【試合レビュー】室井胡心が2得点、縦への速さでニッパツが名古屋を3-0撃破|2026プレナスなでしこリーグ1部 第16節

試合レビュー

2026年9月5日、約2か月の中断期間を挟み、なでしこリーグ1部が再開した。

第16節で対戦したのは、第15節終了時点で8位のニッパツ横浜FCシーガルズと、2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋
ニッパツは中断期間中の8月8日に延期分の第15節・スフィーダ世田谷FC戦を3-0で制しており、その勢いをつなげたい一戦でもあった。

前回対戦は1-1の引き分け。名古屋がボールを保持する時間を長くする中、ニッパツがセットプレーの流れから吉田凪沙のゴールで先制。後半開始早々に安部由希子が同点ゴールを決めた。

スピードと背後への抜け出しを武器にするニッパツ。ビルドアップとポゼッションを土台に、多彩な攻撃を見せる名古屋。

対照的な強みを持つ両チームの再戦は、ニッパツが強度と縦への速さを発揮し、前半だけで3得点。後半は反撃を試みる名古屋に最後まで自由を与えず、3-0で勝利した。

この記事の要点

  • ニッパツはハイプレスと縦への速い攻撃で名古屋のボール保持に対抗し、前半だけで3得点。世田谷戦に続いて2試合連続の3-0勝利を挙げた。
  • 吉田凪沙がセットプレーから先制し、室井胡心が2得点。岡百々花のスピードと俣野佑果の配球も攻撃の起点となった。
  • 名古屋は11本のシュートを放ったものの無得点。ボールを前進させる場面は作ったが、ニッパツの守備強度と縦への切り替えを最後まで攻略できなかった。

試合情報

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試合展開

立ち上がりから明確だった両チームの狙い

立ち上がりから、両チームの狙いははっきりしていた。

ニッパツは前線から強く圧力をかけ、奪った後は手数をかけずに前線へつなぎ、相手最終ラインの背後を狙う。名古屋は短いパス交換と細かな立ち位置の変化によってプレスを外し、ボールを保持しながら前進する。

ニッパツは、前線でスピードを生かす#11岡百々花と#10室井胡心を、いかに相手の背後へ走らせて前向きにプレーさせるか。名古屋は高い技術を持つ#4逸見桃子、#5安部由希子のダブルボランチを中心にパスを散らし、相手守備のずれを作りながら#8渕上野乃佳や#2夏目歩実の攻撃参加を引き出せるかがポイントだった。

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名古屋#2夏目は、対面する#11岡のスピードと背後のスペースへの飛び出しを警戒する必要があり、なかなか高い位置を取り続けることができない。逸見、安部の中盤と渕上が前進を担う一方、ニッパツは中盤から前の寄せが速く、球際でも強い圧力をかけていた。

その流れから24分、ニッパツが直接フリーキックを獲得する。

#31俣野佑果がゴール前へ送ったボールを#5吉田凪沙が頭で合わせ、ホームのニッパツが先制。良い流れの時間帯に、セットプレーを確実に得点へ結びつけた。

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名古屋が押し返すも、ニッパツが縦への速さで追加点

失点後の名古屋は、攻撃の強度を一段上げたように見えた。縦パスが増え、前線にボールを当てた後に中盤の選手が追い越していく場面も増えていく。

これによって#2夏目にも前を向いてプレーする時間と空間が生まれ、左サイドからドリブルやくさびのパスを入れる場面が増加。名古屋の攻撃に厚みが出始めた。

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ニッパツは押し込まれる時間を迎えるが、中断期間中に加入した#36長江伊吹を中心に最終ラインが粘り強く対応する。

そして38分、名古屋が前掛かりになった背後をニッパツが突いた。

#31俣野の前線へのパスから#11岡が右サイドを一気に持ち上がる。岡が深い位置まで進んで中央へ折り返すと、走り込んだ#10室井が右足のワンタッチで流し込み2-0。

相手が攻勢を強めた時間帯に、自分たちの最大の武器である縦への速さを得点につなげた、ニッパツらしいゴールだった。

前半終了間際、室井の2点目で3-0

さらに前半アディショナルタイムの45+1分、#25松尾由帆から送られたボールに対する名古屋のクリアがこぼれると、#10室井が反応。右足でゴールへ流し込み、この日2点目を挙げた。

ニッパツは3点リードという理想的な展開で前半を折り返す。

藤原投入で反撃する名古屋、最後まで強度を落とさないニッパツ

後半は名古屋が前へ出る。

ハーフタイムに#11藤原愛里を投入すると、藤原が前線でボールを収めるだけでなく、自らフィニッシュにも向かい、ニッパツゴールへ迫る場面が増えた。

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名古屋はボールをつなぎ、ニッパツ陣内まで運ぶことはできている。しかし、最後のフィニッシュへ向かうところでスピードと精度を欠き、ゴールを割ることができない。

3点差を追う名古屋が前へ出る一方、ニッパツは終盤になっても運動量を落とさなかった。

前線からのプレスで名古屋最終ラインのミスを誘い、あわや4点目という場面を作る。#11岡も立て続けにシュートチャンスを迎えたが、追加点は生まれなかった。

後半のシュート数はニッパツ8本、名古屋5本。3点をリードしたニッパツが守るだけに回らず、最後まで前へ出る姿勢を失わなかったことも、この試合の重要なポイントだった。

試合はそのまま3-0で終了。

ニッパツがリーグ終盤戦の再開初戦を快勝で飾った。

総括

今シーズンのニッパツは、従来から得意とするスピードを生かした攻撃に加え、低い位置からのビルドアップやボール保持にも取り組んできた。
その中で今節は、相手との相性を踏まえ、前線の速さとハイプレスをより明確に押し出してきたように見えた。

勝敗を分けたのは、チャンスを得点へ変える力と、そのタイミングだった。

24分のセットプレー。名古屋が押し返し始めた38分の速攻。そして前半終了間際の45+1分。
名古屋が流れを取り戻しかけたところでニッパツが得点を重ね、反撃の勢いをその都度断ち切った。前半だけで3点差をつけたことで、試合を大きく優位に進めることができた。

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興味深いのは、前半のシュート数がニッパツ7本、名古屋6本だったことだ。

数字だけを見れば、一方的な前半だったわけではない。それでもスコアは3-0。ニッパツは訪れた決定機を得点につなげ、名古屋はゴール前で最後の精度を欠いた。

さらに後半もシュート数はニッパツ8本、名古屋5本。ニッパツは3点リード後も受け身にならず、最後まで縦への圧力を保ち続けた。

ニッパツ横浜FCシーガルズ

この日のニッパツは、最大の武器である前線のスピードと中盤の強度を前面に押し出した。戦い方は非常に明確だった。

吉田が頭で先制点を挙げると、室井と岡が名古屋の横パスやバックパスに素早く反応。ボールを奪えばすぐに背後を狙い、名古屋最終ラインへプレッシャーをかけ続けた。

特に38分の2点目は、この試合のニッパツを象徴するゴールだった。
名古屋が前へ出たところで俣野が背後を狙い、岡のスピードを生かして一気にゴール前へ。最後は室井が仕留める。相手の攻撃姿勢を逆手に取った形だった。

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守備では、6月25日にちふれASエルフェン埼玉から完全移籍した#36長江伊吹の存在も大きかった。
前節の世田谷戦に続いて先発し、危険なスペースを埋める対応やカバーリングで名古屋の攻撃を止め、2試合連続のクリーンシートに貢献した。
また、#31俣野佑果は先制点につながるフリーキックだけでなく、2点目でも岡へのパスで起点となった。右サイドからニッパツの攻撃を前進させる重要な役割を果たした。

第16節の名古屋戦に続き、第17節は伊賀FCくノ一三重、第18節には静岡SSUボニータと、上位勢との対戦が続く。
その難しい日程の入り口で、3-0という結果を得た意味は大きい。今節で見せた前線の速さと守備強度を再現できるかが、リーグ終盤戦の鍵になりそうだ。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

低い位置で相手のプレスを外しながらボールをつなぐ技術と連係の高さは、今節でも随所に見られた。

一方で、中盤から前ではニッパツの寄せの速さと球際の強さに苦しみ、保持したボールを決定機へ変える回数が足りなかった。

第15節のVONDS市原FCレディース戦でも感じたが、ここ2試合はボールを動かして相手をずらすことに比重が寄り、ゴールへ直結する縦への変化が少なくなっているように見える。
第3節の愛媛FCレディース戦では、低い位置でのパス回しを狙われ4-5で敗れた。その後は、相手の圧力を外した先で素早くゴールへ向かう形が増え、6連勝を記録するまでにチーム状態を上げてきた。

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今節では、再び「ボールを保持すること」と「ゴールへ向かうこと」のバランスが課題として表れたように感じる。

名古屋には高いレベルでボールを扱える選手が多く、ハードワークもできる。選手層も厚い。
だからこそ、自分たちが理想とするサッカーをするだけでなく、相手が最も嫌がるプレーをどの局面で選ぶのか。リーグ連覇を目指すうえで、改めて整理したいポイントになる。

順位表

第16節を終えて、ニッパツ横浜FCシーガルズは7位に順位を上げた。朝日インテック・ラブリッジ名古屋は2位を維持したものの、首位の静岡SSUボニータとの勝点差は3に広がり、3位のオルカ鴨川FCとの勝点差はわずか1となった。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ351611234811+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋32169523715+22
3(4)オルカ鴨川FC31169432511+14
4(3)ヴィアマテラス宮崎29168532918+11
5(5)伊賀FCくノ一三重29168531912+7
6(6)岡山湯郷Belle23167272328-5
7(8)ニッパツ横浜FCシーガルズ21166372927+2
8(10)ASハリマアルビオン19165471822-4
9(7)愛媛FCレディース19165471831-13
10(9)スフィーダ世田谷FC16164482329-6
11(11)日体大SMG横浜101631121447-33
12(12)VONDS市原FCレディース4161114840-32

次節に向けて

次節、ニッパツ横浜FCシーガルズは、再びホームのニッパツ三ツ沢球技場で伊賀FCくノ一三重と対戦する。

前回対戦の第6節は、伊賀の鋭く堅い守備にニッパツの縦への推進力を制限され、1-2で敗れた。

伊賀は名古屋よりも縦への意識が強く、サイドにも推進力がある。守備も堅いので、真正面から相手守備陣をこじ開けようとしても、簡単には崩せない。

世田谷戦、名古屋戦と続けて見せた前線からのハードワークを再現しながら、ボールを奪った後に伊賀の守備が整う前に攻め切れるか。

今の強度を維持できれば、上位勢を相手にしても十分に勝点3を狙えるはずだ。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、ホームでスフィーダ世田谷FCと対戦する。

前回対戦では、世田谷のエース・内田美鈴に2得点を許しながらも、62分に橘麗衣のPKで追いつき、後半アディショナルタイムの90+4分に角田菜々子が決勝点を挙げて逆転勝利した。

今節はニッパツのスピードと縦への攻撃に苦しみ3失点を喫したが、名古屋は本来、堅い守備組織をベースに試合を組み立てられるチームでもある。

次節はまずその守備の安定感を取り戻し、持ち前のテクニックを生かしたビルドアップとポゼッションから、相手の嫌がる場所へ縦にボールを運べるかがポイントになる。

リーグ連覇を目指すうえで、これ以上勝点を落としたくない重要な一戦となる。

リソース

チーム紹介

ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツ横浜FCシーガルズの2026シーズンを紹介。2021年以降の成績推移、前線からのプレスとスピードを生かした攻撃、ビルドアップへの取り組み、室井胡心・岡百々花・吉田凪沙・浦島里紗ら注目選手の紹介、後半戦の展望をまとめています。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
朝日インテック・ラブリッジ名古屋の2026シーズン成績やスタッツ、丁寧なビルドアップと修正力を軸としたチームの特徴を紹介。橘麗衣、夏目歩実、渕上野乃佳、安部由希子ら注目選手や試合レビューもまとめています。

第16節 振り返り

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第16節 個人的ベストイレブン

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フルマッチLIVE配信

第16節全試合ハイライト動画

公式記録

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

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