【試合レビュー】名古屋が4得点で湯郷に快勝も、得失点差で及ばずリーグ連覇ならず|2026なでしこリーグ1部 第22節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部は、ついに最終節を迎えた。

勝点39で2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、勝点41で首位に立つ静岡SSUボニータを追う。逆転優勝のためには、名古屋自身の勝利が絶対条件。さらに、得失点差でも大きく離されており、岡山湯郷Belleのホームで開催される最終戦では大量得点を目指す。

両チームの前回対戦は、名古屋が2-0で勝利している。

試合は序盤から名古屋が主導権を握り、4得点無失点で快勝。しかし、静岡もVONDS市原FCレディースと1-1で引き分けたため、両チームは勝点42で並ぶことに。得失点差で静岡を上回ることができず、名古屋のリーグ連覇は叶わなかった。

この記事の要点

  • 名古屋は連動したプレスで湯郷のビルドアップを制限。中盤に生じたスペースを効果的に使い、前半から主導権を握った。
  • 上田真子の2得点を含む4ゴールで名古屋が快勝。湯郷もサイドから反撃を試みたが、最後まで得点を奪えなかった。
  • 名古屋は勝点42で静岡に並ぶも、得失点差で及ばず2位。湯郷は8位でシーズンを終えた。

試合情報

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試合展開

名古屋のプレスが機能、中央のスペースを突いて先制

試合序盤から主導権を握ったのは名古屋だった。

名古屋は前線から連動してプレッシャーをかけ、湯郷が最終ラインからパスをつないで攻撃を組み立てるビルドアップを制限。中盤でボールを奪うと、少ない手数でゴールに迫った。
攻撃面でも、湯郷の守備陣形に生じたスペースを効果的に利用していた。

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湯郷は名古屋のビルドアップに対応する際、ダブルボランチの2人が高い位置へ引き出される一方、最終ラインは十分に押し上げられず、中盤と最終ラインの間に大きなスペースが生まれていた。
名古屋はそのスペースに縦パスを送り、前を向いた状態から攻撃を仕掛ける。

11分、名古屋が先制する。
最前線から中盤へ下りてきた#9水野亜美が、相手の中盤と最終ラインの間でパスを受けると、守備ラインの背後を狙って縦パス。抜け出した#14上田真子がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得した。
このPKを上田自らが決め、名古屋が早い時間帯にリードを奪った。

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先制後も名古屋の攻勢は続く。

水野が中盤まで下りてボールを引き出し、藤原愛里や上田真子が相手最終ラインの背後へ走り込む。先制点につながった攻撃を繰り返し、湯郷の守備陣を揺さぶった。

一方、湯郷も中盤でボールを奪う場面はあったが、そこからパスをつないで前進しようとする際に、名古屋の素早い寄せに阻まれる。

右サイドに開く岸波美采や、前線中央の国吉花吏埜へボールが渡れば、スピードを生かしたドリブルで攻撃を加速できる。しかし、この日は2人にボールが届く前に、名古屋の守備によって攻撃を寸断される場面が目立った。

上田のドリブル突破から藤原が追加点

26分、名古屋が追加点を奪う。
自陣でボールを受けた#8渕上野乃佳がドリブルで前進し、#14上田真子へパス。左サイドでボールを受けた上田は、相手DFを引きつけながらドリブルで中央を横断し、右サイドへ展開する。

攻撃参加していた右サイドバックの#24角田菜々子がクロスを送ると、相手DFに当たったボールが高く浮き上がる。
これに#11藤原愛里が頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。

渕上の縦への推進力を起点に、上田がドリブルで守備陣を引きつけ、逆サイドの角田へ展開。最後は藤原が決め切るという、複数の選手が連動した攻撃だった。

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2点を追う湯郷も反撃を試みる。

サイドに大きく開いた#3梶山朋恵がフリーでボールを受け、ドリブルでペナルティエリア付近まで前進。しかし、周囲のサポートが遅れ、シュートまで持ち込むことができない。

名古屋はボールを保持して攻撃を組み立てるだけでなく、ドリブルでの前進や長い縦パスも積極的に活用。攻撃の選択肢を増やし、湯郷に守備の狙いどころを絞らせなかった。

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前半終盤には、#5安部由希子のスルーパスに#8渕上野乃佳が抜け出し、GKとの1対1を迎える。
絶好の追加点の機会だったが、湯郷GK戸梶有野里が冷静な対応でシュートを阻止。3失点目を防ぎ、後半への望みをつないだ。

前半は名古屋が2点をリードして折り返す。

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セットプレーから3点目、上田の2得点目でリードを広げる

後半も試合を優勢に進めたのは名古屋だった。

前線からの連動したプレスで湯郷のパスコースを制限し、中盤でボールを奪って攻撃へつなげる。湯郷は自陣からの前進に苦しみ、名古屋が押し込む時間帯が続いた。

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53分、名古屋がコーナーキックから3点目を奪う。
#5安部由希子が精度の高いボールをゴール前へ送ると、#24角田菜々子が高い打点から叩きつけるようなヘディングシュート。
ボールは惜しくもポストに当たったが、こぼれ球に反応した#17堀内意が右足で押し込み、リードを3点に広げた。

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3点を追う湯郷は、長い縦パスで名古屋の守備ラインを越えようとする場面を増やす。
しかし、名古屋は中盤と最終ラインが連動して対応。湯郷が前線でボールを収めようとしても、素早く距離を詰めて自由を与えない。

逆に名古屋は、後方からの長い縦パスを有効に使い、湯郷の守備ラインの背後を繰り返し狙った。

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そして67分、名古屋が4点目を奪う。
左サイドバックの#2夏目歩実から#5安部由希子へ縦パスが通ると、安部がドリブルでペナルティエリア付近まで前進。
相手最終ラインとGKの間へ低いクロスを送る。
ゴール前に飛び込んだ#13仁木愛実にはわずかに合わなかったものの、その背後に走り込んでいた#14上田真子が右足で流し込んだ。

上田にとってはこの日2得点目。名古屋が4-0と大きくリードを広げた。

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湯郷も反撃、名古屋は最後まで追加点を狙う

同時刻に行われていた別会場の試合では、76分にVONDS市原FCレディースが静岡SSUボニータから同点ゴールを奪い、1-1となった。

このまま名古屋が勝利し、静岡が引き分ければ、両チームは勝点42で並ぶ。

ただし、得失点差では依然として静岡が大きく上回っている。逆転優勝を目指す名古屋は、4点のリードを得ても攻撃の手を緩めなかった。

一方の湯郷も、決して防戦一方ではなかった。

途中出場の#22片山真鞠がサイドからアーリークロスを送り、名古屋ゴール前にボールを供給する。
さらに、終盤に投入された#44井上穂乃香もゴール前へ飛び込み、押し込みを狙ったが、惜しくもシュートはポストに阻まれた。
選手交代を通じて攻撃に変化を加え、最後まで一矢報いようとする姿勢を見せた。

しかし、湯郷は得点を奪えず、名古屋も追加点を積み重ねるには至らなかった。

試合は0-4で終了。名古屋が敵地で快勝し、最終節で勝点3を積み重ねた。
それでも、静岡との得失点差を覆すことはできず、名古屋の2年連続優勝は実現しなかった。

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総括

ともに後方からパスをつないで攻撃を組み立てるスタイルを基盤とする両チーム。

その対戦で違いを生んだのは、名古屋の守備の連動性と、攻撃の選択肢の多さだった。

湯郷のビルドアップを制限しながら、中盤に生じたスペースを利用して前進。ボール保持に固執せず、ドリブルや長い縦パスも使い分けた名古屋が、終始優勢に試合を進めた。

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岡山湯郷Belle

湯郷にとっては、相手の守備の強度と連動性に苦しんだ一戦となった。

名古屋のプレスを受けた際、ボールを保持していても、パスの選択が相手選手の密集する中央に偏る場面が見られた。名古屋の選手が素早く距離を詰めてくるため、前を向いてボールを運ぶことが難しくなっていた。

そこでボールをつなぎ直すためにバックパスを選択すると、名古屋はそれに合わせて前線からプレスを強める。
中盤と最終ラインも連動して押し上げ、選手間の距離をコンパクトに保つことで、湯郷のパスコースをさらに制限していた。

前節の日体大SMG横浜戦でも前線からのプレスに苦しんだ湯郷だが、名古屋の守備はプレスのタイミングと周囲の連動がより洗練されており、前進するための時間とスペースを確保できなかった。

一方、攻撃面では可能性を感じさせる場面もあった。

前半の梶山朋恵、後半途中から出場した片山真鞠らがサイドでボールを運び、クロスからチャンスを作ろうとした場面は印象的。
ただし、ドリブルで前進した選手に対する周囲のサポートが遅れ、相手ゴール前で攻撃を完結させることができなかった。

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名古屋は大量得点を求めて攻撃的に戦っていただけに、ボールを奪った直後には、その背後にスペースが生まれる場面もあった。
このスペースを素早く使い、前線の岸波美采や国吉花吏埜のスピードと突破力を生かす攻撃を、もう少し増やしたかった。

また、名古屋のビルドアップに対して守備ブロックを作って対応するだけでなく、前線から強く圧力をかけ、相手最終ラインに自由なプレーを許さない時間帯も必要だったように思う。

2026シーズンの最終順位は8位。
シーズン中断期間には選手の入れ替わりもあり、チームの再編を進めながら難しい終盤戦を過ごすこととなった。

次に控えるのは皇后杯。
選手個々には、ドリブル突破やボールをつなぐ技術など、攻撃を前進させる能力がある。
それらをチーム全体の連動した動きにつなげられるか。相手の守備に応じた攻撃の使い分けや、ボールを奪いに行く守備の積極性を高めることで、チームの戦い方は大きく変わる可能性がある。

リーグ戦で見えた課題を皇后杯でどこまで改善できるか、注目したい。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

4得点無失点という快勝だったが、試合内容を考えれば、さらに得点を積み重ねていてもおかしくなかった。

この日の名古屋で特に印象的だったのは、守備の完成度と攻撃の柔軟性である。

湯郷の低い位置からのビルドアップを狙い、前線と中盤が連動してパスコースを制限。相手に自由を与えず、中盤でボールを奪うと素早く攻撃へつなげた。
前線からのプレスも、ただ闇雲に相手を追い回すのではなく、ボールが動くタイミングを見極めて強度を高めることで、周囲の選手との連動を保っていた。

攻撃では、普段のパスワークに加え、ドリブルや長い縦パスも積極的に利用。湯郷の守備が対応しにくい攻撃を繰り返した。

個々の選手も高いパフォーマンスを発揮した。

水野亜美はFWの選手ながら中盤まで下り、湯郷の中盤と最終ラインの間に生じたスペースでボールを引き出した。
ボールを受けてからはドリブルとパスを使い分け、味方の背後への飛び出しを引き出す。自身に得点はなかったものの、前線の攻撃を活性化させる起点となった。

上田真子は2得点で勝利に大きく貢献。
ゴール前への飛び出しや決定力に加え、ドリブルによる前進とボールキープ、角田菜々子との連係も光った。
守備でも素早く戻って相手にプレッシャーをかけ、ボールの即時奪回に貢献。攻守の両面で存在感を示した。

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そして、特筆すべきは安部由希子のパフォーマンスだろう。
中盤でのボール奪取、パスの配球、前線への飛び出し、自らシュートを狙う積極性など、攻守にわたって高い質を発揮した。
相手が中盤でボールを受けると素早く寄せて前を向かせず、ボールコントロールを乱れさせて奪い切る。
攻撃に転じれば、味方を生かすパスを供給するだけでなく、自らもドリブルで前進し、湯郷ゴールに迫る。
さらに、セットプレーでは精度の高いキックから得点機会を創出した。
攻撃を組み立て、守備で相手を制限し、ゴール前でも決定的な仕事をする。チームの攻守を支える中心選手として、シーズン最終節でも大きな存在感を放った。

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名古屋は最終節の勝利によって勝点42に到達。静岡と勝点で並んだものの、得失点差を埋め切ることができず、2025シーズンに続く連覇には届かなかった。

シーズン序盤や中断明けには勝利が遠い時期もあったが、最終節まで優勝争いの中心であり続けた。
シーズン途中にはキャプテンを務めていた橘麗衣がWEリーグへ移籍するなど、戦力面でも変化があった。それでも残った選手たちは連係を高め、最終節まで首位と肉薄する結果でチームの力を示した。

次の舞台は皇后杯。
リーグ優勝こそ逃したが、攻守の完成度は高い。積み重ねてきた戦い方が、異なるカテゴリーのチームとの対戦でどこまで通用するのか。
その挑戦にも期待したい。

順位表

2026プレナスなでしこリーグ1部の全日程が終了した。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋は12勝6分4敗、勝点42。静岡SSUボニータと勝点で並んだものの、得失点差で11点及ばず、2位でシーズンを終えた。

岡山湯郷Belleは8勝4分10敗、勝点28。最終節でスフィーダ世田谷FCが勝利したことにより、順位を1つ下げて8位となった。

過去5試合:勝利 引き分け 敗戦

順位
(前節)
チーム名勝点試合数勝分負得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ422212645316+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋422212644620+26
3(3)オルカ鴨川FC402211743319+14
4(4)伊賀FCくノ一三重392211653020+10
5(5)ヴィアマテラス宮崎362210664234+8
6(6)ニッパツ横浜FCシーガルズ33229673933+6
7(8)スフィーダ世田谷FC29228593435-1
8(7)岡山湯郷Belle282284103140-9
9(9)愛媛FCレディース262275102742-15
10(10)ASハリマアルビオン212256112031-11
11(11)日体大SMG横浜162251162258-36
12(12)VONDS市原FCレディース132234151544-29

リソース

チーム紹介

岡山湯郷Belle
岡山湯郷Belleの2026シーズン成績やスタッツ、ショートパスを軸にしたビルドアップとチームの特徴を紹介。上野理佐、岸波優妃、中野琴音、塩谷瑠南、栫井美和子、香椎彩香ら注目選手や試合レビューもまとめています。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
朝日インテック・ラブリッジ名古屋の2026シーズン成績やスタッツ、丁寧なビルドアップと修正力を軸としたチームの特徴を紹介。橘麗衣、夏目歩実、渕上野乃佳、安部由希子ら注目選手や試合レビューもまとめています。

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