとって大きなポイントになりそうです。
苦しい展開でも勝点を拾う粘り
宮崎は、試合の流れが苦しい時間帯でも最後まで勝点を取りにいけるチームです。
第13節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦では、敗戦目前まで追い詰められながら、後半アディショナルタイムに追いついて2-2。最後まで諦めずに勝点1を拾った試合でした。
第14節のVONDS市原FCレディース戦では、先制を許しながらも3-1で逆転勝利。前半終了間際に追いつき、後半に2得点を奪って試合をひっくり返しました。
優勝争いを続けるうえでは、内容が良い試合だけで勝点を積み上げるわけにはいきません。苦しい展開でも勝点を拾う力、先制されても押し返す力は、宮崎が上位に踏みとどまるための大きな武器です。
注目選手
ここからは、筆者が2026シーズンの試合を追う中で特に印象に残った5選手を紹介します。
宮崎には推進力のある選手が多くそろいますが、今回はチームの土台を支える永野桃子、前線で違いを作る土屋佑津季と小澤寛、中盤から攻撃を動かす山本さゆり、最後尾でチームを支える後藤優香を取り上げます。
DF 永野 桃子(MOMOKO NAGANO)
ヴィアマテラス宮崎の攻守を支える、スピード・運動量と経験が豊富なサイドの選手です。
宮崎公式の選手一覧では、永野選手はDF登録ですが、 守備だけでなく、攻撃にも関われる点が大きな魅力です。
豊富な運動量とスピードを活かして90分間常に裏抜けやサイド突破を狙う。守備における対人強度も高い。相手に走り勝つためには、永野選手のように、サイドや後方で汗をかける選手が欠かせません。
第2節のニッパツ戦では後半アディショナルタイムにも関わらずスプリントでボールを奪取し、そのまま勝利を決定づける追加点を挙げました。
第8節の静岡戦では、チームは敗れたものの、左サイドからの仕掛けで相手守備を揺さぶり続けました。宮崎の攻撃の中心の一人として、首位攻防戦でもハードワークと前への姿勢を示しました。
FW 土屋 佑津季(YUZUKI TSUCHIYA)
前線でスピードと推進力をもたらし、ここまで8得点はチームトップ。今季、静岡SSUボニータから加入しました。
相手最終ラインの背後を狙う動きと、ボールを受けた後の前への迫力が魅力です。
宮崎がサイドや中盤で前を向いた瞬間、土屋選手が背後へ動き出すことで、相手守備はラインを上げにくくなります。裏への抜け出しだけでなく、ドリブルで運びながらゴールへ向かう場面もあり、前線にスピードと深さを加えられる選手です。
第10節のスフィーダ世田谷FC戦では、世田谷のハイプレスと粘り強い守備に苦しむ中で先制点を記録。チームは直後に追いつかれましたが、難しい展開でゴールを奪った点は、前線の選手として大きな価値がありました。
MF/FW 小澤 寛(HIRO OZAWA)
前線で得点と起点の両面に関われるMF/FWです。2026シーズンには、第4節の伊賀FCくノ一三重戦でなでしこリーグ通算100試合出場を達成しています。
大きな魅力は、ゴール前で結果を出せることに加え、前線から中盤に下りて攻撃の起点にもなれる点です。相手の守備が整っている場面でも、ボールを受けて味方を前向きに使い、宮崎が前進するための時間を作ることができます。
第6節の日体大SMG横浜戦では、開始早々に先制点を記録。山本さゆり選手がつないだボールを受け、素早い右足のシュートで試合の流れを宮崎に引き寄せました。
さらに第11節のオルカ鴨川FC戦では2得点。オルカの堅い守備をこじ開け、宮崎の0-2勝利を決定づけました。得点面だけでなく、中盤に下がって攻撃の起点になり、チームが前進するために幅広く動いた点も印象的でした。
MF 山本 さゆり(SAYURI YAMAMOTO)
相手の寄せを見ながらパスを選び、前線やサイドにボールを届ける。自ら運んで相手の守備を動かすこともでき、宮崎の右サイドで攻撃の一翼を担っている選手です。
2026シーズンの宮崎は、後方からボールをつなぐ場面が増えています。その中で、山本選手が中盤でどのように受け、どのタイミングで前へつけるかは、チームの攻撃を左右する重要なポイントです。
第9節の愛媛FCレディース戦では、山本選手の低いクロスから嘉数飛鳥選手の先制点が生まれました。相手のハイプレスに苦しむ時間帯で、ゴールにつながる決定的なプレーができる点は、山本選手の大きな魅力です。
GK 後藤 優香(YUKA GOTO)
宮崎が2026シーズン後半にもう一度優勝争いへ踏み込むためには、守備の安定も欠かせません。GKの後藤選手は、その最後尾を担う重要な存在です。今季、伊賀FCくノ一三重から加入しました。
第12節の名古屋戦では、終盤に名古屋の追加点を防ぐビッグセーブを見せました。敗れた試合ではありましたが、前がかりになった宮崎を最後尾から支えるプレーは印象的でした。
また、後方からのビルドアップを使う場面が増えている2026シーズンにおいて、GKがどのようにボールに関わるかも重要です。後藤選手が落ち着いてつなぎ直せるか、あるいは相手のプレスを見て前線へ逃がせるかは、宮崎の前進方法にも関わってきます。
中断明け、王座奪還へ踏みとどまれるか
2023シーズンに2部優勝、2024シーズンに1部初優勝を果たし、短期間でなでしこリーグ上位へ駆け上がったヴィアマテラス宮崎。
2026シーズンも、局面の強度、サイドからの推進力、前線のスピードを武器に優勝争いを続けています。一方で、昨季よりも後方からのビルドアップを使う場面が増えたことで、そこを相手に狙われたときに攻撃が停滞する試合もありました。
中断期間明け、強度と推進力を維持しながら、後方からのビルドアップを相手に狙われたときに、どのような前進ルートを作れるか。
その課題に答えを出せるかどうかが、王座奪還を目指す2026シーズン後半の大きなポイントになりそうです。

