2026プレナスなでしこリーグ1部は第13節を迎えた。
蒸し暑い6月中盤。全国各地で、後半戦の流れを左右する熱い戦いが繰り広げられた。首位争い、上位追走、中位の順位争い、下位からの巻き返し。それぞれの立場で勝点が重みを増していくなか、今節も見どころの多い6試合となった。
最大の注目カードは、2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋と4位・伊賀FCくノ一三重の上位直接対決だった。名古屋は伊賀の強みを抑えながら、2-1で勝利。首位・静岡SSUボニータを勝点1差で追う状況を維持した。
一方、首位の静岡は日体大SMG横浜に5-0で快勝し、前節の敗戦から立て直した。ヴィアマテラス宮崎はニッパツ横浜FCシーガルズを相手に苦しみながらも、後半アディショナルタイムに追いついて勝点1を確保。スフィーダ世田谷FCとASハリマアルビオンの一戦でも、後半アディショナルタイムの同点弾が生まれた。
第13節は、試合終盤の一瞬が勝点を大きく動かしたラウンドでもあった。
ダッシュボード
第13節の試合結果
| 対戦カード | 結果 | 超概要コメント | リンク |
|---|---|---|---|
| VONDS vs 湯郷 | 0-2 | 少ないチャンスを決め切った湯郷の勝利 | 試合レビュー |
| 世田谷 vs ハリマ | 2-2 | 世田谷が2点先行も試合終盤にハリマが2得点 | 試合レビュー |
| 名古屋 vs 伊賀 | 2-1 | 相手の強みを抑えた名古屋の勝利 | 試合レビュー |
| 日体大 vs 静岡 | 1-0 | 静岡が5発快勝で首位キープ | 試合レビュー |
| オルカ vs 愛媛 | 2-1 | オルカは押し込まれつつも決定力で愛媛を上回る | 試合レビュー |
| ニッパツ vs 宮崎 | 1-2 | 宮崎が試合終了間際に劇的同点弾、ニッパツは勝点3を逃す | 試合レビュー |
第13節で見えたリーグ全体の動き
第12節を終えて、優勝争いは一気に詰まってきた。首位・静岡が世田谷に敗れ、名古屋が宮崎との上位直接対決を制したことで、首位・静岡と2位・名古屋の勝ち点差はわずか1。前半戦は静岡を宮崎が追う構図だったが、後半戦初戦で名古屋が優勝争いの中心へ入ってきた。
また、後半戦初戦らしく、再戦による修正も目立った。世田谷は開幕節で大敗した静岡に逆転勝利。名古屋も宮崎の強度やサイド攻撃を、運動量と切り替えで上回った。前回対戦の反省が、内容と結果に表れた節だった。
中位グループでは、湯郷、愛媛、世田谷が順位を上げた一方、ニッパツは6位から9位へ後退。伊賀とオルカは直接対決を0-0で終え、順位を維持した。中位グループは勝ち点差が小さく、1試合の結果で順位が大きく動く状況が続いている。
下位グループでは、ハリマが後半戦初戦を勝利で飾り、10位へ浮上。一方、VONDS市原FCレディースは開幕12連敗となった。日体大は11位に後退した。
順位変動と順位表(第13節終了時点)
※スマートフォンでは横にスクロールしてご覧ください。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 29 | 13 | 9 | 2 | 2 | 40 | 9 | +31 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 28 | 13 | 8 | 4 | 1 | 31 | 12 | +19 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 25 | 13 | 7 | 4 | 2 | 25 | 14 | +11 | |
| 4(5) | オルカ鴨川FC | 22 | 13 | 6 | 4 | 3 | 17 | 9 | +8 | |
| 5(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 22 | 13 | 6 | 4 | 3 | 16 | 11 | +5 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 20 | 13 | 6 | 2 | 5 | 19 | 21 | -2 | |
| 7(8) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 13 | 4 | 4 | 5 | 22 | 22 | 0 | |
| 8(7) | 愛媛FCレディース | 16 | 13 | 4 | 4 | 5 | 15 | 21 | -6 | |
| 9(9) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 15 | 13 | 4 | 3 | 6 | 22 | 25 | -3 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 13 | 13 | 3 | 4 | 6 | 14 | 16 | -2 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 13 | 3 | 1 | 9 | 13 | 43 | -30 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 13 | 0 | 0 | 13 | 5 | 36 | -31 |
得点ランキング(第13節終了時点)
| 順位 | 得点数 (今節得点) | 氏名 | チーム名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 11(+1) | 内田 美鈴 | スフィーダ世田谷FC |
| 1 | 11(+1) | 横山 久美 | 静岡SSUボニータ |
| 3 | 8 | 堀江 美月 | スフィーダ世田谷FC |
| 4 | 7(+2) | 三輪 玲奈 | 静岡SSUボニータ |
| 4 | 7(+2) | 千葉 園子 | ASハリマアルビオン |
| 4 | 7 | 土屋 佑津季 | ヴィアマテラス宮崎 |
| 7 | 6 | 室井 胡心 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 7 | 6(+2) | 岡 百々花 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 7 | 6 | 中島 咲友菜 | 静岡SSUボニータ |
| 7 | 6(+1) | 藤原 愛里 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
各対戦カード振り返り
名古屋が伊賀との上位直接対決を制す
第13節最大の注目カードとなったのは、朝日インテック・ラブリッジ名古屋と伊賀FCくノ一三重の上位直接対決だった。
名古屋は伊賀の武器であるサイド攻撃を制限し、守備で相手の強みを消しながら、奪った後のビルドアップと切り替えで主導権を握った。
渕上野乃佳の先制後、常田麻友に同点弾を許したが、後半開始早々に藤原愛里が勝ち越し点を奪取。伊賀も終盤に押し込んだが、名古屋が集中を切らさず勝ち切り、首位・静岡を勝点1差で追走した。
静岡は5得点快勝。首位の座を守る
首位・静岡SSUボニータは、日体大SMG横浜に5-0で快勝した。
詳細レビュー
日体大SMG横浜 0-5 静岡SSUボニータ
前節の敗戦からしっかり立て直した静岡は、序盤から横山久美を起点に日体大の守備を揺さぶる。三輪玲奈の2得点などで前半のうちに3点差をつけた。
後半も白井未来、横山久美が加点し、複数の得点パターンを示した完勝だった。横山はこの試合で通算182得点目を記録し、なでしこリーグ歴代最多得点記録に並んだ。
オルカが愛媛に勝利し、4位浮上
オルカ鴨川FCは、ホームで愛媛FCレディースに2-1で勝利し、4位へ浮上した。
試合レビュー
オルカ鴨川FC 2-1 愛媛FCレディース
開始5分に江藤里桜奈のなでしこリーグ初得点で先制したが、愛媛も16分に毛利美佑が同点弾。
互いに主導権を奪い合う展開となった中、65分に河野有希が決勝点を奪った。
オルカはビルドアップ時のリスク管理や終盤の試合運びに課題を残したものの、上位追走に必要な勝点3を取り切ったことは大きい。
宮崎は土壇場で勝点1。ニッパツは勝利目前で被弾
ニッパツ横浜FCシーガルズとヴィアマテラス宮崎の一戦は、2-2の引き分けに終わった。
宮崎にとっては、首位・静岡と2位・名古屋を追うために勝点3が欲しい試合だった。一方、ニッパツは3連敗中で、流れを変えたい一戦。
ニッパツが勝利目前まで迫ったが、宮崎が後半アディショナルタイムに追いついた。
ニッパツは前線からのプレスと背後への抜け出しで宮崎のビルドアップを制限し、岡百々花の2得点でリードして前半を終えた。
宮崎は流れの中では苦しみ、2得点はいずれもセットプレーから。90+1分に小牧明日香が同点弾を決め、土壇場で勝点1を拾った。
ニッパツにとっては痛恨、宮崎にとっては負けなかったことに意味があるドローだった。
湯郷は塩谷瑠南の2試合連続2得点で連勝
岡山湯郷Belleは、VONDS市原FCレディースに2-0で勝利し、後半戦2連勝を飾った。
VONDS市原はボールを持つ時間や決定機を作り、内容面では前進を見せたが、湯郷GK上野理佐の好守もあり最後までゴールを奪えなかった。
湯郷は押し込まれる時間もありながら、決めるべき場面で決め、守るべき場面で守り切った。
塩谷はリーグ通算100試合出場の節目に2試合連続2ゴールを記録し、勝利の主役となった。
VONDS市原はシュート数では湯郷を上回ったが、最後までゴールを奪えなかった。内容面では前進が見える一方、決定機を結果に変える力が不足している。開幕13連敗となり、勝点0のまま12位に沈んでいる。
世田谷は勝点3の目前でドロー。ハリマが終盤2発で追いつく
前節、首位・静岡に逆転勝利した世田谷と、第11節・第12節を連勝していたハリマ。どちらも良い流れを継続したい試合だった。
世田谷が2点を先行し、ホームで連勝をつかみかけたが、終盤にハリマが粘りを見せた。
世田谷はハイプレスと球際の強度で主導権を握り、オウンゴールと内田美鈴の得点で2-0とリード。
しかし83分、90+2分に千葉園子が連続ゴールを決め、ハリマが土壇場で追いついた。
世田谷にとっては、勝点3目前で逃した痛いドローである。静岡戦の勝利から連勝につなげたかったが、最後の試合運びに課題を残した。
一方のハリマは、2点差を追いついた価値ある引き分け。3連勝は逃したものの、終盤まで諦めない粘り強さを示した。
次節の注目カード
静岡SSUボニータ vs 伊賀FCくノ一三重
第14節最大の注目カードには、首位・静岡SSUボニータと5位・伊賀FCくノ一三重の一戦を挙げたい。
前回対戦となった第3節は、伊賀のホームで0-0の引き分け。強力な攻撃力を持つ静岡を相手に、伊賀が大きく崩れることなく受け止め、鋭いカウンターで応戦した見ごたえのある試合だった。
第3節 試合レビュー
伊賀FCくノ一三重 0-0 静岡SSUボニータ
静岡は首位に立っているものの、すぐ後ろには勝点1差で朝日インテック・ラブリッジ名古屋が迫っている。優勝争いを優位に進めるためにも、ここで勝点を落とすわけにはいかない。堅い守備をベースに、豊富な運動量、ハードワーク、鋭いサイド攻撃を持つ伊賀をどう攻略するか。優勝を狙ううえで、伊賀のような守備強度の高い相手に勝ち切れる力が求められる。
対する伊賀は、第13節で名古屋との上位対決に敗れ、5位へ後退した。ここからは第14節・静岡戦、第15節・ヴィアマテラス宮崎戦と、上位対決が続く。中断期間前のこの3連戦は、伊賀の最終順位を大きく左右する山場になるだろう。
名古屋戦では、伊賀の武器であるサイド攻撃を十分に発揮し切れなかった。静岡戦でも、ボールを握られる時間は長くなる可能性がある。それでも、第3節と同じように守備の集中を保ち、奪った後に素早く前へ出ることができれば、勝点を持ち帰るチャンスはある。
静岡にとっては首位を守るための重要な一戦。伊賀にとっては、上位争いに踏みとどまるために負けられない一戦である。第3節のスコアレスドローから、両チームがどのように修正して再戦に臨むのか注目したい。

