第3節、朝日インテック・ラブリッジ名古屋はホームで愛媛FCレディースに4-5で敗れた。
愛媛の前線からのプレス、球際の強度、最後まで走り切るハードワークに苦しめられた一戦だった。名古屋にとっては、今シーズンの戦い方を見直すきっかけにもなった敗戦だったといえる。
その相手との再戦となった第14節。
愛媛はホームでシーズンダブルを狙い、名古屋は前回対戦の借りを返す一戦となった。
前回対戦のレビュー
第3節:朝日インテック・ラブリッジ名古屋 4-5 愛媛FCレディース
結果は、愛媛FCレディース 0-6 朝日インテック・ラブリッジ名古屋。
藤原愛里がハットトリックを達成し、逸見桃子、田中亜依、渕上野乃佳も続いた。名古屋が前回対戦とは異なる姿を見せ、6得点・無失点で完勝した。
この記事の要点
- 名古屋は、第3節で苦しめられた愛媛のプレスを正面から上回った。
- 前線からの守備、セカンドボールへの反応、中盤の球際、サイドの押し上げで主導権を握り、試合を通じて愛媛を押し込んだ。
- 愛媛は序盤こそ前から圧力をかけたものの、時間の経過とともに自陣での守備時間が長くなり、攻撃に厚みを出せなかった。
試合情報
試合展開
前回対戦の再現を狙った愛媛、上回った名古屋
立ち上がり、愛媛は前回対戦と同じように、名古屋の最終ラインへ積極的にプレスをかけた。
#26桜井由衣香が高い位置でボールを奪う場面もあり、名古屋に自由なビルドアップを許さない狙いは見えていた。
しかし、名古屋はその圧力を受けても慌てなかった。
低い位置から丁寧につなぐだけでなく、縦に長いボールも使いながら、チーム全体を押し上げる。前線が競り、こぼれ球に中盤が反応することで、愛媛を自陣に押し込んでいった。

愛媛も自陣からのビルドアップを試みたが、名古屋の寄せは速かった。中盤で自由に前を向けず、ボールを持っているように見えても、実際には前進の出口を制限されていた。
その結果、バックパスが増え、前線の選手がボールを受けるために下がってくる場面も多くなった。前線の厚みが失われ、愛媛は相手陣内でプレーする時間をなかなか作れなかった。
14分、藤原愛里の先制点が試合の流れを決める
名古屋の先制点は14分だった。
愛媛陣内で得たフリーキックから、#14上田真子がゴール前へボールを送る。#24角田菜々子がヘディングで競り、こぼれ球に反応した#11藤原愛里がボレーで合わせた。
山なりの軌道を描いたシュートは、愛媛GK小松里弥の頭上を越えてゴールネットを揺らす。
前回対戦では愛媛の勢いに押し込まれた名古屋だったが、この日は先に試合を動かした。セットプレーから確実にチャンスを仕留めたことで、名古屋はより落ち着いて試合を進められるようになった。

先制後の名古屋は、攻守の切り替えでも愛媛を上回った。
ボールを失っても前線のプレスバックが速く、奪い返すと素早くサイドや前線へ展開する。選手間の距離も保たれており、セカンドボールへの反応でも優位に立った。
愛媛にとっては、前回対戦とは逆の構図になっていった。
後半、セットプレーから追加点。勝負の流れは名古屋へ
後半の立ち上がり、愛媛は勢いを持って入った。
しかし、前線からの守備強度、ボール奪取後の切り替え、球際の強さでは名古屋が上回り続けた。愛媛はGK小松の好守で何度か決定機をしのいだが、流れを大きく変えるところまでは至らない。
62分、名古屋が追加点を奪う。
コーナーキックから高さのある#17堀内意が頭で折り返し、ゴール前の混戦で#4逸見桃子が押し込んだ。

1点差の時間帯を長く保てれば、愛媛にも反撃の可能性はあった。しかし、2点目をセットプレーから奪われたことで、試合の流れは大きく名古屋へ傾いた。
ここから名古屋はさらにギアを上げる。
左サイドでは#8渕上野乃佳が高い位置で攻撃に関与し、左サイドバックの#2夏目歩実も徐々に押し上げていく。愛媛の両サイドは守備対応に追われ、相手ゴールに近い位置でプレーする時間を作れなくなった。
藤原愛里がハットトリック。名古屋が一気に突き放す
79分、名古屋が3点目を奪う。
最終ラインから#5安部由希子が持ち上がり、#4逸見桃子との連係で相手の守備を外す。そこから#20増永朱里へスルーパスを通し、増永が低いクロスを入れる。
ゴール前で待っていた藤原愛里は、ワントラップで相手DFを外すと、左足を振り抜いてニアサイドへ決めた。
愛媛は中盤での寄せが遅れ、名古屋の中盤に前を向く時間を与えてしまった。ボールの出どころを抑えられなかったことで、最終ラインは後手の対応を強いられた。
さらに81分、藤原が再びゴールを決めてハットトリックを達成する。
名古屋は終盤に入っても運動量を落とさず、攻撃の手を緩めなかった。89分には途中出場の田中亜依が押し込み、90+5分には渕上野乃佳がこぼれ球を詰めて6点目。

名古屋が最後まで走り切り、最後までゴールを狙い続けた試合だった。
総括
前回対戦では、愛媛がプレスとハードワークで名古屋を苦しめ、4-5で競り勝った。
しかし、今回は名古屋がその構図を完全にひっくり返した。
前線からの守備、セカンドボールへの反応、中盤の強度、セットプレー、サイド攻撃。名古屋は試合のあらゆる局面で愛媛を上回り、6得点・無失点で完勝した。
愛媛にとっては、前回対戦からの名古屋の変化を受け止める苦しい90分になった。一方の名古屋にとっては、優勝争いを続けるうえで大きな自信となる一戦だった。
愛媛FCレディース
愛媛としては、技術面で上回る名古屋に対して、ハードワークと前線からの守備で対抗したかったはずだ。
立ち上がりはその狙いも見えた。前から圧力をかけ、ボールを奪う場面もあった。
ただ、時間が経つにつれて、名古屋の寄せの速さ、セカンドボール回収、中盤の球際に押されていった。愛媛は相手陣内でプレーする時間が少なくなり、前線の選手もボールを受けるために低い位置まで下がらざるを得なかった。
その結果、攻撃に出たときの人数が足りない。
カウンターのチャンスがあっても、サポートが遅れ、名古屋が守備陣形を整える時間を与えてしまう。相手陣内に入っても、前進の選択肢が少なく、バックパスでやり直す場面が目立った。
3失点目以降は、ゴール前で足が止まり、相手選手の動きに対応しきれない場面も増えた。
第3節で競り勝った相手に対して、今回は6失点の完敗。シーズン序盤からここまでの上積みの差が、はっきりと表れた試合だった。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
名古屋にとっては、単なる6-0の勝利ではない。
第3節で5失点を喫して敗れた相手に対し、今回は前線からの守備、中盤の球際、セットプレー、サイドの押し上げ、交代策まで、あらゆる面で上回った。
特に大きかったのは、愛媛の攻撃の起点を消したことだ。
愛媛は、左サイドの桜井が低い位置から組み立てに関与し、右サイドの黒岩沙羽が高い位置でフィニッシュに絡む形を持っている。
名古屋は右サイドバックの角田菜々子が高い位置を取り、桜井の立ち位置に迷いを生じさせた。さらに、右サイドハーフの上田真子と連携し、攻撃時にはサイドを押し込み、守備時には相手選手を挟み込んで対応した。
愛媛が得意とする攻撃の起点をつぶしながら、自分たちはサイドから前進する。この対応が非常に効いていた。
また、終盤には田中亜依を投入し、得点まで生まれた。さらにGK横山野ノ香も途中出場し、無失点勝利に関与した。第3節の敗戦を踏まえると、チームとしても意味のある起用だったといえる。
前回対戦の悔しさを、内容と結果の両方で晴らした名古屋。
11試合負けなし、6連勝。優勝争いに向けて、勢いはさらに増している。
順位表
第14節終了時点で、朝日インテック・ラブリッジ名古屋は1つ順位を上げて、ついに首位に立った。一方、愛媛FCレディースは1つ順位を落として9位となっている。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 31 | 14 | 9 | 4 | 1 | 37 | 12 | +25 | |
| 2(1) | 静岡SSUボニータ | 29 | 14 | 9 | 2 | 3 | 40 | 10 | +30 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 28 | 14 | 8 | 4 | 2 | 28 | 15 | +13 | |
| 4(4) | オルカ鴨川FC | 25 | 14 | 7 | 4 | 3 | 19 | 10 | +9 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 25 | 14 | 7 | 4 | 3 | 17 | 11 | +6 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 23 | 14 | 7 | 2 | 5 | 21 | 21 | 0 | |
| 7(10) | ASハリマアルビオン | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 15 | 16 | -1 | |
| 8(7) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 22 | 24 | -2 | |
| 9(8) | 愛媛FCレディース | 16 | 14 | 4 | 4 | 6 | 15 | 27 | -12 | |
| 10(9) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 15 | 14 | 4 | 3 | 7 | 23 | 27 | -4 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 14 | 3 | 1 | 10 | 13 | 44 | -31 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 0 | 14 | 0 | 0 | 14 | 6 | 39 | -33 |
次節に向けて
愛媛FCレディースは、次節ホームで岡山湯郷Belleと対戦する。
名古屋戦では大敗となったが、中断期間前の一戦でどのように立て直すか。前回対戦では押し込む時間を作りながら勝ち切れなかった相手だけに、内容と結果の両方が問われる試合になる。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、ホームでVONDS市原FCレディースと対戦する。
優勝争いを続けるためには、取りこぼしは許されない。前回対戦のリベンジを果たした今節の勢いを、次節の勝点3につなげたい。
リソース
フルマッチLIVE配信
第14節全試合ハイライト動画
公式記録


